平成15年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第1編 陸上交通
第2部 鉄軌道交通
第2章 鉄軌道交通安全施策の現況
第1節 鉄軌道交通環境の整備

第1編 陸上交通

第2部 鉄軌道交通

第2章 鉄軌道交通安全施策の現況

第1節 鉄軌道交通環境の整備

1 線路施設等の点検及び整備

 鉄軌道交通の安全を確保するためには、基盤である線路施設について常に高い信頼性を確保する必要があり、土砂崩壊、落石、雪崩等による施設の被害を防止するため、防災設備の整備を促進するとともに、鉄軌道事業者に対し、適切な保守及び整備を実施するよう指導した。
 また、地方中小鉄道の安全輸送を確保するため、平成14年度より、トンネルや橋りょう等の鉄道施設等の現状を総点検し、安全性の観点から評価する事業を実施した。
 駅施設等については、高齢者、身体障害者等の安全利用に十分配慮し、段差の解消、転落防止設備等の整備によりバリアフリー化を推進した。
 プラットホームからの転落事故防止対策としては、非常停止押しボタン又は転落検知マットの整備、プラットホーム下の待避スペースの確保など適切な安全対策の推進を図った。
 プラットホームにおける事故防止に対し有効な施設であるホーム柵については、「ホーム柵設置促進に関する検討会」において検討を行ってきたが、既存路線に設置する際の課題等について報告書がとりまとめられた。この検討結果を受け、ホーム柵の設置効果の高い路線については、設置可能性の検討を行うよう指導した。

※バリアフリー

高齢者や身体障害者等が社会生活をしていく上で障壁となるもの(段差など)がない状態

2 運転保安設備の整備

 列車運行の高速化・高密度化に対応し、列車運行の安全確保を図るため、列車集中制御装置(CTC)の整備を促進するとともに、既設の自動列車停止装置(ATS)の高機能化等の運転保安設備の整備を図った。また、平成14年度より、列車同士の正面衝突事故を防止するため、地方中小鉄道のATS未設置路線に短期間で集中的に誤出発防止機能を有するATSの整備を推進した。

3 鉄道構造物の耐震性の強化

 新設構造物については耐震設計基準(平成10年)を適用するとともに、既存構造物については、鉄軌道事業者に対し、高架橋や開削トンネルの柱の補強及び橋りょうの落橋防止工等の耐震補強を実施するよう指導している。

4 地下鉄道の火災対策の推進

 平成15年2月18日に韓国で発生した地下鉄火災事故を踏まえ、我が国の地下駅における火災対策設備の整備状況を調査した結果、全地下駅684駅のうち、268駅が「地下鉄道の火災対策基準(昭和50年制定)」を一部満たしておらず、その多くは同基準の制定前に建設された駅であった。これらの地下駅については、利用者の安全を確保するため所要の火災対策設備を早期に整備するよう指導した。

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