第1章 高齢化の状況

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第3節 一人暮らし高齢者に関する意識

コラム6 「新しい東北」の創造に向けた取組

東北地方は、震災前から、人口減少や高齢化等、現在の地域が抱える課題が顕著であった。このため、復興を単なる原状復帰にとどめるのではなく、これを契機に地域の課題を克服し、我が国や世界のモデルとなる「新しい東北」を創造することが期待されており、先駆的な取組を加速するための先導モデル事業等を実施している。  平成26年度先導モデル事業では、医療・介護、健康管理、交通・買い物弱者対策等様々な観点から、高齢社会対応の取組が進められている。

≪次世代型コミュニティ・サポートセンターのプロトタイプ開発≫

岩手県大槌町では、高齢化が進み単身高齢者の孤立や地域のつながりの弱まりなどが課題になる中、高齢者のクオリティ・オブ・ライフの向上を目的に、地域コミュニティの互助・共助による生活支援等も含めた「コミュニティ・サポート」のモデル事業が実施されている。高齢者が気軽に集まれるだけでなく、地元の高齢者等が支える側として、学びや健康、社交に繋がる様々なコンテンツ(地域交流会の開催、地域資源マップの作成等)を提供し、さらに高齢者自身が何か活動を行う際の支援を受けることのできる地域の新しい場所として「コミュニティ・サポートセンター」のプロトタイプを開発している。

次世代型コミュニティ・サポートセンターのプロトタイプ開発

≪被災者を最後のおひとりまで支える地域包括ケアの推進≫

宮城県石巻市では、24時間対応の在宅医療・看護・介護等を目指し、医療関係者・自治体・NPO等が協働し、多職種連携システムに加え、地域コミュニティ活動との連動も視野に入れた「次世代型地域包括ケア」(高齢者を主体に、被災者や障害者等も対象とする)の推進に向けた取組が進められている。市民(特に保健、医療、介護分野の関係者や地縁団体関係者)を対象に、地域包括ケアシステムの構築に向けた理解を深める研修会の実施や官民協働の地域協議会の設置のほか、仮設住宅から移転した後の地域コミュニティの育成を目指し、住民向けのボランティア活動等立ち上げ講座を開催するなど、専門職のみならず、市民も巻き込む方向で取組が進められている。

被災者を最後のおひとりまで支える地域包括ケアの推進

≪ICTを活用した無人販売所のプロジェクト≫

宮城県気仙沼市では、タブレット端末・セルフレジアプリを活用し、プリペイド決済方式で利用者自らが操作して日用品を購入できる、無人販売所システムを設置。操作画面を高齢者にもわかりやすいシンプルなものとし、買い物や移動が不便な方にとって利便性の高いサービスを展開している。商品の販売も配送も、地元のスーパーやタクシー事業者と協力して行い、地域経済の活性化を図る仕組みを目指している。

ICTを活用した無人販売所のプロジェクト

≪民間主導型オンデマンドバスによる高齢者移動自立支援事業≫

福島県いわき市では、これまで公的主体の運営が主であったオンデマンドバスを民間主導で運行する取組を始めている。オンデマンドバスの導入により集客を見込める地域の事業者がオンデマンドバスの運行費用を分担する全く新しい試みで、地域の商店街の有志や大型スーパーが中心となって検討を進めている。平成26年度は、スーパー、医療機関、商工会等が協力し、10月末より3か月間、次年度以降の本格運行を想定した実証運行を実施した。自宅と加盟店舗の間を無料で送迎してもらうことができ、交通手段が限られる高齢者の外出を促進することや、車内での高齢者の交流が活発化することが期待される。

民間主導型オンデマンドバスによる高齢者移動自立支援事業

≪保育所を活用した生活不活発病防止食事受け取りシステムの構築事業≫

仮設住宅における高齢者は、生活不活発病(廃用症候群)や、健康管理への不安、孤独等多くの問題を抱えている。岩手県、宮城県、福島県の一部の保育所において、こうした問題の解決に向けた取組として、仮設住宅に住む高齢者が保育所を訪問し、保育所で園児と一緒に管理栄養士が作った食事をとる食事受け取りシステムの構築事業が実施されている。外出の機会を確保するとともに、適切な食事管理と見守り、相談対応が行われ、生活不活発病の防止につながることが期待されている。

保育所を活用した生活不活発病防止食事受け取りシステムの構築事業
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