第1章 第2節 6 (5)高齢者の日常生活
第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
6 高齢者の生活環境
(5)高齢者の日常生活
ア 生きがいを感じている人は約8割
60歳以上の高齢者が生きがいをどの程度感じているかについて見てみると、「十分に感じている」人と「多少感じている」人の合計は約8割に達している。男女別にみると、女性(83.2%)に比べて男性(79.8%)が低くなっている(図1-2-6-12)。
イ 今後、毎日の生活を充実させて楽しむことに力を入れたい人が増加
内閣府「国民生活に関する世論調査」(平成24(2012)年)によると、今後の生活で「貯蓄や投資など将来に備える」ことよりも「毎日の生活を充実させて楽しむ」ことに力を入れたい人の割合は、60~69歳は79.7%、70歳以上は82.4%であり、50~59歳では約6割、49歳以下の各層では4割前後であるのに対して、60歳以上の各層の割合は非常に高い(図1-2-6-13)。
ウ 一人暮らしの男性に、人との交流が少ない人や頼れる人がいない人が多い
60歳以上の高齢者の会話の頻度(電話やEメールを含む)をみてみると、全体では毎日会話をしている者が9割を超えるものの、一人暮らし世帯については、「2~3日に1回」以下の者も多く、男性の単身世帯で28.8%、女性の単身世帯で22.0%を占める(図1-2-6-14)。
近所づきあいの程度は、全体では「親しくつきあっている」が51.0%で最も多く、「あいさつをする程度」は43.9%、「つきあいがほとんどない」は5.1%となっている。性・世帯構成別に見ると、一人暮らしの男性は「つきあいがほとんどない」が17.4%と高く、逆に一人暮らしの女性は「親しくつきあっている」が60.9%と最も高くなっている(図1-2-6-15)。
また、病気のときや、一人ではできない日常生活に必要な作業(電球の交換や庭の手入れなど)の手伝いについて、「頼れる人がいない」者の割合は、全体では2.4%であるが、一人暮らしの男性では20.0%にのぼる(図1-2-6-16)。
エ 孤立死と考えられる事例が多数発生している
誰にも看取られることなく息を引き取り、その後、相当期間放置されるような「孤立死(孤独死)」の事例が報道されているが、死因不明の急性死や事故で亡くなった人の検案、解剖を行っている東京都監察医務院が公表しているデータによると、東京23区内における一人暮らしで65歳以上の人の自宅での死亡者数は、平成24(2012)年に2,729人となっている(図1-2-6-17)。
また、(独)都市再生機構が運営管理する賃貸住宅約76万戸において、単身の居住者で死亡から相当期間経過後(1週間を超えて)に発見された件数(自殺や他殺などを除く)は、平成23(2011)年度に200件、65歳以上に限ると131件となり、20(2008)年度に比べ全体で約3割、65歳以上では約5割の増加となっている(図1-2-6-18)。
オ 孤立死(孤独死)を身近な問題と感じる人は4割を超える
誰にも看取られることなく、亡くなったあとに発見されるような孤立死(孤独死)を身近な問題だと感じる(「とても感じる」と「まあ感じる」の合計)人の割合は、60歳以上の高齢者では2割に満たなかったが、単身世帯では4割を超えている(図1-2-6-19)。