中央交通安全対策会議専門委員会議(第4回)議事要旨

日時

平成12年10月23日(月)14時00分~16時30分

場所

東海大学校友会館「望星の間」

出席者

  • (委員)
    • 越(座長)、生内、岡崎、杉山(雅)、鈴木、鶴岡、長江、福島、森地、山村の各委員
  • (総務庁)
    • 人見交通安全対策室長、林参事官、その他関係官
  • (関係省庁)
    • 警察庁 松尾交通企画課長
    • 文部省 高杉学校健康教育課長
    • 運輸省 中崎技術安全課長、山岸総合安全対策室長
    • 建設省 荒井道路交通管理課長、宮田道路環境課長
    • その他関係省庁担当官

内容

  1. 越座長から、開会の挨拶が行われた。
  2. 総務庁から9月8日に開催した「第19回交通安全シンポジウム」の実施報告等が行われた。
  3. 総務庁から「第7次交通安全基本計画構成(案)」についての説明が行われた。
  4. 「第7次交通安全基本計画の構成(案)」の内容について、質疑応答が行われた。

    (以下、発言内容)

    • 自転車の横暴ぶりというのは最近目に余るものがあり、自転車を交通弱者として一方的に取り上げることについては問題があるのではないか。自転車を自動車と同様に、はっきりしたルールを課して、罰すべき者は罰するといったことを打ち出す必要があり、実際に自転車に関しての問題は増えており、このことについて考えるべきである。
    • 歩行者や自転車が介在したために、自動車同士の事故が起きたケースは統計としてあるのか。
    • 統計的には出ていない。
    • 自転車や歩行者絡みの自動車事故において、調書づくりの際に自動車が悪いというところからスタートしているケースがあり、このことは、自転車や歩行者のルールを非常に弱いものにしてしまっている。交通弱者といえどもルールを守らせることを、行政でも周知徹底していただきたい。
    • 事故の調書、統計のとり方という問題については、弱者の救済、あるいは被害者の救済ということと、責任の所在というのとは必ずしもうまく分け切れていないというところがある。
    • 自転車については、法的な交通機関としての位置づけがはっきりされていないと聞いている。また、直接の安全対策や自転車の振興ということが社会的な要請として一方であるため、そのためのインフラ整備などについて、法的な位置づけをはっきりさせることがプラスになる。

    事務局注:
    ・道路交通法上は軽車両として位置づけされている。
    ・道路運送車両法上は位置づけされていない。

    • 地方都市では、歩行者・自転車専用道路が整備されている所を見るが、都心では整備されていない道が多い。道づくりを含め、自転車、歩行者の位置づけにしても、さらに明確にすることが事故の減少につながる。
    • 前に全国交通安全母の会連合会の調査で、特に高齢者の方のアンケートをとったときに、ダンプよりトレーラーよりも自転車が一番怖いという調査結果がある。今後、そのようなアンケートを実施してもいいのではないか。
    • これまでの自転車に関する発言については、緊急対策の問題というよりは、7次計画や中長期的な計画の中で自転車の問題を真剣に取り組むべきであるとの指摘として、配慮いただきたい。
    • 鉄道に関しては、ダイヤが乱れた後の処理、復旧についての記述はないのか。道路に関しては、(1)もっとクリアに事故現場でのデータ収集のコンピュータ化、GPS、GISの使用による解析といったことを記述してはどうか。(2) 3,200カ所の多発地点対策とその効果分析がいかに80万件のところにいかせるかが重要であり、クリアにそういうことを記述してはどうか。(3)バリアフリーは交通安全上効果があるという前提で今日に至っているが、逆に、バリアフリーにした結果、危険度が増した場合というのも考える必要があるのではないか。(4)駅周辺は錯綜しているため、いわゆる商業地におけるコミュニティ・ゾーンを考える余地がある。
    • 道路交通事故のデータ収集等については、現在デジタル化を検討しているが、費用面や技術面、活用面等の問題もあり、ご指摘の点も踏まえ、引き続き十分検討して参りたい。また、交通事故多発交差点の対策としては、警察庁は安全施設、信号機の高度化等で対応し、建設省は交差点の改良等の対策をとっていくものと理解している。コミュニティゾーンの商業地への拡大については、商業地域だけということは現時点では考えていないが、安全で快適な環境づくりという観点で当然商業地も視野に含めた形で進めたいと考えている。バリアフリーが交通安全の観点から安全かどうかについては、視覚・聴覚の不自由な方が安全に渡ることができるように改良することがバリアフリーと考えている。
    • 事故調査機関の設置の関係で、鉄道については抱き合わせる形で航空鉄道事故調査委員会(仮称)を作るということだが、将来に向けた課題として、海上も含め独立性を持たせることが重要である。また、事故調査で、捜査と調査のどちらを優先するのかという点については、現在は捜査が優先すると思うが、これについても見直す時期にきているのではないか。いずれにしても、事故調査の件については、陸海空及び自動車を含め、そういうものを束ねて独立させるという、もう少し踏み込んだ記述をしていただきたい。
    • 事故調査機関は、アメリカ、ヨーロッパにおいてもそれぞれ事情が違う。事業監督部局から独立した別途の機関を作ることとしている。
    • 当該局から独立していることではなくて、省から独立していなければ意味がない
    • 「小型船だまり」というのは、プレジャーボート、漁船、一般の船舶も入れて言っているのか。
    • 「小型船だまり」では、遊漁船、小型の観光船を含めている。プレジャーボートやプレジャーヨット、シーカヤックといったものは「マリーナ」と使い分けている。
    • 海上交通で、「海賊対策」がないが、これは外航海運特有のもので、外航海運会社独自のものと位置付けているからなのか。航空交通については、「需給調整規制廃止後の安全確保の推進」で、「新規参入事業者の運航・整備体制の審査の充実」というのがあるが、これは改正航空法を解説するような形で述べられるつもりなのか。それとも別の視点なのか。
    • 「海賊問題」は、外国で交通事故に遭った場合と同様の割り切りをしているため、今のところは載せていない。また、航空の話については、改正航空法の考えと理解していただきたい。
    • 海上交通で、マリーナの整備が掲げられているが、近年マリーンレジャーが盛んになってきており、この利用者の事故を抑制するという意味で、自己責任に対するインセンティブのシステムといったものが必要ではないか。
    • 利用者への安全指導という点は書き込みたいと考えている。
    • 海上交通の中で、「海上ハイウェイネットワークを構築する」とあるが、その内容について。
    • 例えば、ITを使って東京湾の中も高速で走れるように、陸上の管制で交通流をうまく流し、高速船と遅い船との棲み分けを行う、あるいは、港湾手続きをより簡単にする等、一般的に海上輸送のスピードアップを図ろうとするものである。
    • 従来の目標値は、行政側から一方的に設定されるような感があるが、本来は国民全体の目標と考えるものである。従って、市民参加型の目標設定をどう作っていくかが大事であり、その方法としては論理的な算定値を出すなど納得性のあるものを目標とし、それを広報等で周知させるべきである。また、重点施策の中で「高齢者の交通安全対策の推進」とあるが、高齢者への教育だけでなく、高齢者の特性を他の年齢層にどう知ってもらうかが重要であり、その工夫をすべきである。
    • 「段階的かつ体系的な交通安全教育の推進」のところは、18歳から20歳の人には教育しないということなのか。また、「悪質危険な運転者の早期排除等」とあるが、具体的にはどのようなことを考えているか。
    • 18歳から20歳については、教育指針上は成人の中に含めている。また、「悪質危険な運転者の早期排除等」については、行政処分の枠の中で適正かつ早期に運用すること等を進めて参りたい。
    • 目標値については、24時間死者数と死傷者数の抑制を何らかの形で入れてはどうか。また、例えば外国との比較といった分かりやすい形で解説していただきたい。「救助・救急体制」については、「救急救命士の養成」ということが記述されているが、「交通安全教育の場合の指導者養成」についても、日本の対策は指導者養成が後手後手に回っていると言われるので、このことについて、1項目でも入れていただきたい。
    • 「参加・体験・実践型の教育手法の普及」の中で、非常に重要だが費用対効果という点でも難しいと触れられているが、是非、具体的、実践的教育に向けての指導者養成については意を注いでほしい。
    • 陸上交通については、非常に多くのことが書かれているので、特に7次計としての最重点や新規施策が分かるような工夫をしていただきたい。また、目標値については、事故件数あるいは負傷者数を示すべきである。数値を立てにくいのであれば、減らすための意欲のようなものを目標の中に書き込んでいただきたい。
    • リコール制度のあり方について、論議事項試案には「調査体制などを充実する」と書かれているが、メーカー任せにするのではなく、行政として調査機関の整理や再構築を行い、独自にリコール該当ケースを把握するところまで踏み込まないと、再発防止には役立たないのではないか。
    • 携帯電話とナビゲーション装置について、今の書き方ではどうしていくべきなのかが分かりづらいので、さらに工夫すべきである。目標値については、やはりゼロを目標にすべきだと思うので、「ゼロ」という言葉をどこかに入れてほしい。
    • 交通安全教育について、「しなければならない」、「してはいけない」という理由を教えるといった動機付けに留意していただきたい。目標値の設定については、納得できるプロセスが必要である。
    • 携帯電話とカーナビの部分については、確かにこれだけ読むと一体どうしようとしているのか分かりにくいので、危険性を抑制するような旨の見出しになるように検討して参りたい。
    • 学校教育を通じての交通安全教育については、文部省において危険予測教材を作っていきたいと考え、現在、概算要求でお願いしているところである。指導者養成については、これまでも年間約1万人に対して5日間の研修を行っており、引き続き、充実を図って参りたい。また、警察や安全協会、専門家と連携を図りながら学校での安全教育を進めて参りたい。
    • 指導者養成の関係で、総務庁では高齢者交通安全リーダーによる参加・体験・実践型の交通安全教育を、全国で8ブロック、1カ所当たり約100人の規模で毎年行うこととしており、7次計画の期間内に全県で実施したいと考えている。
    • 全般的に、いろいろな項目が並んでいるが、それをどうやってやるのかが大事であり、あまり美辞麗句の羅列にならず、実質が盛り込まれるような工夫をしていただきたい。また、目標値については、(1)24時間死者だけでいいか、(2)十分な根拠を持って説明するべし、という委員の意見が多かったので、このことについて、意見を伺いたい。
    • 目標値の根拠については、できるだけ分かりやすく書きたいと考えている。また、交通事故死者数は24時間の死者数を目標値とし、具体的な数値を掲げたいと考えているが、事故件数や死傷者数の具体的数値目標については、難しいと考えている。
    • 目標値については、新聞や雑誌を読んだ方が理解できるようにするためにも、新聞発表や記者発表の時には分かりやすい資料を用意していただきたい。
  5. 事務局から次回日程等の説明があった。
  6. 閉会

以上