平成25年度 高齢社会対策 第2 3 (2)学習活動の促進
第2 分野別の高齢社会対策
3 社会参加・学習等分野に係る基本的施策
(2)学習活動の促進
ア 学習機会の体系的な提供と基盤の整備
生涯学習の振興に向けて、平成2年に「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」が制定され推進体制の整備が図られた。その後、平成18年に改正された教育基本法で生涯学習の理念(第3条)が、さらにこの理念の実現のため平成20年に改正された社会教育法でも「生涯学習の振興への寄与」が明示された(第3条2項)。これらの法律や中央教育審議会の答申等に基づき、国民一人一人が生涯を通して学ぶことのできる環境の整備、多様な学習機会の提供、学習した成果が適切に評価されるための仕組みづくりなど、「生涯学習社会」の実現のための取組を進める。
(ア)生涯学習の基盤の整備
全国生涯学習ネットワークフォーラムを開催し、行政や大学等の教育機関、NPO等の団体、企業等の様々な関係者の参加、協力の下、生涯学習を通じた新しい社会づくり・地域づくりについての研究協議等を行い、その成果を情報発信するとともに、今後の中長期的な取組を推進するため、様々な分野にまたがる関係者間のネットワークづくりを推進する。
また、都道府県及び市町村における社会教育行政の充実に資するため、優れた資質と専門的能力を有する社会教育指導者の養成等を図る。
(イ)学習成果の適切な評価の促進
様々な学習活動の成果が適切に評価される社会の実現に向け、各個人の学習成果を測る検定試験について、質の向上や信頼性の確保が図られるよう、引き続き、民間事業者等が主体的に行う評価の取組の普及に向けた支援を行うとともに、人材認証制度の評価・活用を推進するための仕組みを検討する。
また、高等教育レベルの学習成果を適切に評価するため、独立行政法人大学評価・学位授与機構において、科目等履修制度などを利用し大学等の単位を修得した短期大学卒業者、高等専門学校卒業者、専門学校修了者等に対し、審査の上、「学士」の学位授与を行う。
イ 学校における多様な学習機会の提供
(ア)初等中等教育機関における多様な学習機会の確保
学校教育においては、生涯にわたって自ら学び、社会に参画するための基盤となる能力や態度を育むこととしている。このような観点から、新学習指導要領では、児童生徒が高齢社会の課題や高齢者に対する理解を深めるため、小・中・高等学校において、ボランティアなど社会奉仕に関わる体験活動や、高齢者との交流活動等を含む体験活動の充実を図っている。
さらに、自治体における体験活動の推進を支援する「健全育成のための体験活動推進事業」において、小・中・高等学校が実施するボランティアや高齢者との世代間交流などの児童生徒の健全育成を目的とした体験活動に必要な経費の一部を補助する。
(イ)高等教育機関における社会人の学習機会の提供
生涯学習のニーズの高まりに対応するため、大学においては、社会人入試の実施、夜間大学院の設置、昼夜開講制の実施、科目等履修生制度の実施、長期履修学生制度の実施などを引き続き行い、履修形態の柔軟化等を図って、社会人の受入れを一層促進する。
また、大学等が、その学術研究・教育の成果を直接社会に開放し、履修証明プログラムや公開講座を実施するなど高度な学習機会を提供することを促進する。
放送大学においては、テレビ・ラジオ放送などの身近なメディアを効果的に活用して、幅広く大学教育の機会を国民に提供する。
(ウ)学校機能・施設の地域への開放
児童生徒の学習・生活の場であり、地域コミュニティの拠点でもある公立学校施設の整備に対し国庫補助を行うとともに、学校施設整備指針を示すこと等により、学校開放に向けて、地域住民の積極的な利用を促進するような施設づくりを進めていく。
また、小・中学校の余裕教室について、引き続き、地方公共団体が社会教育施設やスポーツ・文化施設などへの転用を図れるよう、取組を支援していく。
ウ 社会における多様な学習機会の提供
(ア)社会教育の振興
地域住民の身近な学習拠点である公民館を始めとする社会教育施設等において、幅広い年齢層を対象とした多様な学習機会の充実を促進する。
また、地域におけるきずなづくりや地域コミュニティの再生のため、高齢化問題等の地域の様々な現代的課題について、公民館等を中心に様々な主体が連携・協働して解決を図る取組を支援する。
(イ)文化活動の振興
国民文化祭の開催等による文化活動への参加機会の提供、国立の博物館等における高齢者に対する優遇措置やバリアフリー化等による芸術鑑賞機会の充実を通じて多様な文化活動の振興を図る。
(ウ)スポーツ活動の振興
高齢者の体力つくり支援事業を実施するとともに、「体育の日」を中心とした体力テストやスポーツ行事の実施等、各種機会を通じて多様なスポーツ活動の振興を図る。
(エ)自然とのふれあい
国立公園等の利用者を始め、国民だれもが自然とふれあう活動が行えるよう、自然ふれあい施設や体験活動イベント等の情報をインターネット等を通じて提供する。
また、国立・国定公園の利用の適正化のため、自然公園指導員の研修を実施し、利用者指導の充実を図るとともに、地方環境事務所等においてパークボランティアを養成し、その活動に対する支援を実施する。
(オ)消費者教育の取組の促進
平成24年12月に施行された「消費者教育の推進に関する法律」(平成24年法律第61号)に基づき作成される「消費者教育の推進に関する基本的な方針」等を踏まえ、消費者教育推進会議の運営等、今後の消費者教育に関する取組を推進する。
エ 勤労者の学習活動の支援
有給教育訓練休暇制度の普及促進などを図るとともに、教育訓練給付制度の活用により、勤労者個人のキャリア形成を支援し、勤労者の自己啓発の取組を引き続き支援する。