第1章 高齢化の状況(第3節 トピックス1)
第3節 〈特集〉高齢者の日常生活・地域社会への参加に関する調査(トピックス1)
グリーンスローモビリティの取組事例1 ~高齢者の社会参加による介護予防、高齢者の活躍する機会の創出~
事業の目的・概要
千葉県松戸市では、地域内の地形の高低差等の特性や公共交通の不足により、高齢者は日常的な買物、通院を含め社会参加するための移動に苦慮している。また、外出等の社会参加が減少するとフレイル(虚弱)が懸念され、高齢者はこれまで培ってきた知識・技術等があっても、それを活かす機会と場を失ってしまう。
そこで、高齢者の社会参加を促進するとともに、地域の活性化、カーボンニュートラルの実現、SDGsの達成に向け、公共交通の狭間に用いる地域内の小さな移動方法として、高齢者でも安心して利用しやすいグリーンスローモビリティ(低速の電気自動車を利用した地域による移動サービス)を活用することとした。
具体的な取組内容
令和元年及び3年、地域が考え地域が運営することを前提に、利用料無料で、無償ボランティアを運転手としたスキームによる実証調査を実施した。
運営者である自治会が中心となって、地域の企業等の協力も得て地域の巡回、買物、駅、グラウンドゴルフなどへの移動に活用されている。
事業効果
運営者、運転手、利用者の全てが地域の人々であることから、小さな移動手段という効果にとどまらず、地域のコミュニケーションツールとしても効果があった。特に、後期高齢者の買物などへの利用が多く、行動範囲が拡大するとともに、利用中にコミュニケーションが活発になった人が7割以上であったという。
そのほか、数年間外出を控えていた人がグリーンスローモビリティに乗って地域へと外出したり、イベントの際に、子供たちの送迎に利用したりするなど活用の場が拡大している。
今後の展開
本格実施に向け、新たに実証調査地域を拡大できるように自治会を始め関係機関間で調整が進められている。行政としても、安全性を確保するための走行ルートの選定など、地域で主体的に運営していくための様々な支援を行っていく必要があるとしている。
【グリーンスローモビリティの運行の様子】