平成18年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第1編 陸上交通
第2部 鉄道交通
第2章 鉄道交通安全施策の現況
第4節 踏切道における交通の安全に関する対策
第1編 陸上交通
第2部 鉄道交通
第2章 鉄道交通安全施策の現況
第4節 踏切道における交通の安全に関する対策
1 踏切事故防止対策の現状
踏切道の改良については、踏切道改良促進法(昭36法195)及び第8次交通安全基本計画に基づき、踏切道の立体交差化、構造改良、歩行者等立体横断設備の整備及び踏切保安設備の整備を推進している。
同法により改良すべき踏切道として、平成17年度末までに立体交差化2,293か所、構造改良4,086か所、踏切保安設備の整備2万7,776か所を指定し、その改良を推進した(第1-34表)。
また、これらと、道路管理者、鉄道事業者等が自主的に行ったものを合わせて、昭和36年度から平成17年度までに改良が図られた踏切道の延べ総数は、立体交差化5,538か所、構造改良3万7,601か所、踏切保安設備(踏切遮断機又は警報機)の整備5万5,331か所に及んでいる。また、踏切道の統廃合についても、立体交差化等の事業と併せて実施した。
2 踏切道の立体交差化、構造の改良及び歩行者等立体横断施設の整備の促進
平成18年から全国のすべての踏切を対象にした、踏切交通実態総点検により、緊急対策が必要な踏切を抽出し、地域の実情に合わせた5か年の整備計画を策定することにより、次の施策を実施した。
立体交差化までに時間のかかる「開かずの踏切」等について、効果の早期発現を図るための構造改良及び歩行者等立体横断施設の整備を緊急的に取り組んだ。
また、歩道が狭あいな踏切等における歩行者安全対策のための構造改良等を強力に推進した。
さらに、「開かずの踏切」等の遮断時間が特に長い踏切等で、かつ道路交通量の多い踏切道が連担している地区等や、主要な道路との交差にかかわるもの等については、抜本的な交通安全対策である連続立体交差化等により、踏切道の除却を促進するとともに、道路の新設・改築及び鉄道の新線建設に当たっても、極力立体交差化を図った。
以上の構造改良による「速効対策」と立体交差化の「抜本対策」との両輪による総合的な対策を緊急的かつ重点的に推進した。
3 踏切保安設備の整備及び交通規制の実施
踏切道の利用状況、踏切道の幅員、交通規制の実施状況等を勘案して踏切遮断機(踏切遮断機を設置することが技術的に著しく困難である場合は、踏切警報機)を整備しており、その結果、踏切遮断機又は踏切警報機が設置されている踏切道は、平成17年度末には3万1,357か所(専用鉄道を含まない。)に及んでおり、全体の89.0%である。
また、大都市及び主要な地方都市にある踏切道のうち、列車運行本数が多く、かつ、列車の種別等により警報開始から列車が踏切道に到達するまでの時間に差が生じているものについては、必要に応じ警報時間制御装置の整備等を進めた。
さらに、自動車交通量の多い踏切道については、道路交通の状況、事故の発生状況等を勘案して必要に応じ、障害物検知装置、門型警報装置(オーバーハング型警報装置)、大型遮断装置等、より事故防止効果の高い踏切保安設備の整備を進めた。
道路の交通量、踏切道の幅員、踏切保安設備の整備状況、う回路の状況等を勘案し、必要な交通規制を実施した(第1-35表)。
4 踏切道の統廃合の促進
踏切道の立体交差化、構造改良等の事業の実施に併せて、近接踏切道のうち、その利用状況、う回路の状況等を勘案して、地域住民の通行に特に支障を及ぼさないと認められるものについて、統廃合を進めるとともに、これら近接踏切道以外の踏切道についても、同様に統廃合を促進した。ただし、構造改良のうち踏切道に歩道がないか、歩道が狭小な場合の歩道整備については、その緊急性にかんがみ、近接踏切道の統廃合を行わずに実施できることとしている。その結果、平成17年度末の踏切道の総数は3万5,230か所(専用鉄道を含まない。)と着実に減少した。
5 その他踏切道の交通の安全及び円滑化を図るための措置
踏切道における交通の安全と円滑化を図るため、必要に応じ、踏切道予告標、踏切信号機、情報通信技術(IT)の導入による踏切関連交通安全施設の高度化を図るための研究開発等を進めるとともに、車両等の踏切通行時の違反行為に対する指導取締りを積極的に行った。
また、踏切道通行者の安全意識の向上及び踏切支障時における非常ボタンの操作等の緊急措置の周知徹底を図るための広報活動等を推進したほか、踏切対策の推進に向けた、多様な提案をいただく場として「踏切改善懇談会」を開催し、議論を行った。
この他、踏切道に接続する道路の拡幅については、踏切道において道路の幅員差が新たに生じないよう努めた。
目次 | 前へ | 第5節 救助・救急活動の充実