平成10年版 交通安全白書

 交通安全白書は、交通安全対策基本法第13条の規定に基づき、政府が毎年国会に提出している年次報告で、今回の「平成10年版交通安全白書」は、6月2日の閣議決定を経て、国会へ提出されました。これは、昭和46年の第1回報告以来28回目の報告になります。

 この白書の内容は、陸上(道路及び鉄軌道)、海上及び航空の各交通分野ごとに、近年の交通事故の状況、平成9年度に国が行った交通安全施策及び平成10年度において実施すべき各般の交通安全施策の計画について記述しています。

 また、近年の道路交通事故の状況に鑑み、道路交通では死傷者数が最も多い年齢層である若者に焦点を合わせ「若者の交通事故の状況とその対策」、鉄軌道交通では最近の重大事故に焦点を合わせ「重大事故の発生と交通安全対策」、海上交通では海難事故が最も多くなったプレジャーボートに焦点を合わせ「プレジャーボート等の事故の増加と交通安全対策」として重点的に記述しています。

  • 道路交通における交通事故死者数は9,640人と、前年に比べ302人減少し、2年連続1万人を下回り、9年までに死者数を1万人以下とする第6次交通安全基本計画の第1段階の目標を達成することができました。しかし、発生件数(780,399件)は5年連続で過去最悪の記録を更新し、負傷者数(958,925人)は3年連続で90万人台となるなど、依然厳しい状況にあります。
  • 道路交通における平成9年中の交通事故死者数の内訳をみると、
    • 年齢層別死者数では、65歳以上の高齢者(3,152人)及び16~24歳の若者(2,026人)が多く、この二つの年齢層で全交通事故死者数の53.7%を占めている。
    • 年齢層別負傷者数では、16~24歳の若者(244,230人)が最も多く、全負傷者数の25.5%を占めている。前年と比べると、30~39歳(6,563人)25~29歳(5,867 人)、65歳以上の高齢者(5,348人)が大幅に増加している。
    • 状態別死者数では、自動車乗車中(4,251人)が最も多く、全死者数の44.1%を占めている。前年と比べると、自転車乗用中(13人増)を除き減少しており、特に、歩行中(151人減)が大幅に減少している。
    • 状態別負傷者数でも、自動車乗車中(572,971人)が最も多く、全負傷者数の59.8%を占めている。前年と比べると自動二輪車乗車中(1,729人減)と歩行中(1,420人減)を除き増加しており、特に自動車乗車中(16,006人増)が大きく増加している。
    • 高齢者の状態別死者数では、高齢運転者の増加を背景に、自動車乗車中(620人)が増加を続け、平成9年は、3年連続して自転車乗用中を上回り、最も多い歩行中(1,566人)に次ぐ多さとなった。
    • 自動車乗車中の死者のうち、シートベルト非着用の死者数は2,696人で、前年より減少した(303人減)。16~24歳の若者の非着用死者数は、全非着用死者数の31.5%を占めているが、前年より減少(74人)した。

などの特徴が挙げられます。

 政府は、平成8年度を初年度とする第6次交通安全基本計画に基づき、道路交通においては、年間の死者数を9千人以下とする次の目標達成に向けて、高齢者の交通安全対策の推進、シートベルトの着用の徹底、安全かつ円滑な道路交通環境の整備などの各種施策を、国民の理解と協力を得ながら、国・地方公共団体・関係民間団体等が一体となって、一層強力に推進していきます。
 また、一度事故が起きると多数の死傷者を出すおそれのある鉄軌道、海上及び航空の各交通分野においても、道路交通と同様に人命尊重の理念の下、適切かつ効果的な交通安全の諸施策を官民一体となって強力に推進していきます。

平成10年版 交通安全白書の概要

平成10年版交通安全白書表紙

  • 定価:2,900円(税別)
  • 7月下旬刊行

(目次)

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