第1部 陸上交通の安全についての施策 第1章 道路交通の安全についての施策
第2節 交通安全思想の普及徹底

目次]  [前へ]  [次へ

交通安全教育は,自他の生命尊重という理念の下に,交通社会の一員としての責任を自覚し,交通安全意識と交通マナーの向上に努め,相手の立場を尊重し,他の人々や地域の安全にも貢献できる良き社会人を育成する上で,重要な意義を有している。交通安全意識を向上させ交通マナーを身に付けるためには,人間の成長過程に合わせ,生涯にわたる学習を促進して国民一人一人が交通安全の確保を自らの課題として捉えるよう意識の改革を促すことが重要である。また,人優先の交通安全思想の下,高齢者,障害者等の交通弱者に関する知識や思いやりの心を育むとともに,交通事故被害者等の痛みを思いやり,交通事故を起こさない意識を育てることが重要である。

このため,交通安全教育指針(平10国家公安委員会告示15)等を活用し,幼児から成人に至るまで,心身の発達段階やライフステージに応じた段階的かつ体系的な交通安全教育を行うとともに,高齢化が進展する中で,高齢者自身の交通安全意識の向上を図るほか,他の世代に対しても高齢者の特性を知り,その上で高齢者を保護し,また,高齢者に配慮する意識を高めるための啓発指導を強化する。さらに,自転車を使用することが多い小学生,中学生及び高校生に対しては,交通社会の一員であることを考慮し,自転車利用に関する道路交通の基礎知識,交通安全意識及び交通マナーに係る教育を充実させる。

学校においては,学習指導要領等に基づく関連教科,総合的な学習の時間,特別活動及び自立活動など,教育活動全体を通じて計画的かつ組織的に実施するよう努めるとともに,学校保健安全法(昭33法56)に基づき策定することとなっている学校安全計画により,児童生徒等に対し,通学を含めた学校生活及びその他の日常生活における安全に関して,自転車の利用に係るものを含めた指導を実施する。障害のある児童生徒等については,その障害の特性等を踏まえ,交通安全に関する指導を行うよう配慮する。

交通安全教育・普及啓発活動を行うに当たっては,参加・体験・実践型の教育方法を積極的に取り入れ,教材の充実を図りインターネットを活用した実施主体間の相互利用を促進するなどして,国民が自ら納得して安全な交通行動を実践することができるよう,必要な情報を分かりやすく提供することに努める。

交通安全教育・普及啓発活動については,国,地方公共団体,警察,学校,関係民間団体,地域社会,企業及び家庭がそれぞれの特性を生かし,互いに連携をとりながら地域ぐるみの活動が推進されるよう促す。特に交通安全教育・普及啓発活動に当たる地方公共団体職員や教職員の指導力の向上を図るとともに,地域における民間の指導者を育成することなどにより,地域の実情に即した自主的な活動を促進する。

また,地域ぐるみの交通安全教育・普及啓発活動を効果的に推進するため,高齢者を中心に,子供,親の3世代が交通安全をテーマに交流する世代間交流の促進に努める。

さらに,交通安全教育・普及啓発活動の効果について,評価・効果予測手法を充実させ,検証・評価を行うことにより,効果的な実施に努めるとともに,交通安全教育・普及啓発活動の意義,重要性等について関係者の意識が深まるよう努める。

  1. 段階的かつ体系的な交通安全教育の推進
  2. 効果的な交通安全教育の推進
  3. 交通安全に関する普及啓発活動の推進
  4. 交通の安全に関する民間団体等の主体的活動の推進
  5. 住民の参加・協働の推進
目次]  [前へ]  [次へ