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睡眠時無呼吸症候群(SAS)問題対策

平成15年度交通安全白書概要

睡眠時無呼吸症候群(SAS)問題対策

 平成15年2月26日、JR西日本山陽新幹線の運転士が、福山駅を定時発車後、所定速度で運転中に約8分間居眠り状態となり、岡山駅に到着した際、新幹線がATC(自動列車制御装置)の動作により所定停車位置の約100メートル手前で自動停止するという事案が発生した。車掌が運転台に行き確認したところ、運転士は居眠り状態であり、運転士に声をかけたところ目を覚ましたが、当該運転士が「病気でない。」と申告したため、新大阪まで運転が継続された。
 同社は、運転士が「病気でない。」と言明した場合でも、(1)他の乗務員(車掌等)を運転室に同乗させる、(2)可能な限り代替運転士の手配を行う等の措置をとることを内容とする新幹線指令運転マニュアルの見直しを行ったが、その後の医学的精密検査の結果、当該運転士が睡眠時無呼吸症候群(SAS)であると診断されたことを発表した。
 これを受け、国土交通省では、直ちに全国の鉄軌道事業者に対し睡眠時無呼吸症候群等に起因する可能性の高い事故事例等を再調査するとともに、当該症状の認識を新たにして健康管理等に所要措置を講じるよう通達した。さらに、本件が、鉄道のみならず、陸・海・空の各交通機関に共通する問題であり、同様の事態に起因する交通事故を未然に防止するための対策を至急検討する必要性にかんがみ、平成15年3月7日、「交通事業に係る運転従事者の睡眠障害に起因する事故等の防止対策に関する連絡会議」を省内に設置し、医療専門家からの情報も得ながら、公共交通機関に関して今後執るべき安全対策について申し合わせを行った。
 申し合わせでは、基本的な対応方針として、運転従事者に対するSAS問題への認識向上の取組とSAS検診の促進及び運転従事者がSASであるとの診断を得た場合には速やかに医療専門家の治療と指導による厳正な健康管理体制の下に置く等の措置により、安全な交通を確保する運行管理体制を整備するよう交通事業関係者への周知と指導の徹底を図るとともに、各交通機関の特性を考慮した具体的な対応策を総合的に推進することとしている。

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