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コラム2 「子育て・まちづくり支援プロデューサー」プロジェクト

これまで仕事一筋で生きてきた男性たちが定年を迎えると、ようやくできた自分の時間の使い方に悩む人も少なくない。

ここでは、定年を迎える男性を対象に地域の活動への参加を促す「子育て・まちづくり支援プロデューサー」プロジェクトを紹介する。

定年を迎える男性たちに、新たな生きがいやライフスタイルを提案する講座がある。NPO法人あい・ぽーとステーション(東京都港区南青山:代表理事 大日向雅美)が住友生命保険相互会社の助成によって運営する「子育て・まちづくり支援プロデューサー」プロジェクトである。長年、企業人・職業人として活躍してきた男性たちの持つ豊富な経験を、子育てを核とした新たな地域づくりに活かしてもらおうというものだ。

会社で仕事一筋に働いてきた男性にとって、定年後にそれまでなじみの薄かった地域の活動にいきなり参加するということは、戸惑うことが多い。どこに何があるのか、どのような人がいてどのような活動をしているのか、わからないことがたくさんあり、スムーズにいかない。そうした地域活動への壁をなくし、それまでのキャリアで培ってきたノウハウを活かしてもらおうと、同プロジェクトは「ベテラン企業人が現役時代の名刺で勝負!」という斬新なタイトルを掲げている。

子育て・まちづくり支援プロデューサー(以下、「支援プロデューサー」という。)になるためには、法人の開催する養成講座を履修する必要がある。1コマ90分の講義を20コマ、実習・現場体験等を約10時間、時間にして40時間ほどの講座である。講義は、子どもの発達に関することから地域が必要とする人材に関することまで多岐にわたり、各分野の第一線の有識者が講師を務める。実習・現場体験等では、実際に活動している地域の子育て支援者と共に活動したり、自治体の開催する講座に参加したりする。養成講座の最後には、各自治体の担当者を招き、自分たちの考える子育て・まちづくり支援についてプレゼンテーションする。

平成26年4月現在、第1期の養成講座認定者36名(平均年齢約63歳)が支援プロデューサーとして活動している。主な活動場所は、法人が子育て支援等で協働体制を築いている港区、千代田区、浦安市である。餅つきやお正月遊びなどの年中行事を手伝ったり、バザーなどを企画・運営したりと活動内容は多岐にわたっている。ときには、園庭にあるベンチなどの施設の補修を担うこともある。また、「現場に関わる以上は質を高めたい」との支援プロデューサーの声をもとに、さらなるステップアップ講座も法人が準備している。「現場で保育に関わる方たちが、より保育に専念できるよう、バックアップしていきたい」、「自分たちが先駆者として、前例を作っていきたい」と、地域の子育て支援のバックオフィス機能を担うべく、今後の活動について、支援プロデューサーは意欲を見せている。

このほか、特別支援学級や特別支援学校に在籍する児童を対象とした、学校休業期間(夏休み・冬休み・春休み)の日中の活動支援事業でのサポート活動「フレンズビレッジ」(千代田区)や、「子育てひろば」でのギター演奏とコラボレーションした親子向けの絵本の読み聞かせ(浦安市)、「あい・ぽーと」や「子ども家庭支援センター」等での毎月のお誕生会(港区)などを行っている。さらに3つの自治体で、女性たちが中心となっている子育て支援者への講座において、支援プロデューサーならではの知識や特技を活かした講師を務めている。

法人では、今後、第2期の養成講座認定者を新たに支援プロデューサーとして迎え、活動の場を広げる予定である。秋には第3期の養成講座の開講を予定しており、今年度末にはさらにメンバーの増加を見込んでいる。また、これまで自治体と協働して行ってきた活動に加え、幼稚園・小学校の一時保育の運営監督業務、学童期の児童生徒の支援活動やプログラム提供などを行うことを予定している。活動内容の多様化や自治体や企業との更なる協働を目指し、あらゆる活動に挑戦していく。

子どもたちと折り紙を楽しむ
正月の餅つき
獅子舞の披露
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