コラム5　お父さんお帰りなさいパーティー～地域デビューのお手伝い～

高齢者の社会活動への参加を進めるために、自治体等では様々な取組が行われている。

ここでは、社会活動参加のきっかけ作りとして、東京都八王子市で開催されている「お父さんお帰りなさいパーティー」を紹介する。

これまで仕事中心の生活を送ってきた'お父さん'も定年を迎えれば、多くの時間を地域の中で過ごすことになる。しかしながら、地域の中にどのような活動の場があるのか、何をしたらいいのかわからない人も多い。そういった定年前後の男性（女性も大歓迎）に、地域デビューのお手伝いをするのが、「お父さんお帰りなさいパーティー」（通称「オトパ」）である。地域のボランティア活動や市民活動をしているグループ等を紹介し、市民活動を通じて地域貢献をしながら楽しい仲間作りをして、いきいきとした第二の人生を過ごしていただくきっかけ作りを目指している。

パーティーは、八王子市民活動協議会、八王子市、一般市民有志で構成する実行委員会により企画運営されている。平成14年に第1回目を開催して以来、毎年開催されており、今年（平成25年）は2月2日に34団体と235人の参加のもと第12回目が開催された。

参加者には、出展した団体を含む約130の市民活動団体の情報をまとめた冊子が提供されるので、会場で話を聞けない団体の活動も知ることができるようになっている。

パーティーの次第は、講演、市民活動団体の紹介、交流パーティーからなっている。

講演は、地域活動に参加し、いきいきとしたセカンドライフに誘う内容で行われており、今回は「もうひとつの人生、地域デビュー～地域に活かす私の力～」というテーマで、シニアライフアドバイザーの松本すみ子氏による講演が行われた。

講演に続いて市民活動団体の紹介が始まる。ツアーガイドが5～6名の小グループに分かれた参加者を先導して各ブースを案内していくので孤立する人がなく、話も弾む。会場には参加団体の活動内容を紹介するパネルや活動の中で製作した作品等が展示されたブースが設けられており、参加者はそれぞれのブースで、団体の方から直接お話しを聞くことができるようになっている。団体の方にとっては、自分たちの活動をPRする機会でもある。

約1時間半の団体紹介が終わると、第2部の交流パーティーが始まる。

軽い飲食を取りながら、参加者同士あるいは団体メンバーと気楽に情報交換ができる時間である。ここで、さらに具体的な活動内容や先輩方の体験談などを聞くなど様々な情報交換が行われるうちにパーティーはお開きになる。

また、1回きりのパーティーで終わらせることなく、継続的に発展させるきっかけとなるように、今後の活動相談窓口となる市民活動支援センターの紹介・案内、生涯学習講座に関する情報の提供、学習相談窓口の紹介を行うなどフォローアップも行われている。

当日のアンケートによると、参加の目的で最も多かったのは、「どんな団体があるか知りたいから」が64％、「自分が何に向いているか知りたい」が22％、「参加したい団体を決めたい」が6％となっており、地域デビューを考える'お父さん'にとって「オトパ」は最適なイベントといえよう。