平成27年度交通安全フォーラムの開催結果について

テーマ
誰もが安全、安心を実感できる交通社会の実現に向けて
~高齢者を交通事故から守るために~
日時
平成27年11月17日(火) 午後1時から午後4時30分まで
場所
静岡県男女共同参画センターあざれあ 大ホール
静岡県静岡市駿河区馬渕1丁目17番1号
主催
内閣府、静岡県、静岡市
後援
警察庁、文部科学省、厚生労働省、国土交通省
協賛
交通安全フォーラム推進協議会構成団体
一般社団法人 日本自動車工業会 一般財団法人 全日本交通安全協会
一般社団法人 日本自動車連盟 公益財団法人 三井住友海上福祉財団
公益財団法人 国際交通安全学会 一般財団法人 日本交通安全教育普及協会
  • 内閣府では、国の重要施策並びに開催都道府県が実施する交通安全対策上の諸問題を踏まえて、学識経験者等の専門家による研究発表、討議等を通じて、交通事故防止のための有効適切な提言を得て、公開討論会の場を加え、国民の交通安全意識の高揚を図ることを目的とした「交通安全フォーラム」を毎年各地で開催している。
  • 平成27年度は、11月17日、静岡県・静岡市との共催のもと、『誰もが安全、安心を実感できる交通社会の実現に向けて~高齢者を交通事故から守るために~』をテーマに、静岡県男女共同参画センターあざれあで開催した。
  • 今回で35回目となるフォーラム(シンポジウム)では、専門家から高齢者の事故の原因や交通事故を防ぐ様々な活動が提言され、高齢者の交通安全について社会全体での取組が必要であることが改めて確認された。

専門家からの提言内容

基調講演

松浦氏の写真
実践女子大学 人間社会学部教授
松浦 常夫 氏

『運転技能の正しい自己評価で補償運転の実践を』

 高齢運転者の事故が増加していますが、その主な原因は、老化による心身機能の低下によるものです。しかしながら、老いによる運転技能の低下を認識し、運転を自己調整する、つまり補償運転を実践することで事故の危険性を低下させることができます。
 補償運転には、1夜間や雨の日は運転しない、長距離運転は控えるといった運転制限、2運転前の体調に気を付ける、運転計画を立てるといった運転準備、3制限速度を守る、あせらないといった速度抑制、4運転中にわき見をしない、ラジオを聞かないといった注意集中、5狭い道では先に行かせるといった回避運転という大きく分けると5つの項目があります。
 高齢者のうち、女性の方や自分の運転に自信のない方は補償運転をよくしますが、自分では運転技能は高いと思っているけれども、客観的にみると運転技能は低いというギャップのある方は、補償運転をあまりしないという状況があります。
 そのため、自分の運転技能を正しく評価できているかどうか、それができない人をどう改善するかが重要なテーマになってきます。自ら気づかせる教育、あるいは運転状況を撮影して見せて気づかせる教育、また、私どもが作成した「高齢ドライバーのための安全運転ワークブック」を活用するなど、正しく自己評価してもらうためにどのような教育が効果的なのかという研究に取り組んでいます。
 高齢者の皆さんの補償運転は、まだまだ十分ではありませんので、ぜひ、自分の運転技能を正しく評価して、補償運転に取り組んで交通事故を防止しましょう。


(「基調講演」開催状況)

パネルディスカッション

[コーディネーター]

星氏の写真

安全教育研究所 所長
星 忠通 氏


[パネリスト]

浅茅氏の写真

女優
浅茅 陽子 氏

『歩行時は運転手視点の意識と自発光式反射材の着用を』

 車の運転中や、助手席に乗っていて、高齢歩行者の方が事故の危険をあまり自覚されていないのではないかと日々感じています。私は運転免許を持っているので運転者視点を踏まえて、自分が歩行者の立場のときには、危険な行動や道路横断をしないように気をつけています。免許をお持ちでない高齢者の方も多いと思いますが、もう少しだけ運転者を意識した歩行者行動ができれば事故の防止につながると思います。また、会場で実演もしましたが、夜間、夕方の交通事故を減らすために、自発光式反射材を身につけましょう。

出雲氏の写真

静岡県警察本部 交通部参事官兼交通企画課長
出雲 信久 氏

『ふじさん(2・2・3)運動で高齢者を交通事故から守ろう』

 近年、高齢者の交通事故が増加していることから、静岡県警では、「高齢者を守るふじさん(2・2・3)運動」を展開してします。高齢運転者対策として、体調不良時や夜間、悪天候時等には運転を控えていただく「段階的な運転自粛の推進」や3年以内に複数回事故を起こした高齢者の自宅訪問による個別指導を行っています。また、高齢歩行者対策として、特に夕暮れ、夜間時に事故が多いことから自発光式反射材の着用促進、交通関係機関の皆さんの協力で結成した「高齢者見守り隊」による認知症高齢者が徘徊した際の迅速な保護に取り組むなど、県民一体で高齢者の交通事故防止を推進しています。

川守田氏の写真

北里大学 医療衛生学部専任講師
川守田 拓志 氏

『視覚機能の低下は知識と速度抑制で事故を防ぐ』

 気づきにくいのですが、夕方と夜間、そして高齢になると視覚機能は確実に低下します。さらに自動車運転中にスピードが上がると視野が狭くなります。
 一方で、学校で受けた教育や仕事、社会生活の中で得た経験に基づいた知能は、高齢になっても上がっていきます。つまり、過去の経験を基に判断力や理解力で視覚機能の低下をカバーし、知識で事故を防ぐことができます。このほか、ヘッドライトの早期点灯や反射材の活用、さらに速度を落として運転することも事故防止に大きな効果があります。より慎重な行動を心掛け、思いやりを大切に人と人のつながりで交通事故を減らしていきましょう。

松浦氏の写真

実践女子大学 人間社会学部教授
松浦 常夫 氏

『交通ルールを守って老いに負けない老人力を』

 高齢歩行者の死亡事故は、道路横断中に多く発生していますが、その過半数は横断歩道のないところで起きています。人は近道反応という心理行動によって、横断歩道の近くでの横断や斜め横断をしてしまうことが多いのですが、さらに高齢者の場合、老化に伴う心身機能の低下により車を発見できないこと、速く歩けないことが事故に大きくかかわっています。そのため、斜め横断をしない、横断歩道を正しく渡るようにするとともに、老いに負けない工夫(老人力)を身に付けることが大切です。



(パネルディスカッション開催状況)

過去10回の開催状況(平成21年度までは、「交通安全シンポジウム」として開催)
平成17年度 宮崎県宮崎市 超高齢社会とクルマ社会との共存
平成18年度 秋田県秋田市 交通事故のない安全で安心な社会を目指して-高齢者の交通事故防止を考える-
平成19年度 栃木県宇都宮市 飲酒運転の根絶を目指して-家庭・職場・地域の果たす役割-
平成20年度 福井県福井市 長寿社会の交通安全を考える-高齢者の交通事故の減少を目指して-
平成21年度 広島県広島市 飲んだら、乗るまぁ、乗らすまぁ-飲酒運転の根絶は あなたから-
平成22年度 北海道札幌市 冬の交通事故の減少を目指して-積雪期における交通安全を考える-
平成23年度 熊本県熊本市 飲酒運転の根絶を目指して-運転は 飲んだらせんごつ させんごつ-
平成24年度 奈良県橿原市 効果的な反射材の普及を目指して-「大和路から キラリ広がる 反射材」-
平成25年度 香川県高松市 高齢者の交通事故抑止対策について~なしにせないかん。高齢者の交通事故~
平成26年度 岡山県岡山市 自転車の安全利用について~人と街にやさしい交通環境の創出~