第8次交通安全基本計画・特記

特記 公共交通機関における総合的な安全対策

平成17年4月のJR西日本福知山線脱線事故や航空分野における人的ミスや機材不具合に起因するトラブル等、昨今、公共交通機関における重大事故やトラブルが続発している。安全最優先の意識の形骸化、不十分な経営・現場間及び部門間の意思疎通・情報共有、不十分な経営陣の安全確保に対する関与等がヒューマンエラー発生の背景とも指摘されており、公共交通事業者の組織体制やシステムを見直すことでこれらの問題を除去し、公共交通に対する国民の信頼回復が喫緊の課題となっている。

このため、第1部第1章第3節II、第1部第2章第2節II、第2部第2節II及び第3部第2節IIにおいて述べた自動車、鉄道、船舶、航空の各分野ごとの安全対策に加え、以下の施策を分野横断的に推進する。

(1)安全マネジメント態勢の構築と継続的取組

公共交通の事業者の組織内における安全意識の浸透と安全風土の構築により陸・海・空の公共交通における輸送の安全を確保するため、自動車、鉄道、船舶、航空の各交通において、事業者に、輸送の安全を確保するための事業運営の方針、各部門の安全に関する組織体制と情報伝達、内部監査の実施、事業運営の継続的見直し・改善等を記載した安全管理規程の作成と安全統括管理者の選任を義務付け、経営トップ主導による輸送の安全を確保するための事業運営の自律的・継続的な見直し・改善を行わせることにより、経営トップから現場まで一丸となった安全管理の態勢を構築させるとともに、そのチェックを国が行う仕組み(安全マネジメント評価)を導入することとする。

(2)ヒューマンエラー事故防止の技術開発

交通機関の高度化、交通の高密度化等により、今後ますますヒューマン・マシン・システムの高度化、複雑化は加速していく。
ヒューマンエラーによる事故を防止するために、新しい高度技術システムを導入するだけではなく、併せて運転者等が危険な状況を気づくことができるよう支援する技術開発や、運行・運航管理側が運行・運航状況を把握し、支援を行うための技術開発を推進する。