中央交通安全対策会議専門委員会議(第5回)議事要旨

文責:内閣府政策統括官(共生社会政策担当)

日時

平成18年2月9日(木)10時から12時30分

場所

中央合同庁舎4号館 共用第2特別会議室

出席者

(専門委員)
森地座長、赤羽、大久保、岡野、岡本、河内、久保田、杉山、鈴木、中島、益子、松岡、三木、宮本、横須賀、蓮花の各専門委員
(内閣府)
林政策統括官(共生社会政策担当)、荒木大臣官房審議官、二見参事官(交通安全対策担当)、島村参事官補佐
(関係省庁)
警察庁交通局交通企画課 石井課長
警察庁交通局交通規制課 種谷課長
消防庁救急救助課 井内救急専門官
文部科学省スポーツ・青少年局 戸田体育官
厚生労働省医政局指導課 鈴木課長補佐
国土交通省総合政策局 北野参事官
国土交通省道路局道路交通管理課 桝田課長
国土交通省道路局地方道・環境課交通安全対策室 岩崎室長
国土交通省自動車交通局総務課安全対策室 江角室長

議事

第8次交通安全基本計画(案)について、内閣府より説明が行われた。

以下、各専門委員の主な発言内容

専門委員

  • 交通安全の推進に関する住民の参加や主体的な取組の推進が重要であり、計画決定後、これらに関する具体的な仕組みづくりを進める必要があるのではないか。
  • 最近、子どもの防犯の問題が社会的に脚光を浴びており、通学路の安全について、防犯のみならず交通安全の観点からも重要であることを強調すべきではないか。
  • 今年の6月から新たな違法駐車対策法制が施行されると思うが、駐車対策は渋滞対策のみならずバリアフリー対策としての観点も重要ではないか。

専門委員

  • 交通安全基本計画は、「計画の樹立」と「計画の実施」の二つの大きな目的があると考えるが、後者の意味において、例えば、重点施策や新規施策を強調するなど、第8次交通安全基本計画を国民に対して、分かりやすい形で示すことが重要ではないか。
  • 特に、自動車交通に関しては、「自動車利用者に読んで貰いたい事項」や「歩行者に読んで貰いたい事項」というように抜き出した広報の仕方を検討したらどうか。

専門委員

  • 数値目標は本来、「従来ベースでは達成できないが一生懸命頑張ることにより達成できるもの」のはずであるが、その積算根拠を説明することが重要ではないか。
  • 特に、近年の死者数の推移を見た場合、「5500人は決して難しい目標ではない。4000人とすべきではないか」との意見が予想されるところ、このような意見への反論として、計画に数値目標の根拠を詳しく記載することが重要ではないか。

専門委員

  • 国民自らの意識改革という視点を達成するための手段として、参加・体験・実践型活動の推進、民間団体等の主体的活動の推進、住民の参加・協働の推進等が重要ではないか。

専門委員

  • 被害者団体等からの意見や要望を聞いて、その視点も取り入れたことは評価できるのではないか。
  • 被害者にとってみれば、道路、鉄道、海、空など、どこで事故に遭おうが大変な状況になるのは変わらないのであるから、道路交通のみならず、鉄道交通、海上交通、航空交通においても、被害者支援の充実が重要ではないか。

専門委員

  • 海上交通に関して、小型船舶の安全を優先すべきとあるのは評価できるのではないか。
  • 様々な鉄道事故の発生を踏まえて、鉄道交通に関する視点を充実すべきであり、例えば、組織やシステムに関する視点を強調すべきではないか。

専門委員

  • 計画の基本理念に関して、一般的に「人間」「交通機関」「交通環境」という3要素が指摘されるが、死者数削減という観点からみた場合、「救助・救急活動の充実」を加えた4要素で捉えることが重要ではないか。
  • 救急医療担当医師や看護師の養成に関して、救急隊のための病院前外傷教育プログラム(JPTEC)や医師のための外傷教育プログラム(JATEC)を推進することが重要ではないか。
  • 厚生労働省が昨年から進めている災害時医療派遣チーム(DMAT)について、福知山線の列車脱線事故においても活躍しており、これを推進することが重要ではないか。

専門委員

  • 国民自らの意識改革は大変重要であるので、指導取締りに関して、「違反者が納得するような取締り」あるいは「違反者が真摯に反省するような取締り」という視点が重要ではないか。

専門委員

  • 鉄道交通の部分について、鉄道事故原因究明体制の強化を始めとして、現時点で考えられる施策を網羅的にまとめてある点は評価できるのではないか。
  • 計画中には、「努める」「指導する」「図る」「行う」と様々な動詞が出てくるが、国民にとっては、その相違が分かりにくいのではないか。

専門委員

  • 例えば、千葉県警察においては、交通事故統計の処理において各警察署設置のPC端末から電子入力するデータベースシステムを構築しているが、現状では希な整備例である。このような仕組みは、迅速・効率的な交通事故分析に必須であるから全国展開すべきで、そのため予算要求は正当化されるものではないか。さらに、もう一歩進めて事故現場での携帯電子端末による入力システムも導入すべきではないか。

専門委員

  • 交通事故分析について、交通事故総合分析センターや一部の警察署で取組がなされているけれども、それを普遍化して全国展開することが重要ではないか。
  • 死者数のみならず死傷者数を減少させるためには、何か新たな施策が必要となると考えるが、事故危険箇所等の交通事故データをきちんと分析し、その施策を考えるということが重要ではないか。

専門委員

  • 人優先や弱者優先の交通安全思想は、大変素晴らしいと考える。
  • 国民に対して分かりやすい交通安全基本計画にするために、字体を変更したり、四角で囲んだりするなどの表現上の工夫が重要ではないか。
  • 第8次交通安全基本計画の策定に関わった専門委員の責任として、今後、計画のフォローアップや政策評価を実施する場合には、情報を提供して頂きたい。

専門委員

  • 交通安全関係省庁は多岐にわたり、それぞれウェブサイトを持っていると思うが、内閣府のホームページから各省庁のホームページに辿り着くことができるようリンクをはるべきではないか。

専門委員

  • 事故分析のデータベース構築は非常に重要であり、迅速な対策立案のためには、市町村の事故データを容易に入手できるようにすべきではないか。
  • 交通安全教育や普及啓発活動の政策評価を充実すべきではないか。
  • 次の第9次交通安全基本計画を策定するまで、8次計画を継続的にフォローアップするワーキンググループのようなものを設置すべきではないか。

専門委員

  • 信号機や一時停止の交通規制等に関する施策をデータベース化すべきではないか。

専門委員

  • 被害者支援について、犯罪被害者等基本法と連動して、施策を実施していくことが重要ではないか。
  • アメリカにおいては、飲酒教育の中で飲酒運転の危険性が教えられているので、我が国の学校でも、飲酒運転に関する教育を加えるべきではないか。
  • 交通安全教育や普及啓発活動の政策評価を充実すべきであり、その手法に関する調査研究が重要ではないか。

専門委員

  • 第7次交通安全基本計画よりも分かりやすいものになったのではないか。
  • チャイルドシートの装着率が高まらない理由は、取締りが厳しくなかったり、子どもが嫌がったりするためであり、施策としては、我が子の命を守るのは保護者であり、意識向上のための効果的な教育指導を行う必要があり、装着推進と取締りの強化に重点を置くべきである。このような意味において、「地方公共団体や民間団体の実施する各種支援制度の活用」という視点は、かえってチャイルドシートの利用促進につながらないのではないか。

専門委員

  • TDMや外周道路に関して、自家用車が入れない地区やトランジットモール等の発想が重要ではないか。

専門委員

  • アメリカにおいては、大人が見ても衝撃的なビデオを用いて、飲酒運転事故の怖さや悲惨さを、子どもに対して教育している。我が国においても、小さいときからこのような飲酒運転の危険性に関する教育を行うことが重要ではないか。

専門委員

  • 交通安全基本計画の末尾に「共通施策」のような形で、陸上交通、海上交通、航空交通に横断的な施策をまとめて記載したらどうか。
  • 交通事故分析データベースの構築については非常に重要であり、死傷者数を減少させるためにキーとなる施策ではないか。
  • これまでの5回にわたる専門委員会議での議論は、今後、第8次交通安全基本計画を評価する際に極めて重要となるのではないか。

専門委員

  • 道路交通以外の被害者支援に関して、マンションの耐震偽造の問題と同様に、事業者によって被害者が受ける対応が異なるのは問題であるので、国土交通省において、被害者支援に関するガイドラインを設けたらどうか。

専門委員

  • 航空安全において、事故原因を解明するためには刑事免責制度を検討すべきであり、「裁判所の事実認定に重大な支障を及ぼすこととなるため、相当ではない」という法務省の見解は一応理解するが、やはり予防的交通安全対策を打ちにくいという問題があることは、再度、指摘させていただく。

閉会

以上