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第4次交通ビジョン~船舶交通安全をはじめとする海上安全の更なる向上のための取組~
平成30年4月20日,交通政策審議会から船舶交通安全等に係る海上安全政策について,おおむね5年間における基本的な方向性及び具体的な施策が第4次交通ビジョンとして答申された。
このなかでは,近年の社会情勢の変化や技術革新等に伴い,新たなマリンレジャーや海洋におけるエネルギー生産活動などが活発化するとともに,自動運航船実用化に向けた取組が進められ,これまでにない船舶や運航形態が出現する等,海上活動が多様化・活発化していることを踏まえ,今後取り組むべき事項(新たな課題への取組,基本的施策の推進)と船舶事故に係る計画目標が示された。
1 第4次交通ビジョンの概要
今後取り組むべき事項(新たな課題への取組,基本的施策の推進)と船舶事故に係る計画目標は以下のとおり示された。
(1)新たな課題への取組
・多様化,活発化する海上活動への対応
・海上における生産性向上,効率化への対応
・地域を活かす海上安全行政の推進
・海上活動情報の統合と活用
・2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた取組
(2)基本的施策の推進(第3次交通ビジョンから継続実施する施策)
・ふくそう海域等における安全対策
・小型船舶の安全対策
・航路標識等の整備,管理
・防災,減災対策
・戦略的技術開発,国際連携の推進
(3)船舶事故に係る計画目標
・船舶事故隻数の減少
・ふくそう海域における大規模海難の防止
・ふくそう海域における衝突,乗揚げ事故隻数の減少
・台風,異常気象時における港内の衝突,乗揚げ事故隻数の減少
2 新たな課題への取組
ビジョンで示された主な取組を以下で紹介する。
○多様化,活発化する海上活動への対応
・ウォーターアクティビティのセーフティガイドの策定
ウォーターアクティビティごとに推奨される装備品や必要なスキル等安全情報を取りまとめ「ウォーターセーフティガイド」を策定し,利用者に対する周知・啓発を行う。
・民間による安全対策の推進
小型船舶の安全対策の一つとして,米国等の安全対策に関する情報の収集等を行い,海上安全指導員等民間による活動の活性化の検討等を推進する。
○海上における生産性向上,効率化への対応
・大型クルーズ船の安全対策
大型クルーズ船が初めて入港する際の安全対策の検討期間を短縮させるべく,海上保安庁において簡易な入出港シミュレーションを行い,関係者の適切な判断に役立てる。
・巨大船通航間隔の見直し
船舶交通の安全を確保した上,船舶が輻輳する海域である東京湾の航路における巨大船等の通航間隔について現行の15分を短縮するための検討を行う。
・自動運航船実用化への対応
自動運航船は,その実用化に向けた取組が始められつつあることから,海外動向の把握,事業者等からの意見聴取を行うとともに,海上安全確保策について有識者等を交えた検討を開始し,その検討結果を踏まえ必要に応じた対策を推進する。
○地域を活かす海上安全行政の推進(灯台観光の推進を通じた地域貢献)
地方公共団体等による灯台の観光資源としての活用等を積極的に促すことにより,海上安全思想の普及を図り,これを通じて地域活性化にも一定の貢献を果たす。
○海上活動情報の統合と活用
ICTを活用し,AIS(船舶自動識別装置)を搭載していない小型船の航行情報や海上保安庁が保有するAIS情報など様々な海上活動情報を統合・分析し,オープンデータ化して提供するシステムを構築し,安全に配慮した海上活動の実現等を図る。
3 今後の対応
海上保安庁では,ビジョンに基づき,海の安全の創造を目指すため,具体的な取組をアクションプランとして策定し,取組状況を評価・検証しながら効果的かつ効率的に海上安全の向上のための取組を強力に推進している。
第4次交通ビジョンに関する詳しい資料は,海上保安庁ホームページ(下記アドレス)に掲載している。
https://www.kaiho.mlit.go.jp/seisaku/4thkotsuvision.html