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道路交通安全対策の今後の方向-第9次交通安全基本計画より-

<1> 基本的な考え方

  • 人命尊重の理念に基づき、究極的には、交通事故のない社会を目指すべきである。
  • 今後は、死者数の一層の減少に取り組むとともに、事故そのものを減少させるための更なる積極的な取組が必要である。
  • 交通安全対策については、総合的なまちづくりの中で実現していくことが有効であり、また、行政、学校、家庭、職場、団体、企業等が役割分担しながらその連携を強化するとともに、住民が交通安全に関する各種活動に対して様々な形で参加し、協働していくことが有効である。

<2> 目標

  • 平成27年までに24時間死者数を3,000人(※)以下とし、世界一安全な道路交通を実現する。(この3,000人に平成22年中の24時間死者数と30日以内死者数の比率を乗ずるとおおむね3,500人)
  • 平成27年までに死傷者数を70万人以下にする。

人口10万人当たり死者数

<3> 対策

(1)視点

<1> 高齢者及び子どもの安全確保

 諸外国と比較しても、我が国は高齢者の死者の占める割合が極めて高いこと、今後も我が国の高齢化は急速に進むことを踏まえると、高齢者が安全にかつ安心して外出したり移動したりできるような交通社会の形成が必要である。特に、今後、高齢運転者が大幅に増加することが予想されることから、高齢者が事故を起こさないようにするための対策を強化することが喫緊の課題である。
 また、安心して子どもを生み、育てることができる社会を実現するためには、防犯の観点はもちろんのこと、子どもを交通事故から守る観点からの交通安全対策が一層求められる。このため、通学路等において歩道等の歩行空間の整備を積極的に推進する必要がある。

主な欧米諸国の年齢層別交通事故死者数の状況(2009年)

 欧米諸国に比べ、高齢者の人口構成率以上に、高齢者死者数の占める割合が極めて高い。

<2> 歩行者及び自転車の安全確保

 我が国では、全体の交通事故死者数に占める歩行者の割合が3割を超え、欧米諸国と比較して高い割合となっている。安全で安心な社会を実現するためには、自動車と比較して弱い立場にある歩行者の安全を確保することが必要不可欠である。人優先の考えの下、通学路、生活道路、市街地の幹線道路等において歩道の整備等による歩行空間の確保を一層積極的に進める。
 また、我が国では、自転車乗用中の死者数の構成率についても、欧米諸国と比べて高くなっている。自転車は、被害者となる場合と加害者となる場合があることから、それぞれの対策を講じる必要がある。自転車の安全利用を促進するためには、生活道路や市街地の幹線道路において、自動車や歩行者と自転車利用者の共存を図ることができるよう、自転車の走行空間の確保を積極的に進める必要がある。また、自転車利用者については、ルールやマナーに違反する行動が多いことから、交通安全教育等の充実を図る必要がある。

主な欧米諸国の状態別交通事故死者数の構成率(2009年)

 欧米諸国に比べ、歩行中、自転車乗用中の死者数の割合が高い。

自転車関連事故の相手当事者別交通事故件数推移

 近年、自転車相互及び対歩行者との交通事故件数が増加傾向にある。

<3> 生活道路及び幹線道路における安全確保

 車道幅員5.5メートル未満の道路における交通死亡事故の発生状況を踏まえると、今後は生活道路において自動車の速度抑制を図るための道路交通環境の整備、交通指導取締りの強化等の対策を講じるとともに、幹線道路を走行すべき自動車が生活道路へ流入することを防止するための対策等を推進する。
 また、依然として、交通事故死者数の3分の2を占める幹線道路における対策については、効果を科学的に検証しつつ、マネジメントサイクルを適用することにより、効率的・効果的な対策の実施に努める「事故ゼロプラン(事故危険区間重点解消作戦)」を推進する。

生活道路における交通死亡事故件数等の推移

 生活道路の交通死亡事故件数は減少しているものの、全体に占める割合は増加傾向にある。

生活道路における歩行者関連事故及び自転車関連事故の状況(平成21年)

 歩行者・自転車に関連する死傷事故件数は、生活道路において幹線道路の約2倍発生している。

(2)講じようとする施策

<1> 道路交通環境の整備

 道路交通環境の整備を考えるに当たっては、科学的なデータ等に基づき、事故要因や有効な対策について十分な分析を行った上で、効率的・効果的な対策に取り組む「施策パフォーマンスの追及」と計画の策定や事業の実施に地域や住民が積極的に参画・協力していく仕組みをつくるなどの「地域や住民の主体性の重視」を基本戦略として取組を推進する。

<2> 交通安全思想の普及徹底

 幼児から成人に至るまで段階的かつ体系的な交通安全教育を行うとともに、高齢者自身の交通安全意識の向上を図る。また、活動を行うに当たっては、参加・体験・実践型の教育方法を積極的に取り入れる。さらに、関係者が互いに連携しつつ地域ぐるみの活動が推進されるよう促す。

<3> 安全運転の確保

 運転者教育等の充実に努めるほか、情報通信技術(IT)等を活用した道路交通に関連する総合的な情報提供の充実及び自動車運送事業者の安全対策の充実を図る。

<4> 車両の安全性の確保

 これまでの被害軽減対策の進化・成熟化を図ることに加え、今後は、事故を未然に防止する予防安全対策について、先進技術の活用等により更なる充実を図る。

<5> 道路交通秩序の維持

 交通指導取締り、交通事故事件捜査、暴走族取締り等を通じ、道路交通秩序の維持を図る。

<6> 救助・救急活動の充実

 救急関係機関相互の緊密な連携・協力関係を確保しつつ、救助・救急体制及び救急医療体制の整備を図る。特に、救急現場等における応急手当の普及等を推進する。

<7> 損害賠償の適正化を始めとした被害者支援の推進

 犯罪被害者等基本法等の下、交通事故被害者等のための施策を総合的かつ計画的に推進する。

<8> 研究開発及び調査研究の充実

 人・道・車の3要素それぞれの分野における研究開発を一層推進するとともに、総合的な調査研究を充実する。

安全対策装置等への支援

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