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コラム1 認知症カフェ「オレンジサロン 石蔵カフェ」~役割を認識して責任感が生まれた~

厚生労働省研究班によると、平成24年時点の65歳以上の高齢者のうち認知症の人は約462万人と推計されている。平成24年9月に厚生労働省が策定した、「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」では、平成25年度以降、「認知症カフェ」(認知症の人と家族、地域住民、専門職等の誰もが参加でき、集う場)の普及などにより、認知症の人やその家族等に対する支援を推進するとされている。認知症カフェは、家族の会、自治体、社会福祉法人などによって運営されているが、ここでは家族の会が運営している栃木県宇都宮市の認知症カフェを紹介する。

平成24年7月にオープンした認知症カフェ「オレンジサロン 石蔵カフェ」は、認知症の人と家族の会栃木県支部が運営している。

同家族会では、毎月、家族のつどいを開催し、情報交換を行っているが、ある日、認知症のAさん(当時70歳)が「何か人の役に立つことをしたい」と訴えたことから、家族の会では、「本人の希望を形にしたい、認知症のことについてもっと地域の方に知ってもらいたい」との思いで、とちぎYMCA福祉会が所有する石蔵でカフェを開くこととした。

使われていなかった石造りの蔵が、宇都宮市からの支援を受けて、地域のボランティアの人の手によって改修され、店内は27坪程度の広さで、カウンターと4人掛けのテーブル4つを備え、現在は石蔵カフェとして利用されている。

カフェの運営には、家族の会の世話人、サポーター(認知症サポーター養成講座を受講した人、地域のボランティアの人)が携わり、毎月2回、第2木曜日(11:30から15:00)と第3日曜日(13:00から16:00)にオープンして、コーヒーなどの飲みもの、ケーキ、地元産の野菜を中心にしたランチを提供している。カフェで提供するケーキは地域のボランティアの手作りである。また、地域の人々がボランティア活動で楽器の演奏を披露することもあるなど様々な協力にも支えられてカフェは運営されている。

カフェには、認知症の人やその家族だけでなく地域の人々が訪れ、毎回30名ほどの利用者がある。マスター役のAさんは、黒のエプロン姿で注文を聞き、コーヒーやケーキを運ぶ。認知症の利用者には、食器の片づけや皿洗いのなどの手伝いをしてもらっている。認知症の本人一人ひとりができる範囲内で役割を担っていることがこのカフェの特徴になっている。

利用者は、コーヒーやケーキを味わいながら、ゆっくりとした時間を過ごしている。認知症の方には落着きが見られ、家族にとっては、同じ立場の人たち同士、悩みを話し合ったり、情報を交換したりする場所になっている。

カフェの責任者で家族の会栃木県支部代表の金澤林子さんは、「Aさんはマスター役を務めることにより、自分の役割を認識して責任感を持たれるようになったと感じます。人と話をすることが楽しくなってきているようです」、「地域の方も認知症の人に対する見方が変わってきているようです」と認知症カフェの効果を話している。

大谷石蔵を改装した柔らかなたたずまいの石蔵カフェ
地元のボランティアグループが2~3月に1回不定期に演奏
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