平成21年度 交通事故の状況及び交通安全施策の現況
トピック
第1回路上安全ハイレベル(閣僚級)会合について
トピック
第1回路上安全ハイレベル(閣僚級)会合について
平成21年11月19、20日の2日間、第62会国連総会決議に基づく「第1回路上安全ハイレベル会合」がモスクワ(ロシア)において開催され、日本を含む150カ国の政府、20の国際機関、80のNGOが参加した。
これほど多くの国、機関が同会合に参加したのは、「道路交通事故によるけがの予防に関する世界報告」(世界保健機関/世界銀行、2004年)において報告されているように、早急に世界中の国々が協力して対応しない場合には2020年までに交通事故が全世界の死亡の最も大きな割合を占める原因の1つになると見込まれ、全世界の脅威に成りつつあることを反映しているものである。
我が国としても、本会合において、パネルディスカッションによる議論に参加し、我が国における取組の紹介、他国の取組の聴取、今後の対策に関する意見交換を行った。さらに、プレナリーセッションへと参加し、交通事故死者数が増加し続けている発展途上国のみならず、これまでに交通事故死者数の減少を実現してきている先進国も含め、全世界的に交通安全の確保に向けた更なる取組みを進めることなどを盛り込んだモスクワ宣言の採択に参加した。
本会合において採択されたモスクワ宣言の趣旨も踏まえ、我が国において、今後、より一層の交通安全対策に取組む必要がある。
第1回路上安全に関する閣僚級会合:行動の時
(First Global Ministerial Conference on Road Safety:Time for Action)
2009年11月19日~20日(モスクワ)
モスクワ宣言(仮訳) -抜粋-
ここに、次の通り決議する。
- 『World report on road traffic injury prevention(道路交通事故によるけがの予防に関する世界報告)』の勧告の実施を促し、
- 国レベルもしくは地方レベルの主導的機関と関係調整メカニズムの指定や強化などにより、道路交通安全における政府のリーダーシップおよび指導体制の充実を図り、
- 計画された投資と政府の政策に明確に対応した、意欲的でありながら実行可能な道路交通事故による死傷者の削減目標を設定するとともに、必要な資源を動員して、システム・アプローチの枠組みの下で効果的かつ持続可能な方法により目標の達成を図ることのできる環境を整え、
- すべての道路利用者、とりわけ子ども、高齢者、障害者のほか、歩行者、自転車運転者、自動二輪(三輪)車運転者、安全性に問題のある公共交通機関の利用者など、最も危険にされている利用者を守るための政策及びインフラの構築・実施に特に力を入れ、
- 土地利用計画や、他の交通手段の奨励などを含め、より安全で持続可能な交通の実現に着手し、
- 国際連合の関連決議および関連文書の実行と、国連ロードセーフティーコラボレーションがまとめた一連の手引きの実践により、道路交通・車両安全の規則およびグッドプラクティスの調和を推し進め、
- 現行の法規の執行および周知を図り、適切な国際基準に基づき、必要に応じて交通法規と車両・運転者登録制度を改善し、
- 総合的マネージメントにおけるベストプラクティスを活用することにより、交通安全に寄与する業務の改善に積極的に貢献することを各組織に促し、
- 関係行政機関、国際連合内の関係組織、民間・公共部門の間における協力、市民社会との協力を育むことで、協調的行動を促し、
- 道路交通事故による即死と30日以内の死亡を道路交通事故死者とする標準的な定義の採用、死傷の標準的な定義の採用、信頼性が高く、調和のとれたデータシステムの開発に向けた国際的な協力の促進などにより、国内データの収集および国際レベルでの比較可能性を向上させ、
- 必要とする人々に、迅速かつ効果的な対応を取ることができるよう、適切な法規の施行、人材の育成、医療体制の充実により、病院前救護、病院における外傷診療、リハビリテーション及び社会復帰のための対策を強化し、
世界の道路交通事故死者数を予測される水準にとどめ、さらに、2020年までにこれを削減するという目標を掲げ、2011年~2020年の10年間を、「Decade of Action for Road Safety(道路交通安全のための行動の10年)」に定める、と宣言することを国連総会に求め、
第1回路上安全に関する閣僚級会合後の5年間の進捗状況を評価することを決め、
低・中所得国を中心に、全世界、各地域、各国の道路交通安全を支援するために、さらなる資金提供を行うことを国際援助機関・団体などに求め、かつ、
本宣言の内容に賛同することを国連総会に求める。
ロシア モスクワ市
2009年11月20日