中央交通安全対策会議専門委員会議(第3回)議事要旨(案)

日時:平成27年8月7日(金)
13:00~15:00
場所:中央合同庁舎8号館416会議室

出席者

【委員】
赤羽座長、河内委員、川端委員、久保田委員、古関委員、地藤委員、新保委員、藤森委員、益子委員、松岡委員、三国委員、水野委員、三好委員、森本委員、山内委員、渡邉委員

【内閣府・事務局】
安田大臣官房審議官、福田参事官(交通安全対策担当)、金子調査官(交通安全対策担当)

【オブザーバー】
 警察庁交通局早川交通企画課長、警察庁交通局櫻澤交通規制課長、文部科学省スポーツ・青少年局竹林学校健康教育課健康教育企画室長、消防庁上條救急企画室課長補佐、厚生労働省医政局地域医療計画課亀山救急医療対策専門官、国土交通省総合政策局西村交通安全対策室長、国土交通省道路局上野道路交通管理課長、国土交通省道路局酒井道路交通安全対策室長、国土交通省鉄道局村田安全監理官、国土交通省自動車局久保田国際業務室長、国土交通省海事局黒田安全監理室長、国土交通省航空局安全部松本安全企画課長、海上保安庁交通部企画課安尾企画調査室長

概要

○安田大臣官房審議官挨拶
・道路交通事故による死者数は、減少傾向で推移しているものの、東名阪自動車道 でバスがダンプに追突する事故や、小型航空機が住宅街に墜落する事故が発生しており、交通事故対策はまだ課題が多いと改めて感じた次第である。
・今回は第3回目の会議ということで、第10次交通安全基本計画の骨子(案)や道路交通の目標に関する資料を用意している。
・委員の皆様のそれぞれの分野における知見から、忌憚のないご意見を賜りたい。

○提出資料説明
・警察庁、文部科学省及び国土交通省から、それぞれ資料に基づき、今後の交通安全施策等について説明を行った。
・事務局から、その他資料について説明を行った。

○委員からの主な発言
~骨子(案)について~
【視点】
・自転車、歩行者の死者数目標について、道路交通事故死者数全体の減少割合と同程度又はそれ以上の割合で減少させることを目指すという記載については、「それ以上の割合で減少させることを目指す」の部分を強調した方がいい。

【高齢者の安全確保】
・電動アシスト自転車については、ヘルメットの着用義務を検討してもいいのではないか。
・高齢者の免許返納に当たっては、地方では返納後の移動手段の確保が課題となり、そのことについても考えてほしい。
・運転免許証の自主返納者に公共交通機関の運賃割引をするのは市町村によっては難しい。コミュニティバスの導入などの施策も考えられる。
・普及しつつあるシニアカーの取扱いについて、利用者向けの事前の講習制度などの安全対策を考えるべき。
・高齢のタクシードライバーのスキルはどう維持・確認されているのか。

【子供の安全確保】
・チャイルドシートアセスメントに関するチラシ等を母子手帳と一緒に配布すれば効果的。毎年新たに母親になる方がいることから、的確な周知を地道にやっていくことが大切。
・フィンランドのように、チャイルドシートの安全性などに関し、産婦人科のスタッフから情報提供している国もある。
・子供の車外放出事故があったが、チャイルドシートについて、6歳以上の子供の安全性の確保の観点が欠けているのではないか。

【道路交通環境の整備】
・前回会議で提案した自転車・歩行者優先ゾーンについて、住民の合意が得られれば、試験的に実施してみてもいいのではないか。
・一時停止のペイントをカラフルなものにすることについて、改めて検討してほしい。
・まちづくりの中で、効率的に交通安全施設を町の中に作っていくという戦略的方向性を打ち出してはどうか。

【交通安全教育、啓発】
・「地域ぐるみの交通安全対策の推進」について、スポット的な「地域」だけでなく、県民性に応じた交通安全教育のように、都道府県レベルでの「地域」についても考えてほしい。
・都市部と地方では交通安全教育の在り方も異なると思うので、配慮が必要。
・大宮駅前で、子供たちが自転車の交通安全に関する大型スクリーンによる広報をしているのを見たが、こうした取組を推進するよう政府で打ち出してほしい。
・スマートフォンなどが普及し、ながら歩き、ながら自転車が危ないと感じており、これについても取り上げた方がいいのではないか。
・香川県では県知事が危機意識を持って様々な場で交通事故防止について発言しており、非常に効果がある。地方自治体のトップによる交通安全について発信を推進していくべきではないか。
・ルールや安全の考え方は国によって違う。外国人の増加や、オリンピックも考慮した外国人向けの交通安全教育、啓発を考えるべき。
・若者の事故防止のためにも、これから免許を取ることになる高校生への交通安全教育が非常に大切である。

【自転車の安全確保】
・さいたま市の全小学校で自転車の免許証を配っており、10年以上取り組んでいる。
三鷹市でも同様の取組をやっていると聞いており、強制するものではないが、将来的に導入も検討してみたらどうか。
・自転車専用信号の設置について、検討してほしい。
・自転車のヘルメット着用について、もっと強調した記載にした方がいい。

【車両等の安全性の確保】
・先進安全自動車(ASV)について、事故データに基づく効果の検証や義務化の検討が必要である。

【救急・救助活動の充実】
・医療データについて、海外では個人情報を省いてデータを活用しているので、個 人情報をどのように削除すれば使えるのか、検討願いたい。

【被害者支援の推進】
・(独)自動車事故対策機構(NASVA)について、療護施設は3年で出ていかなくてはいけない現実があり、「運用の充実を図る」という文言が入れられないか。

【踏切道】
・踏切について、第4種の全廃(第3種化も含めて)についての目標を入れてもいいのではないか。

【航空交通】
・航空分野における救急救助について、成田空港では空港での事故について、ドク ターヘリ等が迅速対応できる体制が出来ているが、羽田空港にはその体制がない。空港でもドクターヘリ等による救急救助体制が活用できるよう検討をお願いしたい。
・小型機について、点検は誰がやり、技量の維持はどうするのかという具体的な問題で、どうPDCAサイクルを回すのかをよく考えてほしい。

【全分野共通】
・道路、鉄道、海上、航空全ての分野について、交通インフラの劣化、老朽化の問題があるので、施設の老朽化対策について言及した方がいい。
・骨子(案)に、「協働」、「連携」といった言葉が散見され、大事なことである一方、誰かがやるだろうといった無責任体制にもなりかねないので、「それぞれが責任を持って」といったことも記載したほうが良いのではないか。
・異常気象による不安感もあり、自然災害を見据えた交通対策も必要なのではないか。

~目標について~
・認知症の問題もあり、2,500人は厳しいと思うので、死者数3,000人以下のままが良いのではないか。
・現時点において、9次計画の目標を千人以上、上回っていることから9次計画の総括が必要であり、その上で3,000人以下で目標設定すべき。
・過去にはゼロという考え方もあると思うが、死者数2,500人以下、死傷者数50万人以下が妥当ではないか。
・今後、自動ブレーキの車なども普及してくると思われが、一方で、自転車のマナーの悪さも問題であり、達成は厳しいかと思うが、死者数2,500人以下、死傷者数50万人以下で良いのではないか。
・事故自動通報システム(ACN)が普及すれば、死者数2,500人以下も可能であり、世界一の交通安全が実現できると思う。
・高めの目標で、かつ頑張れば達成できるという目標設定がいいと思う。死者数2,500人以下が良いのではないか。
・目標値はというからには、前より前進したものの方がいいと思う。死者数2,500人以下が良いのではないか。
・努力目標として適切だと思う、死者数2,500人以下が良いのではないか。積み上げ方式という意見もあるが、地域によって課題は様々であり、難しい。
・施策上の判断だと思うが、今後、事故減少の要因だけでなく事故増加の要因もある可能性も考えると、高いハードルを掲げすぎるのはいかがかと思う。できれば達成できる目標を掲げた方がいい。
・小泉政権の時に、交通事故死者数1万人以下の談話を発表した時、無理だと思ったが、みんなでその目標に向かって努力し、実際に達成した例もあり、厳しい目標でいいと思う。
・5年後に評価ができるよう、施策を積み上げた個別目標を設定した方がいいと思う。