中央交通安全対策会議専門委員会議(第4回)議事要旨

日時:令和3年2月4日(木)
10:30~12:00
中央合同庁舎第8号館1階 講堂

出席者

【委員】

赤羽座長、伊藤委員、川端委員、北島委員、久保田委員、古関委員、古笛委員、中土委員、藤森委員、三国委員、水野委員、三好委員、森本委員、守谷委員、李家委員
(※印の委員はオンライン出席)

【内閣府・事務局】

難波大臣官房審議官(政策調整担当)、寺本参事官(交通安全対策担当)

【オブザーバー】

内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室 根津企画官、内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付 古賀参事官、警察庁交通局 佐野交通企画課長、消防庁救急企画室 若味課長補佐、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課 粟井安全教育推進室長、厚生労働省医政局地域医療計画課 新井専門官、厚生労働省政策統括官(総合政策担当)付政策統括官室 野中室長補佐、農林水産省生産局技術普及課 藤澤課長補佐、国土交通省総合政策局総務課 久保交通安全対策室長、国土交通省道路局 石和田道路交通管理課長、国土交通省道路局環境安全・防災課 濱田道路交通安全対策室長、国土交通省鉄道局 森安全監理官、国土交通省鉄道局施設課 東課長補佐、国土交通省自動車局 石田安全政策課長、国土交通省自動車局 是則技術・環境政策課室長、国土交通省海事局安全政策課 山倉安全監理室長、国土交通省航空局安全部安全企画課 鈴木係長、運輸安全委員会事務局総務課 松澤課長補佐、海上保安庁交通部企画課 上山海上交通企画室長

概要

○ 難波大臣官房審議官挨拶

  • 道路交通について、昨年の24時間以内死者数が5年連続で減少して2,839人となり、初めて3,000人を下回ったところであるが、残念ながら、現行の第10次交通安全基本計画で掲げている令和2年までに死者数を2,500人以下とするという目標を達成することはできず、依然として交通事故情勢は厳しいものがあると認識している。
  • こうした状況の中で、交通事故のさらなる減少を推し進めていくためにも、第11次交通安全基本計画の作成が大変重要なものであり、本日の会議においても忌憚のない御意見をいただきたい。
  • 皆様の助言等を踏まえながら形づくられてきた計画案は、来月には内閣総理大臣を長とする中央交通安全対策会議において正式決定の運びとなる。
  • 専門委員としてお集まりいただく会議は本日が最後になるが、委員の皆様方にはお立場を離れた後もアドバイス、御指導などを賜りたい。

○ 提出資料説明

  • 警察庁から、資料2に基づき、令和2年中の交通事故死者数について説明を行った。
  • 事務局から、その他資料について説明を行った。

○ 委員からの主な発言

~計画案について~

【計画全体】

[計画の基本理念]

  • 新型コロナウイルス感染症の影響の注視において、「必要な対策に臨機に着手する」と記載されている通り、今後、海外の機関とも連携をしながら、こういった新たな課題については臨機応変に対応していただきたい。
  • 「国際的な連携や協力を推進」というところの「我が国の知見を世界と共有し」という書き方は、一方的な言い方に感じるため、「互いに」という文言を「国際的な」の前に入れた方が良い。

[陸上交通の安全]

  • 90ページの「情報提供を行うに当たっては、訪日及び定住外国人にも対応するために」とあるが、外国からの旅行者や留学生、定住外国人などを全て網羅できるように、「情報発信のありよう」のところで、どこか全体の中で一文を押さえていただきたい。
  • 現時点では、重傷事故に関する統計表がほとんどないため、来年度からは、少なくとも全国版の事故統計資料である「交通統計」や「交通事故年表」において重傷事故に関する章を設けていただきたい。

【道路交通】

[今後の道路交通安全対策を考える視点]

  • 日本の交通事故死者数の半数を占める歩行中、自転車乗用中の死者数を減らすための実効性のある対策をより強く打ち出すことが必要。
     金沢市内での自転車事故の重傷者数に絞って、事故現場の状況などを分析し対策を取るなど、実効性のあることをこれから5年間積み上げていくのはどうか。
     全国できめ細かく、各都市の効果的対策を取ることを進めていただきたい。
  • 19ページに記載のある「安全な自動運転」という表現が概念的な表現になっているので、「交通安全の視点を伴って高度ドライバー支援や自動運転の機能を車載で実用化する」といった少し明確な言い方にした方が良い。

[道路交通環境の整備]

  • ゾーン30とその他の交通規制と物理的デバイスを連携させた対策について具体的な内容を記載した方が良いのではないか。
  • 39ページに、新潟や北陸で交通渋滞が起きたことを反映しているのかと思う記載があるが、ニュース等でも物品、食料等を配布していたことを伝えていたので、物品の提供等についても明示しても良いのではないか。

[交通安全思想の普及徹底]

  • 高校生に対する交通安全教育の部分について、原付や二輪の場合には保険に入っていない加害者が多くいて、十分な被害者救済ができないという場面に遭遇するので、自賠責保険はもとより、任意保険にもしっかりと入って加害者としての責任を尽くすように、保険教育についても一言加えた方が良いのではないか。
  • 自転車のルール違反、マナー違反に関して、小さい時に一度身に付いた自分勝手な乗り方というのは中々修正が難しい。自転車購入時に乗り方のルールの講習を受けないと自転車を売れないというくらいの強さが必要ではないか。

[安全運転の確保]

  • 運転免許制度の改善の部分で、「交通事故被害者の心情に沿った」という記載があるが、遺族を含める意味合いからも、「交通事故被害者等」と「等」を入れた方がよい。
  • 自動車総合安全情報ホームページという表記があり、ホームページを拝見したが、少し使いにくい印象を受けた。
     この計画に表記すると皆が利用すると思うので、もう少しホームページを分かりやすく作成していただきたい。
  • 軽井沢スキーバス事故の記載部分で、「乗客の死傷事故低減」とあるが、「低減」となると多少の犠牲はやむを得ないというニュアンスが入ってしまうため、「低減」ではなく「防止」などの表現にした方が良いのではないか。

[救助・救急活動の充実]

  • 緊急通報システム・事故自動通報システムの整備について、事故自動通報システム(ACN)というものの格段の普及が今後必要だが、最近では先進事故自動通報システム(AACN)というものも始まっているので、ACNの格段の普及と「AACNの普及」というものを考慮していただきたい。

[被害者支援の充実と推進]

  • 「交通事故被害者支援の充実強化」の項目で、「交通事故被害者」とあるが、「等」が入ると遺族が含まれるので「等」を入れた方が良い。
  • 79ページに「犯罪被害者等」と記載があるが、表記の統一のために「交通事故被害者等」に修正した方が良い。

[研究開発及び調査研究の充実]

  • 83ページの「(2)道路交通事故原因の総合的な調査研究の充実強化」の部分で、交通事故分析センターによるミクロ調査の実施等の充実強化とあるが、ここに「国際動向も考慮したミクロ調査の実施等」と入れていただきたい。ドイツなどでは、詳細な事故調査データに従ってデータを入力し、運転支援システムを作成する流れがあるので、こういったところも考慮していただけるのではないか。

【海上交通】

  • 海上交通において、安全対策が重要だと分かっていても資金的な支援が必要になることもある。
     また、プレジャーボートのようにシーズン中のみ使用するような方だと、どうしても知識が不足するため、教育機会をどのように確保していくかが重要。
     限られた予算、人的資源の中でこのようなことをやっていかなければいけないので、ICTやIoTといったIT技術を駆使して、資金あるいは人的資源の再配分ができるように強く推進していただきたい。

【航空交通】

  • 無人航空機が今後かなり盛んになってくるが、有人地帯での飛行や、空飛ぶクルマなど、現在飛んでいる普通の飛行機などの人が乗っている機体と無人機との遭遇や接触などの危険性、安全対策というものを考えていかなければならない。