特集 通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策について
第2章 通学路における点検のこれまでの取組及び飲酒運転根絶に向けたこれまでの取組
第1節 通学路点検に関するこれまでの取組
特集 通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策について
第2章 通学路における点検のこれまでの取組及び飲酒運転根絶に向けたこれまでの取組
通学路における点検は,京都府亀岡市における交通事故を始め,登下校中の児童等が巻き込まれる交通事故が平成24年4月に相次いで発生したことを受け,文部科学省,国土交通省及び警察庁が連携して取り組んできた。
また,飲酒運転根絶に向けた取組では,平成18年に福岡県で飲酒運転の乗用車に追突された乗用車が橋の下の海中に転落して幼児3人が死亡した交通事故の発生を契機に,飲酒運転を助長する行為を直罰化するとともに,飲酒運転に対する罰則を強化するなど,罰則の引上げ,行政処分の強化等を講じてきたところである。
以下,通学路における点検のこれまでの取組及び飲酒運転根絶に向けたこれまでの取組について記載することとする。
第1節 通学路点検に関するこれまでの取組
1 通学路における交通安全の確保に向けた緊急合同点検(平成24年~)
平成24年4月,京都府亀岡市において,登校中の児童等の列に自動車が突入する交通事故が発生したことを始め,登下校中の児童等が死傷する事故が連続して発生した。主な交通事故として,
〇 京都府亀岡市(4月23日) 登校中の児童等の列に自動車が突入し,児童2人と保護者1人が死亡,7人が重軽傷
〇 千葉県館山市(4月27日) 登校のためバス停で待っていた児童に自動車が突入し,児童1人が死亡
〇 愛知県岡崎市(4月27日) 登校のため横断歩道を渡っていた児童に自動車が突入し,児童2人が負傷
〇 愛知県小牧市(5月7日) 登校のため横断歩道を渡っていた中学生を自動車がはね,生徒1人が重体
であり,これらを受けて,文部科学省,国土交通省及び警察庁が連携し,通学路における交通安全の確保に向けて以下のとおり諸対策を推進した。
(1)関係省庁副大臣会議の開催
平成24年5月28日,文部科学省,国土交通省及び警察庁による関係省庁副大臣会議を開催し,通学路における交通安全の確保に向け,以下の取組を決定した。
ア 国レベルの連携体制の強化
文部科学省,国土交通省及び警察庁における一層の連携強化
イ 地域レベルの関係機関による連携体制の整備
教育委員会,道路管理者,警察等の関係機関や保護者,地域住民等を交えた連携体制の整備
ウ 通学路の緊急合同点検の実施
関係機関の連携と保護者,地域住民等の協力による通学路の緊急合同点検の実施及び点検結果を受けた対策の検討
(2)通学路における交通安全の確保に向けた緊急合同点検の実施
関係省庁副大臣会議における決定を受け,平成24年5月末から全国約2万の公立小学校等の通学路を対象に,学校,教育委員会,道路管理者,警察が連携し,保護者や地域住民等の協力を得た緊急合同点検を実施した。
その結果,対策が必要な箇所は7万4,483か所であり,これらの箇所について,学校・教育委員会,道路管理者,警察がそれぞれ必要な対策を実施可能なものから推進することとし,令和4年3月末時点で,緊急合同点検結果に基づく対策の実施状況は,特集-第28図のとおりである。
箇所数 | |||
---|---|---|---|
うち対策済み | |||
対策必要箇所(全体数) | 74,483 | 73,852 | |
教育委員会・学校による対策箇所 | 29,588 | 29,588 | |
道路管理者による対策箇所 | 45,060 | 44,429 | |
警察による対策箇所 | 19,715 | 19,715 |
(3)通学路の交通安全の確保に関する有識者懇談会
各地域における対策の検討に資するため,平成24年6月から7月にかけて3回にわたり,通学路の交通安全の確保に関する有識者懇談会を開催し,安全確保の対策を進める際の考え方や具体的な対策例などとして,「道路交通環境の整備」や「関係機関等の連携・協力による地域全体の安全確保」,「交通安全教育の効果的な促進」等の観点から様々な意見が出された。意見のポイントは特集-第29図のとおりである。
文部科学省,国土交通省及び警察庁では,懇談会における主な意見を取りまとめ公表するとともに,各都道府県の関係機関に提供した。
2 通学路の交通安全の確保に向けた着実かつ効果的な取組の推進(「通学路交通安全プログラム」に基づく取組)
緊急合同点検の実施後,平成25年5月31日には文部科学省,国土交通省及び警察庁による今後の取組に関する通知を発出し,緊急合同点検に基づく対策の実施後においても,各地域において定期的な合同点検の実施や対策の改善・充実等の取組を継続して推進することとした。
その取組を着実かつ効果的に実施するために必要と考える基本的な進め方を,同年12月に文部科学省,国土交通省及び警察庁で取りまとめ,地方自治体等に通知した上で,引き続き通学路の交通安全の確保に取り組むこととした(特集-第30図)。
(1)推進体制の構築
地域ごとに通学路の交通安全の確保に向けた取組の基本的方針を策定するとともに,策定した基本的方針に基づく取組を継続して推進するため,関係者で構成し,定期的に開催する協議会を設置する等推進体制を構築することとした。
(2)基本的方針の策定
(1)で構築した推進体制においては,各地域の実情を踏まえた合同点検や対策の改善・充実等の取組を着実かつ効果的に実施するため,緊急合同点検の枠組みを活用するほか,以下の内容を含む取組の基本的方針を策定することとした。
ア 合同点検の実施方針
合同点検の実施時期,合同点検の体制,合同点検の実施方法等を定める。
イ 通学路安全確保のためのPDCAサイクルの実施方針
合同点検の実施・対策の検討,対策の実施,対策効果の把握,その結果を踏まえた対策の改善・充実を一連のサイクルとして繰り返し実施すること(PDCAサイクル)が継続的な安全性向上のために必要であるとの観点から,これらを取組の基本的な考え方として定める。
(3)公表等
基本的方針の公表及び対策箇所図,対策一覧表を作成・公表する(特集-第31図)。
通学路の交通安全の確保に向けた取組状況(令和2年度末) | |
---|---|
推進体制の構築 | 構築済み 1,722市区町村(98.9%)/1,741市区町村 |
プログラムの策定 | 策定済み 1,714市区町村(99.5%)/1,722市区町村 |
プログラムの公表 | 公表済み 1,385市区町村(80.8%)/1,714市区町村 |
トピック
【事例】教育委員会,学校,道路管理者,警察,PTA等が合同で点検を行い,継続的な取組を行っている事例(静岡県浜松市)
静岡県浜松市では,関係者が合同で通学路の点検を定期的に行い,通学路の安全確保に向けた取組を継続的かつ着実に実施している。