中央交通安全対策会議専門委員会議(第3回)議事概要

1.日時:

平成22年6月29日(火)16:59~19:11

2.場所:

中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室

3.出席者:

【委員】
太田座長、赤羽委員、大久保委員、岡野委員、河内委員、久保田委員、佐々木委員、杉山委員、藤森委員、益子委員、松岡委員、三国委員、宮本委員、三好委員、山崎委員、芳仲委員
【内閣府・事務局】
太田内閣府大臣官房審議官
加藤参事官(交通安全対策担当)
【オブザーバー】
警察庁入谷課長、警察庁石田課長、国土交通省酒井課長、国土交通省清谷課長、国土交通省山崎課長、国土交通省石原室長、国土交通省加藤室長、国土交通省中桐安全監理官、文部科学省松川課長、消防庁清水課長補佐、厚生労働省福原課長補佐、法務省大西補佐官

4.概要:

○太田内閣府大臣官房審議官挨拶

  • 道路交通事故の状況については、本年に入ってからも、発生件数、死者数及び負傷者数ともに減少傾向が続いているが、高齢者の死者数は増加しており、また、死者数の減少幅もこれまでより鈍化している。
  • また、鉄道事故、海難及び航空事故は、ひとたび発生すれば、重大な事故となるおそれが常にある。今後とも、総合的な交通安全対策を鋭意推進していきたい。
  • これまでの2度にわたる専門委員会議での検討を踏まえ、第9次交通安全基本計画の骨子(案)を示しており、忌憚のない御意見を承りたい。

○提出資料説明

  • 警察庁、文部科学省及び国土交通省から、それぞれ資料に基づき、今後の交通安全施策等について説明を行った。
  • 事務局から、その他の資料について説明を行った。

○委員からの主な発言

まえがき

  • 交通安全基本計画が交通事故抑止に寄与してきたことを「まえがき」で書くべき。

理念・目標

  • 基本理念で、「交通事故のない社会を目指す」趣旨のことが書かれている一方で、目標で「2,500」という数字が出てくるのは、違和感がある。説明ぶりに工夫が必要。
  • 「交通事故のない社会を目指し、交通事故を起こさない、交通事故に遭わないという意識の再確認が必要である。」と記載されているが、「交通事故に遭わないという意識の再確認が必要」という書きぶりだと、事故の被害者や御遺族の方はとても傷付く。いくら注意していても、無謀な運転者によって一方的に被害に遭うにもかかわらず、このような意識がなかったから被害に遭った、被害者にも落ち度があったというように捉えられ、結果的に、被害者の二次被害を助長するのではないか。「無念な被害者を出してはいけないというようなことを再認識し、これを社会に広める」といったトーンで書くべき。
  • 24時間死者数を平成27年までに3,000人以下にするという目標は、ものすごくハードルが高い。この数値を掲げる以上は、国として覚悟をもって取り組むということを是非盛り込んでいただきたい。
  • これまでの統計との関係で、24時間死者数は必要だが、交通事故の悲惨さを社会に伝えるという意味で、30日死者数も入れるべき。

高齢者及び子どもの安全確保

  • 高齢運転者が事故を起こさないようにするための対策について、講習とか、免許証の返納ということだけでなく、高齢者が自動車を運転しないでも済むような社会の実現を目標に挙げていただきたい。

歩行者及び自転車の安全確保

  • 「歩行者及び自転車の安全確保」となっているが、歩行者と自転車とでは、対策も異なることから、「自転車の安全確保」を独立させられないか。

生活道路における安全確保

  • 生活道路対策を進める上で、地元自治体や警察署のレベルで、専門的な知識を有する識者の養成という点を盛り込んで欲しい。
  • 生活道路については、市町村がその対策の必要性を感じることがポイント。厳しい財政事情のため市町村が尻ごみする。「財政事情を踏まえつつ」ではなく、「財政事情を踏まえつつも」と、「も」を入れていただきたい。
  • 安くて効率的な対策を生活道路で打ち出すことが必要。例えば、幹線道路から生活道路に入るのを食い止めるような道路構造の工夫などが考えられる。これは、個別の「講じようとする施策」の中で具体化されると思うが、「生活道路における安全確保」の中でも打ち出してはどうか。

幹線道路を中心としたより効果の高い安全対策

  • これまでの道路交通安全対策の多くは幹線道路対策であり、すごい歴史を持っている。生活道路と並べると、かえって幹線道路対策の歴史を小さくするのではないか。そこで、幹線道路で何をやるのかというポイントを絞った並べ方をすべき。
  • 幹線道路対策を抜きにして死者数を削減ということは不可能だと思うので、「幹線道路」として柱立てをすべき。

道路交通環境の整備

  • 「交通事故の多いエリアをあんしん歩行エリアとして指定し、」という表現は誤解を招くので、例えば、「あんしん歩行エリアに変えるように指定し、」といった表現にすべき。

自転車関係

  • 自転車が関係する事故は幹線道路で多い。幹線道路には両側に歩道があるが、歩道上 を、車道上の車の進行方向と逆方向から進行する自転車が、路地から出てくる車とぶつかるケースが非常に多い。このような事故を防止する対策が必要。
  • ドイツでは、歩道整備、自転車道整備の基準がある。自転車、歩行者、車に対する道路の再配分の基準をつくって、道路整備の計画を立てるべき。
  • 自転車に乗る際のルールとマナーを守っていない人がたくさんいる。特に、高校生がメールしながら運転するとか。事故が起きないようにするための対策が課題。
  • 中学生、高校生の自転車の乗り方がひどい。中学生には年1回、交通安全教室を行っているが、高校では、授業カリキュラム上困難と言われる。自転車の安全利用に関して、高校生に対する自転車の安全利用の教育を是非書いて欲しい。

交通安全教育

  • 学校で行う交通安全教育は大体公立学校が主体。私立高校にも働きかけて、交通安全教育を盛んにするようにしていただきたい。
  • 特別支援の子どもさん、特に中学生、高校生への交通安全教育がなされていないのが実態ではないか。特別支援の方への交通安全教育の大切さを盛り込んでいただきたい。

研究開発及び調査研究の充実

  • 対策の実施に当たっては、詳細な事故データの分析が必要。交通事故総合分析センターの活用や都道府県警の交通事故データベースの充実といった記述が欲しい。また、生活道路対策上も、警察と地元自治体との事故データの共有化が必要。

鉄道関係

  • かなりの地域鉄道は経営が非常に大変な状況にある。安全の基本となる、例えばレールの整備に関して、技術力が伴っていないとか、技術力があっても資金面で非常に困っているということがあるので、技術支援とか補助の制度とかについて是非盛り込んでいただきたい。

航空関係

  • 事故が起こった後の再発防止とか原因究明というのが両方まだ足りない。両方やることは大事だが、かなり違うコンセプトがばらばらに書いてあるので、整理が必要。

被害者支援

  • 交通事故が発生した途端に被害者が出るが、御家族への連絡マニュアルというのはどうなっているのか。被害者支援はこのようなところから始まると考える。

その他

  • 文章中の言葉で、一般の人になじみの少ない専門用語については、用語解説集のようなものが必要ではないか。
  • 事故防止には、個人個人が持っている知識量(気づき)の吸い上げが有効であり、そのための体制が必要。