中央交通安全対策会議専門委員会議(第1回)議事録

○福田参事官 皆様、お忙しいところ、どうもありがとうございます。

 それでは、ただいまから第1回の「中央交通安全対策会議専門委員会議」を開催させて いただきます。

 私は、内閣府で交通安全担当参事官をしております福田と申します。どうぞよろしくお 願いいたします。

 今回は第1回目の会議でございますので、正式な議事に入るまでの間、事務局のほうで 少し進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、初めに、越智内閣府大臣政務官より御挨拶を申し上げます。

○越智政務官 皆様、こんにちは。内閣府の大臣政務官で交通安全を担当いたします、衆 議院議員の越智隆雄でございます。

 本日は、中央交通安全対策会議の専門委員会議の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思って、こちらにお邪魔させていただきました。

 まずは皆様、委員に御就任いただきまして本当にありがとうございます。また、きょうは本当にお忙しい中とは思いますが、こうしてお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 それぞれ第一線で活躍されている皆様方にお時間をいただきまして、こうした会議を開かせていただけることに、本当に心から感謝申し上げます。

 御存じのとおり、現在、第9次の交通安全基本計画に基づいて、さまざまな交通安全対策に取り組んでいるところでございますけれども、計画期間が残すところ、あと1年となりました。再来年度、平成28年度からの第10次計画を検討するための本日が第1回目の会議でございます。委員の皆様には、これから1年余りの間、よろしくお願いさせていただきたいと思います。

 昨年の道路交通事故による死亡者数は4,113人、負傷者数は約71万人でございました。全国の関係機関、団体、ボランティアの皆様の御協力も得まして、年々減少しているところでありますけれども、いまだに多くの被害が発生しているというのも事実でございます。また、鉄道、海上、航空関係の事故もひとたび発生すれば重大な事故につながるおそれがございます。交通安全については、ハード、ソフトにわたってさまざまな対策がとられてまいりましたけれども、例えば道路交通であれば高齢化の進展、自転車利用の増加、交通事故の態様の変化などを踏まえて、なお一層の取り組みが必要であると考えております。

 道路交通だけではなくて、鉄道、海上、航空も含めた総合的な交通安全の大綱として、第10次の交通安全基本計画を策定してまいりたいと考えておりますので、交通安全に高い御見識をお持ちの先生方、委員の皆様には、幅広い観点からの忌憚のない御意見を賜りますように心からお願いを申し上げます。

 やはり交通安全の状況、交通の状況というのは年々変化してきているわけであります。その変化に合わせて適切な御議論をいただきまして、そして、立派な計画案をつくっていただきますように心からお願いさせていただきます。

 本会議は、大変大切なのでございますが、大変恐縮ながら公務の都合で中座をさせていただきますけれども、どうか御熱心な御議論をいただきますように心からお願い申し上げまして、担当の政務官としての御挨拶とさせていただきます。

 皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

○福田参事官 それでは、越智政務官は公務のため、ここで退席をさせていただきます。

 (越智政務官退室)

○福田参事官 では、続きまして、議事に入らせていただく前に、委員の方々並びに本日出席の関係省庁、事務局の紹介をさせていただきます。

 初めに、資料確認の前ではございますが、お手元の資料1というところに名簿がございますので、ごらんいただきたいと存じます。

 それでは、まず大久保委員のほうから御紹介させていただきたいと思います。 公益社団法人被害者支援都民センター理事の大久保委員でございます。
 東京大学大学院工学系研究科名誉教授の河内委員でございます。
 自動車ジャーナリストの川端委員でございます。
 埼玉大学大学院理工学研究科教授の久保田委員でございます。
 弁護士の古笛委員でございます。
 香川県交通安全母の会理事の地藤委員でございます。
 新潟県聖籠町専門交通安全指導員の新保委員でございます。
 武蔵野大学人間科学部教授の藤森委員でございます。
 千葉工業大学工学部建築都市環境学科教授の赤羽委員でございます。
 南多摩病院院長の益子委員でございます。
 宇都宮大学基盤教育センター非常勤講師の松岡委員でございます。
 地球の友・金沢の三国委員でございます。
 エッセイスト、元国際ラリーストの三好委員でございます。
 早稲田大学理工学術院社会環境工学科教授の森本委員でございます。
 帝塚山大学副学長、心理学部教授の蓮花委員でございます。
 渡邉委員はしばらく遅れて御到着と伺っております。
 また、本日は、小浦委員、小関委員、水野委員、山内委員の4名の方が御欠席になって おります。
 続きまして、関係省庁側の出席者の紹介をさせていただきます。
 まず、初めに、内閣府大臣官房審議官の安田でございます。
 続きまして、国土交通省側、運輸安全委員会事務局総務課の日向企画調査官でございま す。
 同じく航空局安全部安全企画課の松本課長でございます。
 同じく海事局安全政策課安全管理室の黒田室長でございます。
 自動車局技術政策課技術企画室の久保田室長でございます。
 自動車局安全政策課の杉﨑事故防止対策推進官でございます。
 鉄道局安全監理官室の村田安全監理官でございます。
 道路局環境安全課道路交通安全対策室の阿部室長でございます。
 道路局道路交通管理課の菊地課長でございます。
 総合政策局総務課交通安全対策室の髙野室長でございます。
 警察庁のほうから、交通局交通企画課の早川課長でございます。
 同じく交通局交通規制課の中村理事官でございます。
 文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教育課の髙井課長補佐でございます。
 消防庁救急企画室の上條課長補佐でございます。
 厚生労働省医政局地域医療計画課の辻課長補佐でございます。

○厚生労働省(酒井専門官) 本日かわりまして酒井でございます。どうぞよろしくお願 いいたします。

○福田参事官 以上でございます。

 続きまして、お手元にお配りさせていただきました資料の確認をさせていただきたいと 思います。

 まず、資料1は今ごらんいただきました専門委員の名簿でございます。

 資料2として「交通安全基本計画について」と題したもの。

 資料3といたしまして「中央交通安全対策会議専門委員会議について」と題したもの。

 資料4が1と2に分かれておりますが、4-1といたしまして、第9次交通安全基本計画に関する評価書(案)(概要)、そして4-2のほうが本編でございます。非常に大部 なものでございます。

 資料5といたしまして「道路交通事故発生状況」。

 資料6といたしまして「第10次交通安全基本計画作成のための主な議論事項試案」とい うことになっております。

 もし御不足等ございましたら、事務局のほうにお申しつけいただくようにお願いいたし ます。よろしいでしょうか。

 それでは、議事に入らせていただきたいと思いますが、事務局といたしましては、この 専門委員会議の座長をぜひ赤羽委員にお願いしたいと考えておりますが、よろしゅうござ いましょうか。

 (「異議なし」と声あり)

○福田参事官 ありがとうございます。

 それでは、これ以後の議事を赤羽座長にお願いいたします。

○赤羽座長 皆さん、こんばんは。御異論が出なくてほっとしております。

 道路交通の分野でいきますと、高齢者の交通事故による事故死者数が近年下げ止まり傾向になっているということがはっきりしてきました。これから高齢者の絶対数も、全体に対する比率も、それから運転免許の保有率もますます高まっていきますので、仕切り直しをするぐらいの覚悟で臨む必要があると考えております。

 一方で、このように数的に突出した類型の事故に限定することなく、事故や被害を減らせるものなら減らすという目配りも引き続き必要だと考えております。よい知恵が合わせられますよう、皆さんの御協力をよろしくお願いします。

 それでは、本日の議題に入る前に、事務局より内閣府等の業務の見直しについて御説明があるとのことですので、よろしくお願いいたします。

○原総務課長 内閣府の大臣官房総務課長をしております原でございます。この案件につ きまして御説明をさせていただきます。

 1月27日に閣議決定をされました「内閣官房及び内閣府の業務の見直しについて」におきまして、内閣府が現在所管をする交通安全対策に関する事務について、中央交通安全対策会議及びその事務並びに内閣総理大臣による調整機能(勧告を含む。)を内閣府本府に維持した上で、基本計画の案の作成及び推進に関する事務を国家公安委員会及び国土交通省に移管することとされたことにつきまして御説明を申し上げます。

 今回の閣議決定は、平成13年の中央省庁等再編以来、府省横断的な政策課題が増加をし、その多くが内閣官房、内閣府に集中してきている中で、先般取りまとめられました与党の提言を踏まえ、内閣官房、内閣府が、内閣が取り組もうとする政策課題により機動的に対応し、重要政策に関する司令塔機能などの役割に専念をできるようにするために、政策の基本的な方向性が定まってきた課題については、相対的に豊富なリソースや現場などを持つ各省に担っていただくということで、政府全体としてより強力かつきめ細かく政策を推進することとするというものでございます。

 交通安全対策につきましては、長年の地道な取り組みの結果、交通事故死者数は大きく減少しているものの、交通事故のない社会を目指してさらなる取り組みが推進されている中で、中央交通安全対策会議を中心として、内閣総理大臣が勧告権など最終的な調整機能を有する取り組み体制を維持しつつ、道路交通を中心に現場のノウハウを豊富に持ちつつ、施策を推進している警察庁と、道路交通、海上交通、航空交通、鉄道交通などにわたって現場のノウハウを豊富に持ちつつ施策を推進している国土交通省が、それぞれ基本計画の案の作成や推進事務等を担うことにより、政府一体として交通安全行政に取り組む体制の維持強化を図るものでございます。

 現在、内閣官房が中心となって関連法案を今通常国会に提出すべく準備を進めておりますが、内閣府といたしましても閣議決定を踏まえ、28年4月に予定をされている国家公安委員会及び国土交通省への業務の移管が円滑に行われますよう、必要な対応を行ってまいりたいと考えておりますので、御理解賜りますようにお願いをいたします。

○赤羽座長 ありがとうございました。

 この件に関しまして、何か御質問等ございますでしょうか。御発言をお願いします。よろしいでしょうか。ありがとうございました。

 それでは、本日の議題に移りたいと思います。議題は、お手元の議事次第のとおりとなっておりますが、今回は第1回ということでございますので、議事(1)中央交通安全対 策会議専門委員会議の進め方につきまして、事務局より説明をお願いいたします。

○福田参事官 それでは、資料2及び3によりまして御説明をさせていただきます。

 まずは資料2をごらんくださいませ。「交通安全基本計画について」と書いてございます。交通安全基本計画は、交通安全対策基本法の中で策定をすることが定められておりまして、最終的には内閣総理大臣を会長とする中央交通安全対策会議、こちらで決定するという運びになっております。

 昭和45年に法律ができておりまして、46年から第1次の計画が策定されました。この後、現行の9次まで全て5カ年による計画がずっと続いてきているということでございまして、現行の9次計画は来年度、27年度が最終年度ということになっております。ですので、28年度以降の第10次計画をこれから作成する必要があるということでございます。

 次に、資料3をごらんくださいませ。中央交通安全対策会議におきましては、専門の事項を調査していただくために、必要があるときには専門委員を置くことができるとされておりまして、第1次の計画策定時以来、計画の作成に当たりましては、専門委員の皆様にお集まりいただきましてこうして会議を開催し、皆様の御意見を伺いながら計画を作成しているところでございます。今般の10次計画策定に向けるに当たりましても、本日お集まりの皆様を初め、20名の専門委員の方に、3月1日付で、この任に当たっていただくということになった次第でございます。

 このページの2番と4番は次のスケジュール表を見ながら御説明させていただきますので、3番を先にお話しさせていただきます。

 会議の基本的な部分でございますけれども、まず1番目、この専門委員会議は従来からそうなのですけれども、非公開とさせていただいてはどうかということでございます。事柄の性格上、具体的な事故のお話などもあり得るということでございますので、活発な議論をいただくためにも非公開ということでいかがかということでございます。

 2つ目は、議事の透明化のために専門委員会議の終了後、速やかに議事要旨を作成いたしまして、資料とともに内閣府のホームページに掲載したいと考えております。

 また、詳細な議事録、御発言者のお名前も入った議事録につきましては、各専門委員に確認をしていただいた上で、これも後日、内閣府のホームページに掲載していきたいと考えております。

 次、1枚めくっていただきますと、今後のスケジュール表がございます。

 まず、第1回目、本日、3月16日でございます。

 2回目は少し近場になりますけれども、4月ごろに開催できればということで今スケジュール調整をさせていただいているところでございます。

 そして、6月あたりを目途に3回目を開きまして、秋口、4回目の段階では中間案ということで、最終的な計画に向かっての大まかな形をつくっていきたい。この中間案につきましては、公聴会ですとか、パブリック・コメントという手続を踏むことによりまして国民の皆様にも見ていただき、御意見をいただく。それをまた年明けに予定しております専門委員会議にも御提出させていただいて基本計画案というものを作成していきたいと考えております。

 最終的には年度末に中央交通安全対策会議を開催いたしまして、基本計画を決定してまいりたいという手順を考えているところでございます。

 以上です。

○赤羽座長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局からの説明について、御質問、御意見等がございましたら、御発言を お願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、続きまして、議事「(2)第9次交通安全基本計画の評価について」でありますが、議事「(3)第10次交通安全基本計画作成のための主な議論事項について」とも関連しますので、事務局より一括して説明していただきます。よろしくお願いします。

○福田参事官 それでは、お手元の資料4-1の概要版のほう、それから、引き続きで資料5、資料6について御説明をさせていただきます。時間の都合上、少し簡略化して御説 明させていただきますが、御容赦いただきたいと思います。

 まず、評価書の関係でございます。資料4-1をごらんくださいませ。

 まずは道路交通の部分でございます。左側の一番上、基本の理念といたしまして、人命尊重の理念に基づき、究極的には交通事故のない社会を目指すとございます。この交通事故のない社会を目指すといいますのは、各交通形態共通の理念として掲載しております。

 2番目、道路交通の目標でございますが、27年度までに死者数を3,000人以下、死傷者数を70万人以下にするという目標を立てております。

 対策につきましては、高齢者及び子供の安全確保など3つの視点と、以下の8つの柱に基づき対策を講じているところでございます。

 評価に当たりましては、右側の欄でございますけれども、3つの視点を分解いたしまして、6つの指標を設けました。また、7番目として、そのほかの包括的な安全確保ということで、全体で7つの施策群を設定し、評価をしたところでございます。

 1枚めくっていただきまして、2ページ目をごらんくださいませ。

 道路分野の9次計画の全体評価でございます。死者数、死傷者数はともに低減しているということで、全体としては効果があったのではないかということでございます。一方で、先ほど来のお話にもございますように、死者数の減少幅も縮小していること。また、世界一を目指すということになっておりますけれども、現状は世界の第8位という死者数でございますので、今後さらに交通安全対策を推進することが重要である。中でも高齢者、歩行者への対策が重要であろうということを書かせていただいております。

 ちなみに、左側の下でございますが、死者数の減少幅が縮小している背景といたしましては、何より高齢者人口が増加しているという点。一時期、死者数減少に大きく寄与していたシートベルト、エアバッグの装着率、飲酒運転の減少、こういったものが頭打ちになっているというところが挙げられているところでございます。

 3ページ目をごらんください。まずは高齢者の安全確保の部分でございます。

 65歳以上の高齢者人口が過去最高を打つ中で、高齢者の死者数、平成25年は少し上昇いたしますけれども、全体として、死者数・死傷者数ともに減少しております。こうした中で各施策が高齢者の安全確保に寄与していると考えております。

 一方で、保険のデータでございますが、高齢者が加害者となる分野につきましては、死亡は減少しておりますけれども、後遺障害、傷害が増加している点もありますので、こういう点も踏まえた施策が今後も必要であろうということでございます。

 4ページ目をごらんください。子供の安全確保でございます。

 15歳以下の交通事故の死者数・負傷者数はともに減少傾向にあるということで、こちらも全体として安全確保に施策が寄与していると考えております。保険のデータで見てみますと、傷害の関係は増加を示しているということでございますので、こういう点も踏まえた子供の安全というものを引き続き考えていく必要があるだろうということでございます。

 5ページ目をごらんください。歩行者の安全確保でございます。

 歩行者の死者数が非常に大きな数を占めているわけでございますが、傾向としては、死者数・負傷者数とも減少傾向にあるということで、こちらも対策が寄与しているということがうかがえるところでございます。

 一方で、歩行者と自転車の事故につきましては、しばらく増加をたどっておりましたが、24年、25年は前年より多少減少したところが見えております。歩行者、自転車の通行環境整備の取り組みというものも現在進行形のところもございます。一方で、交通ルールやマナーの教育ということが引き続き重要な点を有しているということを書かせていただいております。

 6ページ目をごらんください。自転車の安全確保でございます。こちらも基本は同様でございまして、死者数・負傷者数とも減少しているというところでございます。また、歩行者との関係につきましては、今ほど御説明したものと同様のことを記載しているところでございます。

 7ページ目は生活道路に関する部分でございます。

 生活道路の事故件数は減少傾向ではありますけれども、死亡については23年には少し下がったのですけれども、24、25年でまた少し増加いたしまして、減少を戻しているような形になっております。事故形態としては、出会い頭の事故が4割を超えているという。また、車両相互の事故が22年からマイナス16%になっておりますが、人対車両はマイナス12% という数字であるということをお示ししているところでございます。

 8ページ目をごらんください。幹線道路における安全確保でございます。

 こちらも死亡・死傷とも減少しているところでございます。交通事故全体の7割を幹線道路における事故というものが占めているということで、引き続き対策の推進が必要であろうということを書かせていただいています。

 9ページ目は、これら以外の包括的な安全確保ということでいろいろな施策が書いてあります。ごらんのとおり、シートベルトの正しい装着ですとか、車両の性能の向上に係る話、自動車運送事業者向けの対策の話、それから、右下ですが、ドクターヘリのような救助・救急活動の充実、こういったことを記載させていただいております。

 10ページ目は鉄道交通でございます。

 鉄道のほうは目標として乗客の死者数ゼロを目指す。運転事故全体の死者数減少を目指すという目標を立てております。

 視点といたしましては、重大な列車事故の未然防止など2点を挙げ、8つの柱のもとに施策を推進しております。

 右側の全体評価の部分ですけれども、運転事故につきましては長期的に減少傾向、乗客の死者数もゼロ。運転事故の死者数も長期的には減少傾向ということで、全体として計画が効果を示しているのではないかと考えております。

 11ページ目は運転事故の状況のデータをお示ししているところでございます。

 12ページに施策群の評価を書いてありますけれども、重大な列車事故の未然防止という施策群に対しまして乗客の死者数が18年度以降ゼロで推移していること。また、運転事故の件数、死傷者数が減少傾向にあるということで、重大な列車事故の未然防止に寄与していると言えるのではないかという評価をお示ししているところでございます。

 13ページは利用者等の関係する事故の防止ということでありますが、施策群の評価、その次のアウトカム指標については、施策群1と同じものを記載しておきまして、個別施策のところが関係の部分を記載しているという構造になっております。

 14ページをごらんください。ここからは踏切道の関係でございます。

 踏切道の目標は、平成27年までに踏切事故件数を22年と比較して約1割削減するという目標でございまして、踏切の状況等を勘案した効果的対策の推進という視点を持ちまして施策を推進しております。

 右側の全体評価でございますが、踏切につきましては、まだ対策を講ずべき踏切道が残されているという認識のもと、また、一方で、踏切対策が渋滞の軽減ですとか環境保全にも寄与するといったことも考慮しながら対策を推進したところでございまして、踏切事故件数、踏切事故における死傷者数とも減少傾向にあり、計画について効果があったと判断しております。ただ、一方で、目標達成には至っていないという状況も付記しているところでございます。

 15ページ目は踏切道関係の事故件数が載っております。

 計画のほうは暦年ベースでございますが、このデータは年度ベースでございますので、少しそこは数字がずれるところもございますが、傾向としてごらんいただければと思います。

 16ページは踏切道の施策評価のところでございます。

 直近25年の踏切事故件数が297件ということで、22年に比べて1割減少するという目標に対して0.6割の削減という状況であるということをお示ししているところでございます。

 17ページ目からは海上交通でございます。

 海上交通の目標は、我が国周辺で発生する海難隻数を8次計画期間中の平均値、 2,473隻と比較して、最終年には1割減少、2,220隻以下とするというのが1つの目標。もう一つは、東京湾や瀬戸内海などの「ふくそう海域」における社会的な影響が著しい大規模海難の発生を防止して、最終的にはゼロとするという2つの目標を掲げております。

 視点といたしましては、海難防止のための諸施策の継続的推進など2つを挙げております。

 右側の全体評価でございますが、海難隻数、また死者・行方不明者につきましては、長期的には確実に減少しておりまして、25年には2,285隻98人と計画期間中減少しておるところでございます。また、「ふくそう海域」における大規模海難は発生していないということからして、計画として効果があったと判断しているところでございます。

 18ページ目は船舶関係の事故の状況のデータをお示ししております。

 19ページ目は、海難防止のための諸施策について書いてありますが、評価として分かれておりますが、ふくそう海域、港内、外国船舶関係、商船関係、小型船舶関係、いずれにつきましても事故の減少等により安全確保に寄与しているところが見えるということが書いてあります。また、最後の部分でプレジャーボートの事故につきましては1割増加しており、さらなる取り組みが必要と書かせていただきました。

 20ページ目は、関連の個別の施策でございます。

 21ページ目は、もう一つの施策群として人命救助体制の充実・強化です。ライフジャケット着用の普及促進につきましても、海難情報の早期入手体制の強化、救助体制の強化等につきましてもそれぞれ効果を上げているといった記述をさせていただいているところでございます。

 22ページ目からは航空関係でございます。

 航空につきましては、目標が昭和61年日航機の事故以来の特定本邦航空運送事業者における乗客の死亡事故ゼロを継続するということが目標になっております。

 対策の視点といたしましては、航空輸送の安全に対する信頼回復など3項目が挙げられ ているところでございます。

 全体評価の部分でございますけれども、この航空分野につきましては、航空安全プログラムという、国際条約上策定することになっている国家安全計画でございますが、こちらが26年度から推進されているということで、今次の評価に当たりましても、こうしたプログラムの考え方に基づいて設定しているということを記載させていただいております。

 23ページ目に9次計画の全体評価が書いてありますが、61年以来継続している乗客の死亡事故ゼロについては、引き続き達成しているということでございます。また、航空管制空域における飛行回数が22年に比べて15%増加するなど、航空交通環境の着実な整備も図られているとしております。

 一方で、事故が発生するおそれがあるという段階の重大インシデント削減に向けては引き続き取り組む必要があるとしております。また、小型機や回転翼機の安全の一層の向上が必要であろうとしております。

 目標としては達成しておりますが、引き続き継続、また、さらなる対策を進める必要があるということを記載させていただいております。

 それ以後は、また航空関係の個別施策が書いてございますが、時間の関係で御説明は省略させていただきます。

 続きまして、資料5をごらんくださいませ。

 本日は、まず道路の交通事故に関しまして概略のデータを御紹介させていただきます。

 表紙をめくっていただいて1ページをごらんいただきますと、御案内の方もたくさんいらっしゃると思いますけれども、交通事故の発生状況の長期間のグラフでございます。赤の線が交通事故死者、24時間死者をあらわしているものでございます。

 また、緑の点線が負傷者をあらわしているグラフでございます。適宜御参照いただければと思います。

 1枚めくっていただきまして、2ページ目をごらんいただきますと、こちらは交通事故の発生状況について、主たる交通事故の原因者である第1当事者として見た場合のグラフ でございます。

 まず、実数ベースでまいりますと一番上のグラフ、若者の数が近年減ってまいりまして、一方、下のほうから高齢者がだんだんふえてきている様子が見てとれるところでございます。

 真ん中のグラフは、この同じデータを免許保有人口10万人当たりということでならしたものでございます。これによりますと、若者が引き続き高い位置を占めていて、高齢者のほうは下のほうでほかの年齢層と同じぐらいになっているというところでございます。

 3番目のグラフは、第1当事者の交通事故につきまして、法令違反はどういうものが多いかということを示したものでございまして、安全不確認など、うっかり、不注意に当たるようなものが多くを占めている状況がごらんいただけると思います。

 3ページ目は死者数のグラフでございまして、上のほうは、まずは年齢層別のグラフでございます。若者の数が平成に入りまして急激に下がる一方で、高齢者のほうの減少の割合というのはそれほど多くないというところが見てとれるところでございます。

 下のグラフは同じグラフを人口10万人当たりでならしたところでございまして、若者、高齢者の差が大分縮まりますけれども、なお高齢者が高い位置を占めているということでございます。

 4ページ目をごらんいただきますと、こちらは第1当事者の年齢階層別の死亡事故件数の推移でございます。死亡事故のほうになりますと、若者の分野がずっと高かったのですが、それが近年大分下がってまいりまして、相対的に高齢者が高い位置を占めているという状況でございます。ただ、下のグラフ、人口10万人ベースで割り戻してみますと、なお若者が一番上のグラフになりまして、高齢者はそれに次ぐ高さを占めているということでございます。

 5ページ目は死者数でございます。状態別で見ますと、長年自動車乗車中が一番多い分野でございましたけれども、平成20年ごろを境に歩行中死者が相対的に高い位置を占めるようになってきているという状況でございます。

 下のグラフは高齢者の死者の状況で、従来より歩行中死者数が高く、現在はそれについて自動車乗車中となっているところでございます。

 6ページ目の⑤をごらんください。こちらは第1当事者法令違反別の死亡事故件数でございます。死亡事故のほうでまいりますと、長年最高速度違反が非常に大きなウエートを占めておりましたが、平成の初めごろから急激に下がってまいりまして、現在では脇見運転ですとか漫然運転といった注意義務違反に当たるようなものが相対的に高い位置を占めているというところでございます。

 7ページをごらんください。一番上は飲酒関係の事故のデータでございます。平成18年に福岡で飲酒による悲惨な交通事故が起こりました。その後の法改正などもありましたけれども、こういったことも反映しながら、平成20年に向けて大幅に死亡事故の件数が減ってまいりますが、その後は減少が緩やかになっているというところでございます。

 中段のグラフは昼夜の死亡事故の状況をお示ししております。近年は昼間と夜間の死亡者数はほぼ同じくらいということになっております。

 8ページ目をごらんください。こちらは歩行者や自転車乗用中の方が自宅からどのぐらいの距離で、交通事故でお亡くなりになっているかということをお示ししたものでございます。上の歩行者のグラフ、下の自転車のグラフ、どちらにつきましても65歳以上の方のほうが比較的近傍、500m以内で亡くなっている方が多いというところが見られるところで ございます。

 9ページ目は負傷者関係のグラフでございますが、類似いたしますので飛ばさせていただきまして、10ページ目をごらんください。こちらは自転車の関係の事故のグラフでございます。まず10ページ目は、自転車が第1当事者、主たる原因者になっているものの状況でございます。全体としては減少しております。一番多いのは乗用車との事故ということでございます。また、下のグラフのオレンジの線を見ていただきますと、自転車と歩行者、自転車が原因者である場合の自転車と歩行者の事故でございます。平成21年ごろまで少し上昇しておりましたけれども、その後は緩やかながら少し減少を示しているというところでございます。

 右側が、自転車が第2当事者、従たる関係者になっているものでございます。全体といたしますと、第1当事者側の事故が平成25年で1万9,000件余り、第2当事者側の事故が10万件余りということで、おおむね1対5ぐらいの比率になっているところでございます。

 12ページ目は、上段が車両保有台数、走行キロの推移、下段が年齢階層別の人口ということで、高齢化が進展していることをお示ししているグラフでございます。

13ページ目上段はシートベルトの着用率でございます。平成20年から後部座席のシートベルトの着用が義務化されたことも反映され、数値が上がっているところでございます。

 チャイルドシートの着用率、下段でございますが、緑の線が1歳未満の子供の着用率、一番下のオレンジの線が5歳のお子さんの着用率ということで、お子さんの年齢が上がる にしたがって着用率が下がっているという状況が見てとれるところでございます。

 14ページ目は海外との比較でございます。ごらんのとおり、現在、日本は4.1ということで8番目に位置しているところでございます。平成30年までに2,500人という目標を仮に達成した場合には2.4ということで世界一安全な状況になるということを示している。

 また、下のグラフをごらんいただくように、各国も安全対策を進めておりますので、徐々に死亡者が減ってきているというところもありますので、こういった状況も踏まえる必要があるということでございます。

 最後に、資料の6でございます。こちらは議論事項試案とさせていただいておりますけれども、表紙にも書かせていただきました。こちらはあくまでも議論のたたき台として御用意をさせていただいたものでございますので、委員の皆様には、必ずしもこれにとらわれることなく自由に御議論をいただきたいと思っているところでございます。

 2枚ほどめくっていただきますと、本文1ページが出てまいります。

 まず、全体構成でございます。9次計画のときには、全体的な基本理念、そして、各分野の目標、その目標に向けた対策、大きくこの3つの構成をとった流れで全体がつくられておりました。今次の10次計画におきましても、基本の構成はこのような考え方でよろしいのではないかというところでございます。

 2番目の計画期間でございますけれども、冒頭お話ししましたように、この基本計画は第1次以来、全て5カ年ごとに策定しているところでございます。一方で、長期の政府目標というものが10年間で2,500人、これが平成30年末という目標を設定しておるところでございますので、少しタイミングが合わないところがあるのですけれども、こちらは引き続き10次計画も5カ年、28年から32年までということでいかがでしょうかというところでございます。

 3番目、計画の基本理念につきましては、施策の内容などいろいろな内容が今入っているように見受けられるところでございますが「交通事故のない社会を目指す」「人優先」ですとか、交通社会の三要素といった基本的なところを中心に少し整理したらいかがというところでございます。

 2ページ目からが道路交通についての記述でございます。

 まず、総論の目標値のところでございますが、政府目標は平成30年までに2,500人である。世界一安全な道路交通を実現する。こういう目標はございますので、これを9次同様に記述する一方で、3,000人という9次の目標に対して、直近26年は4,113人という状況がある。また、死者数が減りにくいという状況があるといったことですとか、また、世界一安全な道路交通を実現するということをどうしていくのか。また、平成32年という5カ年の最終年はオリンピック・パラリンピックの年でもある。こういったことも踏まえながら、いろいろ御検討いただいて決定してはどうかということでございます。

 また、8次計画からは、死者数のみならず死傷者数の目標も設定しておりまして、こちらも引き続き設定してはいかがかということでございます。

 また、諸外国と比較した場合の死者数の構成率が高い歩行者、自転車についても目標を定めることについて検討してはいかがかということで、9次計画でもこういったものについては一部触れているところでございます。

 2番目、今後の視点でございますけれども、現在9次計画では3本の視点が挙がっておりますが、10次計画につきましても、高齢者のような交通弱者の安全確保ですとか、非常に死亡者数が多い歩行者のような分野についての死亡事故の減少ですとか、そういった点を踏まえた視点としてはいかがかということでございます。また、先ほどごらんいただいたように、運転者の不注意に起因する事故というのが相対的に多くなってきているという状況も踏まえまして、交通事故が起きにくい環境づくりという視点を入れてはいかがかということでございまして、内容についてはまたこれから御説明いたします。

 3ページ目、高齢者及び子供の安全確保と題しておりますが、こうした分野の関連といたしましては、歩道や生活道路の対策、またバリアフリー化、生活に密着した交通安全活動の充実。また、高齢者を支える福祉部門において取り組みを推進していくべきではないか。自動車運転をする高齢者の分野につきましては、高齢運転者が加害者として事故を起こさないような対策が必要ではないかということを書かせていただきました。

 また、子供の分野につきましては、引き続き通学路において歩行空間を確保していく。また、地域の情勢に応じた交通安全教育を推進する必要があるのではないかということを書かせていただきました。

 4ページ目上段が歩行者、自転車の安全確保でございます。

 こちらにつきましては、通学路、生活道路、市街地の幹線道路等におきまして歩行空間の確保を積極的に進めるという。また、自転車につきましては、被害者となる場合もいまだ多いのですけれども、一方で、加害者となる事故も少なからず発生しているという中で、それぞれの視点に立った対策が必要であろう。また、そういう中で自転車につきましては、通行空間の確保と交通安全教育の充実、こういった両者が必要ではないかということを書かせていただきました。

 3点目が、交通事故の起きにくい環境づくりでございますが、少し前までの悪質・危険性の高いスピード違反ですとか、飲酒運転ですとか、こういった対策、現在でもまだ残っておりますので、引き続き対策は必要ではございますけれども、相対的に安全運転義務違反のようなものの件数が多くなっているという現状を踏まえまして、人間、車両、交通環境の三要素にわたって交通事故が起きにくい環境づくり、こうしたものを推進していく必要があるのではないかということでございまして、運転者などが的確な判断、予測、行動がとれるための対策、また、医療機関の必要に応じた連携といった部分が①。

 ②としては、ITS(高度道路交通システム)等を利用したものですとか、衝突防止性能の 向上を挙げさせていただきました。

 3番目として、生活道路や幹線道路といった道路特性に応じた対策。特に生活道路については、自動車の速度抑制、また生活道路への流入防止。幹線道路については事故ゼロプランのような危険箇所対策が大事ではないかということを記載しております。

 5ページ目からは、道路の各論でございます。まず、(1)生活道路の関係ですが、今も少しお話しさせていただきましたが、車両の速度を抑制するためのハンプや狭さく、物理的な対策を推進していく。また、無電柱化も含めたハードの対策。一方で、ソフトの対策も組み合わせた面的な対策、「ゾーン30」などを一層推進していくべきではないかということを書かせていただきました。

 (2)は幹線道路でございます。先ほど御紹介した事故ゼロプランなどのほか、ビッグデータを活用した危険箇所の改善などを推進していくべきではないかということでございます。

 (3)が高速道路の活用促進と生活道路との機能分化ということで、高速道路のパフォーマンスを向上させ、交通を転換させていくことによりまして、最終的に生活道路への通過交通の流入の低減、道路空間の再配分といった環境改善を進めるべきではないかということでございます。

 6ページ目、高齢ドライバーにも見やすい道路標識、(5)としまして歩行空間のバリ アフリー化、(6)としまして、自転車利用環境の整備。これは通行空間と駐輪場と両方 書かせていただいています。

 (7)交通管理の適正化というところでは、信号制御のような交通管理。もう一つは環状交差点につきましていろいろ効果が見込まれるということで、適切な箇所への導入を推進していくべきではないかということを書かせていただきました。

 (8)は、ITS(高度道路交通システム)の整備が必要ではないかということ、道路交通管理の高度化などを記載いたしました。

 (9)は、高齢者の皆様にとって免許返上などをして生活上支障が出ても困るので、生活維持のための公共交通機関の充実も大事ではないかという点でございます。

 (10)は、災害に備えた道路交通環境の整備を推進すべきではないかということでございます。

 「2番 交通安全思想の普及徹底」でございます。

 (1)といたしまして、まず交通安全につきましては、段階的かつ体系的な教育が大事ではないか。また、中核となって役割を果たすものを明確にすべきということで、未成年者であれば、家庭、学校、地域が連携、協力していく。中でも保護者の役割というのは大事ではないかということを記載しております。成人、高齢者につきましてもそれぞれ関係者が協力して行うべきではないかということを書かせていただきました。

 8ページをごらんください。交通安全教育効果の一層の向上ということで、指導者の育成、地域の人材の活用、また、参加・体験・実践型の交通安全教育というのが有効であろうということを書かせていただいております。

 (3)シートベルト、チャイルドシートの正しい着用の推進ということ。

 (4)飲酒運転の根絶。

 (5)は安全運転の徹底でございますが、安全運転義務違反が相対的に大きくなっている中で、的確な予測・判断・行動がとれるための交通安全教育を検討していくべきではないかということでございます。

 (6)歩行者への反射材の活用の促進。

 9ページにまいりまして、(7)自転車利用でございます。交通ルールを守っていただくために、加害者となり得るということも踏まえて安全教育は大事ではないかということでございます。

 「3 安全運転の確保」でございまして、(1)運転者教育の充実。高齢者講習を始めとする高齢運転者対策のさらなる充実・強化。また、運転免許の自主返納といったことを拡充していく必要があるのではないか。

 また、40代、50代の運転者による自動二輪運転中の事故死傷者数が増加傾向にあるということで、再教育を受ける機会をふやしていく必要があるのではないかということでございます。

 (2)が事業用自動車の安全プランでございまして、現在、安全プラン2009に基づいて施策が推進されてまいりますが、引き続きこうしたことを進めていくべきではないか。また、26年3月に北陸自動車道で起こりました高速バス事故を受けまして、運転者の健康管理や過労運転防止機器装置の普及、こういったことも重要ではないかということでございます。

 10ページ目にまいりまして、(3)事業用自動車事故の原因分析でございますが、事業用自動車の重大事故につきましては、平成26年から、事業用自動車事故調査委員会が発足しておりまして、原因分析・再発防止策の提言、事故の未然防止、こういった取り組みを促進すべきだということでございます。

 (4)テレマティクスの関係でございますが、自動車のIT化によりまして、さまざまな運転情報が入手できるようになっております。民間によるさまざまなサービスも考えられるところでございまして、そういったものを促進するべきではないか。また、ドライブレコーダーなどによって情報を収集して、それを用いた教育、または教育ツールの充実といったものも重要ではないかということでございます。

 「4 車両の安全性の確保」でございます。

 さまざまな安全の基準があるわけでございますが、いろいろな衝突形態に応じた基準を作成し、また、特に歩行者や高齢者を保護するような対策、また医工連携による救助・救急体制との連携、こういったことも踏まえた安全な車両の開発等を推進すべきではないかということでございます。

 また、自動運転については、まだこれからでございますけれども、そういったものに向けての基盤整備を積極的に推進すべきではないかということでございます。

 11ページにまいりまして、自動車の構造・装置、正しい使い方についての情報提供。

 自動車につきましては、アセスメント情報を提供しておりますが、その内容のさらなる充実。また、チャイルドシート等の使用方法に関する注意事項について情報提供をより一層推進すべきということ。

 (3)としてリコール制度の充実を掲げております。

 「5 道路交通秩序の維持」といたしまして、(1)のほうは交通指導取り締まりについて、また暴走族対策について記載しております。

 (2)は交通事故事件捜査の合理化・高度化という内容を記載しております。

 「6 救助・救急活動の充実」。緊急通報システムですとか、現場急行支援システムといったものがございますが、救助・救急活動の迅速化を一層図っていく。また、ドクターヘリなどについて運用も含めていろいろ整備していく必要があるであろうということでございます。

 12ページにまいりまして「7 被害者支援の推進」でございます。

 被害者の、金銭はもちろん、精神、心情にも配慮した支援というのを推進していく必要があるのではないかといったことが書いてあります。

 また「8 交通事故分析の充実」につきましては、既存データの分析もそうでありますし、救命救急医療機関との医工連携による新たなデータベースの構築や分析というものも大事ではないか。また、イベントレコーダーやドライブレコーダーの活用など、新たなデータについても活用を検討すべきではないか。

 また、最後に三大都市圏と比較しまして、それ以外の都道府県では人口当たりの死亡者数が多いという状況が見受けられますので、こうしたことも踏まえた対策を推進していく必要があるのではないかということでございます。

 13ページからが鉄道の分野でございます。

 目標値につきましては、鉄道交通、運転事故は着実に減少している。一方で、ひとたび大きな事故が起きますと多数の死傷者も生じるおそれがあるということで、引き続き安全対策を推進していく必要がある。また、事故等につきましては、原因究明、再発防止を充実させる必要があろうということでございます。

 2番目、視点につきましては、重大な事故の未然防止、これは現在と同じものとしてはどうか。2番目の視点につきましては、利用者等の理解と協力、こういった点を明らかにした形で視点を設けてはどうかということが書いてあります。

 各論にいきまして、鉄道交通につきましては、鉄道施設の整備、車両の安全対策、こう いったものがまずは必要であろうというところ。

 14ページにまいりまして、バリアフリー化、そして、利用者の理解と協力を深める取り 組み、こういったものを挙げさせていただいております。

 「2 安全管理体制の確保」としましては、保安監査の実施、運転士の資質の保持、リスク情報の分析・活用、気象情報の充実といったことを挙げております。

 「3 鉄道交通の安全に関する知識の普及」といたしまして、鉄道事業者による施設の改良等も必要でありますが、利用者の理解と協力というのも大事だということが書いてあります。

 4、5、6としては、さまざまな事故等の調査体制、研究開発、救助・救急活動を記載しているところでございます。

 16ページ目、踏切道の関係でございます。

 目標値につきまして、踏切障害事故件数は長期的に減少傾向にあり、鉄道事故、運転事故に占める割合も低下している。ただ、こちらもひとたび大きな事故が起きますと多数の死傷者が生じるおそれもあるということで、引き続き着実に対策を実施する必要があるということでございます。

 視点につきまして、踏切事故死者数のうち、7割が歩行者、そのうち高齢者が4割を占める状況があるといことを記載しています。高齢者を初めとする歩行者の踏切事故のさらなる防止のために、踏切の状況等の把握、状況に応じた効果的な対策の推進が必要であろうということでございます。

 各論といたしまして、少々長いですが、踏切道の改良ですとか立体横断施設などの整備、それから交通規制、こういったことを書かせていただいております。

 高齢者等の歩行事故が多い踏切の対策を重点的に実施していったり、通学路の危険箇所についても対策を実施することが重要ではないかということでございます。

 17ページ、2番目は「踏切道の統廃合の促進」、3番目は、その他といたしまして、踏切通行者のモラルの向上ですとか、安全対策としてのソフト対策の話。また、鉄道駅の横断、構内通行を迂回路として活用してはどうかといったことを書かせていただいております。

 18ページ目からは海上交通でございます。

 船舶の事故につきましては、ひとたび起きますと人命に対する危険が非常に高い。また、事故形態に応じては、経済ですとか自然関係にも影響を大きく及ぼすおそれもあるということでございまして、ハード、ソフトの安全対策を推進する必要がある。また、災害時のことも考えまして、地震・津波対策を各方面で行う必要があるのではないかということでございます。

 各論として「ふくそう海域」につきましては、海上交通管制の構築、航行支援体制の構築といったことを挙げております。

 2番目、商船の安全対策につきましては、総合的に安全対策を推進する必要がありますが、ヒューマンエラーの部分が比較的多いということで、ヒューマンエラーの未然防止対策が重要ではないかとしております。

 19ページ目、3番、小型船舶につきましては、安全教育やITCの活用。

 4番目として「自己救命策確保のための取組」。

 5番目として、船舶事故の原因究明、再発防止に向けた調査体制。

 6番目として「大規模災害対策の推進」。これはハードもソフトもでございますが、記載しております。

 7番目として調査研究を挙げております。

 21ページが航空関係でございます。

 総論といたしまして、航空需要は今後オリンピックなどもありますし、アジアの需要もあって着実に伸びていくということが予想される中で、また、国内で半世紀ぶりに国産旅客機が開発されるといったようなニュースもあるところでございます。

 安全監視を引き続き適正に行っていく。また、操縦士不足に対する対応をする必要がある。また、国産旅客機が出てくるということで、製造国の政府としての責任というのも大事であろうということであります。

 また、ほかの交通と同様ですが、事故の原因究明、再発防止、これも大事だろうということで、各論としましては、航空安全プログラムの話、航空管制の高度化、運行・整備の安全確保、高質な操縦士の確保。

 22ページにまいりまして、航空機の安全性の審査体制の充実。

 航空機事故の原因究明等といったことを挙げさせていただいております。

 最後に、公共交通機関における総合的な安全と題しまして、公共交通関係で運輸安全マネジメントというのを行っておりまして、これの充実強化が重要ではないか。

 2番は、今までも出てまいりましたが、事故の原因究明と再発防止。最後に被害者の支援の推進ということで、公共交通関係につきましては、国土交通省さんのほうに支援室が設置されております。これについての記述をさせていただいたところでございます。

 長くなって申しわけございませんでした。

○赤羽座長 ありがとうございました。

 ただいまの事務局から説明がありました評価を踏まえつつ、第10次交通安全基本計画につきまして議論事項試案も参考にしながら、それぞれのお立場からフリートーキングという形で委員の皆さんから自由に御発言をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

 久保田委員、どうぞ。

○久保田委員 埼玉大学の久保田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

 今、御説明いただいた資料6の第10次に向けての議論事項の整理をいただいたものと、手元に見せていただいている第9次のものを見比べて拝聴しておったわけなのですけれども、第9次の5ページに陸上交通の安全についての理念から3つの視点、8つの柱までの流れがあります。

 それと、今の資料6の2ページからが道路交通の安全ということで、特に3ページに視点の図があるわけですね。今の話を伺うと、全体の構成はほぼ同じものになっていて、あと一番最後の8つの柱についても基本的には同じ構成になっている。1つだけ全く違うのが、3つの視点の中の①、②は同じなのだけれども、③ががらっと変わっているというのが非常に特徴的な今回のお話ではないかと思います。

 3つの視点の①が高齢者及び子供の安全確保で、これは資料6の3ページに書いてあり、②の歩行者及び自転車の安全確保は4ページに書いてある。第9次のとき、③は生活道路及び幹線道路における安全確保だったのに対し、今回は4ページにある交通事故が起きにくい環境づくりと変わっている、こういう大きな変更があると私は受け取ったのです。

 ここから私の意見なのですが、先ほど御紹介があった第9次の評価の中においても、特に生活道路の事故に非常に注目すべきではないかと私は思っておりまして、いろんな事故の中で一番減っていない、特に24年、25年からはふえてしまっているというのが生活道路であります。ですので、第10次の中で、一言でいうと非常に目立つわけですね。第9次で載っていた生活道路という単語が第10次視点の中から消えてしまうとすると、これはかなり国民にとってある意味間違ったメッセージを発する可能性すらあるのではないかと思いまして、第9次の状況を踏まえても、生活道路という柱、視点についてはぜひ維持していただきたいと、私は生活道路のことを特にお願いしたいと思います。

 この資料6の4ページを見ると、交通事故が起きにくい環境づくりというのがそもそも正直かなり抽象的な、抽象度が高過ぎて、言ってみれば道路交通事故のない社会を目指してという一番上の理念とほぼ同じことを言っているのではないかと思いまして、ですから、ワーディングも課題があると思います。

 4ページの下のほう、中身を見ると、医療の話とかITSの話とか、正直、その他いろいろという感じになっていて、その中に生活道路や幹線道路というのが入ってくるという感じになっているので、3つしかない視点の3つ目にするには焦点がぼけてしまっているのではないかというのが正直な感想です。ですから、この辺をぜひ御検討。きょうはたたき台ということでしたので、自由に感想を述べさせていただきました。

 以上です。

○赤羽座長 ありがとうございました。

 何かこのことについて、ほかに御意見、御発言のある方はいらっしゃいますでしょうか。どうぞ。

○森本委員 早稲田大学の森本と申します。よろしくお願いいたします。

 今の久保田先生の御質問と少し関連するので発言させていただきますと、今回10次ということなのですけれども、8次から9次に切りかえるときも同様に議論をされて、そして、何かを9次につけ加えたことによって9次の交通事故の減少の成果が出てきたというふうに理解をするのならば、今回の9次の3つの指針で政策をやってきたことで、どういうところでどの程度ぐらいの効果があったのかというのはどういうふうに把握されているかということをお聞かせいただきたい。

 特に、今、久保田先生が言われたような生活道路、幹線道路については、対策をしてきたのだけれども、まだ効果が十分ではないではないかというような事後判断になるのならば、これは継続してやるべきだし、ある部分については、十分に効果ができたいということならば、新しい視点を入れるべきだし、過去の効果についてPDCAを回すならば、8次から9次の変化をちゃんと吟味をして、9次から10次に何をつけ加えなければいけないのかという議論をするのかなとお聞きしていたのですが、その辺はどのように理解すればよろしいでしょうか。

○赤羽座長 1番目と2番目の高齢者、子供、歩行者、自転車というのは引き続き挙がっています。そうすると、ここでどういう評価になっているかを、特に補足していただくべきなのは生活道路とか幹線道路の部分だと思いますが、その点に関して事務局はどんなふうに把握されているでしょうか。

○福田参事官 データという点では体系立ててお示しするという準備はきょうしていませんけれども、先ほどの御説明したペーパーの中にもありましたように、生活道路と幹線道路、これは幅員が5.5m未満か5.5m以上かということで分かれておりまして、両方足すと道路全部ということでございますので、この中で生活道路の死亡者数が大体700人ぐらい。4,000人のうちの残りの方が幹線道路の死亡者ということになっているところであります。

 何かによってどういう効果ができたかという、その一つ一つの施策と効果というのを結びつけるというのがなかなか難しいところが交通はあるということで、そういう意味でストレートにお答えするのが難しいところはあろうかなと思っています。

 一方で、今、お話の中で生活道路はやめるのかという御趣旨もあったように伺ったのですけれども、この資料の中をごらんいただきますと、まず、ここで考えております交通の環境づくりのところというのは、資料6の4ページ目半ば以降が環境づくりのところになっておりますが、ここで内訳として①、②、③、交通環境要素を構成する人間の部分、車両という機械の部分、道路環境のような部分という交通環境の部分ということのそれぞれについての話がある。その中には、当然生活道路や幹線道路といったものが入り得ると考えております。

 もともと、ここに至るまでの高齢者、子供の話、歩行者、自転車の話、この関係も生活道路がかなりの部分を占めているところではあるわけでありますので、決して生活道路のことをやらなくなるということではない。その表記の仕方はいろいろ変わるということは、まさに久保田委員もおっしゃったとおりであります。そのあたりをどうしていくべきかというのはいろいろ御議論をお聞かせいただきたいということでございます。

 また、こういう構造、ひとまずこのペーパーの中で内閣府として作成した一つの考え方は、従来のようにスピード違反をとにかく取り締まって死亡事故をなくそうですとか、飲酒運転のような悪質な運転をとにかく撲滅しようですとか、そういう明らかな違法行為を公然と行う者に対しての対策というものではなかなか対策が講じられなくなっている。多くの方はうっかりしていた、不注意であったということでありますので、日々運転している中で決して交通違反をしたり、人がけがしたり、亡くなっても仕方がないということを思っているわけではない人が結果的には事故原因者になってしまっている。そういうものに対してどういう対策が考えられるのかということをこれから考えていかなければいけないのではないかということが一番の根幹でございます。

 そのときに、なかなかこれをやっていけば大丈夫だというような決定打が難しいのではないかということで、幅広いという御指摘もございまして、まさに幅広くここは設定というか、受け口をつくる中で考えられることをとにかく何でもやっていかなければいけないのではないかという趣旨で書かせていただいたところでございますが、委員の皆様方からいろいろ御意見をまたお伺いさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○赤羽座長 まず、この重点対象を設定するときに1つ考えなければいけないのは、ほっておくとだんだん増えていってしまう。重点で絞ったということになかなかならないということがあります。そこをよく考えなければいけないということです。

 もう一つは、生活道路と幹線道路と、第9次のときには両方挙げていましたけれども、そうすると、道路網全体になってしまう。これも重点としてどうかなということですね。では、生活道路と幹線道路は、私も評価にかかわったものですから、私のうろ覚えのデータでいいますと、幹線道路は減らせているのですけれども、まだ数として多い。生活道路を減らせていない。どちらが新しい考え方で取り組まなければいけないかというと、それは生活道路ではないかという議論が評価のときにありましたね。幹線における事故の数は多いのだけれども、今までのやり方を延長して対策してもらえれば、減らせる見通しはついている、生活道路はなかなか見通しがつかない、そういう議論があったと思います。

 久保田委員、どうぞ。

○久保田委員 もう一つは、日本は第8位という話が先ほどありましたけれども、1~7位の国が非常に成功しているのが生活道路であります。生活道路対策が日本は非常におくれているというのが正直なところなので、ある意味、次の5カ年でこれをやればもしかしたら一番になれるかもしれないという可能性すら持っている。つまり、対策の可能性、方向性がある程度見えている分野でもあるわけです。ですから、重点的にやるべき視点として挙げるのにはふさわしい分野ではないかと思います。

 以上です。

○赤羽座長 ありがとうございました。

 これに関連してでも、ほかにでも結構ですので、御発言をお願いします。どうぞ。

○川端委員 私はかなり素人というか、今回初めての参加なので幾つか教えていただきたいというのも含めてなのですが、これは従来の5カ年分のデータから、それに合わせた対策を今お話しされていると思うのですが、それと同時に5年後というのはかなり社会の変化が早いので、例えば5年前の施策をつくったときには、多分スマホがこんなに普及していなかったりとか、例えばですけれども、逆にそういった未来を見た目標というのがここには過去5年分に対してどういう対策をという目標は大変細かく入っているのですが、5年後を想定した目標というのがないような気がして、そうすると、どうしても後手後手というか、従来あった事故に対しての対策になってしまうので、例えばですけれども、5年後を考えると多分スマホは、2~3年以内に世界の人口の8割がスマホを持つとかというようになると、日本はスマホ普及がおくれていて6割ぐらいなのですけれども、ここから先、自由化が進むと、例えば郵便局でスマホのSIMカードを使うなどとなると田舎のおばあちゃままで持つとかと急速に進む可能性がありますし、あとうちの息子が平成13年生まれなのですけれども、ミレニアム世代ですけれども、5年後には彼らが免許を取るとなってくると、やはりデジタルネイティブと言われる世代がこういうところに加わってくるというのがあるのです。なので、若者対策に関しては、今、高齢者の対策というのは例えば団塊の世代が本当に高齢者になっていくよとかということで対策を従来の中でしなくてはいけないと思うのですが、子供の人数が減っているから、数字上減ってしまった子供の対策というのを5年後の事故にコミットしそうな子供たちがどうなっているのかという想定のもと、対策をつくったほうがいいのではないかなと思いました。

 なので、例えばですけれども、スマホがどうなるとかということが結構コネクティビテ ィーだったり、ビッグデータ活用、さらにはウェアラブルが進んだりすると歩行者にまで例えば信号のデータが入ってくるなどということもできるようになっていくと思うのです。そういったことを少し見た施策というのを入れてもいいのではないかなと思います。

 それと、私は子供がいるから大変気になってしまうのが、チャイルドシートの特に年齢が上がっていくと装着率が下がったりとかというのは、もうこれは砂に水をまくような仕事だとは思うのです。親が毎年毎年ふえる、教育されていない親が新しく親になる、しかも少子高齢化で初めての親という率がほとんどで、2人目、3人目で教育された親の人数が少ないということなのです。ですけれども、これはやらないと、特に先ほど1位から7位の国で、逆に言えば子供が大変少ない先進国であるけれども、子供に対する安全の対策というのは非常に上位の国というのは結構ちゃんとやっています。例えば身長150cmになるまでブースターがつかなければいけないとかとなっていると、大人でも女性の背の低い人などは普通のシートベルトで対応できなかったりするとブースターをつけていたりとかします。そういったことを考えると、今、法制化で6歳となっているのはちょっと早かったりすると思うので、そういった部分も子供の人数が少ないから数字で追ってしまうとどうしても子供を切り捨てとは言わないのですが、対策が弱いような気がします。

 あと、全然空のところはお話が少なかったのですが、ドローンみたいなものが出てきているので、航空法上それがどうなるか単純に入っていないので気になったというか、無人飛行機がこれから結構ふえそうなのですね。今30分しか飛べないのですけれども、電池がよくなると2時間飛べるとかという話が出てきて、あんなものが飛んだ場合、今の領域だと結構グレーゾーンだったりするので、どうなっていくのか。あんなものが落ちてきても嫌だなと思うので、そういったことも今回の議論はもしかしたら必要なのではないかなと思いました。

 散漫で済みません。

○赤羽座長 ありがとうございました。

 どうでしょうか。今のことに関して何か。 どうぞ。

○地藤委員 交通安全母の会の地藤と申します。

 私、今、彼女がおっしゃったように若者に関する点でございますが、この交通安全の横断的なものとして高齢者及び子供の安全確保、そして歩行者及び自転車の安全、これは本当に従来ずっと同じことなのです。ここは実際手がつけやすいのです。現場で交通安全活動している者から見ますと非常に啓蒙活動がしやすい年齢なのです。子供に対しても高齢者に対しても。どうでしょうか。

 先ほどの統計から見ると、若者の事故は減少していると言われましたが、全体的なところで見ると相当上位に占めていると思われます。御承知でしょうか、私、香川県でございますけれども、1月末に深夜5人の若者が交通事故で尊い命を亡くされました。そういうことを今考えてみますと、若者の交通事故は非常に重大事故が多いわけです。

 そして、子供は幼児のときから交通安全活動、民間団体がありますね。熱心にします。高齢者に対しても、高齢者学級等でしますが、若者に関しては、中学生、高校生、そのときに学校教育機関においては、年に1~2回の安全教育はあろうかと思います。そして、その後、安全教育に関する経験をするのは自動車免許取得時の自動車学校教習所での約1カ月間程度の安全教育かと思われます。この自動車免許を取得した後、いろいろなところで交通社会人、大人として車を走行するわけですね。その若者がどれほど交通安全にまつわるいろいろなものを本当に取得しているのか、知識を十分得ているのか、そういったところが非常に問題ではないかと思います。

 私は息子が高校で教員をしておりますので、常に言うのです。高校の授業で、自動車学校で、教習所で習うことを授業に入れたらどうかと。それは私立なので入れられるわけですね。特色ある高校としての自動車免許取得。自動車に乗ったとき、交通社会人としてどう生きるかということを授業として正式に入れてみる方法はないのかなという話をよくするのですが、これはどうでしょう。命あっての学習、命あっての仕事、命あっての家庭、まずは命なのです。そこのところを考えると、この自動車免許取得前の年齢。そこの安全教育は本当に徹底していかないと、高齢者対策も消えないだろうと思うのです。

 一朝一夕に全てのものがよくなるわけではありませんが、幼児期の安全教育は高齢者に向けて非常によい交通社会人をつくり上げる基本ですね。その段階でどうも若者のところが空白。先ほどチャイルドシートの着用が0歳児のとき本当は100%に近いのですけれども、年齢を重ねるにつけて、それが低下していくというところに、それと同じ問題があると思うのです。意識が薄れていく、安全に対する意識が親も子も年々薄れていくわけです。そこのところをやはり定期的に安全意思を植えつける、学習する機会というのが強力に推進していくのが必要ではないかと思うのです。これからの時代を担う若者をこういった交通事故等で命を亡くすということは本当に国益に関係する問題でもありますので、幼児、子供、高齢者だけではなくて、ここで若者の安全についても特記してほしいなというのが私の気持ちでございます。

 以上です。

○赤羽座長 ありがとうございました。 どうぞ。

○川端委員 今の御意見に関して1つだけずっと気になっていたのが、例えば母子手帳をいただくときはお母さんになる人全員がいただくのです。そのときに、チャイルドシートのことを例えば各区で配ってくださるだけでも、まずそこで意識が上がると思うのです。ほとんど車に関することというのは母子手帳と一緒に配られる、6つも7つもすごくたくさん資料をいただいたのですけれども、一切なくて、チャイルドシートの安全講習というのはトヨタさんがやってらっしゃるところに私は参加するまで情報がほとんどなかったです。

 なぜかというと、チャイルドシートの安全性が高いものというのは、アセスメントがされているのですが、そのアセスメントされている点数が高いのがTAKATAさんのシートで、TAKATAさんは育児用品としてはすごくいいものをつくっていて、ただ、保安部品の会社なのです。育児用品として広告を打っていないので、赤ちゃんの情報が載っている、例えばお母さん用のマタニティー本にTAKATAさんが広告を出していないので、TAKATAさんの成績が高いチャイルドシートのアセスメントの結果が載らないというのが起きています。

 そうすると、私は自動車の仕事をしていたのに、自分が妊娠しているときに安全なチャイルドシートがどれかというのは一生懸命ネットで探さないとわからない。私がそうなのですから、一般のお母さんは車にそんなに詳しくなくて、お子さんをこれから産むとき、足として軽乗用車に乗っているとか、ミニバンをこれから買うのだという人が当然知るよしもなくて、チャイルドシートの利便性とかそういうものが全くわからず、利便性ではないので、利便性しか見ないと「アカチャンホンポ」みたいなところに行ってもそんなに情報がなかったりとかすると、結局「アカチャンホンポ」にたくさん品物をおろしているところがいいところに置いてあるみたいなことになってしまうのです。なので、そういう情報のねじれを一般の社会の経済概念だけに任せていると例えば普及しないものがあります。

 そうなってきた場合、例えばTAKATAさんは保安部品でシートベルトとしては一生懸命やっているメーカーさんですけれども、赤ちゃんの情報を知りたいお母さんには届かないというのがあったりとか、あと3歳児健診のときとかにももう一回そう言ってくれたら、それだけでもまたお母さんの気持ちというのがきちんと上がると思うのです。日本は残念ながらまだ男性社会で、お母さんが3歳児ぐらいまで一生懸命コミットしているので、やはりそれはお母さんが子供のことを考えるときとか、特に子供の健康を考えるときに、一緒に子供の事故まで考えるようなことができたら、もちろん、省庁が違ってしまうのはよくわかっているのですが、そういうタッチングポイントはたくさんあるのに実は有効活用していないなと思います。

 例えばですけれども、イギリスの場合、自動車メーカーのVOLVOが育児用品のフェアのスポンサーをしていて、1社で勝手にチャイルドシートをちゃんとつけましょうというのを育児フェアでやっていたりとかするのです。ただ、経済活動でヨーロッパはたまたまそういうことができているから普及されているのですが、日本はどうしても今経済活動と一致した形になっていないので、そこはぜひ政府として何か省庁を横断してでも対策を練っていただけたらいいのかなと思います。

○赤羽座長 ありがとうございました。 どうぞ。

○三国委員 地球の友・金沢の三国です。

 今、車のチャイルドシートのお話があったのですけれども、私は自転車のことで、事故が減ったということで、子供さんがかかわる、自転車は特に子供さんの利用が多いので教育とかそういうのも大事だし、通行環境も大事なのですけれども、今、このグラフを見ていくと、減っているという数は件数としてわかるのですけれども、どのような形態の事故が減ったかというのを出していただくと、整備した効果が出たかどうかというのもわかると思うのです。特に自転車は出会い頭事故が多いので、それから、もし、わかるならば、幹線道路と生活道路でどういう事故形態が減ったかとか、そういうのがわかれば、出していただけたらありがたいと思うのです。

○赤羽座長 ありがとうございました。

 自転車レーンの整備が進められていますけれども、意外と交差点と交差点の間よりも交差点、特に幹線道路が細街路と交差する無信号の交差点、信号がついていない交差点で自転車事故が多いという統計もありました。そういうまとめ方が欲しいということですかね。

○三国委員 今、私、金沢でやっていて、実際、生活道路を整備したところでは、出会い頭事故が減っていますので、幹線道路では出会い頭事故がまだ変わらないのですけれども、そういうこともあるので、もしそういうのがわかればということでお願いしたいと思います。

○赤羽座長 よろしくお願いします。 どうぞ。

○松岡委員 既に各論に入ってしまっていますが、先ほど来から安全教育というのが非常に大事だというお話が出ていたと思います。現状を良く見てみますと、実は安全教育とか交通規則を全然学んでいなくて、軽車両に載っている方が結構いらっしゃるのです。これを根本的に解決しないことにはどうしようもないと思うのです。

 私も車を運転していまして見ていますと、目の前を自転車に乗った方が赤信号を堂々と横切っていく。そういうケースを何回も見ている。あと小さなお子さん、例えば小学生のお子さんが自転車に乗り始めて町なかを走るといったときに、交通規則というものを果たしてどれだけきちんと教えているかということが非常に問題だと思います。ですから、前も9次のときにも意見が出たと思うのですが、自転車にも免許制度のようなものを導入して、ちゃんと交通規則を継続的に学ばせるということが必要ではないかということまで立ち返って考えなければいけないのではないかということで、今後の10次の検討の中に安全教育の確保とありますが、これは高齢者とか再教育ということだけしか述べていないのですが、全然やっていない人を対象にして、いかなる方策でもってやるかということを検討に少し入れていただければと思います。

○赤羽座長 ありがとうございました。 大久保委員、どうぞ。

○大久保委員 よろしくお願いします。配られました資料4の基本計画に関する評価書には、各交通に被害者対策は入っていますけれども、資料6の基本計画作成の議論のための事項試案の中には、道路交通に関しましては、被害者支援の推進ということが入っておりますけれども、鉄道、海上、航空のほうには特に被害者支援という形で入っておりませんので、交通被害、もちろん全ての交通に関連して被害者が出ますと、その被害に遭った本人だけではなく、残された家族、あるいは時には友人、そういう方たちに対しましても多大な心理的な負担あるいは家族にとりましては中長期的には経済的な負担または生活そのものも破壊されてしまうということが今被害者支援にかかわっておりますと日々痛感しておりますので、ぜひ各交通分野の中にもより充実した被害者支援を継続的に入れていっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○赤羽座長 おっしゃるとおり、航空とか鉄道の海上の個別のところには入っていないの ですけれども、もしかすると23ページの公共交通機関による総合的な安全というところに 被害者支援が入っていますが、ここでまとめて入れていただいているということなのです か。どうなのでしょう。そういうことでもないですか。

○福田参事官 どうぞ。

○国土交通省(髙野室長) 国土交通省の髙野でございます。

 個別の交通ごとに被害者支援が載っていないからといって取り組まないということではないのですけれども、たまたま幾つかテーマを載せた中で全て拾い切れていないというところがありますので、先生方の御意見をいただきながら、そこは考えていきたいと思います。

 ただ、公共交通機関のところに書いていますのは、まさに全ての交通モードについてここにも書いていますということですので、そこに書いていることだけではなくて御意見いただいたことをしっかり受けとめていきたいと思います。

○大久保委員 個別のところにぜひ書いていただきたいということがとても大事なことだ と思いますので、よろしくお願いいたします。

○赤羽座長 ありがとうございました。 それでは、三好委員、どうぞ。

○三好委員 三好と申します。

 前回のときから5年間の間に、やはり震災がありましたので、自分の中ではすごい大きな変化というか、日本中全部そうだと思うのですけれども、何かイメージでいつも申しわけないのですけれども、きちんとしたちゃんとした文章の中に、未来にも通じるような複合的な、私たちが感じた、みんなが感じた何かがこの中に含まれていかないものかなということをすごく漠然としているのですけれども思っていまして、あの大災害があったときに道路というのもすごく取り上げられましたけれども、空もそうだし、海もそうだし、全てのものが、自分たちの生活は複合的になっていて、これは道路交通というカテゴリーなのだけれども、それだけではなくて、自分たちが助け合って生きていくこととか、決められたことだけではなくて臨機応変にとか、もう本当にいろんなことが役に立ったり、立たなかったり、全てのことが変わったとは思うのです。もっと変わってもいいのかなという気が読んでいてして、それをどこがどうということでは難しいのですけれども、例えば自分が走っていて怖いなと思うのは、今、どこのサービスエリアに行っても逆走のいろんなものがありますけれども、10年前から逆走に合っていて、実際びっくりしたこともあったのですけれども、それがどんどんこれからもふえてくるということで、そういう事件がクローズアップされてくるとか、あと、またそれは法で変わってくるのかもしれないのですが、危険ドラッグと今は言わないのですね。そういったことで事故が起こるということがちょっと前まで私たちわからなかったと思うのです。先ほどのスマホがということもそうなのですけれども、どんどん新しいものが出てきて、道路という交通の中なのだけれども、例えば誘拐されたり、普通に殺人が行われたりと、ぶつけて加害者、被害者ということだけではなくていろんな要素があるということがすごく最近身に染みてわかっていて、だから、どこをどうと、先ほどのこれは違うのではないかと言っていた1、2、3の3つの視点の、もしかしたら最後の生活道路ではないほうの言葉みたいなものも必要なのかなという気がするのです。安全とか生きるとか、そういったもののパワフルな言葉が欲しいような気がしたのです。本当に全然具体的ではなくて申しわけないです。

 あと暴走族などは、私はバイクに乗るものですからそこが気になったりもしたのですけれども、今、暴走族はそんなにいるのですか。いますか。周りでは、もちろん取り締まってくれているのでいないのかもしれないのですが、この何行をとるぐらいいるのかな。むしろ、族ではなくて、本当に普通の人たちが教育を受けていない、先ほどの自転車にしてもそうだし、車にしてもそうだし、普通の人が怖いのです。普通の人がそういうものを飲酒でも何でもやっていくというほうがよほど私には怖くて、暴走族という言葉がちょっと古いという言い方も失礼なのですけれども、本当にそれがこれだけの面積をとってしまっていいのかなと思ったりもした。実際大変なのかもしれないのですけれども、そんなイメージを持ったりしました。すごく具体的ではなくて申しわけないです。

 あと道路のところで、今、防犯カメラがいっぱいあって、それが警察の方にもいろいろ事故分析とか役に立っていて、そんな時代も来るとは思わなかった、そんなものがいっぱい役に立つと思わなかったし、変わってきていることのその言葉が出なくても、私たちはこの5年でこんなに変わったみたいなところが欲しいなと思いました。

 全然具体的でなくて済みません。

○赤羽座長 どうもありがとうございました。

 逆走をする人たちの多くが高齢者だというようですけれども、現状のように、高齢者が道路交通安全に関して、こういうふうに影響してくるということを例えば5年前には読み切れていなかったですね。今、その傾向があらわれていて、それが5年後にどうなるかということを見通して対策する。子供のことだけではなくて、高齢者も読み切れていなかったところがあると思いますので、今のように見通して何か対策を立てるということは非常に重要だと思います。

 渡邉委員、お待たせしました。

○渡邉委員 東京学芸大の渡邉と申します。

 私、学校教育のほうに携わっているものですから、そのことについては1点お話ししたいと思います。先ほどの資料5の7ページのところで、通学路、通学中の事故のデータが出ていましたけれども、数は少ないのですが、横ばい状態になっていると思うのです。通学中の交通事故といいますと、よくあるのが通学中の子供たちの列に車が突っ込むというようなことが時々ニュースになっていますけれども、子供たちのほうにほとんど落ち度がない状況なのにそういう事故が起きています。ですから、通学路を見直すといいますか、もう少し具体的な対策が必要ではないかと思います。

 先ほどの議論の試案の中の5ページに道路交通環境の整備のところに、その通学路のことも少し書かれていましたけれども、道路を点検するということだけではなくて、例えば学校近くの生活道路であればスピードハンプをできるだけつけるようにするとか、あるいは通学時間には車の流入を防ぐような対策を具体的にとるとか、どちらかといえば環境整備のことになると思うのですけれども、そういうことをもう少し組み込んでいただけるといいのではないかと思います。

 もう一つは、学校教育とは関係ないのですけれども、今回の議論の中に、例えば海上交通のところなどには東日本大震災受けた対策のことがかなり書かれていたのですけれども、道路交通でも大きな災害が起きたときに果たして大丈夫なのだろうかということを考えることも必要と思います。例えば緊急自動車が入れるかどうかとか、避難行動が妨げられるのではないかとか、そういったような視点でも道路を見る必要もあるのではないか。これは東日本大震災のときに実際に起きていることですし、また、そういうシミュレーションも今行われています。今、ちょうど仙台で国連の防災会議も開催されていることもありますし、内閣府さんのほうは防災もやられているということもありますので、少しその辺の視点も触れていただければと思っています。

 以上です。

○赤羽座長 ありがとうございました。 蓮花委員、どうぞ。

○蓮花委員 いろいろ資料を見せていただくと言いたいことがあるのですけれども、細かいところは置いておいて、途中でどこかで出てきた地方の安全の向上というのは、地方に行くと生活道路なのか幹線道路なのかわからないような道路も多いし、それこそ高齢化も非常に進んでいるので、ある意味いろんな問題点が凝縮されていて、なかなか減りにくい構造にあると思うのです。やはり事故情報とかリスクの情報をすごく早く正確に取り上げて、それを的確に分析するという仕組みを広くとっていただくのがいいと思います。例えば事故のデータベースとか、埼玉県、神奈川県にあるように、ホームページに載せて住民が誰でも見えるような形にする。見える化ですね。それで議論をして、的確に対策を立てて、また対策の効果も反映するという。こういう仕組みをつくっていただいて、地域の人だけではなくて、いろんな地域の人がかかわってやって、例えば高齢者の事故の対策をどうするか、こうするかというようなものを議論できる。こういう仕組みをできるだけ早くつくっていただきたいと思います。

 その中では、例えば事故調査委員会なども業務用車両でありますけれども、できれば道 路交通にももうちょっと広げて広くしていただきたいなというのがまず1点です。

 私、高齢ドライバーの研究も長くしておりますので、高齢者対応のいろんなことが書かれているので、例えば高速道路1つとっても、道路構造令などを元々作ったときは、日本国民全体が若かったので、いろいろな基準が非常に若いドライバー向けになっているのですけれども、今の人口分布でいくと高齢者が非常にシフトしていて、非常に構造全体が若者向きなので高齢者に向いていないというのが実際たくさんあるのです。高齢ドライバーに見やすい道路標識等々が書かれていたりしまして、それは非常にいいのですけれども、見えるかどうかであれば文字の大きさとか表示板の大きさ等々もあるのですけれども、まず分かりやすいか、分かりにくいかという点でいうと、例えば情報密度が非常に高いと負荷が高くてとても対応できないというような問題が出てきます。つまり、高齢者に優しい道路構造という点で、例えば高速道路をずっと見直していくといろんな問題点が出てきますので、細かいところは抜きにして、まずはそういうようなことを考えていければいいなと思います。

 例えば高齢者のところでいうと高齢者講習がありまして、これはいろいろ認知機能のスクリーニングをやっていまして、第1分類、第2分類、第3分類でやっていて、それと事故や違反を対応して例えば認知症の医師の診断を受けるというような制度があります。これを拡充して、今までアンドだったのを今度はオアにして、講習の検査でも違反の結果でも認知症の診断を受けることになるようです。これは非常に実効性が上がるためにはいいのですけれども、しかし、医療の現場から言うと、認知症の診断は非常に難しいので、かなり慎重にされると思います。ですから、それは個人のためにはいいのですけれども、(社会全体の事故減少という)実効性を一層上げるためにはグレーゾーンというか、危ないけれども、もう一つ確証はできないからこのまま行かそうかのような危なっかしい人がいっぱいおるので、この人たちに対しては、教育指導という制度を一方でつくらないと、大きく事故は減少しないだろうと個人的には考えています。

 教習所のように、既に教育の仕組みがありますから、例えばある程度のレベルまでは教育していけるといった人を教育し、技能が向上すれば免許を与える。その教育を義務にするのか、任意にするのか難しいところですけれども、そういうようなことを踏まえて考えていっていただければと思います。

 以上です。

○赤羽座長 ありがとうございました。 新保委員、どうぞ。

○新保委員 私は、新潟県聖籠町から来ました専門交通安全指導員の新保と申します。

 皆様もご存知のとおり、新潟県も雪が降ります。雪が降ると、信号機が見えにくくなります。新潟は縦信号ですが、信号機の電気が今はLEDです。昔に比べて電気の熱が低いということで、雪が溶けにくいそうです。そこで、そういった雪での対策が今、この中には何もなかったような気がします。また、幹線道路や生活道路とありますが、新潟県も歩道がないところが多くあります。消雪パイプは出ていますが、路肩が狭く、その消雪パイプの近くを歩く子供たちに水しぶきがバシャンとかかり、学校に着くまでに服が濡れてしまいます。そういったことで幹線道路や生活道路に歩道が欲しいという場所が何箇所かあります。もしそういった歩道整備のほうもしていただければありがたいと思います。

 私は、いろんな分野で交通安全教室や呼びかけを行っております。幼児に関しては、平成17年に交通死亡事故が発生し、その翌年から幼児事故防止対策として乳児(4か月)健診時に母の会の方々と一緒に親御さんに対して、チャイルドシートは大事ですよということを呼びかけています。また、高齢者事故防止対策としては、毎月10日の家庭の日に高齢者世帯訪問を行っています。反射材の普及ということで、呼びかけの際には反射材のタスキをかけ、靴には反射シールを必ず貼ってきます。こと細かに事故防止に努めております。子供の交通安全教育についても、小さいうちからということで安全教育をしています。先程、自転車の免許制度の話が出ましたが、我が町では以前、自転車の免許制度を実施していましたが、今は廃止しております。子供たちの体とともに違いがあります。自転車に乗れる子と乗れない子がいます。

 今の子供たちは、外で体を動かす遊びをしていなく、殆どがゲームを使って遊んでいます。自転車に乗って止める時、ブレーキをかけるという機能ができない子がいます。そこで、免許制度を廃止して、ブレーキの使い方を徹底的に指導しています。やはり子供たちの安全教育はそういう地道なことから始めたらいいのではないかと思っていますので、自転車の免許制度については私としては反対です。

 残念ながら我が町では、平成26年度に、若者死亡事故が1件発生いたしました。その若者は、自動二輪車運転21歳、同乗者21歳と乗用車20歳の衝突でした。自動二輪後部座席同乗中の21歳の男性が亡くなりました。先程、香川県の母の会の方がお話をしておりましたが、若者の事故がやはりこれから一番の問題になるのではないかなと思います。

 そこで、若者の交通事故防止対策と雪道の道路環境対策ということで歩道整備も取り上げていただければありがたいと思います。

 以上で終わります。

○赤羽座長 ありがとうございました。 古笛委員、どうでしょうか。

○古笛委員 時間もないので簡単にお話しさせていただきます。

 この3つの視点についてなのですけれども、私はむしろ3番目の交通事故が起きにくい環境づくりというものについては、こういった視点をぜひ持っていいのではないかなと考えました。弁護士としてどういうふうに交通事故に携わるかというと、どうしても事故が大きいとき、損害賠償をどういうふうに払うかと。加害者と被害者の過失割合が7、3なのか、6、4なのかと、35と65かと、細かいことをやっているのですけれども、そのときに、加害者だ、被害者という人に着目して解消できないという問題がある。そのときに、環境、道路環境というか、自動車工学的なものだとか、いろんなものがあるかと思うのですけれども、そういった点をぜひお願いしたいなと思っていました。

 そういう意味では、1番目の高齢者、子供というのが加害者、被害者、双方あると思うのですけれども、その人の属性に着目した視点。

 2番目の歩行者、自転車というのが、交通現場におけるその人の立場というのに着目した視点。

 そうすると、3番目は人ではないところからの視点というものを入れていただくことが とても実態にも合っていいのではないのかなと、総論的にはそういうふうに考えました。

 以上です。

○赤羽座長 ありがとうございました。 益子委員、どうぞ。

○益子委員 益子です。

 救急医療の観点からお話をさせていただきたいと思います。

 まず、第9次の61ページで、第9次における重点施策、新規施策というところで、現場急行支援システム、緊急通報システム、ドクターヘリ事業の推進明記していただいたことの効果は非常に大きかったと思います。例えばドクターヘリの機体数は5年前に比べると倍増しておりまして、今、36の道府県で44機までドクターヘリが配備されています。ここ数年以内にほぼ40道府県、50機を超える配備が完成するだろうと思います。

 一方で、私が昨年3月まで仕事をしていた千葉県では、千葉県警察本部の中に交通事故調査委員会を設置し、交通事故で24時間以内に亡くなられた方全例を対象に調査し、もしも適切な時間内に、適切な救助・救急サービスを受けることが出来ていたら死亡しないで済んだかどうかを専門家が判定して報告書をつくっています。それによりますと、交通事故が起こり、119番通報を受けてから救急隊が出動するわけですが、交通事故死亡例の6割は、救急隊が現場に到着したとき既に心肺停止状態なのです。交通事故負傷者の尊い命を救うためには、事故を起こさないのが一番なのですが、万が一事故が起きたときには、いかに早く救急システムを起動して現場から治療を始めるかがとても大事だと思うので、その意味で、緊急通報システムが今回の報告書の11ページにきちっと盛り込まれていることは大変素晴らしいと思います。

 一方で、この緊急通報システム、このヘルプというシステムは15年ぐらいの歴史があり、例えば車が衝突してエアバッグが展開したら、事故の起こった場所の位置情報を自動的にコールセンターに通報する仕組みなのですが、残念ながら、今現在、搭載車両が50万台ぐらいしか普及していないのです。それと、もう一つ、コールセンターのオペレーターがどうしましたとドライバーに問いかけて、反応がないのを確認した場合に警察、消防に通報する仕組みのために、この間のやり取りに時間がかかり、救急システムの起動が遅れてしまうという問題があります。昨年、ホンダが、交通事故を起こしたときに、事故車両の速度と衝突方向のデータを位置情報と共にコールセンターに通報する仕組みを構築し、本システム搭載車両が既に市販されています。トヨタ自動車もこの夏以降、傷害予測機能のついた事故通報システム搭載車両を市販すると聞いていますので、こういった先進的な交通事故自動通報システムの整備を促進し、ドクターヘリを含めた救助・救急医療に直結させ、一刻も早く現場から医療を始めることが大事だろうと思います。

 ここでドクターヘリが強調されていることはとても大切なのですが、残念ながら、ドクターヘリは日中のみの運航で、朝から夕方までしか活動しておりません。それ以外の時間帯をカバーするのは、ドクターカーであり、ラピッド・レスポンス・カーですので、これらについても、これからぜひ普及を促進するよう、報告書に盛り込んでいただけたらと思います。

 以上です。

○赤羽座長 ありがとうございました。 藤森委員、どうぞ。

○藤森委員 たくさんの御意見が出た中で、運転手さんの子供の通学路に飛び込んだ事故などのある例では、ニュースにもなったかと思うのですが、いわゆる精神疾患というか、てんかんを患われておられて、それを隠して運転手さんとして登録して、プロの業務運転手になっておられるみたいな方がいる。病識が余りなくて御家族も心配しながらもそういうことをしていたりとか、会社も報告がなければわからないとか、鉄道などでは睡眠時呼吸障害みたいなのが定期的に検査をされていて、結構健康についてはチェックが厳しいと思うのですけれども、一般のプロのドライバーさんたちは結構今過酷なバスの運転手さんの案件もありましたけれども、そういうところで大型車が子供たちの通学路にぼんと突っ込んでしまうと物すごく大きな事故になってしまうということで、どうにか運転者さん側の高齢者の方の認知症であるかどうかというような問題であるとか、若者であれば、もしかしたら発達障害で注意散漫で、本当なら運転がとても危ないような人が何とか運転免許を取れてしまって、合宿とか何かで取れてしまってというような方が実際運転していたりとかということも実はあるのではないかなという気がしているので、そんなところも少し具体的にどうすればいいかというのはわからないのですが、その事故が多いかどうかは別にして、やはり考えていかなくてはいけない。そこの後ろには被害者がいるのだということを考えていただければと思いました。

○赤羽座長 ありがとうございました。

 まだ御発言いただいていない方はいらっしゃいますか。 河内委員、どうぞ。

○河内委員 私、航空の専門家なので、それから、大体自分がもうそろそろ高齢者扱いされるので静かに聞いていたのですが、私が現在の安全対策として一番希望を持っているのは、やはりデータベースを使ったものです。コンピュータのサポートを受けて、いかに情報を現場へフィードバックするかということが大事だと思っています。

 私の経験では、一番気をつけていただきたいのは、何万件データを集めたという競争になってしまうことです。それは、ほとんど意味がないのです。やはり分析が大事です。今日初めて伺ったのですが、自動車の分野ではもう既に見える化といって、現場へフィードバックするシステムができかかってきているということです。これは非常にすばらしいと思いました。ぜひそれを日本中に広げていただきたいと思います。

 少なくとも事故が起こった現場を地図上にプロットして、ドライバーに見えるようにするだけで相当違うと思います。今まではそういうデータを警察だけが持っていて、取り締まりの情報にしていたと思います。

 ついでに言うと、データの時空間への分解というのが効果的だと思います。それによりたそがれどきが見にくいとか、長時間のドライブは危ないとか、いろいろ経験的に言われていることがデータで裏付けられます。時空間へ全部データを分解して、その情報を現場へフィードバックするだけで、後は現場の人に任せるのが良いのではないかと私は思います。

 上からルールを決めて、全部国が取り締まるというやり方は、余り私は好みません。やはり何か現場でやって、そのうちの効果のあるものを国が応援するというやり方のほうが、交通安全に関しては効果的なような気がします。

○赤羽座長 ありがとうございました。

 済みません、時間を今3分オーバーしてしまいまして、今日はこのあたりまでなのですけれども、また次回、続きをやっていただきますので、今日はこのくらいにさせてください。

 それでは、議事は全て終了したということで、そのほかに事務局から何か連絡事項はございますでしょうか。

○福田参事官 熱心な御討議、ありがとうございました。

 本日の議事でございますけれども、速やかに議事要旨を作成して、座長に御確認いただいた上、会議資料とともにホームページに公開させていただきたいと思います。

 また、詳細な議事録につきましては、作成後、各委員に御確認をいただきまして、これも内閣府のホームページに掲載していきたいと思います。

 次回の専門委員会議の日程でございますが、既にいろいろ御予定を伺い始めさせていただいているところでございます。お忙しい中恐縮ですが、4月の下旬から5月中旬ぐらいの間で調整させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 場所はこの8号館を予定しておりますが、また正式に決まりましたら御案内させていただきますので、よろしくお願いします。

 以上です。

○赤羽座長 ほかに何かありますか。大丈夫ですか。ありがとうございました。

 以上で第1回「中央交通安全対策会議専門委員会議」を終了したいと思います。

 本日は、御多忙中にもかかわらず、長時間にわたり御議論いただき、まことにありがとうございました。これをもちまして閉会とさせていただきます。