第1章 高齢化の状況(第3節 1-2)
第3節 <特集>高齢者の経済生活に関する意識(2)
2 就業の状況
(1)幅広い年齢層で仕事をしている割合が増加
全国の60歳以上の男女に現在の就業状況を聞いたところ、「収入のある仕事をしている」とする者が4割近く(37.3%)となっている。
性・年齢別に見ると、男性の60~69歳と女性の60~64歳は6割以上が仕事をしているが、男女とも年齢が上がるに従って仕事をしている割合は大きく下がる。
また、平成28年調査と比較すると、男女とも、ほぼ全ての年齢階級で収入のある仕事をしている割合が増えている(図1-3-8)。
未既婚別に見ると、結婚したことがない人(49.2%)、配偶者と離別した人(47.4%)で仕事をしている割合が高い。
同居世帯別に見ると、夫婦のみの世帯(37.9%)、二世代世帯(子と同居)(36.9%)の仕事をしている割合がやや高い。
健康状態別に見ると、健康状態が良くない人は、仕事をしている割合が低い。
1か月の収入額を見ると、収入額が多い人ほど、仕事をしている割合が高い(図1-3-9)。
(2)パート・アルバイトや自営業主等で働いている人が多い
現在収入のある仕事をしている人に、就業形態を聞いたところ、「パート・アルバイト」(34.3%)及び「自営業主・個人事業主・フリーランス(家族従業者を含む)」(33.0%)が多くなっている。
性・年齢別に見ると、各年齢階級で男性より女性で「パート・アルバイト」の働き方が多い。また、男女とも年齢が高いほど、「自営業主・個人事業主・フリーランス(家族従業者を含む)」の割合が高くなる傾向がある(図1-3-10)。
(3)仕事をする理由は年齢が上がるほど多様化
現在収入のある仕事をしている人に、仕事をしている理由を聞いたところ、「収入がほしいから」(45.4%)が最も多く、次いで「働くのは体によいから、老化を防ぐから」(23.5%)、「仕事そのものが面白いから、自分の知識・能力を生かせるから」(21.9%)の順となっている。
性・年齢別に見ると、「収入がほしいから」とする割合は、男性の60~64歳層で特に高いが、男女とも年齢が高くなるに従って就業の理由は多様化する傾向が見られる(図1-3-11)。
(4)今後仕事につきたいと思う人は少ない
現在収入のある仕事をしていない人に、今後収入を得られる仕事につきたいかを聞いたところ、「仕事につくつもりはない」とする割合が9割近く(87.0%)となっている。
性・年齢別に見ると、「ぜひ仕事につきたい」、「できれば仕事につきたい」とする人の割合は、男女とも年齢が高くなるほど下がる傾向が見られる。また、60~79歳の幅広い年齢層で、女性より男性の方が高くなっている(図1-3-12)。
「仕事につくつもりはない」と答えた人に、その理由を聞いたところ、「体力的に働くのはきついから」(31.8%)が最も多く、続いて「健康上の理由」(24.5%)、「仕事以外の趣味や社会活動に力を注ぎたいから」(9.9%)、「家族の介護や家事のため」(7.4%)の順となっている。
性・年齢別に見ると、男性の60~64歳層を除き、男女とも年齢が高いほど、「体力的に働くのはきついから」とする割合が高くなる傾向がある。
また、男性では各年齢階級で、「仕事以外の趣味や社会活動に力を注ぎたいから」とする割合が女性より高い。女性は各年齢階級で「家族の介護や家事のため」とする割合が男性より高い傾向が見られる(図1-3-13)。
(5)働いている60歳以上の人の9割近くが70歳以上まで働きたいと考えている
全国の60歳以上の男女に、何歳ごろまで収入を伴う仕事をしたいか(又はしたかったか)を聞いたところ、「65歳くらいまで」(25.6%)、「70歳くらいまで」(21.7%)、「働けるうちはいつまでも」(20.6%)の順となっている。
このうち収入のある仕事をしている人は、「働けるうちはいつまでも」(36.7%)が最も多く、次いで「70歳くらいまで」(23.4%)、「75歳くらいまで」(19.3%)、の順となっており、9割近く(87.0%)の人が70歳以上まで働きたいと考えている。
性・年齢別に見ると、「65歳くらいまで」と考える人の割合は男女とも60~64歳層で最も高くなっている(図1-3-14)。