中央交通安全対策会議専門委員会議(第2回)議事概要
1.日時:
平成22年4月19日(月)15:00~17:15
2.場所:
中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室
3.出席者:
- 【委員】
- 太田座長、赤羽委員、大久保委員、尾形委員、河内委員、久保田委員、佐々木委員、杉山委員、藤森委員、益子委員、松岡委員、三国委員、宮本委員、山崎委員、山村委員、芳仲委員、蓮花委員、渡邉委員
- 【内閣府・事務局】
- 太田内閣府大臣官房審議官
- 加藤参事官(交通安全対策担当)
- 【オブザーバー】
- 警察庁入谷課長、警察庁石田課長、国土交通省酒井課長、国土交通省吉崎課長、国土交通省石原室長、国土交通省是則車両安全対策調整官、国土交通省大森事故防止対策推進官、国土交通省中桐安全監理官、文部科学省石田課長補佐、消防庁谷本課長補佐、厚生労働省福原課長補佐、法務省大西補佐官
4.概要:
○太田内閣府大臣官房審議官挨拶
- 4月6日~15日まで、春の全国交通安全運動を実施した。各行政機関、民間団体、ボランティアの方々の協力を得て、新入学児を始めとする幅広い方々に、交通安全について働きかけることができた。
- その結果、期間中の24時間以内の交通事故死者数は96名ということで、春、秋を通じ、統計として残っているものの中では、初めて100名を下回った。
- 交通安全に関する取組の一つひとつが交通事故の減少に寄与しており、更なる前進を目指していきたい。
- 道路交通については、24時間死者数を更に半減するという目標が掲げられており、また、鉄道、海上及び航空については、大量輸送という特性から、その安全には万全を期さなければならない。委員の皆様の知見をいただきながら、議論を深めていきたい。
○委員紹介及び提出資料説明
- 事務局より、今回初出席となる委員の紹介を行った。
- 赤羽委員より、資料3「道路交通安全に関する基本政策等に係る調査報告書」について説明がなされた。
- 事務局より、その他の資料について説明を行った。
○委員からの主な発言
理念・目標
- 現実を踏まえて、崇高な理念を掲げるべき。交通安全については複数の役所で取り組んでいるが、内閣府で、交通安全対策の情報のデータバンク的な役割を担うことはできないか。
- あまりにも非現実的な目標は設定すべきでない。実行可能なものを示すべき。その際、24時間以内死者数と30日以内死者数の両方を示すと混乱するのではないか。24時間の方を主とし、30日の方は参考値としてはどうか。
- 「世界一安全な交通社会」という場合の「世界一」という言葉には「競争」という概念が含まれる。そもそも「競争」という言葉がいいのか悪いのか、検討が必要である。
- 9次計画の冒頭に、道路、鉄道、海上、航空の各モードごとの重点は何かというものを挙げておくべき。
- 公共投資に厳しい目が向けられているが、安全に絡んだものは軽視できない。安全投資は積極的に行う旨を発信すべき。例として、歩車分離信号、ASV、ドライブレコーダーなど。
- 「2,500人以下を目指す。」という場合、なぜ、2,500人なのか、という点をしっかり議論する必要がある。理念としては、「ゼロ」が一番はっきりしているが、なかなか困難という時に、諸外国との比較で最も低いところを目指すという議論をしっかりやってから数値目標を決めたらどうか。
- 計画をどのように実行していくのかという戦術についても、きちんと議論し、この計画に盛り込んでおく必要がある。
- 例えば、飲酒運転の死者をゼロにする、子どもの事故をゼロにするといった目標をモデル事業的に立てるなど、色々な手法を組み合わせて、いかにゼロにするかということを国民的議論として国民参加を求めながら検討していくこととしてはどうか。
- 遺族の感情からすると、24時間統計だけでなく、30日統計もとるべき。
- 交通安全教室の現場からは、「目標はゼロ」という声が出てくると思う。
重点対象・考え方
- 移動手段を考えて、歩行者及び自転車が重点対象となっているが、高齢者については、車の運転をやめた人が公共交通に乗り換えることがあるので、重点対象を、歩行者、自転車及び公共交通機関としたらどうか。
- 交通事故のメカニズムをきちんと国民に知らせることが、国民自らの意識改革には必要ではないか。
自転車対策
- 自転車の事故で若年層が多いのは、自転車が歩道を走る際、左右のどちらを走っていいのかという教育が行き届いていないということが考えられるのではないか。
- 高校生は自転車に乗る際、ルールを守らない、あるいはマナーが悪いと感じる。
- 自転車について記載する際、「マナーを守る。」といったトーンではやわらかすぎる。法律違反をしてはいけないという意味で「交通法規を守る。」といったトーンで表現するべき。
生活道路
- 生活道路における事故防止を書くに当たっては、そこに住む市民が主人公であるということを理念として入れたらどうか。
- 生活道路対策がポイントだと思う。法律上「生活道路」の定義はないが、外国の例なども参考にしながら、「生活道路」というものに対して、これまでの道路に対する考え方を転換させることができるものか検討すべき。
- イギリスでは、都市の中の街路は生活の公共空間との認識。身の回りの道路という意味での生活道路における安全をどう確保するかは、行政だけでなく、住民を巻き込んだ新しい取組が必要である。
- 生活道路対策として、市民参加の交通安全対策を考える場合、専門家の方で生活道路での事故発生原因を明らかにし、それに対する対策をいくつか用意しておく。そして、どのような対策を選択し、それを評価するかは市民の役割とするといった枠組みが必要。そのために、生活道路を含めたデータの整備が第一歩である。
- 生活道路については、規則をきちんとするだけでなく、楽しい生活環境があってほしいと思う。
道路交通環境の整備
- 今ある道をどう再配分するかが重要。自転車と歩行者が一緒で、となると、自転車と歩行者の事故は減らない。できるだけ、自転車と歩行者を分離する方向で考えていただきたい。
- 例えば、電線共同溝を整備する場合、通行帯の確保のことも一緒に考えて、スペースを活用して自転車の道と歩行者の道を分けるといった方法はできないか。
安全運転の確保
- ドライブレコーダーは是非付けるべき。ただし、価格が最大の問題。価格がどのくらいなのか調べていただきたい。飛行機の分野では、輸送機には付いているが、価格の安いヘリコプターや小型航空機には付いていない。このことがヘリコプターや小型航空機の事故が多い原因の一つ。ドライブレコーダーを自主性に任せたら誰も付けないので、強制力をもって付けさせないとだめである。
救助・救急活動の充実
- 千葉県の交通事故調査委員会の報告書についてであるが、全交通事故死者213人中26例、約8人に1人は、救助医療のシステム改善により救命できたのではないかということである。治療方針の決定など、色々な問題があって、外傷治療の質をもっと上げないといけない。
- 事故発生から消防が覚知するまで平均4.6分。事故発生から医師引継ぎまでが45分となっている。また、事故発生から治療開始までの時間は、救急車の場合とドクターヘリの場合とで異なる。こういったことを踏まえ、事故が起きた時の自動通報システムの普及、ITSの一つである救急搬送支援システムの推進等、8つの提言を行っている。
被害者支援
- 被害者は経済的にも精神的にもダメージが大きいため、意見を求められてもこれに応じることが困難であるというのが実情なのではないか。
- 「被害者支援の推進」は、道路の部分だけではなく、鉄道、海、空の部分にも是非入れて検討を進めていただきたい。
- 起きてしまった事故について、被害者が救済される安心をいかに担保するか。例えば、自転車は被害者にもなるが、加害者にもなる。加害者が保険でカバーされていないと被害者は救済されない。子どもやお年寄りが自転車に乗る際、子どもやお年寄りを監督する立場にある人を保険でカバーできないか。
- 交通事故の被害に遭った方の御家族に対して、医療現場の関係者なり学校関係者が連絡する際の連絡方法(何をどのように伝えるか)を確立できれば、御家族が病院等に向かう際の交通事故の二次被害を防止できるのではないか。
- 交通事故の被害者や加害者が、事故後に再度車を運転する前に、何らかの心理教育を受けさせることは重要。
鉄道関係
- 輸送の安全性と輸送の安定性については、是非計画の中で書いていただきたい。また、鉄道事故調査官については、専門調査技術の向上に努めなければならない、と書くべき。
- 安定輸送の確保という意味で、風対策に関して、規制の解除、解除の論理的なやり方、考え方はかなり重要。また、風対策について、技術的な援助、経済的な援助も必要ではないか。
踏切道
- 踏切事故は、かなりのものは確信犯的なものであるが、道路信号との関連で、手前で止まるべきなんだけれども何となく入らざるを得ないとか、踏切の真ん中で右折待ちをするような状況になってしまうとかといったことがある。監督官庁が違うという面はあるが、一体で見て、事前にチェックすることも必要ではないか。
- 踏切の警報器が鳴ったら自動車のカーナビに何らかの情報を出すとか、踏切に関してもIT技術との連動という観点からの記述をしていただきたい。