第1章 高齢化の状況(第1節 1)
第1節 高齢化の状況(1)
1 高齢化の現状と将来像
(1)高齢化率は28.1%
我が国の総人口は、平成30(2018)年10月1日現在、1億2,644万人となっている。
65歳以上人口は、3,558万人となり、総人口に占める割合(高齢化率)も28.1%となった。
65歳以上人口を男女別に見ると、男性は1,546万人、女性は2,012万人で、性比(女性人口100人に対する男性人口)は76.8であり、男性対女性の比は約3対4となっている。
また、65歳以上人口のうち、「65~74歳人口」は1,760万人(男性840万人、女性920万人、性比91.3)で総人口に占める割合は13.9%、「75歳以上人口」は1,798万人(男性706万人、女性1,092万人、性比64.6)で、総人口に占める割合は14.2%であり、65~74歳人口を初めて上回った(表1-1-1)。
単位:万人(人口)、%(構成比) | ||||
平成30年10月1日 | ||||
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総数 | 男 | 女 | ||
人口 (万人) |
総人口 | 12,644 | 6,153 (性比) 94.8 |
6,491 |
65歳以上人口 | 3,558 | 1,546 (性比) 76.8 |
2,012 | |
65~74歳人口 | 1,760 | 840 (性比) 91.3 |
920 | |
75歳以上人口 | 1,798 | 706 (性比) 64.6 |
1,092 | |
15~64歳人口 | 7,545 | 3,818 (性比) 102.4 |
3,727 | |
15歳未満人口 | 1,542 | 789 (性比) 104.9 |
752 | |
構成比 | 総人口 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
65歳以上人口(高齢化率) | 28.1 | 25.1 | 31.0 | |
65~74歳人口 | 13.9 | 13.7 | 14.2 | |
75歳以上人口 | 14.2 | 11.5 | 16.8 | |
15~64歳人口 | 59.7 | 62.1 | 57.4 | |
15歳未満人口 | 12.2 | 12.8 | 11.6 | |
資料:総務省「人口推計」平成30年10月1日(確定値) | ||||
(注)「性比」は、女性人口100人に対する男性人口 |
我が国の65歳以上人口は、昭和25(1950)年には総人口の5%に満たなかったが、昭和45(1970)年に7%を超え、さらに、平成6(1994)年には14%を超えた。高齢化率はその後も上昇を続け、平成30(2018)年10月1日現在、28.1%に達している。
また、15~64歳人口は、平成7(1995)年に8,716万人でピークを迎え、その後減少に転じ、平成30年には7,545万人と、総人口の59.7%となった。
(2)将来推計人口でみる令和47(2065)年の日本
次に、平成29(2017)年4月に国立社会保障・人口問題研究所が公表した「日本の将来推計人口」における出生中位・死亡中位推計結果(以下、本節においてはすべてこの仮定に基づく推計結果)を概観する。将来推計人口とは、全国の将来の出生、死亡及び国際人口移動について仮定を設け、これらに基づいて我が国の将来の人口規模並びに年齢構成等の人口構造の推移について推計したものである。
ア 9,000万人を割り込む総人口
我が国の総人口は、長期の人口減少過程に入っており、令和11(2029)年に人口1億2,000万人を下回った後も減少を続け、令和35(2053)年には1億人を割って9,924万人となり、令和47(2065)年には8,808万人になると推計されている(図1-1-2)。
イ 約2.6人に1人が65歳以上、約3.9人に1人が75歳以上
65歳以上人口は、「団塊の世代」が65歳以上となった平成27(2015)年に3,387万人となり、「団塊の世代」が75歳以上となる令和7(2025)年には3,677万人に達すると見込まれている。
その後も65歳以上人口は増加傾向が続き、令和24(2042)年に3,935万人でピークを迎え、その後は減少に転じると推計されている。
総人口が減少する中で65歳以上の者が増加することにより高齢化率は上昇を続け、令和18(2036)年に33.3%で3人に1人となる。令和24(2042)年以降は65歳以上人口が減少に転じても高齢化率は上昇を続け、令和47(2065)年には38.4%に達して、国民の約2.6人に1人が65歳以上の者となる社会が到来すると推計されている。総人口に占める75歳以上人口の割合は、令和47(2065)年には25.5%となり、約3.9人に1人が75歳以上の者となると推計されている。
コラム 「高齢者」とは
高齢者の用語は文脈や制度ごとに対象が異なり、一律の定義がない。高齢社会対策大綱(平成30年2月閣議決定)では、便宜上、一般通念上の「高齢者」を広く指す語として用いている。本白書においても、各種の統計や制度の定義に従う場合のほかは、一般通念上の「高齢者」を広く指す語として用いることとする。
なお、高齢者の定義と区分に関しては、日本老年学会・日本老年医学会「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ 報告書」(平成29年3月)において、近年の高齢者の心身の老化現象に関する種々のデータの経年的変化を検討した結果、特に65~74歳では心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めていることや、各種の意識調査で従来の65歳以上を高齢者とすることに否定的な意見が強くなっていることから、75歳以上を高齢者の新たな定義とすることが提案されている。
また、高齢社会対策大綱においても、「65歳以上を一律に「高齢者」と見る一般的な傾向は、現状に照らせばもはや現実的なものではなくなりつつある。」とされている。
65歳以上人口のうち、65~74歳人口は「団塊の世代」が高齢期に入った後に平成28(2016)年の1,768万人でピークを迎える。その後は、令和10(2028)年まで減少傾向となるが再び増加に転じ、令和23(2041)年の1,715万人に至った後、減少に転じると推計されている。
一方、75歳以上人口は、令和36(2054)年まで増加傾向が続くものと見込まれている1(図1-1-2)。
ウ 現役世代1.3人で1人の65歳以上の者を支える社会の到来
65歳以上人口と15~64歳人口の比率を見てみると、昭和25(1950)年には1人の65歳以上の者に対して12.1人の現役世代(15~64歳の者)がいたのに対して、平成27(2015)年には65歳以上の者1人に対して現役世代2.3人になっている。今後、高齢化率は上昇し、現役世代の割合は低下し、令和47(2065)年には、65歳以上の者1人に対して1.3人の現役世代という比率になる。
エ 年少人口、出生数とも現在の半分程度に、生産年齢人口は4,529万人に
出生数は減少を続け、令和47(2065)年には56万人になると推計されている。この減少により、年少人口(0~14歳)は令和38(2056)年に1,000万人を割り、令和47(2065)年には898万人と、現在の半分程度になると推計されている。
出生数の減少は、生産年齢人口にまで影響を及ぼし、令和11(2029)年に6,951万人と7,000万人を割り、令和47(2065)年には4,529万人となると推計されている。
一方、65歳以上人口の増大により死亡数は増加、死亡率(人口1,000人当たりの死亡数)は上昇を続け、令和47(2065)年には17.7になると推計されている(図1-1-3)。
オ 将来の平均寿命は男性84.95年、女性91.35年
我が国の平均寿命は、平成29(2017)年現在、男性81.09年、女性87.26年と、前年に比べて男性は0.11年、女性は0.13年上回った。今後、男女とも平均寿命は延びて、令和47(2065)年には、男性84.95年、女性91.35年となり、女性は90年を超えると見込まれている(図1-1-4)。