第1章 高齢化の状況(第3節 5)
第3節 〈特集〉高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査(5)
5 まとめ
今回の調査においては、「日常生活に関する事項」と「社会活動等への参加に関する事項」の大きく2つの項目について調査を実施し、また、調査結果の分析に当たっては、高齢者の生きがい(喜びや楽しみ)に着目して分析を行った。
(1) 日常生活について
- 近所の人との付き合いについては、趣味をともにする、お茶や食事を一緒にするなどの付き合いをしている人は、いずれもこうした付き合いをしていない人に比べ、生きがいを「十分感じている」と回答した人の割合が高くなっている。また、親しくしている友人・仲間を、より多く持っている人ほど、生きがいを「十分感じている」と回答した人の割合が高くなっている。今後も、一層の高齢化の進行が見込まれる中、高齢者が生きがいを持って満ち足りた人生を送るためには、さらに、身近な地域での居場所や役割、友人・仲間とのつながりを持つことが重要となってくると考えられる。
- ふだんの外出については、外出する頻度がより多いと回答した人ほど、生きがいを「十分感じている」と回答した人の割合が高くなっている。高齢者が、更に年を重ねても外出を続けることができるよう、休憩所を増やしたり、道路の段差を解消したりするなど、高齢者が外出しやすい環境づくりも重要と考えられる。
- 情報機器の利用については、情報機器を使わない人に比べ、パソコンの電子メールによる家族等との連絡や、インターネットによるショッピング、SNSの利用などをしている人の方が、生きがいを「十分感じている」と回答している人の割合が高い。
また、インターネットを利用している高齢者が増加している。今後も、高齢者に係るデジタルデバイド解消に向けた支援が重要である。
(2) 社会活動等について
- 就業や社会活動については、収入の伴う仕事をしたり、社会活動に参加したりしている人は、生きがいを「十分感じている」と回答した人の割合が高くなっている。また、社会活動への参加により、生活に充実感を感じたり、新しい友人を得たりするきっかけともなっている。さらに、健康状態が良い人ほど生きがいを「十分感じている」と回答した人の割合が高くなっている。
このため、高齢者が、様々な就業や社会活動への参加の機会が得られるよう、環境整備を図るとともに、その基礎となる健康づくりを、高齢期、更には生涯にわたって推進していくことが重要である。