平成18年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第2編 海上交通
第2章 海上交通安全施策の現況
第6節 海上交通に関する法秩序の維持

第2編 海上交通

第2章 海上交通安全施策の現況

第6節 海上交通に関する法秩序の維持

 海上保安庁は、海上における犯罪の予防及び法令の励行を図るため、平成18年は、旅客船等に対する海上保安官の警乗や、3万3,702隻の船舶に立入検査を実施する一方、取締りの実施により3,086件の海事関係法令違反を送致したほか、違反の態様が軽微で是正の容易な1,388件の海事関係法令違反について警告措置を講じた。
 また、海事関係者等を対象とした海難防止講習会の開催、訪船指導の実施等により航法、海事関係法令等の遵守、運航マナーの向上、見張りの励行、気象・海象情報の的確な把握等安全指導を行った。さらに、航路等において、他の船舶の流れを無視したプレジャーボートの遊走等の無謀な活動に対しては、訪船・現場指導や取締りを実施し、海難の未然防止及び海上交通秩序の維持に努めた。
 港内、主要狭水道等船舶交通のふくそうする海域においては、巡視船艇による船舶交通の整理及び航法違反等の指導取締りを実施しており、特に、海上交通安全法に定める11の航路については、巡視船艇を常時配備するとともに、航空機によるしょう戒を実施し、重点的な指導取締りを行った。
 このほか、年末年始には、旅客船、カーフェリー、遊漁船、海上タクシー等による海上輸送の安全確保を図るため「年末年始特別警戒」を実施し、全国一斉に訪船指導等を実施した。
 警察では、近年のマリンレジャー人口と船舶交通量の増加に対応して、水上交通の安全と秩序を維持するため、警察用船舶の整備と水上警察の組織体制の充実強化を図り、船舶交通のふくそうする港内や事故の起きやすい海浜、河川、湖沼等において、警察用船舶、警ら用無線自動車及び警察用航空機が連携してパトロール等を行ったほか、訪船連絡等を通じた安全指導を積極的に行った。また、事故に直結しやすい無免許操縦、無検査船舶の航行等違反行為の取締りを強化し、平成18年中、海事関係法令違反90人を検挙した。特に水上オートバイの事故については、水上(中)におけるレジャー事故に占める割合が最も大きい(約22.8%)ため、(財)パーソナルウォータークラフト安全協会等関係団体との連携を図り、広報啓発活動を実施するとともに、自治体との連携を図り、事故に直結しやすい無謀な操縦や無免許操縦に重点を置いた指導取締りを推進した。
 また、近年における多様なレジャースポーツに伴う事故を防止するため、レジャースポーツ関係業者、港湾、漁業関係者等との連携を図り、レジャースポーツ愛好者に対し、遊具の搬送、持ち込みに際して安全指導を行ったほか、レジャースポーツを行う者同士の事故やこれらの者と遊泳者、漁業関係者等との事故を防止するため、水上安全条例の運用等を通じて、危険行為の防止に努めるなど水上交通に関する秩序の維持に努めた。
 なお、水上安全条例については、北海道、岩手県、福島県、東京都、茨城県、神奈川県、山梨県、栃木県、福井県、三重県、滋賀県、兵庫県、和歌山県、長崎県、宮崎県及び沖縄県の16都道県において、海水浴場等に関する規制等を盛り込んだ条例が施行されている。
 このほか、平成18年8月14日、千葉県浦安市の旧江戸川においてクレーン船が送電線を損傷し、首都圏において大規模停電が発生した事故を踏まえ、関係省庁と河川における船舶の安全航行等について検討を行った。

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