平成15年度において実施すべき交通安全施策に関する計画
第2部 海上交通の安全に関する施策
第4節 船舶の安全性の確保
第2部 海上交通の安全に関する施策
第4節 船舶の安全性の確保
1 船舶の安全基準の整備
平成13年11月国際海事機関(IMO)において、1972年の海上における衝突の予防のための国際規則の改正が行われ、船舶が備えるべき音響信号設備のうち長さ20m未満の船舶にあっては、号鐘の備え付けを要しないこと等が採択された。当該改正規則は平成15年11月29日から効力を有することから、船舶の安全基準の国際整合をはかるため、国内関係法令の整備を行うこととする。また、IMOにおける船舶の安全に関する検討に積極的に参画する。
交通バリアフリー法に基づく旅客船のバリアフリー化の義務化に対して、旅客船事業者等が混乱無く円滑に対応できるよう普及啓発を図るとともに、バリアフリー化のための機器の研究開発、非常時における安全性の向上などさらに進んだバリアフリー化を促進させるための環境整備を行う。
船舶の安全及び海洋汚染の防止のために、安全基準の合理性、妥当性の客観的な評価を行い、基準の整備へ反映する。そのため、具体的に個別の安全評価を実施するとともに、海難事故データ、機器不具合データ等の知的データベースを構築し、船舶の総合的安全評価手法の確立を図る。さらに、ホームページでの掲載等を通じて、積極的に船舶の安全に関する情報の開示を推進し、関係者の更なる意識向上を図る。
2 重大海難事故の再発防止
平成12年9月の沖合底びき網漁船「第五龍寶丸」転覆沈没事故と同種事故の再発防止対策として、総トン数160トン船尾トロール型沖合底びき網漁船(類似船である124トン船尾トロール型沖合底びき網漁船を含む。)を対象に「漁船の復原性の明確化」、「船体構造設備の改善」及び「操業中の安全な作業、操船の実施」について漁業関係者に対し指導するとともに、各種漁船の転覆事故に関する継続的な調査検討を行い、事故再発防止対策に反映する。
3 危険物の安全審査体制の整備
放射性物質等危険物の海上輸送の増加及び化学工場から発生する危険物の多様化に対応し、安全審査体制の充実強化を図るとともに、IMOが定めた国際海上危険物規程(第31回改正)の国内法令への取り入れを行う。
4 船舶の検査体制の充実
近年、技術革新により従来の設計手法とは全く異なる船型等を有する船舶が増加していること等から、高度で複雑な検査が必要とされている。また、海難防止等のため、SOLAS条約等に的確に対応することが必要とされているため、船舶検査体制の整備充実に努める。
5 船舶の安全管理の向上
国際安全管理規則(ISMコード)が平成14年7月から完全適用になったことから、制度の更なる円滑な実施体制の整備を図るとともに国際的な協力体制の構築に努める。
一方、ISMコードの強制化がなされていない内航船舶についてもISMコードと同等な認証制度(船舶安全管理認定書等交付規則)の更なる円滑な実施に向け、実施体制の整備拡充等を図る。
6 外国船舶の監督の推進
関係国際条約に基づき、日本に寄港する外国船舶に対する監督(PSC)の強化を図るとともに、アジア太平洋地域におけるPSC実施協力に関する覚書(東京MOU)に基づき、検査官研修及びセミナーの開催等、PSC実施協力体制の更なる充実強化を図る。