中央交通安全対策会議専門委員会議(第3回)議事要旨
15:00~17:00
中央合同庁舎8号館 講堂
出席者
【委員】
赤羽座長、伊藤委員、井料委員、岩貞委員、小川委員※、川端委員、古関委員、古笛委員、小竹委員、竹脇委員、田村(節)委員、田村(道)委員、土屋委員、中井委員、中土委員、畑中委員、二村委員、宮島委員、守谷委員※(*印の委員はオンライン出席)
【内閣府・事務局】
松林大臣官房審議官(共生・共助担当)、山崎参事官(交通安全対策担当)
【オブザーバー】
警察庁交通局交通企画課 今井課長、こども家庭庁成育局安全対策課 山内課長補佐、総務省総合通信基盤局電波部移動通信課新世代移動通信システム推進室 藤井課長補佐、消防庁救急企画室 竹田課長補佐、出入国在留管理庁政策課 高月補佐官、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安全教育推進室 合田室長補佐、厚生労働省政策統括官(総合政策担当)付 政策統括室 大川原室長補佐、国土交通省総合政策局総務課交通安全対策室 奥原室長、国土交通省道路局道路交通管理課 安部課長、国土交通省道路局環境安全・防災課道路交通安全対策室 神山室長、国土交通省道路局参事官(自転車活用推進)付 土田参事官、国土交通省物流・自動車局安全政策課 鈴木課長、国土交通省物流・自動車局技術・環境政策課 猪股課長、国土交通省鉄道局安全監理官 髙井安全監理官、国土交通省鉄道局施設課 大山企画調整官、国土交通省海事局安全政策課 鈴木課長、国土交通省航空局安全部安全企画室 八田専門官、運輸安全委員会事務局 辻企画官、海上保安庁交通部企画課海上交通企画室 花野海上交通企画室長
概要
○ 松林大臣官房審議官挨拶
- 交通事故死者数は、5月下旬以降、減少傾向で推移しており、7月15日時点で1,248人、前年比マイナス39人となっている。
- まだ1年の中間地点を折り返しただけであり、残りの半年も交通事故抑止に向けた各種施策への取組が必要である。
- 第12次交通安全基本計画の骨子案、道路交通の目標値に関する資料等をもとに、それぞれの分野における知見から忌憚のない御意見をいただき、計画策定に向けて議論を深めてまいりたい。
○ 事務局提出資料説明
- 警察庁、文部科学省及び国土交通省から、それぞれ資料に基づき、今後の交通安全施策等について説明を行った。
- 事務局から、第12次交通安全基本計画の目次(新旧対照表)(案)、同骨子(案)、同目標値等に関する資料について説明を行った。
○ 委員からの主な発言
~各省の資料について~
- 重度後遺症障害被害者への支援について、療護施設の設置・運営は非常に素晴らしい事業だと思うが、施設に入りたくても入れないという相談を受けるので、全国に展開されている施設数が足りないと推測する。
- 生活道路における通過交通対策について、ETC2.0 から抽出したプローブ情報というビッグデータの分析から抜け道ルートも把握できるため、幹線道路の渋滞対策を含めより総合的な対策を講じることができる。国土交通省のこのようなデータの利用体制を整備し、自治体が活用して対策が改善されることを期待している。
- 自転車の交通安全教育について、小学生の時から自転車の交通ルールを学ぶことで交通事故が減るという統計もあるので、小学校でしっかり交通安全教育を行うべき。
- こどもへの交通安全教育について、こどもは知識の吸収力が高く、幼少期に学んだことは長く記憶に残るため、教育の充実が重要である。書類配布だけでなく、こども安全運転免許証の取得や警察官による指導など、体験的な教育の導入が望まれる。
- 外国人運転者への対応について、インバウンドの増加に伴い、多言語対応の交通安全アプリの整備が求められている。現状は各社が個別に提供しているが、統一的な情報提供やPRの強化が必要ではないか。
- 地方鉄道の維持管理について、経済的な課題が大きく、鉄道に限らず陸海空の分野横断型の技術の活用など、維持と安全の両立を図る議論の場が必要ではないか。
- 海上交通の通信環境について、日本の海域の大半で通信が不安定である現状を踏まえ、宇宙技術を活用した通信インフラ整備についても議論すべき。
~骨子(案)について~
【計画全体】
- 第12次の交通安全基本計画の目標について、第11次計画で立案した目標を踏襲し、強化する意味とその効果を議論する必要がある。予防的な視点など、データを利活用する抜本的な仕組みと対応が必要ではないか。
- ドライブレコーダーなどのモニタリング技術導入により、高齢者の技能を含む実行動を評価する仕組みを作り、重大な事故を未然に防ぐことも重要である。データから危険性を評価する技術は、海上交通や航空交通でも使えるので、ヒューマンエラー対策の一つとして、日常からヒトの行動をモニタリングし、軽度なエラーの頻度からリスク予測を行うことで、未然に事故を防ぐことが大事である。
- 近年は降雨降雪等の災害の激甚化が言われており、リスク管理の観点から未然に事故を防ぐために、事業者に対して気象情報の適切な活用を呼びかけるべき。
【道路交通】
[高齢者の安全確保]
- 高齢者対策は、長い目で見て中年期の頃から行うべき。
[こどもの安全確保]
- 不登校のこども達は交通安全教育を受けていない可能性が高いので、交通安全に関する知識を学べる方策を検討すべき。
- 交通安全教育においては、外国人や不登校の児童・生徒を含む多様なこどものニーズに対応するため、多言語表記や柔軟な教材の工夫が求められる。
- 警察庁や文部科学省で実施しているこどもに対する教育内容を再確認のためにも計画に記載すべき。
- こどもへの自転車安全施策において、リーフレットを配布するだけでなく、タブレットを活用して教師と共に学ぶ時間を設けることにより理解の促進が期待される。
- 自転車の安全教育動画について、こどもが興味を持ちやすいアニメによるストーリー仕立てとし、SNS等での拡散も視野に入れた内容とすることが望ましい。
- こどもへの交通安全教室においては、交通ルールを理解し、交通社会の一員として適切に行動できるよう、質の高い教育を通じて交通事故の回避につながるこどもの育成が求められる。小学生は交通社会の一員として動き始める重要な時期であり、小学生への配慮をより重視して計画に記載することが望まれる。
[自転車の安全確保と遵法意識の向上]
- 高齢者の交通事故対策として、自転車事故による頭部損傷が多いことから、ヘルメットの着用が重要である。
- 通勤や配達目的の自転車利用者に対し、ヘルメット着用の義務化を検討すべき。
- 高齢者が免許返納後に自転車などへ移行している事態を踏まえ、安全かつ安定して利用でき、荷物の運搬も可能な新たなパーソナルモビリティの開発を検討すべき。
[生活道路における安全確保]
- 法定速度の引き下げは有意義な取組であるが、実効性を高めるためには、従来の道路整備や取締りに加え、車両側の安全技術の導入が不可欠である。
- 「ゾーン30プラス」の設置においては、物理的デバイスが十分に効果的に配置されていない事例も見られるため、有効な事例を横展開し、ゾーン全体として効果を高める推進策の検討が求められる。
[外国人の交通安全対策の推進]
- いわゆる「外免切替」制度については、運用の厳格化に向けた取組が進められており、今後もその方向で継続することが望まれる。
- 日本の交通ルールに関して、特に外国人に対する効果的な伝え方を検討すべき。
[先進技術の活用推進]
- 今後自動運転車との接触機会が増える中で、市民に対し危険な状況などの情報提供が必要である。
[道路交通環境の整備]
- ラウンドアバウトは信号機不要で経費も抑えられ、歩行者・車両双方の安全性向上に資する構造であるため、安全対策としても位置づけ、さらなる整備促進が望まれる。
[交通安全思想の普及徹底]
- ラウンドアバウト通行時における交通ルールの周知を行うべき。
- 安全教育や普及啓発については、具体的な普及・展開方法まで踏み込んで検討・記載すべき。
- 大人は交通ルールに触れる機会が少なく、特に免許を持たない大人に対しても情報共有が重要である。
- フードデリバリーなどで小型モビリティを使う個人事業主に対しても、安全教育や情報提供を行うべき。
[被害者支援の充実と推進]
- 交通安全教育と被害者支援は表裏一体であり、支援が必要な人に確実に届くよう、学校教育や免許取得・更新の場などで支援制度の周知を図るべき。
【鉄道交通】
- 踏切対策については、都市部の幹線鉄道と地方の鉄道で課題が異なるため、それぞれに応じた対策を明示的に分けて記載すべき。
- 第1種踏切の比率を高めることを国の基本方針として明示するとともに、第3種と第4種踏切の統廃合によって不法な軌道横断箇所(いわゆる「勝手横断箇所」)が増える懸念に対し、断固として許さない姿勢を示すべき。
【海上交通】
- AIS船舶自動識別装置のように、船舶同士で自分の位置情報を伝える装置の搭載が始まって20年以上経っているが、小型の船舶についての義務化にも少し目を向けても良い頃ではないか。また、同装置により、広い海域における船舶の動向といった情報を駆使し、今後、自動運航船等の航行も踏まえながら事故が起こりにくい海域を考え始めると良いのではないか。
【航空交通】
- 11次計画の目標の達成状況と12次計画で達成しようとしている目標は整合が取れているのか。また、国土交通省交通政策審議会の航空に関する部会による目標との整合性に留意されたい。
- 今後、無人航空機と有人機のコンフリクトや、空飛ぶ車に関連した事故の発生を想定し、計画の中間案の記載や目標についてもう少し充実した書きぶりにすべき。
- 羽田空港航空機衝突事故の教訓を一般乗客にも伝えるべき。