第1部 陸上交通の安全

第3章 踏切道における交通の安全

第1節 踏切事故のすう勢と交通安全対策の今後の方向

 踏切事故(鉄軌道の運転事故のうち、踏切障害及びこれに起因する列車事故をいう。)は、長期的に減少傾向にあり、平成7年の発生件数は 512件、死傷者数は334 人であり、平成2年の発生件数 790件,死傷者数 530人と比較して、発生件数で35%、死傷者数で37%の減少となっている。
 このような踏切事故の減少は、踏切道の改良等の安全対策の積極的な推進によるところが大きいと考えられるが、依然、踏切事故は鉄軌道の運転事故の約半数を占めている状況にあり、また、改良すべき踏切道がなお残されている現状にある。
 このため、踏切道改良促進法(昭和36年法律第195 号)の延長を図るとともに、平成8年度を初年度とする第6次踏切事故防止総合対策に基づき、引き続き、踏切道の立体交差化、構造の改良、踏切保安設備の整備、交通規制の実施、統廃合の促進その他踏切道における交通の安全と円滑化を図るための措置を総合的かつ積極的に推進することにより、踏切事故の発生を極力防止することとする。

第2節 講じようとする施策

1 踏切道の立体交差化及び構造の改良の促進

 大都市及び主要な地方都市で列車運行回数が特に多い区間における踏切道については、連続立体交差化することにより、また、これら以外の踏切道のうち遮断時間が特に長く、かつ、道路交通量の多いもの、主要な道路との交差に係るもの等については、単独立体交差化することにより、踏切道の除去を促進するとともに、道路の新設・改築及び鉄道の新線建設に当たっても、極力立体交差化を図る。
 また、自動車が通行する踏切道であって、踏切道の幅員が接続する道路の幅員よりも狭いもの等について、構造の改良を強力に促進する。

2 踏切保安設備の整備及び交通規制の実施

 踏切道の利用状況、踏切道の幅員、交通規制の実施状況等を勘案し、踏切遮断機の整備を行う。
 また、大都市及び主要な地方都市にある踏切道のうち、列車回数が多く、かつ、列車の種別等により警報時間に差が生じているものについては、必要に応じ警報時間制御装置の整備等を、自動車交通量の多い踏切道については、道路交通の状況,列車回数等を勘案し、必要に応じ踏切支障報知装置の整備を進める。
 さらに、道路の交通量、踏切道の幅員、踏切保安設備の整備状況、う回路の状況等を勘案し、必要な交通規制を実施する。

3 踏切道の統廃合の促進

 踏切道の立体交差化、構造改良等の事業の実施に併せて、近接踏切道の統廃合を進めるとともに、これら以外の踏切道についても、その利用状況、う回路の状況等を勘案して、地域住民の通行に特に支障を及ぼさないと認められるものについて、統廃合を促進する。

4 その他踏切道の交通の安全と円滑化を図るための措置

 踏切道における交通の安全と円滑化を図るため、必要に応じ、踏切道予告標、踏切信号機、歩行者等のための横断歩道橋等の設置を進めるとともに、車両等の踏切通行時の違反行為に対する指導取締りを引き続き積極的に行う。
 また、踏切事故は、直接横断、落輪等に起因するものが多いことにかんがみ、自動車運転者や歩行者等の踏切道通行者に対し、安全意識の向上及び踏切支障時における非常ボタンの操作等の緊急措置の周知徹底を図るための広報活動等を一層強化する。