中央交通安全対策会議専門委員会議(第1回)議事要旨

文責:内閣府政策統括官(共生社会政策担当)

日時

平成17年2月24日(木)14時から16時45分

場所

中央合同庁舎4号館 共用第2特別会議室

出席者

(専門委員)
森地座長、赤羽、大久保、岡野、岡本、河内、久保田、斎藤、杉山、鈴木、中島、益子、松岡、三木、宮本、横須賀、吉岡、蓮花の各専門委員
(内閣府)
山本政策統括官(共生社会政策担当)、加地大臣官房審議官、二見参事官(交通安全対策担当)、島村参事官補佐
(関係省庁)
警察庁交通局交通企画課 石井課長
警察庁交通局交通規制課 種谷課長
消防庁救急救助課 長尾理事官
文部科学省スポーツ・青少年局 戸田体育官
厚生労働省医政局指導課 宮本課長補佐
国土交通省総合政策局 北野参事官
国土交通省道路局道路交通管理課 江畑課長
国土交通省道路局地方道・環境課 祢屋課長
国土交通省自動車交通局総務課安全対策室 清谷室長

山本政策統括官から開会の挨拶が行われた。

専門委員等の紹介が行われた。

議事

  • (1)会議開催の趣旨や第8次交通安全基本計画の作成スケジュールについて、内閣府より説明が行われた。
  • (2)第7次交通安全基本計画の政策評価について、内閣府より説明が行われた。
  • (3)第8次交通安全基本計画作成のための主な論議事項について、内閣府より説明が行われた。

以下、各専門委員の主な発言内容

<政策評価関係>

専門委員

  • 信号機の高度化等による交通事故の人身効果の求め方の説明があったほうがいいのではないか。

専門委員

  • 若者に対する交通安全教育が効果的であることの根拠としては、人口10万人当たりの若者の事故率が減少している点を挙げる方が適切ではないか。また、高齢者を第一当事者(原付以上運転者)とする交通事故件数は増加しているが、高齢者の免許保有者10万人当たりでみれば変化がないので、必ずしも高齢者が危険になっているということにはならないのではないか。

専門委員

  • 近年の死者数の減少理由として、車両の安全性の向上も取り上げるべきではないか。

専門委員

  • 踏切道に関して、例えば四種踏切から一種踏切にしたら、事故件数がこれぐらいになったというような効果を記載したらどうか。

専門委員

  • 近年の死者数の減少理由として、救助と救急医療も盛り込んだらどうか。

専門委員

  • 交通安全教育が長期にわたってなされていることも、死者数が減少している理由として含めるべきではないか。

専門委員

  • 事故分析の評価は、調査研究結果だけでなく、それらがどのように活用されているかも含めて行うべきではないか。
    また、交通事故関連情報の提供の活用方法として、安全マップをホームページで表示するのに加え、例えば、事故が多発している地点を道路上でドライバーに分かるように表示するようなこともあるのではないか。

専門委員

  • 交通事故調査・分析の充実に関して、ミクロ分析やGISの活用がまだまだ不十分であるほか、調査の体制も整っていないので、そういう視点で第8次計画に何を盛り込むべきかを検討すべきではないか。

専門委員

  • 応急手当の普及のための各種講習会やドクターヘリについて、交通事故統計からは分からなくても、病院側から見た微妙な違いを効果として記載したらどうか。

専門委員

  • AED(自動体外式除細動器)の普及に関連して、「良きサマリア人法」を日本でも整備して欲しい。

専門委員

  • アウトカムについて、今後は、ある要因の寄与度等を図るような工夫が重要となるのではないか。

<論議事項関係>

専門委員

  • 大規模地震対策や津波対策については、海上交通のみならず、道路交通や航空交通においても重要なのではないか。

専門委員

  • 数値目標については、範囲や地域を明確にした目標も同時に設定するとともに、負傷者の目標を設定することが重要ではないか。そして、負傷者数については、重傷と軽傷に分けて論じたらどうか。
  • 参加と連携のうちの「連携」に関しては、例えば、地域ごとの連携、世代間の連携、交通モード間の連携など、様々なレベルの連携を検討すべきではないか。また、「参加」に関しては、実行段階から求めるのではなく、プラン、ドゥー、シーの各段階において求めていくのが重要ではないか。
  • 高齢ドライバーの運転対策については、高齢者講習等のチェックが重要なのは当然であるが、加えて、高齢者にいかにスムースに運転を続けてもらえるかという観点も重要ではないか。
  • 反射材の購入方法の周知など具体的な反射材普及対策を講じたらどうか。

専門委員

  • 全般的な考え方であるが、交通環境の変化に対する施策の変化という視点を加えたらどうか。
  • 死者の絶対値のみならず、事故そのものを減少させるということももっと重視していいのではないか。その際には、事故件数の絶対値だけではなく、人口10万人当たりや台キロ当たりというような指標で補完したらどうか。
  • ドイツ語の「フェアケールスタイルネーマー(Verkehrsteilnehmer)」(交通参加者)について、より適切な日本語訳を考えて、国民一体となって事故を減少させていこうという訴えかけの手段として活用したらどうか。
  • 施策が継続と新規となるのは当然で、継続の場合は7次計画で効果があったものを引き続き継続していくことになるし、新規の場合には高齢者対策が重要となる。その際、高齢者が技術革新にどう対応していくのかが一つのポイントとなるのではないか。
  • 書き方の問題として、横文字を括弧書きで説明するなど、高齢者にも十分分かりやすいものとすべきではないか。

専門委員

  • 交通安全教育は、その効果が表面に出にくいけれども欠かせない大きな問題であり、第1番目の重要さとして取り上げていく必要があるのではないか。
  • 国民全体の交通安全意識を高揚させていかなければならないので、これからの交通安全教育としては、知識だけではなく、参加・体験・実践型が重要になるのではないか。

専門委員

  • 全死者の約18%が、自宅から500m以内で歩行中に亡くなっているという事実は、非常に大きな問題として捉えるべきではないか。その意味では、自宅付近で事故に遭わないというような目標設定もあり得るのではないか。
  • ボトムアップ型の交通安全対策に関して、制度として住民が提案する仕組みを構築することが重要ではないか。その仕組みは透明性が確保され、かつ客観的な評価がなされるものとすべきではないか。

専門委員

  • ドクターヘリや消防防災ヘリについては、高速道路の事故現場にほとんど降りられないほか、ヘリポートつきの病院が限られているといった着陸場所の問題がある。また、両者の活動についての社会的なアクセプタンスをもう少し構築しないと、数はそろっても、必ずしも役に立たないということになるのではないか。
  • 交通事故のデータベースに関して、専門家との連携を強化して、人間はどういう時に事故を起こすものなのかという点にまで踏み込んで分析したらどうか。
  • 航空機の施策については、エアラインに属した大型機が中心となっているが、小型機のことも考えるべきではないか。

専門委員

  • 数値目標については、交通環境の変化や人口の変化など、外部的な要因によって必ずしも押さえきれない問題が出てくるので、絶対数のみならず、率のようなものをいれたらどうか。
  • 参加・体験・実践型教育について、気軽に体験できるような宣伝が重要ではないか。
  • 安全な歩行者道路は、自動車と歩行者・自転車との分離が根本にあると思うが、同様に、仮に踏切をなくせば踏切事故はゼロになるし、ホームドアを整備すれば、転落事故は減ることになる。このような交通環境の改善という抜本的な改革も視野に入れたらどうか。
  • 高齢者の交通行動の特性を理解すべきとあるが、この点は高齢者だけに限った問題ではなく、人間行動の特性を一般の人たちに理解して貰うことが重要ではないか。

専門委員

  • 鉄道や踏切に関して、IT技術や工事手法やコストなどといった技術的側面を加えて欲しい。また、鉄道だけではなくインフラ全体に共通の話であるが、戦後の構造物について、健全度調査やその補修も重要ではないか。
  • 様々な対策に対する評価を、もう少しきめ細かく分析したらどうか。

専門委員

  • 交通事故分析の充実に関して、ミクロ分析やインデプスアナリシスという手法に関しては、かなり定まったものがあるが、それらの情報を取る体制や事故分析を対策に活かす体制が整っていないという問題があるのではないか。
  • 高齢ドライバー対策については、個人差も非常に大きいので、双方向というか、カウンセリング的な手法が取り入れられるべきではないか。
  • バス、トラック、タクシー等のプロドライバーの過労運転や高齢化の問題について、運行管理を行う会社の体制や監督の仕組みや事故対策機構などで行われているドライバーや運行管理者への診断の質の向上を図るべきではないか。

専門委員

  • 交通事故のデータベースについては、信号機の設置など実施した施策の情報も加えるべきではないか。

専門委員

  • 目標値の設定に関して、遺族の立場からすれば、24時間死者数とともに30日以内死者数も併記して欲しい。
  • 「被害者対策」だけでなく、「違反者対策」の視点もあってもいいのではないか。
  • 地方に行くと、車道と歩道とが分離されていない道路があるので、縁石やガードレールを整備することが必要なのではないか。
  • 交通安全週間については、本当に交通事故の悲惨さが幼稚園児にもわかるような形で実施して欲しい。
  • 運転免許センターにおける違反者に対する講習会など、交通事故被害者の声を運転者に直接聞かせる機会を設けて欲しい。
  • 交通安全意識の低い人への働きかけとして、諸外国では既に行われていることであるが、事故の悲惨さや事故シーンを公共広告テレビで継続的に流したらどうか。
  • 犯罪被害者等基本法も成立したので、被害者対策をぜひとも具体的な形で盛り込んで欲しい。

専門委員

  • 目標設定に関して、発生件数を抑えるという数値目標を入れてはどうか。その際に、数値ばかりにとらわれないように、実際の施策や方針なども重視して交通事故防止対策を推進したらどうか。
  • 参加・体験・実践型の交通安全教育である世代間交流事業は、次の計画にも引き続き盛り込んで欲しい。
  • 抜本的対策として、高齢者に対する免許制度の見直しを行ったらどうか。
  • 交通安全思想の普及については、俳優や役者を用いたテレビ広報等によるPRが効果的ではないか。
  • 反射材のPRに関しては、ブラックライトの活用やマスコミの活用など工夫が必要ではないか。

専門委員

  • 救命救急の現場において被害者の精神的な障害を軽減するための早期介入プランを取り入れていただきたい。
  • 被害者が希望することの一つに自分たちの被害をいかにフィードバックするかということがあり、また、運転する側の意識を改革することが重要であると思うので、飲酒運転等についての原因を分析するとともに、免許更新時において被害者の悲惨さを教えるようにして欲しい。

専門委員

  • 交通安全に関する指導員の活動は立哨や教育指導など様々なので、研修の内容や、交通指導員の育成に関するプログラムについて、それぞれの分野で生かせるように見直して欲しい。
  • 学校における交通安全教育の時間が取りにくい実情にあるので、思いやりの教育や命の大切さの教育の一環として、交通安全教育を盛り込んだらどうか。
  • 赤色灯を掲載した自動車も、青色灯と同様な形式で認可していただければ、より効果的な安全指導や広報、啓発活動が可能となるのではないか。

専門委員

  • 市民の関心は死者だけに限らなくなっているので、目標値を設定する際には、人身事故件数で80万件をいつまでに割るんだ、70万件をいつまでに割るんだというような目標を考えていく必要があるのではないか。
  • 安全意識の低い者が問題なのではなくて、むしろ自動車が危険物であるということを忘れている運転者が問題なのではないか。この意味において、同じようなことでも、安全対策ではなく危険対策として取り組んだ方が、効果が上がるのではないか。

専門委員

  • 交通安全教育を学校の方でも取り組んでいくような方向を探って欲しい。
  • 高齢者の交通問題については、完成した人格なので「教育」というよりも身体機能の維持等を含めて別枠で対策を考えていくべきではないか。

専門委員

  • メディカルコントロール体制の一層の推進により、救急救命士の処置範囲を拡大して欲しい。
  • ドクターヘリの全国配備をぜひ実現して欲しい。
  • 交通死亡事故等の重大事故に対するミクロ調査を充実させて欲しい。
  • 応急救護処置を推進するために、「良きサマリア人法」の制定が必要ではないか。

専門委員

  • 夢のあるビジョンみたいなものを標語として作ったらどうか。
  • 施策の進め方は、プラン・ドゥー・チェック・アクションで回していくべきであるし、その際、施策の効果評価としては、寄与率のようなものの手法の開発が必要ではないか。
  • ITSに期待を持たれているわけだが、すべてが善良なユーザーとは限らないので、ITSによるリスクを考える必要があるのではないか。

閉会

以上