中央交通安全対策会議専門委員会議(第4回)議事要旨

令和7年9月22日(月)
10:00~12:00
中央合同庁舎8号館 特別大会議室

出席者

【委員】

赤羽座長、伊藤委員、井料委員、岩貞委員、古関委員、古笛委員、竹脇委員、田村(節)委員、田村(道)委員、土屋委員、中井委員、中土委員、畑中委員、二村委員、森本委員、守谷委員(※印の委員はオンライン出席)

【内閣府・事務局】

松林大臣官房審議官(共生・共助担当)、山崎参事官(交通安全対策担当)

【オブザーバー】

警察庁交通局交通企画課 牧交通安全企画官、こども家庭庁成育局安全対策課 山内課長補佐、総務省電波部移動通信課新世代移動通信システム推進室 松尾係長、消防庁救急企画室 竹田課長補佐、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安全教育推進室 合田室長補佐、厚生労働省政策統括官(総合政策担当)付 政策統括室 大川原室長補佐、国土交通省総合政策局総務課交通安全対策室 奥原室長、国土交通省道路局道路交通管理課 安部課長、国土交通省道路局環境安全・防災課道路交通安全対策室 神山室長、国土交通省道路局参事官(自転車活用推進)付 土田参事官、国土交通省鉄道局安全監理官 髙井安全監理官、国土交通省鉄道局施設課 岡本課長補佐、国土交通省物流・自動車局安全政策課 鈴木課長、国土交通省物流・自動車局技術・環境政策課 菊池室長代理、国土交通省海事局安全政策課 鈴木課長、国土交通省航空局安全部安全企画室 原田課長補佐、運輸安全委員会事務局 辻企画官、海上保安庁交通部企画課海上交通企画室 花野海上交通企画室長

概要

○ 松林大臣官房審議官挨拶

  • 交通事故死者数は、7月に開催した第3回専門委員会議以降も減少傾向で推移しており、9月18日時点で1,686人、前年比マイナス101人となっている。
  • 年末にかけて交通事故の増加が予想されるので、引き続き交通事故防止に向けた各種施策への取組が重要である。
  • 第12次交通安全基本計画の中間案を用意したので、それぞれの分野における知見から忌憚のない御意見をいただき、計画策定に向けて議論を深めてまいりたい。

○ 事務局提出資料説明

  • 事務局から第12次交通安全基本計画(中間案)等に関する資料について説明を行った。

○ 委員からの主な発言

~中間案について~

【計画全体】

  • 「知見の共有」として、「交通事故の減少に向けて、我が国の知見と各国の知見を共有し、互いにいかしていく視点も重要であり、国際的な連携や協力を推進する」とあるが、「いかしていく視点も重要であり」という表現では弱いため、更に一歩踏み込み、「国際的な関係機関と連携、協力して、交通事故のない社会の実現に寄与する」といった表現にすべき。また、研究開発及び調査研究の充実において、学術団体も追記すべき。
  • 他の委員がデータドリブンによる取組の重要性を強調していたので、「EBPMの推進」について、記述内容を厚くできないか。

【道路交通】

[総論]

  • 道路交通事故死者数は、近年下げ止まり状態で推移しているが、現時点で今後を見通すことが難しいため、同死者数に係る予測値の取扱いは、従前よりも注意を要し、第12次計画期間中においてもその推移を注視して、分析を行い、必要な場合は対応を検討する必要があることを付言すべき。
  • 交通安全対策の実施や法令遵守にあたっては、正しい情報を伝えることが大前提であるため、交通安全基本計画の道路交通安全に係る8つの施策の柱に「情報提供手段の準備」を加えるべき。

[高齢者の安全確保]

  • 高齢者の安全運転に関して、運転技能検査や認知機能検査について記載されているが、病気による急な体調変化に伴う交通事故を減少させるため、高齢者に定期的な身体の健康検査を義務付けるべき。

[こどもの安全確保]

  • 6歳未満のこどもの交通事故死を減らすためには、チャイルドシートの使用に関する法整備が急務である旨の表現を加えるべき。
  • こどもに対する交通安全教育の内容が現行の計画と同じであるため、もう少し踏み込み、教員が交通ルールを指導できるキットの作成等、交通安全教育の効果が出るような取組を記載すべきである。そうした教育を通じて、将来的に社会の交通安全を支える人材が増えていくのではないか。
  • こどもの安全確保について、地域で見守っていくとあるが、実際には保護者が交代で学校周辺を見守っている状況があるため、地域でシフトを組むなどの対策や、スクールガードやボランティアが不足している地域に対する対策を盛り込めないか。
  • 不登校を含め、学校を欠席したこどもたちのために、コロナ禍で整備された保護者向けアプリ等を活用して、交通安全について学べる仕組みを検討すべき。
  • 保護者自身が新しい交通ルールや交通安全に関する知識を知らないことが多いため、親子が家庭で一緒に学べる交通安全教育の仕組みを検討すべき。
  • 親や教師はこどもの手本であるため、ヘルメット着用等を率先して行うよう啓発すべき。

[自転車の安全確保]

  • こどもが自転車に同乗した状態で転倒すると、こどもが投げ出されるため、自転車用シートベルト着用に係る記載内容を変更すべき。

[特定小型原動機付自転車の安全確保]

  • 特定小型原動機付自転車の歩道走行は、最高速度が6km/hに規制されているが、実際に交通事故が起きており、歩行者の安全確保と矛盾していると考えられる。また世界的には電動キックボードは歩道走行禁止の方向に動いているので、日本でも制度を見直すべき。

[外国人の交通安全対策の推進]

  • 外国人の交通安全対策の推進について、日本の交通ルールやマナーを理解させるだけでなく、意識変容も強調すべき。

[道路交通環境の整備]

  • 実態として、現状の道路において、自転車道を確保することは困難な状況であるため、自動車の規制速度の引き下げや、車道における自転車の走行空間を矢羽根で示すといった方法で自転車の走行空間を確保するよう施策を見直すべき。
  • 自転車の走行空間の整備について、道路空間の再配分が難しい中で、自転車が車道を走行するにあたっては、自転車に対する自動車のドライバー側の理解も必要ではないか。

[交通安全思想の普及徹底]

  • 伝えるべき対象に正確で最新の同じ情報を伝えるため、全省庁が一体となって、伝えるべき対象を洗い出し、どの省庁がどの対象を担当して、交通安全教育やインターネット等、どのような手段で取り組んでいくのか、構造的かつ戦略的な設計図を作れないか。
  • トライクについて、安全確保のため、ヘルメットやシートベルトの着用を義務化する法整備を早急に進めるべき。
  • 少年院での教育活動において、被害者が死亡した事件に限らず、その他の事件でもゲストスピーカー制度が活用されていることについても明記すべき。

[車両の安全性の確保]

  • アルコールインターロックの後付け機構やISAIntelligent Speed Assistance)の導入について記載できないか。

[救急・救助活動の充実]

  • 救急医療体制の整備について、ドクターヘリのみではなく、ドクターカーやドクターバイク等も含めて幅広く記載すべき。
  • 電話で人と話すことが嫌で、119番通報をしたくない者がいるため、様々な通報手段を検討すべき。

[被害者等支援の充実と推進]

  • 被害者等支援の取組について、効果検証も踏まえて、各省庁が積極的に情報発信する旨を第七の柱(「被害者等支援の充実と推進」)に加えるべき。
  • 被害者支援について、犯罪被害者に対しては法的サービスの充実が進んでいるが、過失犯による被害者は支援の対象から漏れがちである。保険に特約を付けている人は弁護士を無料で利用できるが、付けていない人は有料となってしまうため、何か対策をとれないか。

【鉄道交通】

  • 鉄道分野の研究・技術開発として、運転の自動化や踏切対策について記載されているが、労働者の高齢化や労働力不足への対応として重要な取組であるので、文の冒頭に「高齢化や労働力の減少が進む中での」といった文言を記載すべき。
  • 日本の鉄道事業者は研究開発や設備整備を自費で賄う必要があり、研究開発はできても実用化には費用面での障壁が存在しているため、研究・技術開発とその早期実用化に向けた支援について記載すべき。
  • 交通分野では、労働力不足やコスト削減のための職員削減が進み、サービス提供側の環境が厳しくなっている。そうした状況でも、安全性の向上を引き続き重視する旨を盛り込むことで、事業者に安心感を与えることができるのではないか。
  • 鉄道事業者の経営環境が厳しくなりつつある中で、解決策として先進技術の活用や事業者間の情報共有による連携を行う視点を盛り込むべき。

【海上交通】

  • 事故隻数の1割削減を目標としているが、海上交通においても、道路交通と同様に事故件数の下げ止まりが見られるため、目標の妥当性を改めて検討すべき。特に運航隻数が減っているにもかかわらず下げ止まりが続く場合は、別の課題がある可能性も含めて丁寧に分析すべき。
  • 海難事故における死者・行方不明者の減少を目指す中で、「救助率95%以上」という目標を掲げているが、死者・行方不明者の数そのものを減らすことが目標として重要ではないか。
  • 少子高齢化の影響により、人材が減少し、運航の維持が困難になっている状況においては、当面の間、省力化を目的とした運航支援が重要な役割を果たすと考えられるため、どのように取り入れていくか考えるべき。
  • 運航支援機能を有した船が運航することを前提に、海域整備や、海域の管理者がそのような船との関わり方も重要ではないか。また、小型船舶でも使える運航支援機能の開発にも、国の支援が今後必要になるのではないか。
  • 交通分野では職員削減が進み、サービス提供側の環境が厳しくなっている。そうした状況でも、安全性の向上を引き続き重視する旨を盛り込むことで、事業者に安心感を与えることができるのではないか。
  • 事業者の経営環境が厳しくなりつつある中で、解決策として先進技術の活用や事業者間の情報共有による連携を行う視点を盛り込むべき。

【航空交通】

  • 日本では航空需要の増加に伴い、パイロットが不足している。ICAO等では定年延長の議論も進められており、日本でもベテランパイロットの活用について検討すべき。
    また、新人パイロットの養成について、訓練が円滑に進んでいない現状への取組が必要ではないか。
  • 交通分野では、労働力不足やコスト削減のための職員削減が進み、サービス提供側の環境が厳しくなっている。そうした状況でも、安全性の向上を引き続き重視する旨を盛り込むことで、事業者に安心感を与えることができるのではないか。