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高齢者を交通事故から守るために

平成15年度交通安全白書概要

高齢者を交通事故から守るために

 近年の交通事故の傾向を見ると、交通事故死者数全体に占める65歳以上の高齢者の割合が、全体の3分の1を超え、極めて高くなっている。モビリティは高齢者の「生活の質」を高める上で不可欠の要素であり、今後我が国が本格的な高齢社会へ移行するに際しては、高齢者にとって安全で安心できる道路交通社会を構築することが喫緊の課題である。
 こうした観点から、「高齢者の交通安全総合対策について」(昭和63年9月9日交通対策本部決定)後の情勢変化に的確に対応するため、平成15年3月27日、今後の高齢者の交通安全対策の指針となる「本格的な高齢社会への移行に向けた総合的な高齢者交通安全対策について」が交通対策本部で決定された。
 この中には、高齢者の多様性に着目する(「歩行者、自転車利用者」としての高齢者と、「自動車運転者」としての高齢者)、交通事故のリスクを分析する(モードごとに高齢者の交通事故の現状を分析し、対策を検討する)、家庭、地域、学校などの役割を重視する、などの高齢社会対策大綱(平成13年12月28日閣議決定)を踏まえた新しい考え方が取り入れられている。
 この対策は、「高齢歩行者、高齢自転車利用者等の交通安全対策」、「高齢運転者の交通安全対策」及び「市民参加型の交通安全活動の推進及び高齢者保護の強化」の三つの柱から構成されているが、それぞれについて、「あんしん歩行エリア」、「高齢運転者に対する講習の充実」、「高齢者世帯訪問」、「世代間交流活動」等、多くの対策が盛り込まれている。
 この対策の推進によって、高齢者を交通事故から守るとともに、高齢者と他の世代がお互いに理解し合い、思いやりをもって行動する共生の交通社会が実現することが期待される。

世代間交流事業(佐賀県)

世代間交流事業(佐賀県)

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