平成16年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第2編 海上交通
第2章 海上交通安全施策の現況
第2節 海上交通の安全に関する知識の普及

第2編 海上交通

第2章 海上交通安全施策の現況

第2節 海上交通の安全に関する知識の普及

1 海難防止思想の普及

 海難を防止するためには、海難防止思想の普及・高揚並びに海難防止に関する知識・技能の習得及び向上を図ることが有効であることから、訪船指導、全国各地での海難防止講習会等を通じて、海難防止思想の普及等を図った。また、7月には、官民一体となった全国海難防止強調運動を実施し、海事関係者のみならず広く国民に対して海難防止を呼び掛けた。さらに、各管区海上保安本部では、台風による海難の防止、霧多発時期における海難の防止、自動操舵装置使用中の居眠りによる海難の防止等地域の特性を踏まえた地方海難防止強調運動を実施した。

2 海難再発防止のための調査・分析に基づく安全指導

 平成15年の海難船舶について、用途別ではプレジャーボートと漁船による海難が全体の約7割を占め、原因別では、見張り不十分等の人為的要因に起因するものが海難全体の約7割を占めていたことから、16年においては、海難防止講習会や訪船指導等を通じ、海難の発生傾向及び各種船舶の特性を踏まえた海難防止活動を展開した。
 平成16年度全国海難防止強調運動においては(1)「一人乗り船舶の安全対策の推進~ライフジャケットの着用推進~」、(2)「国際VHF無線常時聴取等連絡手段の確保」を重点事項として定め、運動を実施した。

3 海難の原因究明結果の活用

 海難審判の結果明らかになった個々の海難の原因や実態について、テーマごとに詳細な分析を行い、同種海難の防止策を提言する「海難分析集」をとりまとめて海事関係者に提供するほか、海難審判の裁決事例と防止策を紹介する情報誌を隔月で発行しており、これらを活用した海難防止に関する講習会等を実施し、海難防止思想の普及に努めた。

4 各種船舶の特性に応じた安全指導

(1)危険物積載船舶
 タンカー等危険物積載船の乗揚げ海難の防止、危険物荷役時の安全確保等に重点を置いた安全指導を行った。
(2)旅客船
 旅客船の海難は、多数の乗客等に危険が及ぶ可能性が高いことから、海上交通関係法令や運航管理規程の遵守、緊急時の避難・救助訓練の実施等について指導を行った。

5 民間組織の指導育成

 海難防止思想の普及と海難防止対策の一層の実効を期すため、(社)日本海難防止協会、(財)日本海洋レジャー安全・振興協会等の民間団体の行う活動が積極的かつ円滑に推進されるよう、その指導・育成の強化に努めるとともに、海難防止に関する民間組織の充実強化を図った。

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