第11次交通安全基本計画(中間案)に関するオンライン公聴会 議事録

日時:令和2年12月10日(木) 10:00~12:00
場所:中央合同庁舎8号館第1階講堂

  • 中島補佐 おはようございます。
     それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第11次交通安全基本計画(中間案)に関するオンライン公聴会」を開催させていただきます。
     本日は御多忙中にもかかわらず、公述人の方をはじめとしまして、大勢の御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
     初めに、内閣府大臣官房審議官の難波より御挨拶を申し上げます。
  • 難波審議官 皆さん、おはようございます。座ったままで失礼をいたします。
     内閣府で交通安全を担当しております大臣官房審議官の難波でございます。
     第11次交通安全基本計画の中間案に関する公聴会の開催に当たりまして、一言、御挨拶を申し上げます。
     本日は、新型コロナ感染症の感染拡大の影響により、オンラインの開催となりましたけれども、年の瀬のお忙しい中、多数の方に御参加をいただき、感謝を申し上げます。
     御案内のとおり、昨年中の道路交通事故死者数は3,215人と、過去最悪であった昭和45年の1万6,765人の5分の1以下となりましたけれども、幼児が犠牲になる事故、高齢運転者による事故が発生するなど、いまだ厳しい状況が続いております。政府、自治体をはじめ関係機関では、こうした事故を踏まえ、総理の指示の下、緊急対策を決定し、各種交通安全施策を推進するなどしてきたところであります。
     本年の交通事故者数は、過去最少であった昨年をさらに下回ってはいるものの、先月末現在で2,541人となりまして、残念ながら、第10次交通安全基本計画の目標である24時間以内死者数を2,500人以内にするという目標を達成することはできませんでした。
     そのほか、鉄道、海上、航空関係の事故も近年着実に減少してきておりますが、ひとたび発生すれば、多くの人命が失われる危険も否めないところでございます。
     このようなことから、道路交通をはじめ各分野において、交通安全を確保するためには、来年度から始まる第11次交通安全基本計画を真に実効ある内容とするとともに、これを着実に推進していくことが重要でございます。
     今回、内閣府におきまして第11次交通安全基本計画の中間案を作成したところですが、本日の公聴会は、この中間案について公述人の方々から直接御意見をお聞かせいただく貴重な機会であると考えております。公述人の皆様には忌憚のない御意見を賜りますよう、よろしくお願いを申し上げます。
     なお、交通安全基本計画について御審議をいただいている専門委員会議から、お忙しい中、赤羽座長と蓮花委員に御出席をいただいております。両委員には公述人の皆様の御意見を直接お聞きいただきます。
     あわせて、そのほかの専門委員会議の委員の方々に対しましても、本日いただいた意見を御報告し、審議に役立てていただくこととしているところであります。
     最後になりますが、本公聴会への御出席をいただいた皆々様に対しまして、改めて厚く御礼を申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
  • 中島補佐 続きまして、中央交通安全対策会議の専門委員に御就任いただいておりますお二人の委員を御紹介させていただきます。
     初めに、専門委員会議の座長を務められておられます千葉工業大学創造工学部都市環境工学科教授の赤羽弘和座長でございます。
  • 赤羽座長 座って失礼します。
     赤羽と申します。皆さんおはようございます。よろしくお願いします。
  • 中島補佐 続きまして、帝塚山大学学長・心理学部教授の蓮花一己委員でございます。蓮花委員はオンラインでの参加となります。
  • 蓮花委員 皆さんおはようございます。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
  • 中島補佐 また本日は、内閣府、警察庁、消防庁、法務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省、海上保安庁の各担当が出席しております。
     続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。先日、送付させていただきましたものを御確認ください。
     内閣府からは、本日の次第を配付させていただいております。
     また、公述人の方が御用意されました資料としまして、鈴木様からは1点「第11次交通安全基本計画に対する要望」2020年12月10日日本自動車工業会という横長の資料。
     続きまして、前田様からは2点、1点目が「第11次交通安全基本計画(中間案)への意見〈資料1〉」北海道交通事故被害者の会という資料。2点目が「交通死傷ゼロへの提言」2020年11月北海道交通事故被害者の会という資料。
     続きまして、岡田様からは1点「スウェーデンにおける子どもの交通事故予防対策について」という資料。
     続きまして、加山様からは1点「第11次(令和2年度~令和7年度)交通安全基本計画~中間案についての意見~」踏切事故遺族の会紡ぎの会という横長の資料。
     続きまして、大塚様からは2点、1点目は「外周発光装置付き横断歩道標識導入の効果分析」という資料。2点目は「ニュースの深層 南海放送解説室 第83回『横断歩道で“救える命”』」という資料。
     続きまして、長谷様、黒崎様からは2点、1点目は「命と安全を守る 歩車分離信号普及全国連絡会 資料」という資料。2点目は「命と安全を守る 歩車道分離信号普及全国連絡会 資料その3」という資料。
     続きまして、佐藤様からは1点「『第11次交通安全基本計画』中間案に対する意見書」クルマ社会を問い直す会という資料。
     続きまして、児島様からは2点、1点目は「NPO法人KENTO」という横長の資料、2点目は「NPO法人KENTO発行・無料冊子」という資料。
     続きまして、小沢様からは1点「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)第11次交通安全基本計画について」という資料。
     以上になります。
     以上、資料に漏れ等ございましたら、事務局へお知らせください。よろしいでしょうか。
     それでは、内閣府からの説明に入らせていただきます。
     第11次交通安全基本計画の中間案につきまして、内閣府交通安全対策担当参事官の寺本より御説明申し上げます。
  • 寺本参事官 参事官の寺本でございます。
     本日は公聴会に御参加いただきまして、ありがとうございます。私からは、パブリックコメントにかけております第11次交通安全基本計画の中間案につきまして、簡単でございますけれども、説明をさせていただきます。非常に分量がある計画でございますので、なるべくポイントを絞って説明をさせていただきます。
     まず、表紙につけている副題ですけれども、第8次計画より「交通事故のない社会を目指して」としております。本文の中におきましても、各交通分野の最初にはそれぞれ「事故のない社会を目指して」と置いているところです。
     その裏ですけれども、まえがきの記載をしております。これまで、10次50年にわたって計画を作成し、交通安全対策を実施してきたこと、道路交通事故による死者数は5分の1以下まで減少してきましたけれども、毎日のように交通事故被害者となる方がいること、鉄道、海上、航空においても、ひとたび事故が発生した場合は、重大事故となるおそれがあることを記載しています。
     このため、人命尊重の理念の下、交通事故のない社会を目指して、交通安全対策全般にわたる総合的かつ長期的な施策の大綱を定め、これに基づいて諸施策を推進するとし、期間は令和3年度から7年度までの5年間の施策の大綱を定めたものとしているところです。
     その後、目次が続いておりますけれども、2枚ほどめくっていただきますと、本文の1ページ目で、計画の基本理念について記載をしています。
     中ほどの括弧書きで、【交通事故のない社会を目指して】としまして、究極的には交通事故のない社会を目指すこと、次の2ページ目におきましては、【人優先の交通安全思想】を基本として施策を推進すること、次に【高齢化が進展しても安全に移動できる社会の構築】を目指すとしております。
     以降、「交通社会を構成する三要素」として、人、交通機関、交通環境の3要素を掲げています。
     3ページ目の下、「2.これからの5年間で注視すべき事項」では、「人手不足への対応」、次のページで「先進技術導入への対応」、「高まる安全への要請と交通安全」、「新型コロナウイルス感染症の影響の注視」と項目を置いております。
     4ページ目の後半以降は「3.横断的に重要な事項」として、「先端技術の積極的活用」、「救助・救急活動及び被害者支援の充実」、「参加・協働型の交通安全活動の推進」、「経営トップ主導による自主的な安全管理体制の充実・強化」、「EBPMの推進」、「知見の共有」という項目を置いています。
     6ページ目から「第1部 陸上交通の安全」として、「第1章 道路交通の安全」を置いております。ほかの各論とも共通いたしますけれども、最初は各分野の構成を示しています。「道路交通事故のない社会を目指して」と考え方の基本を置き、2で目標、3で対策、対策の内容として、視点と柱を記載しています。
     7ページ目から基本的考え方を示しています。
     1に究極的には交通事故のない社会を目指すべきとし、以下、2では諸外国と比較しても死者に占める割合が多い歩行者の安全確保、「3.地域の実情を踏まえた施策の推進」、「4.役割分担と連携強化」、「5.交通事故被害者等の参加・協働」という項目を置いています。
     9ページから10ページは、道路交通事故の現状として、これまでの計画の目標値と実績について記載をしています。
     11ページのグラフでは目標に掲げている死者を年齢別に見た場合の割合ですけれども、高齢者の割合が大きくなっていることを示しています。
     12ページでは、今回の計画の目標値について記載しています。道路交通事故のない社会を究極の目標とし、その前提として、死者数及び重症者数をゼロに近づけることを明記し、今回の計画期間の目標としては、死者数は2,000人、重症者数は2万2000人と設定しています。
     目標で「世界一安全な道路交通の実現を目指し」と記載していますが、13ページのグラフにありますように、人口10万人当たりの交通事故死者数で比較したときに、2,000人以下とすることで、現在、一番少ないノルウェーより少なくなることにつながる目標としています。
     また、重症者数を目標値に掲げていますが、命に関わり優先度が高いことから、今回、目標値として設定しています。
     14ページ以降が、対策を考える視点です。
     16ページから、昨今の事故の状況を踏まえ、「高齢者及び子供の安全確保」や死者の割合が多い「歩行者及び自転車の安全確保と遵法意識の向上」、18ページでは「生活道路における安全確保」、19ページでは「先端技術の活用推進」、「交通実態等を踏まえたきめ細やかな対策の推進」、20ページでは行政、関係団体、住民などの協働による「地域が一体となった交通安全対策の推進」を記載しています。
     以上の視点を踏まえまして、21ページ以降は施策の内容になります。
     21ページから「1 道路交通環境の整備」です。
    22ページの(1)生活道路についてでは、アで「ゾーン30」の整備推進、23ページのイでは通学路等の交通安全の確保として、点検を行い関係機関が連携して対策を行うこと、29ページでは、今回の計画で新たに(5)高齢者等の移動手段の確保・充実として、地域の自動運転サービスの社会実装や地域課題の解決に資するMaaSのモデル構築などの推進、31ページの(9)自転車利用環境についてでは、交通状況に応じて、歩行者、自転車、自動車の適切な分離を図り、安全で快適な自転車利用環境を創出すること、35ページ(12)エでは、災害時の情報提供として、警察や道路管理者、民間が保有するプローブ情報から運行実績情報を提供すること、などを記載しております。
     40ページから「2 交通安全思想の普及徹底」です。
     2段落目の2行目にありますように、幼児から成人に至るまで、心身の発達段階やライフステージに応じた段階的かつ体系的な交通安全教育を行うこととし、3段落目の1行目にあるように、参加・体験・実践型を取り入れること、5段落目では、国、地方公共団体、警察、学校、地域社会、民間、家庭が一体となった活動を推進すること、41ページ(1)では、段階的かつ体系的な交通安全教育を行うとし、幼児、小学生等、対象者別の交通安全教育について、44ページ6段落目のカの直前では、運転免許を持たない若者や成人への交通安全について学ぶ機会を設けるよう努めること、続きまして、46ページ(2)効果的な安全教育の推進では、47ページの2段落にありますように、動画の活用など、対面によらない交通安全教育を行うこと、47ページ(3)交通安全に関する普及啓発活動では、イとして、横断歩行者の安全確保を新たな項目とし、運転者に対して横断歩道手前での減速義務ですとか、歩行者に対して横断歩道を渡ることなどを周知すること、48ページウの自転車の安全利用の推進では、加害者になった場合への備えとしての損害賠償責任保険の加入促進や、全ての年齢層についてヘルメットの着用推奨、51ページ(4)民間の主体的活動の推進では、次の52ページで、交通ボランティアなどの高齢化に対して、幅広い年代の参画に努めること、などを記載しております。
     53ページから「3 安全運転の確保」です。
     54ページオの(イ)では認知機能検査などを通じて、安全な運転に支障のある者については、運転免許の取消しなどの行政処分を行うこと、55ページ(ウ)では、対象車両を安全運転サポート車に限定する免許制度の導入、57ページ(4)事業用自動車の安全対策では、事業用自動車総合安全プランに基づき、総合的な取組を行うとし、迷惑運転の根絶、などを記載しています。
     61ページからは「4 車両の安全性の確保」です。
     63ページイの先進安全自動車の開発・普及の促進では、先進技術に関する理解醸成の取組を推進すること、ウでは、高齢運転者対策として、安全運転サポート車の性能向上・普及促進など、64ページ(2)、自動運転車の安全対策・活用の推進を新規で追加し、アでは、より高度な自動運転機能についての基準策定を進めること、イでは地方部における無人自動運転移動サービス車両の実現に向けて実証実験などを促進すること、(3)自動車アセスメント情報の提供では、自動車の安全性に関する情報を自動車使用者に伝え、より安全な自動車の普及拡大を促進すること、などを記載しています。
     68ページから「5 道路交通秩序の維持」です。
     (1)のアの(ア)交通事故抑止に資する交通指導取締りの推進では、交通指導取締りの対象として、妨害運転を追加しています。
    69ページ(ウ)では、自転車利用者による信号無視などに対して、積極的に指導警告を行うこと、その下の(2)のアでは危険運転致死傷罪の立件を視野に入れた捜査の徹底について、70ページの最初のウでは科学的捜査の推進、を記載しています。
     72ページは「6 救助・救急活動の充実」でございます。
     救助・救急体制の整備などを記載しています。
     76ページ「7 被害者支援の充実と推進」です。
     77ページ(1)のイでは、自賠責保険による救済を受けられないひき逃げや、無保険車両による事故の被害者への救済の観点から、引き続き政府の自動車損害賠償保障事業の適正な運用を図ること、78ページ(3)のアの(カ)では、後遺障害者の介護者が、介護が難しくなる場合の「介護者なき後」に備えた環境整備を推進すること、(キ)では、被害者をめぐる各種社会的資源やその生活実態の把握を進めること、79ページの2段落目では、不起訴処分について被害者の希望に応じ、処分の内容及び理由について十分な説明を行うよう努めること、などを記載しています。
     81ページから「8 研究開発及び調査研究の充実」です。
     83ページ(1)のオとして、安全な自動運転を実用化するための制度の在り方に関する調査研究、(2)道路交通事故原因の総合的な調査研究の充実強化では、救命救急医療機関等との医工連携による交通事故データベースの構築や活用推進について、などを記載しています。
     85ページから鉄道交通でございます。
     87ページに目標としまして、①乗客の死者数ゼロを目指すこと、②運転事故全体の死者数減少を目指すこと、としています。
     88ページ以降が、対策です。
     89ページの2行目では、ホームドアの整備について、「2 鉄道交通の安全に関する知識の普及」では、ホームの歩きスマホによる危険性の周知など、90ページ(7)では、新たに大型台風の接近時における計画運休への取組について、などを記載しています。
     93ページから踏切道における交通の安全です。
     95ページに目標として、令和7年までに踏切事故件数を令和2年と比較して約1割削減することを目指すとしています。
     96ページ以降は、対策です。
     1としまして、「踏切道の立体交差化、構造の改良及び歩行者等立体横断施設の整備の促進」、98ページの4のその他では、最後の段落で、救急・救命活動に対応するため、関係者間での遮断時間の情報共有など、について記載しています。
     99ページから海上交通です。
     100ページでは、「第1節 海難のない社会を目指して」とし、海難の定義を記載しています。
     103ページに目標として、船舶事故隻数を令和7年までに1,500隻未満とすること、東京湾などふくそう海域での大規模海難の発生数をゼロとすること、救助率を95%以上とすること、を記載しています。
     104ページから対策です。
     107ページ(2)のエでは、新たに荒天時の走錨に起因する事故防止対策として、走錨リスクを判定するシステムの開発・普及や監視体制の強化を図ること、112ページからは、海難全体の約8割を占める小型船舶の安全対策について、113ページ(1)のアでは、ヒューマンエラーによる船舶事故の防止、ウでは、ライフジャケット着用率の向上について、116ページ(1)海難情報の早期入手体制の強化では、緊急通報用電話番号の118に加えて、聴覚や発話に障害を持つ方を対象にしたNET118について、などを記載しています。
     120ページから航空交通の安全です。
     123ページに目標として、①本邦航空運送事業者が運航する定期便について、死亡事故発生率及び全損事故発生率をゼロにすること、②航空事故発生率、重大インシデント発生率及び地上作業、施設等に起因する人の死傷又は航空機が損傷した事態の発生率に関する21の指標で、5年間で約17%の削減を図ること、としています。
     124ページから対策についてです。
     126ページ2の(1)安全な運航の確保等に係る乗員資格基準や運航基準等の整備では、操縦士のアルコール摂取に関する適切な教育を含む、日常の健康管理の充実等を図るとともに、航空会社の健康管理体制の定期的な監査・指導を実施すること、131ページ5では、無人航空機などの安全対策として、(1)無人航空機の安全対策では、無人航空機の有人地帯での補助者無し目視外飛行の実現に向け、機体認証などに係る制度の検討・整備を進めること、(2)「空飛ぶクルマ」の安全対策では、機体の安全基準等の安全の確保を推進すること、132ページ「7 被害者支援の推進」では、国管理の空港で、自家用航空機を使用する際には航空保険に加入していることを確認し、国管理以外の空港でも、同様の対策を要請していること、などを記載しています。
     説明としては、以上になります。
  • 中島補佐 ただいまの第11次交通安全基本計画(中間案)につきまして、公述人の方から御意見をいただきたいと存じます。
     なお、大変申し訳ございませんが、時間の関係上、お一人若しくは1団体、6分程度でまとめてお願いできればと思っております。
     なお、御参考までに、5分を経過しましたら、画面に「5分経過」というボードを差し出しますので、発言の際の参考にしていただければと存じます。
     それでは、まず初めに、鈴木英樹様、よろしくお願いいたします。
  • 鈴木様 おはようございます。日本自動車工業会の鈴木と申します。
     本日は、公聴会での意見発表の機会をいただき、ありがとうございます。早速ですが、自工会からの要望を御説明いたします。2ページ目をお願いします。
     本要望は、①現在、自工会が取り組むべき課題、②過去から現在に至るまで自工会が継続して提言してきた課題、③我々業界を取り巻く課題から構成され、3ページの1.高齢者対策、2.高校生の対応、3.緊急通報とドライバーモニタリング、4.通信インフラ整備、5.道路環境整備、そして自動運転に関する制度設計の6項目となります。
     4ページ目は、(1)高齢者向け交通安全教育普及活動の推進です。近年、高齢者による死亡事故は減少傾向にあるものの、状態別交通事故死亡者数では、歩行者が最も多く、自動車や自転車乗車中も多い状況が続いています。
     自工会では、高齢ドライバーのために、交通安全教育プログラムを開発、2008年から各地区の自治体で交通安全啓発の普及を推進してきましたが、今後は地域の交通事情に応じた高齢者の交通安全教育を関係省庁・自治体の連携で推進・拡大を要望します。
     続きまして5ページ目の(2)高齢者の運転技能向上につきまして、自工会は1996年から安全運転実技講習会を通じ、運転の機会を提供してまいりましたが、高齢運転者は運転に必要な認知・判断・操作の身体能力の低下による安全不確認や操作不適による事故が多いため、今後は産官学で連携した高齢運転者の運動・認知能力の調査研究体制を築き、運転能力を具体的に把握できる実効性の高い新たな講習プログラムの開発に向けた推進を提案します。
     6ページの(3)サポカー限定免許導入の対応です。政府が検討しています限定条件つき免許導入において、サポカーは交通事故低減に有効ですが、機能には限界があり、万能ではないため、過信につながらない正確な情報の周知が必要です。先進安全技術を搭載した車両が開発され販売されても、普及しなければ、交通事故低減の効果が期待できないため、サポカーの普及拡大施策の推進が併せて重要です。さらに、既にサポカーをお買い求めいただいたお客様の車両が無駄にならない、現在、普及しているサポカーの実態を踏まえた制度設計を要望します。
     7ページの2.運転免許取得可能年齢層の対応の(1)高校生の自転車交通安全教室について、大都市を中心に運転免許の取得年齢は上昇傾向にあり、公共交通や自転車利用で交通教育に触れる機会のない若者が増加しています。交通安全教育は学校安全教育に位置づけられているものの、十分とは言えません。自工会は教育委員会、教員、自動車教習所が連携したモデル事業を2015年から実施・研修し、このほど好事例集をまとめました。今後、これを活用し、全国の高等学校で交通安全教育の拡大を要望します。
     8ページの(2)高校生の二輪車安全運転指導について、二輪車業界は、運転免許の取得可能年齢層の高校生が正しい交通行動を身につける重要なステップと認識しています。二輪車に乗る全ての高校生に対し、安全運転教育を全国的に普及させ、隠れ乗り事故をなくすために、文科省、教育委員会、教育現場の理解促進及び二輪車業界と官民連携の取組の推進を提案します。2019年4月に埼玉県では、二輪車禁止措置を解除し、二輪車に乗る生徒を対象にした安全運転講習を県内の各地域で実施しています。
     9ページ3の(1)事故自動通報システムは、第10次交通安全基本計画で普及、高度化を図るために必要な環境整備がうたわれています。自動車メーカーでの事故自動通報装置の採用は進みつつありますが、アセスメントをはじめ認知度を高める広報啓発活動と、普及効果による交通事故死者削減につなげるために、緊急通報サービスの効果検証を実施し、有効性の公表を要望します。
     2つ目に、現在、教育ネットのほか、外資や保険会社など独自の接続機関が混在する状況は、統一した公的機関による安定的な接続サービスの下で普及につなげるためにも、環境整備の推進を要望します。
     10ページが先進事故通報システムの市場効果です。
     11ページの3の(2)は、医療機関と連携したドライバーモニタリングの実用化に向けたシステムの開発・基準づくりは、自動車メーカー単独では困難であり、工学と医学の融合が必要となります。ドライバーの心身の状態、異常の予兆を検出するシステム、異常判断方法と基準に関する研究開発の促進をお願いします。
     12ページの4の(1)は、協調型ITS等の現場は、グローバルで、欧州で今後、年間数十万台規模で車載機を普及する見込み、USでは約9,000基の路側機が既に設置され、いよいよ本格化する見通しです。国際競争力の観点からも、また、自動運転社会の実現のためにも普及促進が必要、全国規模の整備を要望します。
     SIP自動運転実証実験における信号情報配信システムの検討は、引き続き、産官学連携による研究開発を継続できる環境が必要です。実証実験で構築された路側システムと設備のレガシー化もお願いいたします。
     13ページの4の(2)の緊急車両が安全に交差点通過可能なインフラの普及です。喫緊の課題である救急車の出動回数の増加に伴う緊急搬送時間の短縮や、緊急搬送時の事故防止を両立させる対策が必要でありますが、既に試用化されている「ITS Connect」と「FAST」の組合せによって、効果的な交差点の抽出と実用化仕様、インフラ設置の検討を要望いたします。
     14ページの安全・安心な道路交通環境の整備につきましては、時間の関係で説明を省略させていただきますので資料を御確認ください。
     17ページになります。最後に、令和元年5月、道路運送車両法の改正と相まって、SAEレベル3の自動運転車が安全に道路を走行することができるよう法規が整備されました。警察庁では、上記に引き続き、SAEレベル4を想定した道路交通法改正に向けた検討が開始され、自工会も参画しています。官民が連携して取り組んでいる様々なサービスや自動運転技術の開発動向等を踏まえ、自動運転を実用化するための制度のタイムリーな検討を要望します。自工会としてもこの取組をサポートしていきます。
     御清聴ありがとうございました。
  • 中島補佐 鈴木様ありがとうございました。
     続きまして、前田敏章様、よろしくお願いいたします。
  • 前田様 北海道交通事故被害者の会です。
     これまでも意見、要望を聞いていただき、今回も発言の機会を与えていただいたことに感謝いたします。
     会の活動と願いについては、資料1のコマ番号1から4を参照してください。当会は21年前に北海道警察の導きで発足しております。当初から傷をなめ合うだけの会であれば意味がないと話し合いまして、相互支援だけでなく、犠牲を無にせず被害ゼロを求める活動を重視してきています。
     共通の思いは「こんな悲しみ、苦しみは、私たちで終わりにしてほしい」この一言に尽きます。公道で本来、道具であるはずの車が凶器ともなっている現状を異常と捉えない、麻痺した車社会を、改めて真に命が大事にされる社会を何より願っております。
     意見の骨子は、コマ番号5にまとめております。11次計画がパラダイム転換、車社会の根本的転換の一歩となるように、被害ゼロに向けた理念と目標、走行速度の抜本的抑制、歩行者自転車の安全と生活道路の静穏化の3点が明記、強調されることを願います。
     1点目の理念と目標ですけれども、交通事故のない社会を究極的ではなく、ゼロに向けた中期目標として示してください。その過程にふさわしい5年後目標へ上方修正をしていただきたいと思います。中間案の目標では、厚生統計の補正をしますと、5年間で1万4,000人以上の死者を仕方ないと追認することになってしまいます。計画全体に関わりますので、再検討を強く求めたいと思います。
     2点目は速度です。この課題への踏み込みが中間案で読み取れないことが残念です。10年前の公聴会でも申し上げましたけれども、日本学術会議の2008年の提言「交通事故ゼロの社会を目指して」の中では、10年間で交通死傷者数を10分の1とする中期目標とロードマップを提言しておりました。そのゼロを目指す重点課題の第一に挙げられていたのが、走行速度の抑制でした。
     しかしながら、中間案の30ページの効果的な交通規制の推進の項には、規制速度の引上げというくだりがまだ残っております。削除を求めたいと思います。資料2のゼロへの提言でも強調していますが、安全と速度の逆相関関係は明白です。速度の抜本的抑制を基本理念に掲げ、6ページの視点、柱に加えていただきたいと思います。そして、これを徹底するために、ISA、高度速度制御システムの導入を明記してください。
     3点目は、歩行者、自転車、子供、高齢者の安全を守り切る道路環境となるよう、ゾーン30、歩車分離信号、自転車レーンという核になる施策の早期徹底です。私たちは5年前の10次計画に、初めてゾーン30による低速度規制が位置づけられたときに大きな希望を感じました。しかし、その後の整備速度は、課題に比して極めて不十分と言わざるを得ません。ゾーン30は昨年度末までに、全国3,864か所、北海道で139か所と聞きますけれども、札幌に住む私もあまりに少なく、ゾーンというより点や線のようにしか思えないのです。大規模に面的に広げなくては全ての生活道路での低速度走行という波及効果も生まれないと思います。
     コマ番号6を参照ください。
     中間案でも課題として指摘されておりますけれども、我が国の歩行者と自転車の被害割合の高さです。これに対して、ノルウェーでは、2019年の15歳以下の子供の交通死がゼロになったという報道がされています。勇気づけられます。
     一方、我が国では、コマ番号9の道新記事が示すように、小学生の被害もやまず、道警が歩行者保護の徹底を呼びかけている。これが現状です。歩車分離信号も同様です。安全の効果が以前から確認されているにもかかわらず、設置率は4.5%にとどまっています。自転車レーンを含め、西欧の進んだ理念と施策を本格的に取り入れ、計画の根幹に反映してください。
     最後です。
     コマ番号10にパラダイム転換を阻む麻痺を挙げました。こうした麻痺を助長させないために幾つか見直しを検討ください。
     8ページの参考コラムは不適切と考えます。命や健康の被害を経済的損失に置き換えることは麻痺を助長すると思います。
     26ページに重大事故の再発防止の項があります。これも麻痺を助長すると思います。原因究明と再発防止は全ての死傷事件に対して重視してください。
     47ページに新たに加わった横断歩行者の安全確保の項ですけれども、「運転者に対して横断する意思を明確に伝え」とあるのは、歩行者保護の点からも強調すべきことではないと私は考えます。
     以上ですが、冒頭に述べたように、私たちは交通犯罪被害というのは、減らせばよいなどというものではない、決してあってはならないものと強く思います。取組の先例がヨーロッパにあるわけです。理念があるわけです。11次計画でゼロに向けて大きなかじを取っていただきたい。そのことをお願いして、私からの発言を終わります。よろしくお願いいたします。
  • 中島補佐 ありがとうございました。
     続きまして、岡田百合香様、よろしくお願いいたします。
  • 岡田様 お願いします。
     私は今、愛知県で医師をしております。今回、初めて個人で参加させていただきましたので、皆様と比べるとちょっと資料がまとまっていませんが、よろしくお願いいたします。
     今回、私は医師の立場からと子育て中の母親の視点から、また個人の視点からに分けて幾つか提言をさせていただきます。
     まず、医師の立場から、8ページの役割分担と連携強化の部分に関して、交通安全に関わる機関として医療機関はぜひ加えていただきたいと考えます。私が配付した資料は、ともに交通事故対策に取り組む医師の論文です。2003年の少々古いものにはなりますが、今の日本にとって、まさに目指すべき理念、政策が分かりやすく書かれていますので、また御一読いただければと思います。
     こちらにも、事故予防は保健医療の領域であると書かれています。医療というと交通事故においては、負傷者の治療という印象が強いかと思いますが、実際には運転適性の判断といった予防の面においても必要不可欠な機関であると考えます。
     一方で、現在、医療機関は交通事故予防の観点からは、ほとんど効果的な関与ができていないと感じます。交通事故の中には、背景に医療的問題を抱えるものが少なくありません。アルコール依存症による飲酒運転は分かりやすいですが、あおり運転や危険運転の背景に精神疾患が存在することもあります。てんかんや糖尿病によるインスリン治療などによる重大事故事例が社会的に問題になったこともあり、一部の専門家の間では、疾患と自動車運転は重要な問題となっていますが、一方で、それ以外の一般の診療においても、処方薬の影響でふらつきが生じ交通事故につながった事例、脳や心臓といった突発的な疾患により事故を起こした事例、また手術や抗がん剤に伴う運転への影響に医師として悩むことは日常茶飯事です。
     患者の家族から運転に対して助言を求められることも少なくありません。これらを現在は個々の医師の判断で決めざるを得ません。高齢者の運転事故では医師の判断に注目されたケースもあり、今後、共通のガイドラインづくりや事故データの共有、問診票に運転の有無を記載させるなど、医療が交通安全に関わるべき点は間違いなく多いと考えます。交通安全関係機関に医療機関を含めることは、安全な交通環境づくりに必要不可欠であると考えます。よろしくお願いします。
     続いて、子育て中の母親の視点からです。現在、2歳の息子を育てる私にとって、交通事故の恐怖というのは人ごとではなく、解消には喫緊の課題となっています。その上で子供の安全確保の上で、交通安全教育では不十分であることの認識の共有と記載をお願いしたいと思います。
     41ページより交通安全教育の推進について、ライフステージ別にページを割いていただいておりますが、私の配付した資料の1ページ目を御覧いただきますと、スウェーデンの児童心理学者が、就学前の子供には交通事故を避けるために必要な認知能力はない。子供を交通安全教育による交通状況に合わせさせるのではなく、子供が交通事故に遭わずに済む交通環境をつくるしか道はないと、30年以上前に喝破しております。
     まさに未就学児の育児中である私にとっては、このことを日々痛感しており、しつこいぐらいに道路に飛び出してはいけないと言い聞かせたり、必ず手をつなぐように言い聞かせていても、興味を引くものがあれば道路に向かっていってしまい、肝を冷やしたこともあります。複数の子育てをするとでもなれば、常時子供と手をつないだり、いっときも目を離さないことは不可能です。
     子供というのは、現在の道路環境に何の責任もありません。大人が自分たちの都合でつくり出した子供にとって危険な道路環境に、子供たちを適用させるというのは大人の傲慢であると考えます。子供にとって、子供を守るためには、子供への安全教育では不十分である旨の記載をぜひお願いいたします。
     続いて、保護者を対象とした安全教育の項目を作成していただきたいと思います。保護者への安全教育については、小学生への安全教育、シートベルト着用の項で触れられてはいますが、1つの項目として作成していただきたいです。子供はシートベルトやチャイルドシート着用について自分の意思で選択することはできず、保護者の安全意識の高低により事故リスクを子供が負う現状は理不尽です。
     また、シートベルト着用以外にも、子供を抱いての2人乗り、3人乗り自転車が死亡という重大な結果につながった事故も記憶に新しく、車中への子供取り残しによる子供の熱中症による死亡も毎年発生しています。ベビーカー使用中のながらスマホなど、子育て期に関連した交通安全上の啓発事項は非常に多いと考えますので、ぜひ独立した項での教育をお願いしたいと思います。
     最後に私個人の視点から、47ページの交通安全運動推進の項において、「交通死亡事故ゼロを目指す日」が挙げられています。これを「ノーカーデー」にしてはどうでしょうか。関係機関の啓発活動はもちろん意義があると考えますが、国民への浸透具合、効果については首をかしげざるを得ません。そこで、思い切って「交通死亡事故ゼロを目指す日」を全国一斉の「ノーカーデー」に切り換えてはどうでしょうか。近隣国では、ノーカーデーをきっかけに、自動車進入禁止区間の議論が進んだケースや、自動車のない生活を実感することで安全性に対する意識が高まったケースもあるようです。ノーカーデーであれば交通死亡事故ゼロを達成する可能性も一気に高まり、インパクト、効果ともに非常に大きなものになると考えます。ぜひ御一考いただければと思います。
     また、横断歩道の増設について、47、48ページの横断歩行者の項において、歩行者横断歩道を渡ることという記載がありますが、現在、横断歩道の割合が少な過ぎることが道路横断の一因になっていることは間違いないと考えます。歩行者優先を掲げるのであれば、横断歩道の増設は必要不可欠であると考えます。
     以上、よろしくお願いいたします。
  • 中島補佐 岡田さん、ありがとうございました。
     続きまして、加山圭子様、よろしくお願いいたします。
  • 加山様 私は踏切事故遺族の会の代表を務めます加山圭子です。このたびは、計画案について意見を述べる機会をいただき、ありがとうございます。
     私の母は、15年前に竹ノ塚の踏切事故で急行電車にはねられて他界いたしました。踏切保安係が、急行が来るのを忘れて遮断機を上げたため、多数の通行人が踏切内に入り、4人が死傷、その中に私の母もおりました。事故後、竹ノ塚では対策が取られ、今は高架化の工事が進んでおります。
     3ページですが、この事故の後、開かずの踏切問題がクローズアップされ、国交省では緊急対策として必要な踏切を抽出し、対策が進められました。鉄道事故に関する統計や対策についても毎年、鉄軌道輸送の安全に関わる情報というものが公表されております。
     さて、踏切道ですが、鉄道と道路が交差するところです。この踏切道とは、この50年間で半減いたしましたが、死亡者は4枚目の4ページを御覧ください。死亡者については、平成17年度から令和1年度の15年間で1,654人に上ります。踏切事故は、踏切に入った人が悪いという人がおられますが、それならいわゆる悪い人は、毎年踏切事故で100人前後が亡くなっているわけですから、踏切事故はなくなるはずです。しかし、令和1年度の踏切事故は、211件で死傷者数216人、死亡者84人で、鉄道の運転事故全体の33%を占めております。
     踏切では、3日に2件の事故が起き、4日に1人亡くなっているということになります。ということは、踏切事故は個人の問題ではなく、背景があり社会問題であると言えます。
     鉄道立体化の対策は進められておりますが、一部の地域に限られています。繰り返される踏切事故について、どのようにしたらなくしていけるのか、意見を述べさせていただきたいと思います。
     5枚目と6枚目については、細かい説明は省きますので、後で件数などについて御確認くださいますようお願いいたします。
     7枚目についてもほかの都市と比べましたが、こちらも後で御覧ください。
     8枚目を御覧ください。
     計画の基本理念についてですが、以下の点について付け加えさせていただきたいと思います。事故調査体制の充実という項目を設けるべきだと思います。
     9枚目ですが、2番目として事故情報の公開・共有の項目を設けてください。やはり事故情報を共有することで、事故の安全対策をつくっていくことができると思います。
     10枚目ですが、踏切道における交通安全についてという項目です。目標についてですが、踏切事故を令和7年度までに、令和2年と比較して半減させることが必要です。中間案では約1割削減となっていますが、事故調査をして適切な対策を取るならば、半減させることが可能ではないかと思っております。視点について付け加えていただきたい点ですが、踏切道を通行する人の視点を加えて、それぞれの踏切の状況を勘案した効果的な対策を推進する。中間案では、こういった踏切を利用する人の視点については触れておられませんので付け加えてください。
     次のページの対策についてですが、11ページになります。踏切等のバリアフリー化に努める。
     12枚目の写真を御覧いただきたいのですが、事故のあった踏切では凹凸が多く、例えば、上の写真ですけれども、山梨県の赤斐山踏切というところでは、電動車椅子に乗っていた女性がここで立ち往生なさって列車にはねられ亡くなっています。ここは、凸凹していて狭いために脱輪もしやすいかと思います。私たちは事故から10か月後に訪れたのですが、まだ改善されていませんでした。近くには第一種踏切の車が通れる踏切があるのですけれども、こちらは整備されていて、凸凹もなくとてもきれいな踏切でした。車が通らないからといってこのような凸凹した踏切を放置するのではなく、高齢者や車椅子、ベビーカーを押す方も不便なく通れるようにしていただきたいと思います。
     下の山の根踏切というところは、逗子にある踏切ですが、こちらでもお年寄りの方が亡くなっています。
     13枚目を御覧ください。
     遮断機のない踏切を通行する人が、停止線から見た踏切通過列車の見通しを確保し維持する。
     これは14枚目の写真を御覧ください。これは佐賀県の於保踏切というところですが、車へ乗っていた女性が列車にはねられて亡くなりました。そこで、車の運転士さんの位置から目線を列車の来るほうに向けてみますと、電柱が立ち並んでいてちょうど列車が来るのが見えにくいということになっています。遮断機のないところでは、列車が来ることが分かりませんので、見通しをよくしていただきたいと思います。
     また、ここでは、各駅停車であるとか特急であるとか、いろいろな速度の電車が通りますので、踏切に来るのに特急ですとあっという間に来てしまいますし、そういう電車ですと、どれくらいたてば来るのかというのは分かりづらいということもあります。とても危険なところだと思います。こういったところにはやはり遮断機が必要だと思います。
     15枚目以降に書きましたけれども、遮断機のない踏切での事故が繰り返されています。遮断機があるところに比べると、やはり事故の割合が多くなっておりますので、注意喚起するだけでなく、物理的に通行を遮断することが必要であると思います。遮断機をぜひ設置していただきたいと思います。
     4番目ですが、人を検知する踏切安全装置が必要です。踏切道を通行する人が踏切道に取り残されたときに、人を検知して電車が踏切の手前で減速または安全に停止できるよう、装置の開発・設置を進めるべきです。
     16ページで、踏切道改良促進法の運用を推進していただきたいと思います。平成28年度以降、国土交通省では、配慮すべき踏切道として1,180か所の踏切を指定いたしました。踏切道の改良は進んでおりますが、まだ改良が検討中のところもございますので、そういったところでは対策を進めていただきたいと思います。
     17ページで、全ての踏切死亡事故の事故調査が必要であると思います。踏切の事故をなくすには、やはりどのように事故が起きたのかを調べることが対策を立てる上で必要であると思います。
     7番目は、事故調査や安全対策に関わる人材を確保し、知見の蓄積に努め、継続して職務に専念できる体制をつくっていくことが必要だと思います。
     8番目は、被害者支援の充実と推進を図ることが必要です。事故で大切な人を失った遺族や親しい人たちは、なぜ大切な人が事故に遭ったのかを知りたいと思い、亡くなった人の命が無駄にならないよう、同種の事故がなくなることを願っております。事故の情報を迅速に正確に伝えることが大切であると思います。
     以上です。御清聴ありがとうございました。
  • 中島補佐 加山様、ありがとうございました。
     続きまして、大塚つや子様、よろしくお願いいたします。
  • 大塚様 交通事故被害者遺族の声を届ける会の大塚です。よろしくお願いいたします。
     今回の第11次基本計画中間案に関して意見を述べさせていただきます。
     まず、この交通犯罪の状況は現在のコロナの状況に少し似ているなと感じます。犠牲になるのは高齢者が多く、それを拡散しているのは20代から50代が多いということ。やはり、まず拡散することを食い止めなければいけないのではないかと考えます。
     本題に入ります。
     交通安全思想の普及徹底という項目の観点からの意見として、以前より自動車メーカーによるコマーシャルの中に、交通安全を呼びかける事項を盛り込むことを要望してまいりましたが、むしろ、それとは逆に、まるで交通事故をあおっているかのようなコマーシャルが流れています。有名な俳優が自動運転の車に乗り、追い越しちゃえとかやっちゃえというせりふを言い放つというものです。車に対しての安全意識が感じられないことに対して憤りを感じてしまうコマーシャルです。毎日のように車によって命が失われていることへの思いを持ち合わせていないのか、または、経済優先の社会に甘んじて鈍感になっているのかと勘ぐってしまいます。
     このようなコマーシャルが流れないよう、自動車メーカーに対して、交通安全の理念を念頭に置いてコマーシャルをつくることを国として早急に義務づけていただきたいと思います。
     次に、防ぐことができるはずの交通死亡事故は誰によって起きているのか。日本においては、歩行者の死亡率が非常に高く、他の先進国に比べても歩行者の死亡率が多いと言えます。交通弱者である自転車や原付自転車、さらにオートバイなどが加わると半数以上となります。また、日本では、他国に比べて信号のない横断歩道で歩行者優先のルールを守る人が非常に少ないことが明らかになっています。
     私たちの会員の中にドイツ在住の方がいますが、8年間、ドイツに住んで過ごしていた中で、横断歩道で止まらなかった車は1台もなかったとのことです。私の経験からは、日本では、20回に1回止まるかどうかの割合のように思います。
     このことは、交通安全に対する意識の低さやルールを守ろうとしない車社会優先の考え方が原因なのではないかと考えられます。それはどのような形で命が奪われているかを見てもうかがえます。漫然運転やわき見運転や安全不確認などのいわゆる安全運転義務違反によって命が奪われています。危険運転にはならないような安易な行為によって命が奪われているのです。
     このような安全運転の取組として、高齢者に対しては様々な対策が取られていますが、事故を起こしている層は、負傷者から見れば20代から29歳が最も多く、次いで30歳から39歳、そして40歳から49歳が多くなっています。全体の52.8%を占めています。これらの層に対する対策として、免許取得時にさらに厳しい項目を設けたり、さらに1年後、2年後、3年後ごとに試験を課すなどの厳しい対策を取るべきと考えます。
     特に、一般の犯罪でも80%が男性であり、また、あおり運転の90%も男性です。命に対する考えや交通安全に対する意識の低い男性層に対しては、一層の教育が必要と考えられます。高齢者に課している様々な対策と同様に、これらの対策は必置と考えます。
     最後に、基本計画の中にも書かれていますが、一般乗用車に対しての事故調査委員会の設置を要望します。自家用車による死亡事故は、事業車両による死亡事故の7倍になり、全体の67.2%を占めています。既に設置された事業用自動車の事故調査委員会と同様に、重大事故に関しては、事故調査委員会により原因究明や今後に向けた安全対策に取り組んでいただきたいと思います。事故を未然に防ぐことができる重要な役割で、必要不可欠なものであると考えます。
     以上、よろしくお願いいたします。
  • 中島補佐 大塚様、ありがとうございました。
     続きまして、長谷智喜様、黒崎陽子様、よろしくお願いいたします。
  • 長谷様 命と安全を守る歩車分離信号普及全国連絡会の長谷と申します。
     中間案ですが、人命尊重の理念はよいのですが、内容は依然として歩行者への解釈が注意喚起ばかりの自助努力が主体です。これでは基本法の理念が揺らぎます。
     中でも特に見直していただきたいものが、今年は歩車分離信号やゾーン30の強化、ドライバーへの注意喚起です。ドライブレコーダーの普及もそうです。そして、自転車通学生の安全です。その説明にはとても時間が短いので、この資料を作成いたしました。
     まず、歩車分離信号ですが、日本の信号交差点は、イラストにあるように歩行者の注意は防ぎ切れない3つの危険があります。右折車両が人を見落とすと確実に青信号の巻き込み事故が発生します。理由は、人がヒューマンエラーを起こすとの前提で信号運用がされていないからです。人命尊重の旗印とも言える歩車分離信号の力強い推進と、ゾーン30の大幅な拡大を願います。
     次の図面はイギリスで使っている6つの図面です。全て歩車分離信号です。
     2つ目はJAFの調査で、歩行者がいても横断歩道で車が止まらないということを取り上げ、車が止まるのはおじぎだということを皆さんが宣言していますが、それはおじぎではありません。そのことを書いています。歩行者の注意は車から身を守る注意、ドライバーの注意は歩行者を殺傷させない注意、どちらに重点を置くべきか考えていただきたいと思います。事故防止には、ドライバーへの強い指導が重要です。
     最後に、ドライブレコーダーですが、交通事故には多くの遺族が事故処理に納得できず苦しんでいます。本計画では、被害者支援の充実と推進が重点項目です。事故の真相を記録するドライブレコーダーは、運送業者のみならず、一般車両へも推進し、義務化となるよう検討をお願いします。
     私のほうからは以上です。
     次に、群馬事務局の黒崎から意見を述べさせていただきます。
  • 黒崎様 黒崎です。
     提出しました資料その3を御覧いただきながら進めたいと思います。  約半世紀続く交通安全基本計画を知ったのは、次のページの13歳の我が子が5年前に青信号の自転車横断帯を横断中に、交差する赤信号の信頼を裏切った大型トラックに凄惨に殺されたからです。
     次のページで、人が秩序立てて行政管理する道路交通では、戦後74年で95万人を超える死者、4,678万人を超える負傷者を生み、同等数とも言える加害者を生み続けている事実。
     次のページで、道路交通での死傷は通常の死亡ではありません。突然、暴力的に時期尚早に亡くなった家族や友人を思い出すことの重要性を知っていただきたいのです。
     次のページで、貴い人命を守るこのたびの計画は、最も危険な自動車に周知が行き渡り、公序を良俗に運用されなければ、安全確保の対策は不十分と思います。
     次のページで、約130年前に車が誕生した欧州諸国では既に、交通死傷ゼロ政策、ビジョンゼロが始まっています。
     次のページへ行ってください。特に、このたびの交通安全基本計画の見出しやタイトルについて精査をお願いしたいのです。例えば、交通安全基本計画というのを交通安全確保の基本計画とか、資料の下へ行って、人優先というのを例えば統一して、人命を守るといって、子供たちにも分かるような言葉にしていただいたり、高齢者及び子供の安全確保というのを子供及び高齢者の安全確保のようにしていただけないかと思います。
     次のページで、信号交差点の巻き込み事故防止策として、車を分けて通す歩車分離信号への改善が必要と思います。
     次のページで、大型車両による犠牲者は自転車が突出していることが、交差点の左折で分かります。
     続きましてつけております資料は、昨年の11月に公述させていただいた後、この1年でできることはないかと思って作成してきた資料の数々です。ウェブのほうでもたくさんの方に協力いただきながら資料を作成してみました。交通安全プログラムのほうも、ほとんどのお母さんたちは知りませんでした。そして、新たにこの計画にない駐車場内の基準のことについても、包括的に精査をお願いしたいのです。
     昨年2月には、スーパーマーケットの看板で制限速度20キロというのを8キロに書き直していただいたりしました。自転車通学の学生への資料などは、現在はキャンペーンのようで、教科書の表紙のようです。ぜひ、この声を今回の計画に反映させていただきたいのです。
     御清聴ありがとうございました。
  • 中島補佐 長谷様、黒崎様、ありがとうございました。
     続きまして、佐藤清志様、よろしくお願いいたします。
  • 佐藤様 よろしくお願いいたします。
     佐藤のほうから、中間案に対する意見を述べさせていただきたいと思います。
     私は今回、クルマ社会を問い直す会というところから発表させていただきます。クルマ社会を問い直す会は、車に限らず、自転車や鉄道など公共交通などを考える市民団体で、全国で集まっているものの集まりでありますけれども、私自身が交通被害者ということもあり、道路交通安全に絞った意見を今回は述べたいと思います。
     意見書のほうを見ていただきたいと思うのですけれども、第1に基本理念に関して、第8次より人優先の交通安全思想を掲げているも、交通死者の半数以上は交通弱者が10年以上占めている状態があります。こういったところに強い計画を示す必要があるのではないかと思います。
     第1次のときには、歩行死者半減という目標を立てていましたが、これと同じような目標立てが今も必要ではないかなと思っています。交通戦争と呼ばれた第1次で最も多かった歩行者死者が、歩車分離や歩道橋などの設置により、どんどん低くなっていったのですけれども、第8次のころには再びトップに戻り、現在まで続いてしまっています。このことが分かりやすいグラフを今回、つけたかったのですけれども、間に合わなかったので、後ほど追加したいと思います。
     第8次より掲げられた人優先の基本でもある歩行者の安全確保のためにも、歩行者被害を何よりも中心に見据えた安全対策、歩行者側の自己防衛ではなく、車側にしっかりと注意喚起を求めるような啓発対策を求めます。
     第2に、死者数目標に関してです。今回の中間案をまとめた検討会の中では、ビジョンゼロなど、ゼロという言葉がたくさん見受けられたのですけれども、この中間案の中にはゼロという言葉があまり見受けられません。この第11次現時点において、ゼロ達成はいつ頃を見据えているのか、こういったこともぜひ示してほしいと思います。
     先ほど交通死者が、第11次では2,000人以下と掲げられたと聞いておりますが、2,000人になるということで、ノルウェーよりも低い世界一安全な道路交通社会と言っておりました。しかし、ノルウェーにおいては、昨年2019年に、子供の死者がゼロを達成しているとも聞きます。目標の数だけではなく、その中身もしっかりと考える必要があるのではないでしょうか。そのためにも、スウェーデンで掲げられたビジョンゼロに基づくような、全ての被害に対して加害者の証言寄りの調査ではなく、客観的な証拠によるもの、あるいはドライバーだけではなく全ての要因に責任が明確になるような調査なども示していただきたいなと思っています。
     3.歩行者、特に子供の安全確保に関して、今のノルウェーのこともそうなのですけれども、今回の11次の中には、歩道の整備あるいは生活道路の対策、遊び場の確保などに踏み込んでいるものの、まだまだ車側に対する対策事項が弱いように感じます。学校や公園などの周辺の車両の規制あるいは駐車禁止の強化、あるいは速度制御、スクールゾーン内では被害時の厳格処分、処罰(危険運転致死罪)といったものを示すべきだと思います。
     欧米などにおいては、公園などの周りはそもそも車が入らないような進入禁止のところになっています。でも日本では、格好の駐車場所になっているような気がします。生活道路内の安全確保のためにも、スクールゾーンあるいは、先頃定められたキッズゾーンなど、こういったものの形骸化をなくすためにも、また、無信号横断歩道等での車側、交通強者側への意識づけのためにも、指導対策を徹底的にするような強化といったものも求めていきたいと思います。
     先ほどのスクールゾーンの厳罰化でも言ったのですけれども、危険運転致死傷罪が定められたときには、進入禁止場所での被害に対しては、この危険運転致死傷罪が適用されると書かれていたのですが、そういったことが実際にされているところはあまり見たことがありません。法律のほうでも、しっかりと厳格化されるようなことも望みたいと思います。
     4.事故対策被害者等に関して、いまだ理解の足りない交通犯罪被害者の心情に配慮した支援や対策はまだまだだと思います。さらなる充実のためにも、被害当事者の経験を生かした講話等による被害者理解、学習の場を増やしていただきたいと思います。
     ニュースなどでは見聞きすると思うのですけれども、交通安全運動ですら形だけのように感じます。交通安全についても、被害者の悲惨さに対して理解が乏しく、安全という意識も低いと思います。被害者の生の声を交通安全に生かすためにも、そういった場をぜひ増やしていただきたいと思います。
     また、国連が定めた11月の第3日曜日、ワールドデー「世界道路交通被害者の日」こういった日を活用していくのも必要ではないかなと思っています。エイズデーと同じように行政がこういったものに力を入れていただき、国や行政が主導的にこういった運動も進めていただければと思います。
     5.先端技術の積極的な活用に関して、導入に関してユーザーの理解があまりにも足りないのではないかと考えます。先頃、一部システム導入がされるレベル3というものも聞きますけれども、こういったものに対してまだまだ理解が足りないと思います。過剰な頼り過ぎによる過信や、あるいは異常時の対応などについてレクチャーや研修などをしっかりとユーザーができるような、そういったものも必要ではないかなと思います。
     また、自動運転と運転支援の違いをしっかりと明確化するべきではないかなと思っています。個人的には、自動運転は公共交通活用にとどめ、個人オーナーカーでは、支援にとどめた運転者に現状のままの責任を問えるような車社会が、私が必要ではないかと思っています。
     今回、公聴に関してリリースされましたけれども、公表から1週間以内ということで、締切りまですごく厳しい状態がありました。委員の中に遺族が参加していたということもあって、早い段階から知ることもできたのですけれども、やはりこういった被害者を欠かさず、委員の中に取り入れていただくといったことも、今後も続けていっていただきたいと思っています。
     最後に、コロナ禍で医療の逼迫が叫ばれている状態ではありますけれども、それよりも前に、多くの交通被害者の対応を医療現場ではされてきました。医療機関関係者に対する貢献、感謝を交通の面からも伝えるとともに、コロナ禍と同様に、真剣にこの対策、対応を交通の場でも望まれるようなことを私も考えているところです。
     御清聴ありがとうございました。
  • 中島補佐 佐藤様、ありがとうございました。
     続きまして、児島早苗様、よろしくお願いいたします。
  • 児島様 NPO法人KENTOの児島早苗です。
     この場を御準備くださいました内閣府関係者の皆様方、感謝を申し上げます。
     道路交通死者数についてですが、2019年の24時間以内死者数は3,215人で、年間は約1.4倍のおおよそ4,500人。航空機事件の皆様、たとえで申し訳ありませんが、国内線大手航空機の平均座席数はA社が約200席です。2019年だけで満席の国内航空機22機が墜落、全員死亡に匹敵します。毎年22機が墜落する大事件が国内で起き、約4,500人の死者が出ると国民は黙っていません。
     しかし、それだけの交通死者が、道路上で毎年亡くなっています。道路交通事故は、捜査段階でも刑事法廷段階でも、大変軽くみなされる時代が続き、今日もさほど変わっていません。2004年に成立した犯罪被害者等基本法全文中、交通事故被害者の文字はありません。これでは、後々大変だと、全国の交通事故被害の遺族方に呼びかけ、内閣府に基本計画内には、交通事故被害者の文言を明記してくださいと全国各地から要望書の提出が始まり、ようやく交通死被害者遺族を加えてもらいました。さほどに軽いのです。
     2005年に内閣府犯罪被害者等施策推進室の加地室長を通じ、交通事故ならばと紹介され5か年の交通安全基本計画に出会い、同年10月の第8次交通安全基本計画中間案公聴会に、公述人として初参加、同基本法が国民に向けガラス張りになった瞬間です。
     今回、第11次に向け、第7次まで遡り基本計画文を読みました。すると、高齢化問題、通学路問題、被害者支援、地域ぐるみ、歩きたくなるような安全で快適な歩行空間などの文言が既に記述され、その後、ハンプ、ラウンドアバウト、協働という文言が加わり始め、見やすい工夫がされるようになりましたが、ほぼ同内容が第11次中間案まで繰り返していることも発見しました。中間案策定までに専門委員会議が繰り返され、その中で発案された内容が、必ずしも計画案に反映されてはいないことも分かりました。
     ただ、計画案策定は大変な作業であり、あなたはできますかと尋ねられましたら、とても担えるものではありません。しかし、交通事故被害者遺族たちは、亡くならなくてもいい命をどうやって救えるか、第2、第3の犠牲者をどうすれば防げるかを年中考え続けています。
     昨年秋頃より、隣町の通学路問題を知り、コロナ禍のこの1年をかけ、自治会長、自治連合会会長、地域ボランティアメンバー方とともに要望書を市長、警察署長、JAF奈良支部長宛に提出をしてきました。地域の方々との協働により分かったことを述べますと、私たち国民、住民の切実な交通事故抑止のお願いに対し、いずこも他人ごとの対応であったことです。5か年ごとの基本計画には、毎回、国民とともに地域住民とともにとうたわれていますが、地域住民の必死な思いに応える行政などの側に本気さが全く見えてきませんでした。
     ある窓口担当者は、死亡事故や重傷事故が起これば、対策を講じ対策前後の結果を数値で見てもらえるが、何も起きていない通学路に対策や規制はできない。児島さん、それを分かっていてくださいと、交通事故被害者遺族と知りながら発言しました。
     息子は自宅近くで2トントラックに左側走行の道を塞がれ、トラックのスピードに押し戻され亡くなり、その後、死人に口なし、泣き寝入りの現実が待ち構えていました。同時に、同じ事故現場で以前にも小学生が大型車により重傷を負ったという事実を地域自治会長から教えられました。その危険な場所に行政の対策はなされず、その延長線上で息子の死が起きました。速やかな対策がなされることで防げた死亡なのです。公平な捜査が一切見えず、安全対策をと願っても捜査機関はすぐ動きませんでした。
     隣町の通学路の安全対策の行動の一環で、県内初のハンプ設置箇所、同じく県内初のラウンドアバウトを視察しました。いずれも、民家が周りに少なく交通量も少ない。ここに設けるなら、奈良市の小学校区内で危険箇所が最多である隣町の通学路にこそ、ハンプとラウンドアバウトを即刻設置してほしいと心底願わずにはおられません。
     以上の結果を踏まえ、交通安全基本計画に対し、3点要望します。
     1、第11次以降の基本計画に対し、つけられる国家予算の各施策に対する配分をガラス張りにしてください。各施策を自治体、警察署等に予算ごと丸投げではなく、地域住民や交通事故被害者遺族との協働体制を組める仕組みを必ず設けてください。
     2、基本計画を国民、地域住民レベルに合わせ、重点課題にポイントを絞ったシンプルで分かりやすい内容と文言に変化させてください。
     3、交通事故被害当事者、遺族、家族たちと地域住民、自治体、行政等をつなぎ、理解や共感、協働の促進をするために大きな成果を上げている被害当事者、遺族、家族等の講演の場や命のメッセージ展開催の施策の一環として、計画の中に積極的に組み入れてください。命のメッセージ展を学校で開催している様子が写真で5枚お手元の資料にあります。
     最後に、横断歩道で、右見て左見て右見て手を挙げるべき、それは私たち大人自身です。大人の言動を見ながら、子供たちはコピーしていくのです。20年間、あらゆる横断歩道という横断歩道で、手を挙げる1人運動を続けています。そこに、画面のそちら側にいる皆様、どうか一度勇気を出して、横断歩道で手を挙げてみてください。子供たちに命じる前に、私たち大人が務めとして交通安全のために手を挙げる。ともに、そしてその先に子供と大人が一緒に挙げる社会が必ずやってきます。
     以上です。終わらせていただきます。ありがとうございました。
  • 中島補佐 児島様、ありがとうございました。
     続きまして、小沢樹里様、よろしくお願いいたします。
  • 小沢様 お願いいたします。
     今回、第11次交通安全基本計画中間案オンラインの公聴会に参加させていただき、またこの発言という機会をいただき、大変ありがとうございます。
     私は関東交通犯罪遺族の会の小沢と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
     前提として、私たちの思いの1つとしては、道路づくりが子供たちにも安全な道路であってほしい。そして、法律が誰にでも分かりやすい運用をしていただきたいということ。そして、命の尊厳を誰もが大切であるという思いを道路にも使ってほしいという思いから、これからお話をさせていただきます。
     私たちのほうで書類を送らせていただきました。
     まず、ドライブレコーダーにつきましてです。
     私たちのほうでは、ドライブレコーダーがつくことは、ドライブレコーダーの設置義務化というものについてお話をさせていただいております。この中で、一番は事故の真相を明らかにすること。そして、警察の捜査の負担軽減にもつながるということ。そして、この業務用に関しては、随分と推進がされてきているようですが、それだけではなく、やはり一般車両にもついていく必要性を感じております。
     一般車両の中に取り入れるということも一つの大切な重要課題だと私は思っているのですが、今後の高齢化社会の中で、私たちが実際にあいの会で多くの高齢者の家族から耳に聞くような言葉なのですが、私たちの家族はどのようにしたら高齢者を止めることができるのか。これの一つの材料としてドライブレコーダーを使ってみてはどうかという提言をさせていただきたいのです。
     自分の運転を自分で見ることで、危険性を十分に理解するのではないかということから、1点、一般車両にも取り付けていっていただくことができるのではないかと。また、それが自分の安全運転に対して、しっかりと見届ける力にもなるのではないかということが1点です。
     そして2点目は、厚生労働省の方が今日いらっしゃるということでしたが、実際に厚生労働省のほうでは、被害者参加のための休暇制度というものがあります。皆さんも御存じのように、裁判員の方であればしっかりとお休みを取ることができます。ですが、被害者となりますと、裁判に行くだけではなく、弁護士との打合せ、検察庁の方との打合せ、心のケア、そして通院と考えると、やはり非常に休みが必要不可欠となります。その中で有給を使って、会社にも行くというのには限界がございます。
     実際に今、傍聴している中にも、裁判中の被害者がいます。その方が、実際に裁判を行い、弁護士との打合せ、心のケアをして、そして裁判に行っている最中、現在の有給というのはほぼない状態です。この被害者のための休暇制度というものをどうにか義務化していただきたい。一般社会の中に取り入れていただくということで、被害者の尊厳、この会社を辞めなくていいのだという、私たちが社会の中に取り残されないような状況を、どうかここからつくっていただきたいということが1点でございます。
     3点目につきましては、被害者の視点と教育についてです。この被害者に関しては、私たち大人になりますと、先ほどから多くの方の発言があったように、大人が実際にできることというのは多くあると思います。実際に、危険意識を持てば誰もが変えられることですが、小中高の情操教育を本当に子供の教育の観点から考えると、やはり、それだけでは足りない。子供の年齢層によって変わるのではないかと思います。
     私自身も小学生と高校生の母親でございますが、実際に子供によって自転車であったりとか、スケーターであったり事故の要因になるものが非常に多いと感じております。そこにおいて、それぞれの年齢によって、また遊ぶ器具によっても注意喚起が必要になってくるのではないかと思います。
     また、交通教育だけではなくて、被害者の視点を取り入れた教育というのが、実際に命の教育というものがとある学校に様々ありますが、道徳教育の中の一環として、しっかりと交通教育の中で犯罪被害者の心の視点というものを取り入れていただきたいのです。
     実際に、先ほど岡田先生からも話がございましたが、ノーカーデーというものについてです。このノーカーデーについてですが、私たちのほうでは、ノーマイカーデーというものをつくってはどうかという提言でございます。ノーカーデーに関しては、実際に障害者への理解、そして国土交通省のほうではドアツードアと言って、そのようなものをしております。高齢者、障害者に対して、公共機関を取り入れていくことを促進しているのであれば、私たち自身も実際にそうしてみてはどうか。そして、車を使わないということが、どのようなことにつながるのか、または不便さがないかということを私たち自身が知ることから始まるものがあるのではないかということから、ノーマイカーデーというものをつくってはどうかという提言でした。
     最後になります。4つ目です。アルコールについての問題点です。最近、コロナによりまして、アルコール依存の問題が急増しているというお話が私のほうでもたくさん聞いております。その中で、アルコール依存の問題が急増しているということでございます。今年の3月から8月までの間でも3倍も相談数が急増しているというのが現状です。
     実際に依存症の団体からの御連絡でも、なかなかその開催が行われないこと、依存者が異常に急増している。そして、依存をなくそうという団体ではありますが、実際に依存を継続することの必要性というのも十分に理解してほしいということです。そして、Zoom飲み会というもので、会社の中でお酒を飲みながらお話をするというのもそうなのですが、実際にこのような会議をしながらも、実はお酒を飲み、その後に、お酒を飲んでいるだけではなくて、ちょっとだからといって飲酒運転をしてしまって小さな事故を起こしているというのをよく伺います。
     ですから、このような問題に対して、できるのであれば、免許の更新の際などにアルコール依存に対しても、リーフレットなどの作成をしていただければと思います。
     私のほうからは、これまで4点になります。これまで御清聴いただきまして、大変ありがとうございました。まとまらないお話となりましたが、最後まで聞いていただき、ありがとうございました。
  • 中島補佐 小沢様、ありがとうございました。
     公述人の方からの発表は以上となります。
     それでは、ここで赤羽座長及び蓮花委員からコメントをいただきたいと存じます。
     まず、赤羽座長からよろしくお願いいたします。
  • 赤羽座長 赤羽です。
     公述人の皆様、今日は様々な御意見を賜りまして、どうもありがとうございました。
     交通事故の被害者、御遺族の皆さんからのお話、御意見を伺って、専門家として交通安全に関わる際の心がけを新たにした思いです。
     今日いただいた御意見は、事務局より専門委員会に全体として報告されると伺っております。ここでは、今日賜った御意見の中から、私の専門であります道路交通の制御とか管理の視点からどういうふうに受け止めたかという一例を、皆さんに御紹介したいと思います。
     歩車分離信号を何人かの方から御提案いただいております。この方式が、特にヨーロッパで多く実現している理由は、信号制御が規制の問題だけではなくて、横断歩道の設置の仕方だとか交差点の構造にも関係しているためであると、私は認識しています。なるべく横断歩道を短くして、横断歩行者が車両にさらされる距離、あるいは時間をなるべく短くする。そうすると、左折車の通行と歩行者の横断を時間的に分離することが、技術的な面から実現しやすくなります。
     先端技術と言いますと、自動運転のような領域に目が行きがちなのですけれども、このような欧米では普及していますが日本ではほとんど取り入れられていない技術を、皆さんの御要望にも応えられるように、研究開発を進めていきたいと思って伺っておりました。
     それから、もう一つは、医療機関もこの交通安全の関係機関にというご提案がありました。専門家の間の情報交換の集まりで、これもスウェーデンだったかどうかというのは、今は確かではないのですけれども、北欧のある国では、例えばベビーシートの利用に関して、妊婦さんとその家族に産婦人科医院でパンフレットを配るなどの啓発活動が行われていて、効果が上がっているそうです。やはり親御さんですから、生まれてくる子供の安全を一生懸命考えるということで、取り入れてもらいやすいということで進められているのだそうです。そういうことも含めて、安全に関する啓発活動で、日本でもまだ取り込むべきことは少なくないだろうと思って伺っておりました。
     どうも、ありがとうございました。
  • 中島補佐 赤羽座長、ありがとうございました。
     続きまして、蓮花委員からコメントを頂戴したいと思います。蓮花委員、よろしくお願いいたします。
  • 蓮花委員 蓮花と申します。
     私の分野は交通心理学の分野ですので、その分野から多少コメントをさせていただきます。
     その前に公聴人の皆様、本当に御意見ありがとうございました。赤羽座長が申し上げましたとおり、総体としてまた委員専門等にも、あるいは行政機関にも意見は改めてまとめられて伝えられるということですので、私も今日お聞きして、いろいろと話したいことも出てきたのですけれども、時間も限られておりますので、その中の幾つかのみ述べさせていただきたいと思います。
     まず、高齢ドライバーへの対策ということで、例えば自動車工業会様からは、様々な御提案、あるいは実施されていることが御報告されました。例えば、資料の中では、シニアドライバースクールとかいきいき運転講座などというような言葉も入っておりますし、これは非常に大事なことであります。
     特に、2022年からサポカー限定免許が導入されるということで、高齢ドライバー対策としては非常に大事な対策ではあるわけですけれども、そこに記されているように、サポート機能の限界というものがあることも事実でありますし、また、普及がなかなか進まないという問題もあります。私自身も警告音などがいろいろ鳴りましても、何の音か分からないのです。どうしたらいいのだというようなことも時々あるわけです。一方で、車が何とかしてくれるからということで、ちょっと無理な運転をするということもあるでしょう。
     ですから、そういう意味ではサポカーの体験会とか研修会というのはぜひ充実させていただきたいと思う次第です。高齢者に限らず、一般ドライバーでもサポカーの体験や訓練のできるプログラムというのを、例えば教習所等で提供するということを、行政あるいは教習所にはお願いしたいところです。
     高齢ドライバーの問題というのは、非常に大きな幅広い問題が関わってきますし、病的加齢の影響も非常に大きいですから、心理学の分野から私自身も研究していますけれども、医療あるいは福祉、工学、心理学などの協力が不可欠ですので、この辺では一層対策を進めていきたいと思います。
     それから、生活道路対策で皆さんがおっしゃっていたとおりであり、日本は、歩行者、自転車事故が他の先進国と比べて圧倒的に大きいという問題で、ここを何とかしなければ、これ以上事故をなかなか減らせないということも事実ですので、生活道路での子供、高齢者、自転車の事故防止対策ということについては、本当に総合的対策として進めるべきだと思います。
     いろいろな個々のハンプであるとかカラー舗装とか、横断歩道とか歩車分離信号等、地点でのいろいろな対策もありますし、ゾーン30等のエリア対策もありますし、あるいはサポカーなどのサポート技術の発展など、なすべきことはたくさんありますけれども、これは、生活道路対策をしようとすると、私も事故対策でいろいろなところで関わってきたのですが、住民の理解ということが強く求められております。例えば、ハンプにすると、多くの苦情が来たりします。しかし、実際に現在のハンプというのは、騒音問題やその他の問題がほとんど起こらないような形状というのが既に出来上がっているのですけれども、当初に出てきたような、騒音が出るとか自動車が傷つくとかいう、ある種の偏見がいまだに続いているということで、住民、あるいはいろいろなところから苦情が来るという面もあります。
     そういう意味では、やはり地域での交通事故の実態とか、その対策の必要性というものを各地域で検討を重ねて、リスク情報を住民に提供して共有するというのが地道ですけれども、非常に大事だろうと思います。そのための例えば、交通安全の協議会の組織づくりというのは、これまで以上に必要だと思います。
     それから、啓発活動、特に交通事故の被害者の会の様々な活動というのは、大変敬意を払っておりますし、そこで取り上げられたような命のメッセージ展などのでは全国各地を回って、非常に貴重な機会というか、例えば若い人では事故のことをほとんど知らないというのが実態ですので、非常に重要な情報を得る機会になるだろうと思います。
     これは先ほど言いました、リスク情報というのは国民で共有するという意味でも、非常に重要な取組ですし、今後も進めるべきだろうと思います。
     正直に言うと、例えば、行政とか法律の専門家であっても交通安全という分野は、専門家ではないわけです。私もドイツにいましたけれども、ドイツでは、例えば法律の分野の方々への交通安全、交通科学の研修をする機会などもありますし、市長さんたちへの研修の機会とかもあるわけです。そういう非常に多様な研修の機会というのは、やはり日本では乏しいと思います。
     また、年々行政職員の削減もありますし、予算も減らされているという中で、職員がいろいろと掛け持ちをして負担が激増していることも事実ですので、要は、マンパワーと予算をいかにこういう基本計画に盛り込んでいただけるかということも、非常に重要だろうと思います。
     また、ちょっと長くなりますけれども、実は交通安全の専門家と言える人材も、日本では非常に数少ない専門家が幅広い分野で辛うじて交通安全の施策を支えているというのが現状なのです。ですから、これまで以上に国民と一緒に、あるいは行政関係の諸団体とか、我々専門家が一緒に考えていく。先ほど何回も協働という言葉が出てきましたけれども、協働体制が大事だろうと思います。
     まとめますと、リスク情報の収集と共有、それから対策の立案からの住民参加、それから工学、心理学、医学の専門家の協力とか協働が大事だなということで、我々も努力しますけれども、皆さんと一緒に事故がない社会へと一緒に進んでいきたいと思います。
     以上、コメントさせていただきます。
  • 中島補佐 蓮花委員、ありがとうございました。
     本日の公聴会につきましては、後日、議事録を内閣府のホームページに掲載させていただく予定でございます。
     また、第11次交通安全基本計画(中間案)につきましては、今月20日まで内閣のホームページでパブリックコメントとして意見募集を行っておりますので、そちらのほうも活用いただければと存じます。
     なお、本日の公聴会やパブリックコメントなどでいただきました御意見につきましては、専門委員会議に報告させていただくとともに、第11次交通安全基本計画の策定に活用させていただくこととしております。
     それでは、これをもちまして「第11次交通安全基本計画(中間案)に関するオンライン公聴会」を終了させていただきます。本日はお忙しい中、どうもありがとうございました。