I 現況の概要 第2編 海上交通
第2章 海上交通安全施策の現況

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第2編 海上交通

第2章 海上交通安全施策の現況

1 海上交通環境の整備

交通安全施設等の整備

船舶交通の安全確保及び運航能率の向上を図るため,港湾及び航路の整備の進展や船舶の大型化等海上交通環境の変化に対応した航路標識の整備を実施し,平成29年度末現在で5,251基の航路標識を管理している。

さらに,地震や台風といった自然災害に伴う航路標識の倒壊や消灯等を未然に防止し,災害時でも被災地の海上交通安全を確保するために,航路標識の耐震補強,耐波浪補強及びLED灯器の耐波浪化等による防災対策を推進した。

2 海上交通の安全に関する知識の普及

海難防止思想の普及

海難を防止するためには,国民一人一人の海難防止に関する意識を高めることが重要である。

このため,関係省庁・団体と連携の上,海難防止講習会や訪船指導等あらゆる機会を通じて海事関係者に限らず広く国民全般に対して法令遵守やライフジャケットの常時着用等の自己救命策確保の徹底を呼びかけるなど,海難防止思想の普及及び高揚並びに海難防止に関する知識の習得及び向上を図った。

特に平成29年7月16日から31日までの間,「小型船舶の海難防止」「見張りの徹底及び船舶間コミュニケーションの促進」「ライフジャケットの常時着用等自己救命策の確保」を重点事項に掲げて官民一体となった「海の事故ゼロキャンペーン」を全国一斉に実施したほか,霧などの気象条件や海難の発生傾向など地域や各種船舶の特性を考慮した地方レベルの運動を実施した。

3 船舶の安全な運航の確保

ヒューマンエラーの防止

船舶事故の多くは,見張り不十分,操船不適切といったヒューマンエラーであることから,関係機関と連携の上,各種キャンペーン,海難防止講習会,訪船指導等あらゆる機会を通じて,事業者,操縦者等の安全意識を図るとともに,訪船指導においては,運輸安全委員会が衝突事故防止に係る船舶事故調査事例の紹介と分析を行った情報誌により周知を図った。

旅客船事業者等に対する指導監督の充実強化

旅客船事業者等に対して,安全管理規程の遵守状況を重点に監査を行うとともに,事故及びインシデント発生時の監査を通じて安全管理体制の改善を図った。

また,平成27年7月に発生したフェリー火災事故を受け,28年3月にフェリー事業者による消火活動の備えを強化するための有効な消火手順,消火設備の特性,訓練の方法などをまとめた手引書を取りまとめて公表し,29年度も引き続き全国のフェリー事業者に対して指導を行った。

運輸安全マネジメント評価の推進

平成18年10月より導入した「運輸安全マネジメント制度」により,事業者が社内一丸となった安全管理体制を構築・改善し,国がその実施状況を確認する運輸安全マネジメント評価を,29年において198者に対して実施した。

4 小型船舶の安全対策の充実

プレジャーボートの安全対策の推進

海上保安庁ではプレジャーボートの海難防止のためには,マリンレジャー愛好者の安全意識を高揚させることが重要であることから,関係機関と連携して海難防止講習会や訪船指導等あらゆる機会を通じて海難防止思想の普及を図るとともに,小型船安全協会等の民間組織や海上安全指導員,地域のライフセーバー等のボランティアと連携して,地域に密着した安全活動を展開した。

国土交通省では,小型船舶の検査を実施している日本小型船舶検査機構と連携して,適切な間隔で船舶検査を受検するよう,リーフレット等を活用し,関係者に周知を図った。

警察では,港内その他の船舶交通のふくそうする水域,遊泳客の多い海水浴場,水上レジャースポーツが盛んな水域等に重点を置いて,警察用船舶,警察用航空機等によるパトロールのほか,関係機関・団体との連携により,水上レジャースポーツ関係者に対する安全指導等を通じて,水上交通安全の確保を図った。

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