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交通事故被害者の支援 第2章 交通事故被害の実態

II.統計からみた交通事故被害

1.交通事故とは何か

 本節では、各種の統計資料から知ることができる交通事故の状況についてみていく。
 用いられる資料として、

などがある。

平成15年(2003年)の概況は次のとおりである。

平成15年(2003年)の概況
交通事故発生件数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94万7,993件
負傷者数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・118万1,431人
交通事故死者数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7,702人
事故発生から30日以内の死者数・・・・・・・・・・・・・・・・8,877人
車両保有台数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・約7,800万台
運転免許保有者数(15年末)・・・・・・・・・・・7,746万7,729人
自動車保有台数1万台当たりの死者数・・・・・・・・・・・・・0.99
自動車保有台数1万台当たりの負傷者数・・・・・・・・・151.50
人口10万人当たりの死者数※1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6.04
人口10万人当たりの負傷者数※1・・・・・・・・・・・・・・・927.10
※1 算出に用いた人口は、前年の推計人口である。

1.交通事故の状況

(1) 交通事故発生件数
 図-1-1-1、図-1-1-2は、昭和21年以降のわが国における交通事故の発生件数、負傷者数および死者数の推移と交通事故の状況を見たものである3)。交通事故の発生件数は、昭和53年以降増加を続けている。運転免許保有者数、自動車保有台数は年々増加している。

3) 『犯罪白書』では、道路上の交通事故に関わるものを「交通関係業過」と定義している。一般に犯罪の増減を議論する際には、この交通関係業過は刑法犯から除かれている。
交通事故による被害の発生状況を詳細に知るためには、『交通統計』などを見る必要がある。

グラフ

交通統計および警察庁のサイトによる

図-1-1-1 わが国の交通事故の発生件数と負傷者数および死者数の推移



グラフ

交通統計および警察庁のサイトによる

図-1-1-2 交通事故の状況


(2) 死者数
 平成15年における交通事故死者数は、7,702人である。交通事故による死者数は平成5年以降、減少傾向にある。しかし、1日当たりの平均人数は21.1人であり、多くの犠牲者を生んでいることに変わりはない。
 なお、これは24時間死者数であり、30日以内死者数は約1.15倍、さらに厚生統計の死者数は約1.4倍になる4)(表-3 参照)。


表-3 警察統計と厚生統計の交通事故死者数の比較
警察統計の死者数 厚生統計
の死者数
(C)
比率
(C/A)
24時間死者
(A)
30日以内死者
(B)
比率
(B/A)
5 10,942 13,269 1.21 14,168 1.29
6 10,649 12,768 1.20 13,712 1.29
7 10,679 12,670 1.19 14,840 1.39
8 9,942 11,674 1.17 14,006 1.41
9 9,640 11,254 1.17 13,667 1.42
10 9,211 10,805 1.17 13,176 1.43
11 9,006 10,372 1.15 12,858 1.43
12 9,066 10,403 1.15 12,565 1.39
13 8,747 10,060 1.15 12,134 1.39
14 8,326 9,575 1.15

15 7,702 8,877 1.15

注1 交通統計による。
注2 30以内死者は、24時間死者も含む

4) 統計上の交通事故には、自動車以外の事故も含まれる場合がある。
厚生労働省統計資料『人口動態統計』は、陸上、水上および航空交通の事故を原死因とする死亡者(おおむね事故後1年間の死者数)を、「交通事故」死者数として計上している。
そのため、ここで用いた「厚生統計の死者数」は、鉄道員など明らかに道路上の交通事故ではないと判断される者を除いた数を計上している。

(3)  負傷者数
 平成15年における交通事故負傷者数は、重傷7万5,086人、軽傷110万6,345人、計118万1,431人である。交通事故による負傷者数は、交通事故件数の増加にそって増加している。交通事故で負傷した場合に、日常生活や仕事など種々の負担を負うことになるが、なかでも重度後遺障害者においては、その経済的問題、介護・看護の問題、社会復帰の問題などが重大であるとされ、支援の必要性が指摘されている。

イラスト


(4) 交通事故死傷者の状況
 平成15年における交通事故死傷者について、男女別、年齢別、事故の状態別にみる(一部、平成14年の値を用いている)。

1) 男女別
 交通事故による死者数を男女別に見ると、男性が68.5%、女性が31.5%と、男性のほうが多い。自動車運転中や二輪車運転中の死者に占める男性の割合が高いことが、この理由となっている。歩行中の死者について男女別年齢層別に見ると、75歳以上の女性が多いことが分かる(図-2 参照)。
なお、負傷者(全体)については、男性が55.8%(65万人)、女性が44.2%(52万人)であり、死者数に比較すると男女に大きな差はみられない。

グラフ

図-2 男女別・年齢層別:歩行中の死者数(平成14年)

2) 年齢層別
 交通事故による死者数を年齢層別にみると、65歳以上の高齢者が最も多く、次に16歳〜24歳の若者、50〜59歳が多い(図-3 参照)。
 なお、負傷者について年齢層別にその人口比(10万人当たり)をみると、20歳〜24歳(1840.1)が最も高く、次いで16歳〜19歳(1584.1)において高い。

グラフ

警察庁のサイトによる。

図-3 交通事故の年齢層別死者数(平成15年)


3) 事故の状態別
 交通事故による生命・身体の被害のうち、死者の約57%、負傷者の約77%が自動車乗車中や二輪車・原付乗車中の事故である。いわゆる交通弱者といわれる歩行者や自転車乗車中の割合は、死者では約43%、負傷者では約23%であり、死者に占める歩行者や自転車乗車中の人の割合は低くない。さらにこうした人々を年齢層別に見ると表-4のとおりとなる。

表-4 歩行中および自転車乗車中の死傷者数(平成14年)

死者 負傷者
歩行中 自転車乗車中 歩行中 自転車乗車中
0〜12歳 117 (0.8) 38 (0.2) 19,811 (127.6) 21,879 (140.9)
13〜19歳 29 (0.3) 62 (0.6) 4,612 (47.2) 40,661 (416.0)
20〜29歳 73 (0.4) 26 (0.1) 9,215 (52.8) 24,062 (138.0)
30〜39歳 72 (0.4) 25 (0.1) 8,279 (46.6) 17,111 (96.4)
40〜49歳 124 (0.8) 49 (0.3) 6,789 (42.6) 14,308 (89.7)
50〜59歳 264 (1.4) 135 (0.7) 10,574 (54.9) 21,708 (112.7)
70〜74歳 308 (5.0) 133 (2.1) 5,457 (87.8) 8,196 (131.9)
75歳以上 976 (9.7) 312 (3.1) 9,552 (95.1) 9,891 (98.5)
合計 2,384 (1.9) 991 (0.8) 85,631 (67.2) 179,582 (140.9)
0〜12歳 117 (0.8) 38 (0.2) 19,811 (127.6) 21,879 (140.9)

注1 交通統計及び総務庁統計局の人口推計年報による。
注2 ( )内は、人工10万人あたりの値である。

 歩行中や自転車乗車中の事故による死者数は、高齢者で高くなる傾向にある。これは自動車乗車中や自動二輪乗車中の死傷者数が、10代後半から20代前半の層で高いのとは対照的である。
 一方、負傷者は子供や若年層も高い。高齢者の歩行中や自転車乗車中の事故が若年層よりも死につながりやすいことを示す結果となっている。


4) 加害者の法令違反別
 死亡事故について、運転者の違反別に見ると、脇見運転(915件)がもっとも多く、次いで漫然運転(910件)、最高速度違反(883件)の順に多い(平成15年)。

イラスト


2.交通犯罪の状況(本節中の総計数値は、年次の記載がない場合は平成14年の値である)

(1) 交通違反の取り締まり
 交通事故には、被害者の存在とともに加害者の存在がある。加害者の取り締まりはどのような状況であろうか。
 図-4は、道路交通法違反に対する取り締まり状況である。反則事件では、「最高速度」、「駐停車」といった違反が多い。非反則事件では、「最高速度」がもっとも多く、次いで「酒気帯び」、「無免許」と続く。

グラフ

図-4 道路交通法違反取り締まり件数


 一方、交通事故に関わる業務上(重)過失致死傷事件の検挙件数および検挙人員をみると、業務上過失致死が6,751件、7,027人、業務上過失致傷が約83万件、約86万人、重過失致死が38件、42人、重過失致傷が2,250件、2,364人である。また、平成13年12月25日に施行された危険運転致死傷罪に関する検挙件数(平成14年)は、危険運転致死が54件、危険運転致傷が268件である。
 ひき逃げ事件の発生件数は1万8,582件であり、全人身事故の1.98%を占める。また、検挙件数は5,007件、検挙率は26.9%である。ここ数年、ひき逃げ事件発生件数は増加傾向にある反面、検挙率は低下している。
 なお、ひき逃げ事件のうち、死亡事件の検挙率は92.7%である。


(2) 交通事故加害者の処分
 交通事故の加害者に対する刑事処分の状況をみる。
 交通関係業過事件の検察庁受理人員は約88万人であり、刑法犯の通常受理人員の総数に占める割合は約73%である。このうち起訴人員は11.6%(約10万人)であり、そのうち公判請求が8.6%、略式命令請求が91.4%である。
 ここ数年の交通関係業過の起訴猶予率は、85%以上で推移している(図-5 参照)。交通事故件数の多さに対応しきれないなどの理由で昭和62年(1987年)から起訴率が下がったことが知られている。

グラフ

図-5 交通関係業過の起訴猶予率の推移(昭和42年〜平成14年)


 一方、道路交通法違反事件の検察庁受理人員は約86万人、起訴人員は約71万人であり、起訴人員の98%が略式命令請求である。道路交通法違反事件の略式手続きによる罰金刑科刑状況は、5万円以上が72%、3万円以上が16%、1万円以上が9%などとなっている(平成14年)。
 また、危険運転行為に対する罰則が強化された改正道路交通法の施行(平成14年6月)により、罰金額の上限が引き上げられ、同法違反で20万円以上の罰金を受けた人が、平成13年(2001年)の約970人から、平成14年(2002年)は100倍以上の約10万4,000人になっている。
 交通関係の事件で公判請求された者は、交通関係業過が約7,000人、道交違反が約1万2,000人である。このうち実刑となる者は、交通関係業過が約1,000人、道交違反が2,000人である。
 実刑となった者は交通刑務所に入所し、矯正教育を受ける。

イラスト


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