第3章 令和8年度高齢社会対策(第2節 4)

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第2節 分野別の高齢社会対策(4)

4 生活環境

(1) 豊かで安定した住生活の確保

○ 「住生活基本計画(全国計画)」(令和8年3月閣議決定)に掲げた目標を達成するため、必要な施策を着実に推進する。

① 居住支援の充実

ア 高齢者の民間賃貸住宅への入居の円滑化

○ 民間賃貸住宅を活用したセーフティネット住宅の登録を推進するとともに、登録住宅の改修や入居者負担の軽減等への支援を行う。

○ 改正住宅セーフティネット法に基づき、居住サポート住宅の供給等を推進するとともに、認定住宅の改修や入居者負担の軽減等への支援を行う。

○ 高齢者世帯等の住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、地方公共団体の住宅・福祉部局が関係事業者、居住支援法人等と連携し設置する居住支援協議会の設立を促進し、住まいに関する相談窓口から入居前・入居中・退居時の支援まで、地域における総合的・包括的な居住支援体制整備の推進・支援を行う。

イ 高齢者のニーズに対応した公共賃貸住宅の供給

○ 公営住宅については、高齢者世帯向け公営住宅の供給を促進する。また、地域の実情を踏まえた地方公共団体の判断により、高齢者世帯の入居収入基準を一定額まで引き上げるとともに、入居者選考において優先的に取り扱うことを可能としている。

○ 都市再生機構賃貸住宅においては、高齢者同居世帯等に対する入居又は住宅変更における優遇措置を行う。

② 空き家対策の推進

○ 空家等活用促進区域制度や空家等管理活用支援法人制度の活用を促進するとともに、地方公共団体や民間事業者等による空き家の除却や活用等に係る取組に対して支援を行う。

③ 安全・安心で快適な住生活と循環型住宅市場の実現

ア 住宅と福祉の施策の連携強化

○ 都道府県及び市町村において、高齢者の居住の安定確保のための計画を策定することを推進していく。

○ サービス付き高齢者向け住宅の供給を促進するため、整備費に対する補助、税制の特例措置、住宅金融支援機構の融資による支援を行う。また、非接触でのサービス提供等を可能とするIoT技術の導入支援を行う。

イ 高齢者向けの先導的な住まいづくり等への支援

○ スマートウェルネス住宅等推進事業により、高齢者等の居住の安定確保・健康維持増進に係る先導的な住まいづくりの取組等に対して補助を行う。

ウ 高齢者の自立や介護に配慮した住宅の建設及び改造の促進

○ 「高齢期の健康で快適な暮らしのための住まいの改修ガイドライン」の普及を進める。

○ 住宅金融支援機構においては、高齢者自らが行う住宅のバリアフリー改修等について高齢者向け返済特例制度を適用した融資を実施する。また、フラット35Sにより、バリアフリー性能等に優れた住宅に係る金利引下げを行う。さらに、住宅融資保険事業や証券化支援事業の枠組みを活用し、民間金融機関が提供する住宅の建設、購入、改良等の資金に係るリバースモーゲージ型住宅ローンの普及を支援する。

エ 公共賃貸住宅

○ 公営住宅、改良住宅の整備においては、中高層住宅におけるエレベーター設置等の高齢者向けの設計・設備によって増加する工事費について助成を行う。都市再生機構賃貸住宅においても、建て替え事業による中高層住宅の新たな供給においてはエレベーター設置を標準とする。また、老朽化した公共賃貸住宅については、計画的な建て替え・改善を推進する。

オ 次世代へ継承可能な良質な住宅の供給促進
(ア)持家の計画的な取得・改修努力への援助等の推進

○ 良質な持家の取得・改修を促進するため、勤労者財産形成住宅貯蓄の普及促進等を図るとともに、住宅金融支援機構の証券化支援事業及び勤労者退職金共済機構等の勤労者財産形成持家融資を行う。

○ 住宅ローン減税等の税制上の措置を活用し、良質な住宅の取得を促進する。

(イ)高齢者の持家ニーズへの対応

○ 住宅金融支援機構において、親族居住用住宅を証券化支援事業の対象とするとともに、親子が債務を継承して返済する親子リレー返済を実施する。

(ウ)将来にわたり活用される良質なストックの形成

○ 「認定長期優良住宅」の普及促進を図る。

カ 循環型の住宅市場の実現
(ア)既存住宅流通・リフォーム市場の環境整備

○ 既存住宅ストックの質の向上及び流通促進に向けて、建物状況調査(インスペクション)の円滑な普及、安心して既存住宅を取得したりリフォーム工事を依頼したりすることができる市場環境の整備、瑕か疵し保険や住宅紛争処理制度の充実を図るとともに、良質な住宅ストックが適正に評価される市場の形成を促進する先導的な取組や、居住者の高齢化も想定して、長期にわたり良好な状態で使用される住宅の普及を促進する既存住宅の長寿命化に資するリフォームを支援する。

(イ)高齢者に適した住宅への住み替え支援

○ 高齢者等の所有する戸建て住宅等を、広い住宅を必要とする子育て世帯等へ賃貸することを円滑化する制度により、高齢者に適した住宅への住み替え等を促進するとともに、同制度を活用して住み替える先の住宅を取得する費用について、住宅金融支援機構の証券化支援事業における民間住宅ローンの買取要件の緩和により支援する。

○ 高齢者が住み替える先のサービス付き高齢者向け住宅に係る入居一時金及び住み替える先の住宅の建設・購入資金の確保に資するよう、住宅融資保険事業や証券化支援事業の枠組みを活用し、民間金融機関のリバースモーゲージ型住宅ローンの普及を支援する。

(2) 高齢社会に適したまちづくりの総合的推進

① 地域における移動手段の確保

○ 全国各地の「交通空白」の一つ一つの解消等に向けて、今後は、地方公共団体、交通事業者、ノウハウや技術を持つ民間企業等の関係者による連携体制の下で、地域の輸送資源のフル活用事例の創出など「交通空白」解消の取組の一層の加速、次期施策の指針となる「取組方針2026」の策定準備を行う。くわえて、共同化・協業化、地方公共団体の体制強化等を図るための新たな制度的枠組みの構築に向けて、令和7年6月より、交通政策審議会交通体系分科会地域公共交通部会を行い、同年12月に「とりまとめ」を行った。これを踏まえ、令和8年3月に、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の改正案を国会に提出した。

○ 自家用有償旅客運送については、その性格や役割(非営利性、公共交通の補完的役割等)を維持しつつ、広域での輸送ニーズ等に対応するための実施主体の拡大についても検討していく。

○ 自動運転を含めた新たなモビリティサービスの社会実装に向け、「モビリティ・ロードマップ2026」の取りまとめ、自動運転社会実装先行的事業化地域事業の実施などに取り組み、地域における移動手段の確保を推進する。

② 多世代に配慮したまちづくりの総合的推進

○ 令和7年12月にバリアフリー法に基づく基本方針を改正し、令和8年度以降の新たな整備目標を定め、国・地方公共団体・事業者等と連携してバリアフリー化を推進していくとともに、ユニバーサルデザインの街づくりや心のバリアフリーなど、ハード・ソフト両面からの取組を推進する。

○ バリアフリー法に基づく「移動等円滑化の促進に関する方針」及び「移動等円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本的な構想」の作成を市町村に働きかけるとともに、地域公共交通バリアフリー化調査事業及びバリアフリー環境整備促進事業を実施する。

○ 地方創生の観点から、全世代・全員活躍型「生涯活躍のまち」(日本版CCRC)の展開を進めるため、関係府省庁において議論を行った上で、令和8年度に「地域の特性に合わせた導入拡大のためのガイドライン(仮称)」を作成し、その内容に沿った取組を支援する。

○ 中山間地域等において、各種生活サービス機能が一定のエリアに集約され、集落生活圏内外をつなぐ交通ネットワークが確保された拠点である「小さな拠点」の形成拡大と質的向上を目指し、地域の自立共助の運営組織や全国の多様な関係者間の連携を図る等、総合的に支援する。

③ 農山漁村のコミュニティの維持

○ 生産性の向上に資するスマート農業技術の活用や農業支援サービス事業者の育成・活動の促進等を支援する。

○ 全国の農業者が農作業安全研修を受講するよう推進するとともに、農作業安全に関する指導者の育成及び活動の拡大を図る。

○ 農福連携の取組として、高齢者の生きがい及びリハビリテーションを目的とした農林水産物生産施設及び附帯施設の整備等を支援する。また、世代や障害の有無を越えた多様な者が農業体験を通じて社会参画を図るユニバーサル農園の普及・拡大等を推進する。

○ 農村RMOの形成を推進する等、高齢者が安心して快適に暮らせるよう、地域特性を踏まえた生活環境の整備を推進する。

○ 山地災害からの生命の安全の確保に向け、要配慮者利用施設に隣接する山地災害危険地区等に関する情報提供や治山施設の設置、森林整備等を計画的に実施する。

○ 「漁港漁場整備長期計画」を踏まえ、浮体式係船岸や岸壁、用地等への防暑・防雪施設等の軽労化施設等の整備を実施する。

○ 高齢者等を中心とする買物困難者の食品アクセスを確保するため、地域の関係者が連携して取り組む移動販売車の導入等の取組を推進する。

(3) 金融経済活動における支援

○ 高齢顧客への対応を含め、金融事業者等における顧客本位の業務運営を推進するため、顧客等の最善の利益が図られるよう、モニタリング等を行う。また、高齢者の金融取引に関する代理制度の活用促進など、顧客に寄り添った金融サービスの提供を金融機関等に対して促していく。

○ J-FLECを中心とした関係機関と連携し、国全体に金融経済教育を提供することにより、国民が自らのニーズやライフプランに合った適切な金融商品・サービスを選択できるよう、金融リテラシーの向上に取り組む。

○ 研究開発とSociety 5.0との橋渡しプログラム(BRIDGE)により、認知機能が低下しても生涯にわたって自立的な経済活動ができる包摂的な地域社会及び社会経済システムを構築するための研究開発を進める。

○ 認知機能が低下した人を金融機関から地域の福祉機関等の必要な支援につなげるため、個人情報保護法に定める例外に該当する場合において、本人の同意を要することなく個人データを共有し得る、社会福祉法に基づく重層的支援体制整備事業の支援会議の枠組みに、必要に応じて金融機関の参加を促進する取組を推進する。

○ 重層的支援体制整備事業の支援会議の開催に当たって、同会議から金融機関等の認知症が疑われる者の状況を把握していることが想定される機関に対して必要に応じて情報提供を求めるよう、市区町村に促す。

○ 消費者安全確保地域協議会について、地方消費者行政強化交付金の活用や見守り活動促進事業の実施などにより、地方公共団体における更なる協議会の設置や活動の活性化を支援する。その際、必要に応じて金融機関の参加を促進し、認知機能が低下した人を必要な支援につなぐ取組を推進する。

(4) 消費者被害の防止

○ 高齢者の周りの人々による見守りの強化の一環として、高齢者団体のほか障害者団体、行政機関等を構成員とする「全国消費者見守りネットワーク連絡協議会」を開催し、各団体における取組や消費者トラブルの現状等の情報提供等を行う。

○ 「消費者ホットライン188」を運営するとともに、同ホットラインについて消費者庁ウェブサイトへの掲載、SNSを活用した広報、啓発チラシやポスターの配布、各種会議等を通じた周知を行い、利用の促進を図る。

○ 国民生活センターでは「見守り新鮮情報」を月2回程度配信する。

(5) 認知機能の変化に応じた交通安全対策

○ 高齢者の交通安全対策は重点的に取り組むべき課題であり、令和8年3月に中央交通安全対策会議で決定した「第12次交通安全基本計画」(令和8年3月中央交通安全対策会議決定)(計画期間:令和8~12年度)等に基づき、各種施策を推進する。

○ 加齢に伴う身体機能の変化が行動に及ぼす影響等を理解し、自ら納得して安全な交通行動を実践することができるよう、シミュレーター等の教育資材を活用した交通安全教室を開催するほか、交通安全教育を受ける機会の少ない高齢者を対象とした家庭訪問による個別指導等を利用した交通安全教育を推進する。また、シルバーリーダー等を対象とした参加・体験・実践型の講習会を実施し、高齢者交通安全教育の継続的な推進役の養成に努める。

○ 横断歩道以外の場所や走行車両の直前直後等を横断することの危険性についての広報啓発等を強化する。

○ 「ゾーン30プラス」を設定し、警察と道路管理者が緊密に連携しながら、生活道路における人優先の安全・安心な通行空間の整備の更なる推進を図る。

○ 令和8年9月1日より、中央線等が設置されていない一般道路を自動車が走行する際の法定速度が60キロメートル毎時から30キロメートル毎時に引き下げられることを踏まえ、新たな法定速度について国民に向けた広報啓発を推進するなど、所要の対応を実施する。

○ 歩車分離式信号については、改定された「歩車分離式信号に関する指針」を踏まえ、その整備を更に推進する。

○ 歩行者、自転車及び自動車が適切に分離された自転車通行空間の整備を促進するなど、安全で快適な自転車利用環境の創出を推進する。

○ 踏切道の歩行者対策として、「踏切道安全通行カルテ」や地方踏切道改良協議会を通じてプロセスの「見える化」を行い、道路管理者と鉄道事業者が、地域の実情に応じた移動等円滑化対策等を検討・実施することにより、高齢者等の通行の安全対策を推進する。

○ 高齢運転者対策の充実・強化を図るため、運転免許証の更新時における運転技能検査、認知機能検査及び高齢者講習並びにサポートカー限定免許制度を効果的に運用することにより、高齢運転者による交通事故の防止を図っていく。

○ 高速道路の逆走対策については、2025年11月に各高速道路会社が策定した重点対策箇所の実施計画に基づき、対策を着実に推進する。また、道路管理設備を活用した逆走検知や車両側で逆走検知、通知できる新規技術について、実証実験を通じ実用化を目指す。

○ 車両の安全技術の観点からは、更なる高齢ドライバーの事故削減に向けて、ドライバー異常時対応システムなど、より高度な安全運転支援技術の開発・普及の促進に取り組んでいく。

○ 高齢者の横断歩行中の交通事故を減らすため、センサー付きスポットライトや二段階横断施設の設置等の交通安全対策を推進するなど、高齢者が安心して健康に暮らせる道路交通環境の整備を推進する。

(6) 情報アクセシビリティの確保

○ 「ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック」、「ユーザビリティガイドライン」及び「ウェブサイトガイドライン」等について、必要に応じて更新を行う。

○ 行政機関のウェブサイトが様々な人にとって使いやすい状態で提供されることを促すために公開している「デジタル庁デザインシステム」のベータ版を随時更新するほか、データ等の再利用性を高めるため、ウェブサイト化して公開した「デジタル庁デザインシステム」についても、随時更新を行う。

○ 民間企業等が開発するデジタル機器・サービスが情報アクセシビリティ基準(JIS X 8341シリーズ等)に適合しているかどうかを自己評価する「自己評価様式」の作成に関して、民間企業等による当該様式作成の普及展開策としてアクセシブルなICT機器・サービスの好事例を「情報アクセシビリティ好事例2026」として公表する。

○ 「みんなの公共サイト運用ガイドライン」について、ウェブアクセシビリティの基準であるJIS X 8341-3の改正を受けて、本ガイドラインの改訂を行う。

○ 高齢者等の社会参加を支援するため、文字表示電話サービス(ヨメテル)の普及を推進する。

○ 高齢者や障害のある人々にも使いやすい製品やサービスの必要性がその提供者及び利用者等に広く認識されている中で、アクセシビリティを考慮した標準化を促進するため、関連する国際標準化活動を推進する。

(7) 公共交通機関や建築物等のバリアフリー化

ア 公共交通機関等の移動空間のバリアフリー化
(ア)バリアフリー法に基づく公共交通機関のバリアフリー化の推進

○ 「公共交通移動等円滑化基準」、「公共交通機関の旅客施設に関する移動等円滑化整備ガイドライン」及び「公共交通機関の車両等に関する移動等円滑化整備ガイドライン」に基づく整備を進めるとともに、「公共交通機関の役務の提供に関する移動等円滑化整備ガイドライン」によるソフト面での取組を推進する。

○ 鉄道駅等の旅客施設のバリアフリー化、ノンステップバス、ユニバーサルデザインタクシーを含む福祉タクシーの導入等に対する支援措置を実施する。

○ 「第3次交通政策基本計画」においても、バリアフリー化等の推進を目標の一つとして掲げ、バリアフリー整備をより一層推進する。

(イ)歩行空間の形成

○ 移動の障壁を取り除き、全ての人が安全に安心して暮らせるよう、信号機、歩道等の交通安全施設等の整備を推進する。

○ 高齢歩行者等の安全な通行を確保するため、各種対策を実施する。

(ウ)道路交通環境の整備

○ 高齢者等が安心して自動車を運転し外出できるよう、生活道路における交通規制の見直し、付加車線の整備、道路照明の増設、道路標識・道路標示の高輝度化、信号灯器のLED化、「道の駅」における優先駐車スペース、高齢運転者等専用駐車区間の整備等の対策を実施する。

(エ)バリアフリーのためのソフト面の取組

○ 高齢者や障害者等が自律的に安心して移動できる包摂社会の実現に向け、ICTを活用した歩行空間における移動支援サービスの普及・高度化を推進する。

○ 多様な主体の参画による実証等を踏まえた歩行空間ネットワークデータ等の作成支援及び作業効率化のためのデータ整備プラットフォームの試行運用の開始に向けた検討を行うとともに、シンポジウムの開催等による継続的な広報活動を実施する。

○ 「心のバリアフリー」社会を実現し、ハード面のみならずソフト面も含む総合的なバリアフリー化を実現するため、「バリアフリー教室」の開催等、ソフト面での取組を推進する。

(オ)訪日外国人旅行者の受入環境整備

○ 訪日外国人旅行者の移動円滑化を図るため、旅客施設における段差の解消等の取組を支援する。

イ 建築物・公共施設等のバリアフリー化

○ 認定特定建築物等のうち一定のものの整備及び不特定多数の者が利用し、又は主として高齢者・障害者等が利用する既存建築物のバリアフリー改修工事に対して支援措置を講じることにより、高齢者・障害者等が円滑に移動等できる建築物の整備を促進する。

○ 窓口業務を行う官署が入居する官庁施設について、建築物移動等円滑化誘導基準に規定された整備水準の確保等により、高齢者を始め全ての人が、安全に、安心して、円滑かつ快適に利用できる施設を目指した整備を推進する。

○ 社会資本整備総合交付金等の活用によって、誰もが安心して利用できる都市公園の整備を推進するとともに、バリアフリー法に基づく基準等により、公園施設のバリアフリー化を推進する。また、河川等では、高齢者にとって憩いと交流の場となる良好な水辺空間の整備を推進する。

○ 訪日外国人旅行者の来訪が多い又は来訪の増加が見込まれる市町村において、観光スポット等における段差の解消を支援する。

(8) 高齢期の特性に配慮した防災・防犯対策

① 防災施策の推進

○ 病院、老人ホーム等の要配慮者利用施設を保全するため、土砂災害防止施設の整備を推進するとともに、激甚な水害・土砂災害を受けた場合の再度災害防止対策を実施する。

○ 病院等の医療施設において水害が生じた際の被害を軽減するため、浸水想定区域や津波災害警戒区域に所在する医療施設に対し、止水板等の設置による止水対策、自家発電機等の電気設備の高所移設及び排水ポンプの設置による浸水対策の実施を促進する。

○ 災害時等においても、在宅療養患者に対し、在宅医療の診療体制を維持し継続的な医療を提供することが求められるため、在宅医療提供機関におけるBCP策定支援研修を実施する。

○ 浸水想定区域内又は土砂災害警戒区域内に位置し、市町村地域防災計画に名称及び所在地を定められた要配慮者利用施設に対して、避難確保計画の作成及び計画に基づく訓練の実施を促進する。

○ 施設の避難確保計画や訓練結果に関して市町村長から要配慮者利用施設の所有者又は管理者に対して助言・勧告を行うことができる制度が適切に運用できるよう、市町村職員を対象とした研修を実施するとともに、施設職員向けの動画やリーフレットを活用した制度の周知を行う。

○ 土砂災害特別警戒区域における要配慮者利用施設の開発行為の許可制等を通じて高齢者等の安全が確保されるよう、土砂災害防止法に基づき区域指定の促進を図る。

○ 春・秋の全国火災予防運動において、高齢者等の要配慮者の把握や安全対策に重点を置いた死者発生防止対策を図るとともに、住宅用火災警報器、防炎品、住宅用消火器及び感震ブレーカーの普及促進等、総合的な住宅防火対策を推進する。また、「老人の日・敬老の日に『火の用心』の贈り物」をキャッチフレーズとする「住宅防火・防災キャンペーン」を実施し、高齢者等に対して住宅用火災警報器等の普及促進を図る。

○ 災害発生時若しくは災害が発生するおそれがある場合又は事故発生時に高齢者に対して適切に情報を伝達できるよう、民間事業者、消防機関、都道府県警察等の協力を得つつ、高齢期の特性にも配慮した多様な情報伝達手段の確保のための体制や環境の整備を促進する。また、災害情報を迅速かつ確実に伝達するため、Jアラートとの連携を含め、防災行政無線による放送(音声)や緊急速報メールによる文字情報等の種々の方法を組み合わせて、災害情報伝達手段の多重化を推進する。

○ 災害時に自ら避難することが困難な高齢者などの避難行動要支援者への避難支援等については、市町村による避難行動要支援者名簿や個別避難計画の作成・更新、活用等の取組が促進されるよう、助言を行う。

○ 被災者のニーズに応じて、車椅子利用者も使用できる応急仮設住宅の確保が適切に図られるよう、災害救助法に基づく救助の実施主体に取組を促していく。

○ 災害時の避難生活における高齢者等要配慮者の生活環境を確保するため、地方公共団体に対し、トイレや食料、パーティション、簡易ベッド、入浴設備等の確保を促すとともに、福祉避難所の確保や一般避難所における要配慮者スペースの設置について、避難生活に関する取組指針やガイドライン等を通じて周知を行う。

○ 東日本大震災への対応については、復興の加速化を図るため、被災した高齢者施設等の復旧に係る施設整備について、関係地方公共団体との調整を行う。

○ 地域医療介護総合確保基金等を活用し、「地域包括ケア」の体制を整備するため、都道府県計画等に基づき、地域密着型サービス等、地域の実情に応じた介護サービス提供体制の整備を促進するための支援を行う。

○ 介護保険制度において、被災者を経済的に支援する観点から、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う帰還困難区域及び上位所得層を除く平成28年度以降に指定が解除された旧帰還困難区域等の住民について、介護保険の利用者負担や保険料の減免を行った保険者に対する財政支援を1年間継続する。

なお、当該財政支援については、令和5年度以降順次見直しを行っていくこととしている。

また、避難指示区域等の解除に伴い、福祉・介護サービスの提供体制を整えるため、介護施設等への就労希望者に対する就職準備金の貸付け、相双地域から福島県内外の介護福祉士養成施設等に入学する者への支援等や全国の介護施設等からの応援職員の確保に対する支援を行うとともに、介護施設等の運営に対する支援を行う。

○ 高齢者世帯の耐震改修を促進するため、住宅金融支援機構における住宅融資保険事業の枠組みを活用し、リバースモーゲージ型住宅ローンにより提供される耐震改修への融資について、利子補給を実施する。

② 犯罪、悪質商法、人権侵害等からの保護

ア 犯罪からの保護

○ 高齢者が犯罪や事故に遭わないよう、交番、駐在所の警察官を中心に、巡回連絡等を通じて高齢者宅を訪問し、高齢者が被害に遭いやすい犯罪の手口の周知及び被害防止対策についての啓発を行うとともに、必要に応じて関係機関や親族への連絡を行う。また、認知症等によって行方不明になる高齢者を発見、保護するための仕組みづくりを関係機関等と協力して推進する。

○ 高齢者に大きな被害が生じている特殊詐欺については、犯罪対策閣僚会議において令和7年4月に決定された「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」に基づき、関係府省庁や事業者と連携し、各種対策を強力に推進する。

○ 特殊詐欺のうち、SNS型投資詐欺及びSNS型ロマンス詐欺において、SNSやマッチングアプリが犯行ツールとして数多く利用されている実態を踏まえ、SNS事業者及びマッチングアプリ事業者に対し、詐欺被害のおそれがある利用者への個別の注意喚起など詐欺被害防止に資する対策の更なる実施を働きかける。

○ 法人口座を含む不正な口座情報について、警察と預金取扱金融機関における迅速な情報共有に係る連携体制の構築を推進する。

○ 悪質商法の中には、住宅リフォーム工事等の点検商法等による高齢者を狙った事件も発生していることから、悪質商法の取締りの推進に加え、所管府省庁を始めとする関係機関と情報共有及び連携を強化するとともに、悪質商法の被害防止に関する広報啓発活動及び悪質商法に関する相談活動を行う。

○ 国際電話番号を悪用した特殊詐欺の増加に伴う国際電話番号からの発着信をブロック等できる取組を「みんなでとめよう!!国際電話詐欺#みんとめ」と呼称して希望者に対して国際電話番号の着信を受けないための対策を促進しているところ、関係府省庁や事業者等と連携した被害発生状況に応じた広報啓発等の被害防止対策を推進する。

○ 特殊詐欺に係る携帯電話対策として、各種媒体を活用するとともに、関係府省庁・団体等と連携し、国民運動として警察庁推奨アプリの利用を呼びかけることで、特殊詐欺の被害防止対策を推進する。

○ 特殊詐欺、利殖勧誘事犯及び特定商取引等事犯の犯行グループが使用していた名簿を警察が捜査の過程で押収した際は、この名簿をデータ化し、これを基に電話による注意喚起を行うなどの被害防止対策を実施する。

○ 特殊詐欺事件については、匿名・流動型犯罪グループの関与が認められることから、同グループの活動実態の変化に機動的に対応し、事件の背後にいる首謀者や指示役も含めた犯罪者グループ等の弱体化・壊滅のため、部門の壁を越えた効果的な取締りを推進する。

○ 地域住民で成年後見に携わろうとする者に対する養成研修や市民後見人等の適正な活動が行われるよう支援していく。

○ 万引きでの検挙人員全体に占める65歳以上の者の割合が高い水準にあることを踏まえ、様々な機会を活用し、高齢者による犯罪の防止に係る啓発を図る。

○ 被疑者・被告人のうち、高齢等により、自立した生活を営む上で、福祉サービス等を受けることが必要な者に対し、本人の意思やニーズを踏まえつつ、検察庁、保護観察所、地域生活定着支援センター等との連携により、釈放後速やかに適切な福祉サービス等につなげる取組について、各地域の実情に応じて、地方公共団体との協働等により、着実な実施を図る。

○ 受刑者等のうち、福祉的支援の必要が認められる高齢者等に対し、福祉的支援を受けることについての動機付けを含む円滑な社会復帰に向けた指導等、高齢等の特性に応じた処遇を行う。また、受刑者等のうち、適当な帰住先が確保されていない高齢者等が、矯正施設出所後に必要な福祉サービス等を円滑に利用できるようにするため、関係機関が連携して、矯正施設在所中から必要な調整を行い、出所後の福祉的支援につなげる特別調整の取組を推進する。

○ 刑務所出所者等のうち、犯罪をした高齢者等の更生保護施設における受入れやその特性に配慮しつつ社会生活に適応するための指導を行う特別処遇等の取組を推進する。

○ 「持続可能な保護司制度の確立に向けた検討会」報告書及び更生保護制度の充実を図るための保護司法等の一部を改正する法律を踏まえ、幅広い世代から多様な保護司の担い手を確保するための取組を進めるとともに、保護司の活動環境の整備を進めるなど、持続可能な保護司制度の確立に向けた方策を講じる。

イ 人権侵害からの保護

○ 高齢者虐待防止法に基づき、前年度の養介護施設従事者等による虐待及び養護者による虐待の状況について、必要な調査等を実施し、各都道府県・市町村における虐待の実態・対応状況の把握に努めるとともに、市町村等に高齢者虐待に関する通報や届出があった場合には、関係機関と連携して速やかに高齢者の安全確認や保護を行う等の必要な措置を講じ、高齢者虐待への早期対応が行われるよう、必要な支援を行っていく。

○ 法務局において、高齢者の人権問題に関する相談に応じるとともに、法務局に来庁することができない高齢者等からの相談について、老人福祉施設等に特設の人権相談所を設置するほか、電話、手紙、インターネット等を通じて受け付ける。人権相談等を通じて、家庭や高齢者施設等における虐待等、高齢者を被害者とする人権侵害の疑いのある事案を認知した場合には、人権侵犯事件として調査を行い、その結果を踏まえ、事案に応じた適切な措置を講じる等して、被害の救済及び人権尊重思想の普及高揚に努める。また、高齢者の人権問題に関する各種啓発活動を行う。

ウ 司法ソーシャルワークの実施

○ 法テラスにおいて、自ら法的支援を求めることが難しい高齢者・障害者等に対して、「司法ソーシャルワーク」を推進する。

○ 出張法律相談等のアウトリーチ活動を担う弁護士・司法書士を確保するなど、「司法ソーシャルワーク」の実施に必要な体制整備をより一層進めるとともに、福祉機関職員に対して業務説明会を行って特定援助対象者援助事業を始めとする法テラスの業務内容の周知を図るなどして、福祉機関との連携を更に強化する。

(9) 成年後見制度の利用促進

○ 認知症高齢者等の財産管理や契約に関し本人を支援する成年後見制度について周知する。成年後見制度の利用促進については、「第二期成年後見制度利用促進基本計画」に基づき、成年後見制度等の見直しに向けた検討、総合的な権利擁護支援策の充実、成年後見制度の運用改善等、権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりに積極的に取り組む。

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