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平成26年度 高齢社会対策

第1 平成26年度の高齢社会対策

平成26年度における主な施策は次のとおりである。

(1)就業・年金

高齢者等の再就職の援助・促進

再就職が困難である高齢者等の円滑な労働移動を強化するため、平成25年度補正予算において抜本的に拡充した労働移動支援助成金により、離職を余儀なくされる高年齢者等の再就職を民間の職業紹介事業者に委託した事業主や、高齢者等を受け入れて訓練(OJTを含む)を行った事業主に対して、助成措置を行い、能力開発支援を含めた労働移動の一層の促進を図る。

情報通信を活用した遠隔型勤務形態の開発・普及

平成25年6月に閣議決定された「世界最先端IT国家創造宣言」に基づき、テレワークが高齢者等の遠隔型勤務形態に資するものとして、一層の普及拡大に向けた環境整備、普及啓発等を関係省庁が連携して推進する。

持続可能で安定的な公的年金制度の確立

平成26年度以降の基礎年金国庫負担割合については、消費税増税による税収によって、2分の1を恒久化する。また、24年に成立した「国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律」(平成24年法律第99号)に基づき、年金財政の改善と世代間の公平を図る観点から、特例水準の解消を進めており、26年4月には、特例水準を1%解消する。

働き方やライフコースの選択に中立的な年金制度の構築

年金関連4法による産休期間中の社会保険料免除等の円滑な施行に取り組むとともに、短時間労働者への社会保険の適用拡大の28年度からの円滑な施行に向け、必要な準備や周知に取り組む。

(2)健康・介護・医療

介護予防の推進

平成26年度から、高齢者が日常生活の中で気軽に参加できる活動の場が身近にあり、地域の人とのつながりを通して活動が広がるような地域づくりを推進するため、都道府県と連携しながら市町村に対して実践を通じた技術的支援を行う。全国・都道府県・市町村・日常生活圏域別の特徴や課題、取組等を客観的かつ容易に把握できるように介護・医療関連情報の共有(「見える化」)のためのシステムの構築等を行う。

高齢者医療制度について

社会保障制度改革プログラム法に基づき、後期高齢者支援金の全面総報酬割等について検討し、平成27年の法案提出を目指す。また、医療保険制度改革の実施状況等を踏まえ、高齢者医療制度の在り方について、必要に応じ、見直しに向けた検討を行う。

暫定的に1割負担となっている70歳から74歳の患者負担については、平成26年4月に新たに70歳になる者から段階的に法律上の2割とし、同年3月末までに既に70歳に達している者は75歳になるまで特例措置(1割)を継続する。その際、低所得者を含め、高額療養費の自己負担限度額を据え置く。

地域における包括的かつ持続的な在宅医療・介護の提供

都道府県や市町村に対して在宅医療・介護サービスの充実のために必要な事業を支援していくとともに、市町村が主体となって地区医師会等と協働した取り組みが進むよう、在宅医療と介護の連携に関して更なる支援等を検討していく。

地域の支え合いによる生活支援の推進

近年、過疎地域のみならず都市部においても、高齢者を中心に食料品の購入や飲食に不便や苦労を感じる消費者が増加しており、食料品アクセス問題として社会的問題になっていることから、地域の関係者が市町村等と連携して設置・運営する企画検討会が当該地域における食料品アクセス環境の改善に向けた方策を策定する取組を支援する。

(3)社会参加・学習

高齢者の社会参加と生きがいづくり

学校の教育活動を支援する「学校支援地域本部」や、放課後や週末等に学校の余裕教室等を活用して、学習・体験・交流活動等を提供する「放課後子供教室」、家庭教育に関する学習機会の提供等を行う「家庭教育支援」、土曜日の教育環境の一層の充実などを一体的・総合的に推進することなどにより、高齢者を含む幅広い世代の地域住民の参画による地域全体で子供を育む環境づくりを支援する。

消費者教育の取組の促進

「消費者教育の推進に関する基本的な方針」(平成25年6月閣議決定)の「今後検討すべき課題」等について、消費者教育推進会議に置かれた3つの小委員会(消費者市民育成小委員会、情報利用促進小委員会、地域連携推進小委員会)で検討し、27年2月にその結果を取りまとめることとしており、消費者教育に関する取組を更に推進する。

(4)生活環境

防災施策の推進

現行の消防法令では、火災警報は音によるものとされており、音以外の警報装置は、その導入・普及がほとんど進んでいない状況である。このため、火災警報を高齢者・障がい者に的確に伝える装置の円滑な導入に向けて、平成25年度に実施した光による警報装置の調査検討事業の結果をもとに、光による警報装置の設置や維持に係る基準について検討を行う。

(5)高齢社会に対応した市場の活性化と調査研究推進

医療・介護・健康関連産業の強化

医療機関と民間事業者が連携して、公的保険外の予防・健康管理サービスなどを提供する「健康寿命延伸産業」の創出に向けて、事業環境の整備(グレーゾーンの解消等)、企業による健康投資の促進、健康関連商品・サービスの品質評価などの主な課題について、基盤整備や事業化の推進を行う。

医療関連分野におけるイノベーションの推進

我が国のバイオ医薬品の国際競争力を強化するため、我が国の強みであるケミカルバイオロジー、計算科学、糖鎖工学等を融合し、細胞内標的を創薬ターゲットとする技術等、世界初の次世代バイオ医薬品の創出基盤技術開発を実施する。

高齢者に特有の疾病及び健康増進に関する調査研究等

ロボット技術、再生医療、IT等を応用して、低侵襲の治療装置や早期に疾患を発見する診断装置など、日本発の、国際競争力の高い革新的医療機器・システムを開発・実用化を行う。また、ものづくり中小企業と医療機関等との医工連携により、医療現場の課題に応える医療機器の開発・実用化を推進し、医工連携支援機能を整備するとともに、支援機関の連携体制を構築する。

(6)全世代が参画する超高齢社会に対応した基盤構築

非正規雇用労働者対策の推進

非正規雇用対策については、非正規雇用の労働者の雇用の安定や処遇の改善を図るため、正規雇用への転換、人材育成、処遇改善など、企業内でのキャリアアップを支援するための総合的な対策を推進していく。

また、平成25年6月に閣議決定された日本再興戦略を受けて、職務等に着目した「多様な正社員」モデルの普及・促進を図るため、成功事例の収集、周知・啓発を行うとともに、「『多様な正社員』の普及・拡大のための有識者懇談会」において、労働条件の明示等、雇用管理上の留意点について、26年度中のできるだけ早期に取りまとめる。

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