中央交通安全対策会議専門委員会議(第5回)議事概要

1.日時:

平成23年1月31日(月)13:00~14:30

2.場所:

中央合同庁舎第4号館共用第2特別会議室

3.出席者:

【委員】
太田座長、赤羽委員、尾形委員、岡野委員、河内委員、久保田委員、小浦委員、佐々木委員、杉山委員、藤森委員、益子委員、松岡委員、三国委員、宮本委員、山崎委員、蓮花委員、渡邉委員
【内閣府・事務局】
末松内閣府副大臣
太田内閣府大臣官房審議官
安部参事官(交通安全対策担当)
【オブザーバー】
警察庁入谷課長、警察庁石田課長、国土交通省石原室長、国土交通省木谷課長、国土交通省加藤室長、国土交通省中桐監理官、国土交通省渡辺課長、国土交通省板崎室長、文部科学省長岡調査官

4.概要:

○末松内閣府副大臣挨拶

  • 副大臣より、挨拶を行った。

○提出資料説明

  • 事務局から、資料について説明を行った。

○委員からの主な発言

計画の理念・目標

  • 「交通事故のない社会を目指して」の中で、「人口減少と超高齢社会の到来というかつて経験したことのない新たな時代を迎えたところである。」とあるが、地球環境問題という視点も入れたらどうか。地球環境問題を踏まえ、自動車の利用を減らし自転車を活用するなど交通移動手段の変更が行われてきており、地球環境問題というものが社会的動向の前提に入れてもよいかと思う。
  • 環境問題でも安全問題でもモーダルシフトにより、トータルの安全性は増すのではないかと思う。そういう視点を今回のこういう最終段階になって入れてくれと言っても無理だと思うが、長期的にはそういう視点というものは是非必要だと思う。
  • 安全に関しては、国民一人ひとりの意識の向上が不可欠だということと同様に、交通手段というのは色々な特徴があり、一つの手段では色々な要求を満たせないわけで、一人ひとりにどういう移動が必要かということと、それと安全性がどうかということをよく考えて選択するという意識も必要だと思う。
  • 交通安全対策とは、単なる事業単位の安全対策あるいは技術開発ではなく、まちづくりとして地域整備をどうしていくか、どのような移動体系を構築していくべきかなど、そういった計画論的な対応が求められているのではないかと思う。
  • 今ある安全に関する基準だとか指針をすべて満たしていれば、安全な道路ができるかというと必ずしもそうではない。わかっていないことがあるから事故多発地点が再精査されているという側面があるわけで、それは今までの、あるいはこれからの個別の対症療法的な安全対策の経験を積み重ねることによって、まちづくりの考え方に活かしていくという側面もあってしかるべきだと思う。

(道路交通の安全)

  • P.6に「交通安全対策の推進に当たっては、市町村の役割が極めて大きい」とあるが、同じぐらい身近で、色々な活動をされている警察署の方々の役割についてもここで言及していただくといいのではないか。
  • P.14に生活道路における交通死亡事故件数の推移について、2つのグラフで死者数をそれぞれ示しているが、死亡事故においては、幹線道路の方が非常に高いわけであり、生活道路における事故対策の重要性について強調するのであれば、死亡事故件数だけではなく、交通事故件数とかを含めた表現の方が深刻さをアピールできるのではないか。
  • P.14の生活道路において、「合意形成において中心的な役割を果たす人材の育成も重要な課題」とあるが、漠然としている感じがするので、だれが育成するのかというようなことを明記することができないか。

道路交通環境の整備

  • 道路交通に関し、今までの5か年計画と大きく違った点としては、道路特定財源が一般財源になったということである。したがって、財政当局が、必要なところに予算を付けることが前提となっている。よって、例えば、計画案の重点施策として、自転車道の整備や歩道の整備を掲げているが、こういう施策に対して、国の予算を重点的に配分すべきだというようなことが計画の中に盛り込むことはできないか。
  • 生活道路における交通安全対策として、最高速度を原則として時速30キロとするとしているが、それを受けた具体的施策の中で、交通速度制限等についての記載がない。交通速度制限とは、IT技術を使って強制的に最高速度を抑えてしまうという技術であり、色々と課題もあり、また、技術的にはできても導入がなかなかできない状況にあるが、5年間の中で検討を進めるなどの文言を入れることができないか。

交通安全思想の普及徹底

  • 大学生の自転車に対する交通安全教育については、もう少し厳しく、自主的に交通安全教育を求めるくらいの記述が必要ではないかと思う。

安全運転の確保

  • P.34の(1)「ア 幼児に対する交通安全教育の推進」の中に、「幼稚園・保育所においては」とあるが、現在、政府において、幼稚園と保育園の一体化について検討しており、将来的には、こども園というものができるかもしれないので、「等」を入れたらどうか。
  • P.46の(2)「運転免許制度の改善」の「受講者の負担軽減の観点から、高齢者講習の内容の簡素化に向けた検討を行う」とあるが、このまま読むと高齢者講習を縮小するような誤解を与える恐れがあるので、簡素化に固執せず、高齢者講習の内容を見直し、改善していかなければならない旨の表現に改めるべきではないかと思う。

車両の安全性の確保

  • P.52に「イ 先進安全自動車(ASV)の開発・普及の促進」とあるが、ASVの技術がどんどん普及していくことは結構なことであるが、例えば、横滑り防止装置とはどういうものかなど、一般の人たちに広く周知を図り、認識を深めてもらうことも大切なことだと思う。P.52の(2)「自動車アセスメント情報の提供等」の中に、そういったことを盛り込むことはできないか。

救助・救急活動の充実

  • P.62の(2)「救急医療体制の整備」の中で、「24時間体制の救命救急センターの整備を進め」とあるが、現在、全国で200か所以上の救命救急センターが配備されている中、この数を単に増やしただけでは問題は解決しない。今、一番問題なのは、救命救急センター間での外傷診療能力に非常に差があるということだから、救命救急センターの外傷診療能力を強化し、評価事業によりその質の向上を図るというふうに表現の見直しを検討していただきたい。

(鉄道交通の安全)

  • P.76の「1.鉄道交通環境の整備」(1)「鉄道施設等の安全性の向上」の中で、転落防止設備等の整備とあるが、これはホームドアのことを指しているのか。近年、ホームドアの設置が普及してきており、非常に大事な設備だと思うので、ホームドアについても触れていただきたい。

(踏切道における交通の安全)

  • 他の交通と比べ、踏切道における交通安全の目標だけが数値目標を定めていないが、数値目標を設定することはできないか。また、踏切道においては、事故の原因究明や再発防止といった項目がないが、新たに項目立てをして記述することができないか。

(航空交通の安全)

  • P.104の「2.航空交通環境の整備」の中で、(1)「予防的安全対策の推進」には「安全」という言葉が入っているが、(2)「航空交通サービスの充実」には、タイトルに「サービス」という言葉が前面に出ているが、安全性の確保を前提にサービスの充実を図るという内容になっていることから、タイトルに安全性の確保などの言葉を入れることはできないか。

その他

  • 計画全体は相当のボリュームがあり、一般の方が全部読んでくれるというのはほとんど期待できないのでは。計画の概要版において、計画の趣旨が最大限に伝わるように工夫を凝らしてもらいたい。