第1編 陸上交通 第1部 道路交通 第1章 道路交通事故の動向

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第1編 陸上交通

第1部 道路交通

第1章 道路交通事故の動向

1 令和2年中の道路交通事故の概況

令和2年中の交通事故発生件数は30万9,178件で,これによる死者数は2,839人,負傷者数は36万9,476人であり(死傷者数は37万2,315人),負傷者数のうち,重傷者数は2万7,774人(7.5%),軽傷者数は34万1,702人(91.8%)であった。(特集-第1図)

前年と比べると,交通事故発生件数は7万2,059件(18.9%),死者数は376人(11.7%),負傷者数は9万2,299人(20.0%)減少し(死傷者数は9万2,675人(19.9%)減少),負傷者数のうち,重傷者数については4,251人(13.3%),軽傷者数については8万8,048人(20.5%)減少した。

交通事故発生件数及び負傷者数は16年連続で減少したほか,死者数も減少傾向にあり,現行の交通事故統計となった昭和23年以降で最少となった前年を更に下回った。

65歳以上の高齢者(以下「高齢者」という。)における人口10万人当たりの交通事故死者数は引き続き減少しているものの,交通事故死者のうち高齢者は1,596人であり,その占める割合は,56.2%と依然として高い(特集-第14図及び第1-1図)。

第1-1図 高齢者及び高齢者以外の交通事故死者数の推移。いずれも減少傾向にあるが、高齢者の減少幅は小さい。高齢者以外より高齢者の方が多い

また,致死率については,近年上昇傾向にあるが,この背景には,他の年齢層に比べて致死率が約6倍高い高齢者の人口が増加している一方,その他の年齢層の人口は減少傾向にあることが挙げられる(第1-2図)。

第1-2図 致死率及び死者数の推移。死者数は減少傾向にあるが、致死率が上昇傾向にある
2  交通死亡事故等の特徴
(1)事故類型別交通死亡事故発生件数及び交通事故発生件数

令和2年中の交通死亡事故発生件数を事故類型別にみると,正面衝突等(918件,構成率33.0%)が最も多く,次いで歩行者横断中(651件,構成率23.4%),出会い頭衝突(346件,構成率12.4%)の順で多くなっており,この3類型を合わせると全体の68.8%を占めている(第1-3図)。過去10年間の交通死亡事故発生件数(人口10万人当たり)を事故類型別にみると,いずれも減少傾向にあるが,人対車両その他及び正面衝突等に係る交通死亡事故は他に比べ余り減っていない(第1-4図)。

※事故原因が類似する正面衝突,路外逸脱,工作物衝突をまとめたもの。

第1-3図 事故類型別交通死亡事故発生件数(令和2年)。正面衝突等、歩行者横断中、出会い頭衝突、人対車両その他、右・左折時衝突、追突、その他。正面衝突等、歩行者横断中、出合い頭衝突で7割近くを占めている
第1-4図 事故類型別人口10万人当たり交通死亡事故発生件数の推移。正面衝突等、歩行者横断中、出会い頭衝突、人対車両その他、右・左折時衝突、追突。いずれも減少傾向にある
  平成22 23 24 25 26 27 28 29 30 令和元 2年 構成率 増減率(22年比)
正面衝突等 1.05 0.97 0.89 1.00 0.95 0.92 0.94 0.88 0.83 0.78 0.73 33.0% -31.0%
歩行者横断中 0.97 0.92 0.90 0.85 0.81 0.82 0.74 0.72 0.65 0.58 0.52 23.4% -47.0%
出会い頭衝突 0.59 0.53 0.49 0.43 0.43 0.45 0.39 0.40 0.33 0.32 0.27 12.4% -53.7%
人対車両その他 0.35 0.37 0.34 0.32 0.33 0.34 0.29 0.29 0.28 0.29 0.23 10.5% -34.5%
右・左折時衝突 0.25 0.23 0.25 0.22 0.20 0.20 0.19 0.17 0.18 0.15 0.14 6.1% -45.7%
追突 0.21 0.24 0.20 0.18 0.18 0.16 0.16 0.13 0.16 0.12 0.10 4.7% -49.9%
注 1
警察庁資料による。ただし,「その他」を省略しているため,構成率の合計は必ずしも100%とならない。
2
「人対車両その他」とは,人対車両の事故のうち,歩行者横断中以外の事故をいう(対面通行中,背面通行中,路上横臥等)。
3
「正面衝突等」とは正面衝突,路外逸脱及び工作物衝突をいう。
4
算出に用いた人口は,該当年の前年の人口であり,総務省統計資料「人口推計」(各年10月1日現在人口(補間補正を行っていないもの。ただし,国勢調査実施年は国勢調査人口による。))による。

また,令和2年中の交通事故発生件数を事故類型別にみると, 追突(9万5,520件,構成率30.9%)が最も多く,次いで出会い頭衝突(7万9,363件,構成率25.7%)が多くなっており,両者を合わせると全体の56.6%を占めている(第1-5図,第1-6図)。

第1-5図 事故類型別交通事故発生件数(令和2年)。追突、出会い頭衝突、右・左折時衝突、歩行者横断中、人対車両その他、正面衝突等、その他。追突、出合い頭衝突、右・左折時衝突で7割を占めている
第1-6図 事故類型別交通事故発生件数の構成率の推移。追突、出会い頭衝突、右・左折時衝突、歩行者横断中、人対車両その他、正面衝突等。追突、出合い頭衝突、右・左折時衝突で7割を占めている
  平成22 23 24 25 26 27 28 29 30 令和元 2年
追突 32.4% 33.3% 34.8% 35.8% 36.2% 36.7% 37.0% 35.5% 34.7% 33.1% 30.9%
出会い頭衝突 26.7% 26.1% 25.3% 24.8% 24.5% 24.3% 24.2% 24.5% 24.8% 25.2% 25.7%
右・左折時衝突 13.5% 13.3% 13.0% 12.6% 12.6% 12.4% 12.4% 12.7% 12.6% 12.9% 13.4%
歩行者横断中 5.7% 5.5% 5.5% 5.5% 5.6% 5.9% 6.0% 6.2% 6.4% 6.6% 6.9%
人対車両その他 3.8% 3.9% 4.0% 4.1% 4.2% 4.3% 4.3% 4.6% 4.9% 5.2% 5.3%
正面衝突等 4.7% 4.6% 4.4% 4.2% 4.0% 3.7% 3.6% 3.5% 3.5% 3.4% 3.5%
注 1
警察庁資料による。ただし,「その他」を省略しているため,構成率の合計は必ずしも100%とならない。
2
「人対車両その他」とは,人対車両の事故のうち,歩行者横断中以外の事故をいう(対面通行中,背面通行中,路上横臥等)。
3
「正面衝突等」とは正面衝突,路外逸脱及び工作物衝突をいう。
(2)状態別交通事故死者数及び負傷者数

令和2年中の交通事故死者数を状態別にみると,歩行中(1,002人,構成率35.3%)が最も多く,次いで自動車乗車中(882人,構成率31.1%)が多くなっており,両者を合わせると全体の66.4%を占めている(第1-7図)。過去10年間の交通事故死者数(人口10万人当たり)を状態別にみると,いずれも減少傾向にあるが,自動二輪車乗車中及び自転車乗用中の交通事故死者は他に比べ余り減っていない(第1-8図)。

第1-7図 状態別交通事故死者数(令和2年)。自動車乗車中、自動二輪車乗車中、原付乗車中、自転車乗用中、歩行中。歩行中、自動車乗車中で7割を占めている
第1-8図 状態別交通事故死者数(令和2年)。自動車乗車中、自動二輪車乗車中、原付乗車中、自転車乗用中、歩行中。いずれも減少傾向にある
  平成22 23 24 25 26 27 28 29 30 令和元 2年 増減率(22年比)
自動車乗車中 1.28 1.15 1.12 1.11 1.08 1.04 1.05 0.96 0.94 0.86 0.70 -45.5%
自動二輪車乗車中 0.41 0.40 0.36 0.37 0.35 0.35 0.36 0.35 0.32 0.29 0.31 -24.9%
原付乗車中 0.28 0.27 0.26 0.23 0.20 0.18 0.18 0.14 0.17 0.12 0.11 -60.7%
自転車乗用中 0.52 0.50 0.44 0.47 0.42 0.45 0.40 0.38 0.36 0.34 0.33 -36.6%
歩行中 1.37 1.33 1.28 1.25 1.18 1.21 1.07 1.06 0.99 0.93 0.79 -41.9%
注 1
警察庁資料による。ただし,「その他」は省略している。
2
算出に用いた人口は,該当年の前年の人口であり,総務省統計資料「人口推計」(各年10月1日現在人口(補間補正を行っていないもの。ただし,国勢調査実施年は国勢調査人口による。))による。

また,令和2年中の交通事故負傷者数を状態別にみると,自動車乗車中(22万4,273人,構成率60.7%)が最も多い(第1-9図)。

第1-9図 状態別交通事故負傷者数(令和2年)。自動車乗車中、自動二輪車乗車中、原付乗車中、自転車乗用中、歩行中、その他。自動車乗車中で6割を占めている
(3)年齢層別交通事故死者数及び負傷者数

令和2年中の交通事故死者数を年齢層別にみると,各層人口10万人当たりでは,80歳以上(6.4人)が最も多く,次いで70~79歳(4.0人),60~69歳(2.4人)の順で多くなっており(第1-10図),この3つの年齢層の死者数を合わせると全体の61.7%を占めている(第1-11図)。65歳以上の高齢者の人口10万人当たりの死者数は引き続き減少しているものの(特集-第14図),交通事故死者数に占める高齢者の割合は56.2%である(第1-11図)。過去10年間の交通事故死者数(人口10万人当たり)を年齢層別にみると,最も減少が緩やかな50~59歳の年齢層についても,平成22年と比較して3割程度減少している(第1-10図)。

第1-10図 年齢層別人口10万人当たり交通事故死者数の推移。9歳以下、10~19歳、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60~69歳、70~79歳、80歳以上、65歳以上(再掲)。いずれも減少傾向にある
  平成22 23 24 25 26 27 28 29 30 令和元年 2年 増減率(22年比)
9歳以下 0.7 0.7 0.6 0.6 0.5 0.5 0.5 0.4 0.5 0.4 0.3 -56.4%
10~19歳 2.0 1.9 1.7 1.7 1.6 1.5 1.4 1.0 1.3 1.1 1.1 -45.3%
20~29歳 3.3 3.1 2.7 2.7 2.4 2.3 2.4 2.4 2.0 2.0 1.7 -47.8%
30~39歳 2.1 1.9 1.9 1.7 1.6 1.7 1.7 1.4 1.4 1.2 1.2 -42.8%
40~49歳 2.5 2.4 2.3 2.3 2.1 2.0 1.9 2.0 1.7 1.5 1.2 -49.7%
50~59歳 3.0 3.0 2.8 2.7 2.7 2.8 2.5 2.6 2.3 2.3 1.9 -34.3%
60~69歳 4.4 4.0 3.7 3.9 3.8 3.4 3.2 3.1 3.0 2.7 2.4 -45.7%
70~79歳 8.9 8.0 7.5 7.6 6.5 6.6 5.7 5.6 5.6 4.7 4.0 -54.7%
80歳以上 12.0 11.2 11.0 10.0 9.7 10.0 9.6 8.6 7.9 7.3 6.4 -46.8%
65歳以上(再掲) 8.6 7.8 7.7 7.5 6.9 6.8 6.3 5.8 5.6 5.0 4.4 -48.2%
全年齢層 3.9 3.7 3.5 3.4 3.2 3.2 3.1 2.9 2.8 2.5 2.3 -42.0%
注 1
警察庁資料による。
2
算出に用いた人口は,該当年の前年の人口であり,総務省統計資料「人口推計」(各年10月1日現在人口(補間補正を行っていないもの。ただし,国勢調査実施年は国勢調査人口による。))による。
第1-11図 年齢層別交通事故死者数の推移。9歳以下、10~19歳、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60~69歳、70~79歳、80歳以上、65歳以上(再掲)。いずれも減少傾向にある
  2年
死者数 構成率
9歳以下 28 1.0%
10~19歳 121 4.3%
20~29歳 218 7.7%
30~39歳 173 6.1%
40~49歳 231 8.1%
50~59歳 317 11.2%
60~69歳 388 13.7%
70~79歳 643 22.6%
80歳以上 720 25.4%
65歳以上(再掲) 1,596 56.2%

注 警察庁資料による。

また,令和2年中の交通事故負傷者数を年齢層別にみると,各層人口10万人当たりでは,20~29歳(471.6人)が最も多く,次いで30~39歳(430.1人),40~49歳(375.6人)が多くなっており,この3つの年齢層の負傷者数を合わせると全体の51.6%を占めている(第1-12図及び第1-13図)。

第1-12図 年齢層別人口10万人当たり交通事故負傷者数(令和2年)。9歳以下、10~19歳、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60~69歳、70~79歳、80歳以上、65歳以上(再掲)。20~29歳、30~39歳、40~49歳の順に多い
  9歳以下 10~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~79歳 80歳以上 65歳以上
(再掲)
負傷者数 118.9 276.9 471.6 430.1 375.6 339.8 227.8 191.2 119.5 171.8
構成率 3.2% 8.4% 16.1% 16.6% 18.8% 15.0% 10.0% 8.2% 3.6% 16.7%
注 1
警察庁資料による。
2
算出に用いた人口は,総務省統計資料「人口推計」(令和元年10月1日現在)による。
第1-13図 年齢層別交通事故負傷者数の構成率の推移。9歳以下、10~19歳、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60~69歳、70~79歳、80歳以上。令和元年は、40~49歳、30~39歳、20~29歳の順に多い
  平成22 23 24 25 26 27 28 29 30 令和元 2年
9歳以下 3.8% 3.7% 3.6% 3.6% 3.5% 3.5% 3.5% 3.5% 3.4% 3.4% 3.2%
10~19歳 10.1% 9.9% 9.6% 9.3% 9.0% 8.7% 8.5% 8.6% 8.5% 8.6% 8.4%
20~29歳 19.3% 19.1% 18.7% 18.3% 17.9% 17.6% 17.2% 16.8% 16.4% 16.1% 16.1%
30~39歳 19.0% 18.8% 18.7% 18.4% 18.2% 18.2% 17.8% 17.5% 17.1% 16.9% 16.6%
40~49歳 15.4% 16.2% 16.8% 17.5% 18.1% 18.5% 19.0% 19.3% 19.3% 19.0% 18.8%
50~59歳 12.2% 12.0% 12.1% 12.2% 12.4% 12.7% 13.0% 13.3% 14.0% 14.5% 15.0%
60~69歳 11.5% 11.5% 11.4% 11.4% 11.3% 11.2% 11.3% 11.0% 10.6% 10.2% 10.0%
70~79歳 6.5% 6.6% 6.7% 6.8% 6.9% 7.0% 6.8% 7.0% 7.4% 8.0% 8.2%
80歳以上 2.2% 2.2% 2.3% 2.4% 2.6% 2.7% 2.8% 3.0% 3.2% 3.4% 3.6%

注 警察庁資料による。

(4)年齢層別・状態別人口10万人当たり交通事故死者数(令和2年)

状態別でみた過去10年間の交通事故死者数(人口10万人当たり)の推移については,いずれも減少傾向にあるが(第1-8図),令和2年の歩行中死者数(人口10万人当たり)については,高齢者で多く,特に80歳以上(3.49人)では全年齢層(0.79人)の約4倍の水準となっているほか,40歳代以降は,年齢が高くなるにつれて,歩行中,自動車乗車中,自転車乗用中で増加している(第1-8図及び第1-14図)。

第1-14図 年齢層別・状態別人口10万人当たり交通事故死者数(令和2年)。9歳以下、10~19歳、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60~69歳、70~79歳、80歳以上。30歳以上をみると、年齢層が上がるにつれて死者数が増加しており、歩行者の割合が高くなっている
  9歳以下 10~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70~79歳 80歳以上
歩行中 0.20 0.08 0.27 0.27 0.24 0.42 0.75 1.71 3.49
自転車乗用中 0.04 0.13 0.12 0.10 0.10 0.20 0.43 0.76 1.16
原付乗車中 0.00 0.08 0.10 0.06 0.09 0.15 0.17 0.16 0.14
自動二輪車乗車中 0.00 0.41 0.68 0.34 0.32 0.55 0.18 0.14 0.03
自動車乗車中 0.04 0.38 0.55 0.43 0.50 0.63 0.84 1.27 1.52
注 1
警察庁資料による。
2
算出に用いた人口は,総務省統計資料「人口推計」(令和元年10月1日現在)による。
(5)年齢層別・状態別・男女別交通事故死者数(令和2年)

交通事故死者数を年齢層別・状態別・男女別にみると,16~24歳の女性及び25~64歳の女性では自動車乗車中,15歳以下の男女及び65歳以上の女性では歩行中の占める割合が高いほか,16~24歳の男性では自動二輪車乗車中の割合が高くなっている(第1-15図)。

第1-15図 年齢層別・状態別・男女別交通事故死者数(令和2年)。自動車乗車中、自動二輪車乗車中、原付乗車中、自転車乗用中、歩行中。16~24歳の女性は、男性に比べて自動車乗車中の割合が高い。65歳以上の女性は、男性に比べて歩行中の割合が高い
(6)昼夜別・状態別交通事故死者数及び負傷者数(令和2年)

交通事故死者数を昼夜別・状態別にみると,自動車乗車中(昼間64.3%),自転車乗用中(昼間66.6%),自動二輪車乗車中(昼間59.7%),原付乗車中(昼間61.7%)については昼間の割合が約6割と高いのに対して,歩行中(夜間65.7%)については,夜間の割合が高くなっている(第1-16図)。

第1-16図 昼夜別・状態別交通事故死者数及び負傷者数(令和2年)。自動車乗車中、自動二輪車乗車中、原付乗車中、自転車乗用中、歩行中。いずれも昼間の割合が高いが、死者をみると歩行中については夜間の割合の方が高い

負傷者数を昼夜別・状態別にみると,自転車乗用中(昼間78.0 % ), 自動車乗車中(昼間75.5%),原付乗車中(昼間72.3%),自動二輪車乗車中(昼間67.7%),歩行中(昼間60.8%)といずれも昼間の割合が6割以上と高い(第1-16図)。

(7)道路形状別交通死亡事故発生件数(令和2年)

令和2年中の交通死亡事故発生件数を道路形状別にみると,交差点内(33.8%)が最も多く,次いで一般単路(交差点,カーブ,トンネル,踏切等を除いた道路形状をいう。)(31.9%)が多くなっている(第1-17図)。

第1-17図 道路形状別交通死亡事故発生件数(令和2年)。交差点(交差点内、交差点付近)、単路(一般単路、カーブ、トンネル・橋)、踏切・その他。交差点内、一般単路で7割近くを占めている
(8)第1当事者別の交通死亡事故発生件数(令和2年)

自動車,自動二輪車又は原動機付自転車(以下「自動車等」という。)の運転者が第1当事者となる交通死亡事故発生件数(免許保有者10万人当たり)を過去10年間の推移で年齢層別にみると,16~19歳,80歳以上が他に比べ多くなっており,令和2年中については,16~19歳(11.5件)が最も多く,次いで80歳以上(7.8件)が多くなっている(第1-18図)。

第1-18図 自動車,自動二輪車又は原動機付自転車運転者(第1当事者)の年齢層別免許保有者10万人当たり交通死亡事故発生件数の推移)。16~19歳、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60~69歳、70~79歳、80歳以上、65歳以上(再掲)。いずれも減少傾向にある。16~19歳、80歳以上の割合が高い
  平成22 23 24 25 26 27 28 29 30 令和元 2年
16~19歳 15.5 16.9 15.0 16.9 13.8 14.4 13.5 11.4 11.4 11.4 11.5
20~29歳 6.4 6.7 6.1 5.9 5.4 5.4 4.8 4.6 4.0 3.8 3.1
30~39歳 4.7 4.2 4.0 3.5 3.4 3.3 3.2 3.1 2.9 2.3 2.1
40~49歳 4.5 4.2 3.9 3.9 3.7 3.3 3.5 3.4 3.0 2.8 2.4
50~59歳 4.5 4.1 3.9 3.6 3.8 3.9 3.5 3.5 3.3 3.1 2.7
60~69歳 4.8 4.5 4.1 4.3 3.8 3.8 3.7 3.5 3.4 3.2 2.9
70~79歳 7.7 6.6 6.4 6.5 5.6 5.6 5.4 4.7 5.1 3.9 3.3
80歳以上 18.2 15.6 15.1 14.7 14.7 13.3 12.2 10.6 11.1 9.8 7.8
65歳以上(再掲) 7.4 6.8 6.4 6.4 5.8 5.8 5.5 4.9 5.2 4.4 3.7

注 警察庁資料による。

令和2年中の交通死亡事故発生件数を法令違反別(第1当事者)にみると,安全運転義務違反が54.3%を占め,中でも運転操作不適(14.5%),漫然運転(13.6%),安全不確認(11.6%),脇見運転(8.8%)が多い(第1-19図)。

第1-19図 法令違反別(第1当事者)交通死亡事故発生件数(令和2年)。最高速度違反、安全運転義務違反(運転操作不適、漫然運転、脇見運転、安全不確認、その他)、酒酔い運転、一時不停止等、信号無視、歩行者妨害等、優先通行妨害、通行区分違反、追越違反、その他の違反、歩行者、当事者不明。安全運転義務違反が6割近くを占めている

当事者別(第1当事者)にみると,自家用乗用車(46.3%)及び自家用貨物車(17.2%)で全体の約6割を占めている(第1-20図)。

第1-20図 当事者別(第1当事者)交通死亡事故発生件数(令和2年)。事業用(乗用車、貨物車)、自家用(乗用車、貨物車)、二輪車(自動二輪車、原付)、自転車、歩行者、その他・不明。自家用で7割近くを占めている
(9)歩行中,自転車乗用中の交通死亡事故における法令違反の有無

歩行中の交通事故死者数は減少傾向にあるものの,状態別交通事故死者数では最も多くなっている(第1-21図)。令和2年中における歩行中死者数の法令違反の有無を高齢者と高齢者以外に分けてみると,ともに約6割に法令違反があるが(第1-22図),法令違反別では,高齢者は横断歩道外横断や走行車両の直前直後横断など「横断違反」の割合が約29%を占めており,高齢者以外と比べて多くなっている(第1-23図)。また,令和2年中の自転車乗用中死者数について,高齢者と高齢者以外に分けてみると,高齢者は前年から減少しているが,自転車側に法令違反があった割合が約85%と多くを占めている(第1-24図)。

第1-21図 状態別交通事故死者数の推移。自動車乗車中、二輪車乗車中、自転車乗用中、歩行中。いずれも減少傾向にある。歩行中、自動車乗車中、二輪車乗車中、自転車乗用中の順に高い
第1-22図 歩行中死者(第1・第2当事者)の法令違反状況の推移。高齢者(65歳以上)、高齢者以外。法令違反なし、法令違反あり。いずれも減少傾向にある。高齢者以外と比べ、高齢者の方が人数が多い。どちらも法令違反ありの方が割合が高い
第1-23図 歩行中死者(第1・第2当事者)の法令違反別比較(令和2年)。高齢者(65歳以上)、高齢者以外。法令違反の中で、高齢者は、高齢者以外と比べ、横断違反の割合が高い
第1-24図 自転車乗用中死者(第1・第2当事者)の法令違反状況の推移。高齢者(65歳以上)、高齢者以外。法令違反なし、法令違反あり。いずれも減少傾向にある。高齢者以外と比べ、高齢者の方が人数が多い。どちらも法令違反ありの割合が高い
(10)飲酒運転による交通事故発生状況(令和2年)

令和2年中の自動車等の運転者(第1当事者)の飲酒運転による交通事故発生件数は2,522件で,前年に比べると525件減少した。飲酒運転による死亡事故は,平成14年以降,累次の飲酒運転の厳罰化,飲酒運転根絶の社会的気運の高まりにより大幅に減少してきたが,20年以後はその減少幅が縮小している。令和2年中の交通死亡事故発生件数は159件と前年と比べて17件減少した(第1-25図)。

第1-25図 自動車,自動二輪車又は原動機付自転車運転者(第1当事者)の飲酒運転による交通事故発生件数及び交通死亡事故件数の推移。交通事故件数、死亡事故件数。いずれも減少傾向にある
(11)シートベルト着用有無別の交通事故死者数(令和2年)

令和2年中の自動車乗車中の交通事故死者数をシートベルト着用の有無別にみると,非着用は368人で,前年に比べると96人減少したが,全体に占める割合は41.7%で前年(42.8%)とほぼ同水準だった。これまでシートベルト着用者率の向上が自動車乗車中の死者数の減少に大きく寄与していたが,近年はシートベルト着用者率が伸び悩んでいる。2年中のシートベルト着用者率(自動車乗車中死傷者に占めるシートベルト着用の死傷者の割合)は94.6%にとどまっており,自動車乗車中の交通事故死者数をシートベルト着用有無別にみると,シートベルト着用者数はシートベルト非着用者数の1.3倍になっているが,2年中のシートベルト着用有無別の致死率をみると,非着用の致死率は着用の15.2倍と高くなっている(第1-26図,第1-27図及び第1-28図)。

第1-26図 自動車乗車中の交通事故におけるシートベルト着用有無別死者数の推移。シートベルト着用、シートベルト非着用、不明。いずれも減少傾向にある
第1-27図 自動車乗車中の交通事故におけるシートベルト着用者率及び致死率の推移。シートベルト着用者率はほぼ横ばいである。致死率は上昇傾向にある
第1-28図 自動車乗車中の交通事故におけるシートベルト着用有無別致死率(令和2年)。シートベルト着用(0.22%)に比べて非着用(3.42%)は15.2倍である
(12)チャイルドシート使用の有無別死傷者数

令和2年中の6歳未満幼児の自動車同乗中の死者数は,3人(うちチャイルドシート使用は2人。)であり,重傷者数は54人であった(第1-29図)。

第1-29図 チャイルドシート使用不明 死者数、チャイルドシート不使用 死者数、チャイルドシート使用 死者数、重傷者数。いずれも減少傾向にあるが、平成29年は増加した

チャイルドシートの使用者率(6歳未満幼児の自動車同乗中死傷者に占めるチャイルドシート使用の死傷者の割合)は79.5%であり,前年と比べて1.5%増加した。また,6歳未満幼児の自動車同乗中の致死率は0.08%,死亡重傷率は1.61%であった(第1-30図)。

第1-30図 自動車同乗中の交通事故における6歳未満チャイルドシート使用者率,致死率及び死亡重傷率の推移。チャイルドシート使用者率、死亡重傷率、致死率。チャイルドシートの着用者率、死亡重傷率は、増加傾向にある。致死率は、ほぼ横ばいである

令和2年中のチャイルドシート使用有無別の死亡重傷率をみると,不使用は使用の2.7倍,致死率をみると,不使用は使用の2.1倍となる(第1-31図)。

第1-31図 自動車同乗中におけるチャイルドシート使用有無別6歳未満致死率及び6歳未満死亡重傷率(令和2年)。致死率は、チャイルドシート使用(0.07%)に比べて不使用(0.15%)は2.1倍である。死亡重傷率は、チャイルドシート使用(1.21%)に比べて不使用(3.28%)は2.7倍である
3 高速道路における交通事故発生状況
(1)概況

令和2年中の高速道路(高速自動車国道法(昭32法79)第4条第1項に規定する高速自動車国道及び道路交通法(昭35法105)第110条第1項の規定により国家公安委員会が指定する自動車専用道路をいう。以下同じ。)における交通事故発生件数は4,649件(うち交通死亡事故104件)で,これによる死者数は114人,負傷者数は7,570人であった(第1-32図)。

第1-32図 高速道路における交通事故発生状況の推移。共用延長、死者数。共用延長は増加している。死者数は減少傾向にある

前年と比べると,交通事故発生件数及び負傷者数は減少し,死者数も49人(30.1%)減少した。

(2)死亡事故率

高速道路は,歩行者や自転車の通行がなく,原則として平面交差がないものの,高速走行となるため,わずかな運転ミスが交通事故に結びつきやすく,また,事故が発生した場合の被害も大きくなり,関係車両や死者が多数に及ぶ重大事故に発展することが多い。そのため,令和2年中の死亡事故率(交通事故発生件数のうち交通死亡事故の割合)を高速道路と一般道路に分けてみると,高速道路における死亡事故率(2.2%)は,一般道路における死亡事故率(0.9%)に比べ2倍以上となっている。

(3)事故類型別及び法令違反別発生状況

令和2年中の高速道路における事故類型別交通事故発生状況をみると,車両相互の事故の割合(91.4%)が最も高く,中でも追突が多い。次いで高いのが車両単独事故の割合(7.5%)で,これは一般道路(3.2%)と比較しても高くなっており,防護柵等への衝突が最も多く,次いで中央分離帯への衝突が多くなっている。また,法令違反別発生状況をみると,安全運転義務違反が92.3 % を占めており,その内容は前方不注意(42.1 %),動静不注視(22.1 %),安全不確認(15.1%)の順となっている。

(4)昼夜別交通事故発生状況

令和2年中の高速道路における昼夜別交通事故発生状況をみると,交通事故全体では昼間の発生(72.8%)が夜間の発生(27.2%)の約2.7倍となっている。交通死亡事故でも,昼間の発生(56.7%)が夜間の発生(43.3%)より多いが,死亡事故率では夜間(3.6%)が昼間(1.7%)を上回っている(第1-33図及び第1-34図)。

第1-33図 高速道路における交通事故の昼夜別発生状況割合。昼間(72.8%)で7割以上を占めている
第1-34図 高速道路における交通死亡事故の昼夜別発生状況割合。昼間(56.7%)で6割近くを占めている
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