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交通安全フォーラムの開催について

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● 内閣府では交通安全意識の高揚を図るため,交通事情に詳しい学識経験者や交通安全に関わる方々をお招きし,地域における交通安全対策に関する講演やパネルディスカッションを行う「交通安全フォーラム」を開催している。

平成30年度は,11月8日に,山梨県及び甲府市との共催により,『飲酒運転の根絶に向けて~富士山に誓って なくそう!飲酒運転~』をテーマに甲府市総合市民会館芸術ホールで開催し,約350人の参加があった。

● この日のフォーラムでは,飲酒運転者による交通事故で子供を亡くされた母親が基調講演を行った後,山梨県警の担当者,医師,交通事故で自らの右足を失ったアスリートがパネリストとして加わり,コーディネーターのもと討論をしながら,各自の体験を踏まえた飲酒運転根絶に関する提言を行った。

○基調講演及びパネルディスカッションの提言内容

基調講演及びパネルディスカッション。山本美也子氏の写真
基調講演及びパネルディスカッション。舞台上の登壇者の写真

基調講演

NPO法人はぁとスペース代表 山本 美也子 氏

「思いをつないで交通事故のない社会実現を」

我が家は7年前,飲酒運転の車に長男の命を奪われました。当時16歳の長男とその友人が突然亡くなったことで,明日が当たり前に来ることはなく,この瞬間,瞬間がまるで奇跡のような素敵な時間で,この奇跡の時間を一生懸命に生き抜いていかなければいけないと,2人に教えてもらいました。また,2人の葬儀に多くの友人に参列していただいたことで,16歳という若さで友人の葬儀に出るというようなつらい思いをさせることが二度とあってはならないと思いました。

事故後の7年間,学校などいろいろなところでお話しさせていただいていますが,飲酒運転はなかなかなくなりません。でも,言い続けていれば社会は変わると信じて頑張っています。飲酒運転だけでなく,交通事故をゼロにできるように,皆さんのお力をいただきたい。

パネルディスカッション

山中達也氏の写真

コーディネーター
公立大学法人山梨県立大学人間福祉学部准教授
山中 達也 氏

「できることを行い続けることで飲酒運転を根絶しましょう」

飲酒運転を根絶するためには,言動の一致,思ったり言ったりしたことと行動を一致させ,一人一人ができることを行い,続けていくことが大事です。また,飲酒運転を見て見ぬふりをしていたのであれば改めるべきです。

小さな子どもから高齢者まで,お酒に関する教育をしっかり行うことも大事です。得た知識を自分に活かし,周りの人にも伝えていくことは,私たちにできることだと思います。

窪田豊氏の写真

山梨県警察本部交通部参事官兼交通企画課長
窪田 豊 氏

「本人の『しない』と,周囲の『させない,許さない』で飲酒運転根絶」

飲酒運転は,平成13年以降,罰則強化もあり減少傾向でしたが,近年は下げ止まっています。

飲酒運転は重大な交通事故を発生させるおそれが高いだけではなく,発覚を恐れて逃亡し,大きな罪を重ねることもあります。そして,違反者は仕事やこれまでの生活を失い,後悔だけが残ります。

飲酒運転根絶には,本人の「しない」という強い意思と,「させない,許さない」という周囲の協力や環境づくりが重要です。

瀧村剛氏の写真

独立行政法人国立病院機構久里浜医療センター精神科医師
瀧村 剛 氏

「アルコールを正しく理解して,上手に付き合いましょう」

飲酒運転が根絶されない背景には,アルコール依存症が潜んでいることが考えられます。また,アルコールを分解する速さは人それぞれで,お酒に強いからといって速く分解できるとは限りません。さらに,酒気帯び運転の基準(0.15mg/l)はありますが,基準以下の飲酒でも運転には悪影響がでます。

仲間とお酒を楽しむときには,ハンドルキーパーの徹底や運転代行利用の仕組作りを考えてください。

鈴木徹氏の写真

義足のハイジャンパー・山梨市観光大使
鈴木 徹 氏

「大事な家族や職場のためにも責任ある行動をとりましょう」

私は自身の居眠り運転で右足を失いました。同乗者は軽いケガで済みましたが,亡くなっていたらと思うと今でも恐怖を感じます。

私は事故で家族や周りの方々に迷惑をかけました。この経験からお伝えしたいことは,飲酒されるときは,自分は一人で生きているのではなく,家族や職場の仲間といったものが何より大事で失ってはならないものだと強く認識し行動していただきたいということです。

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