特集 通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策について
第3章 通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策
第2節 「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」の概要

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特集 通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策について

第3章 通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策

第2節 「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」の概要

第1回関係閣僚会議における「子供の安全を守るための万全の対策を講じる」等との内閣総理大臣の指示を踏まえ,「通学路等における交通安全の確保」と「飲酒運転の根絶」を柱として取り組むこととする。

1 通学路等における交通安全の確保

これまでも,通学路や未就学児を中心に子供が日常的に集団で移動する経路における交通安全を確保するため,「通学路交通安全プログラム」等に基づく定期的な合同点検を行っていたが,次世代を担う子供のかけがえのない命を社会全体で守るため,これまでの通学路点検では危険箇所として取り上げられなかった,見通しのよい道路や幹線道路の抜け道になっている道路など車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所等の新たな観点も踏まえた合同点検を実施する。点検に当たっては,これまでに実施した合同点検等の蓄積を十分に活用し,地域の実情を踏まえた効率的・効果的な対応を行う。

(1)通学路における合同点検の実施及び対策必要箇所の抽出

・全国の市町村(特別区を含む。以下同じ。)立小学校の通学路を対象に合同点検を実施。

・放課後児童クラブの来所・帰宅経路についても,市町村立小学校が行う合同点検を踏まえつつ,安全点検を実施。

・これまで危険・要注意箇所として,道路が狭い,見通しが悪い等を例示していたところ,このような箇所に加え,

〇 見通しのよい道路や幹線道路の抜け道となっている道路など車の速度が上がりやすい箇所や大型車の進入が多い箇所

〇 過去に事故に至らなくてもヒヤリハット事例があった箇所

〇 保護者,見守り活動者,地域住民等から市町村への改善要請があった箇所

等の観点も踏まえ,危険箇所をリストアップし,合同点検及び対策必要箇所の抽出を実施。

(2)合同点検で抽出した対策必要箇所の対策案の検討・作成

・(1)で抽出した対策必要箇所について対策案を検討・作成。

・速度規制や登下校時間帯に限った車両通行止め,通学路の変更,スクールガード等による登下校時の見守り活動の実施等によるソフト面での対策に加え,歩道やガードレール,信号機,横断歩道等の交通安全施設等の整備等によるハード面での対策を適切に組み合わせるなど,地域の実情に対応した,効果的な対策を検討し,可能なものから速やかに実施。

(3)子供の安全な通行を確保するための道路交通環境の整備の推進

・歩道の設置・拡充,歩行者と自動車・自転車の利用空間の分離,ガードレール等の防護柵などの交通安全施設等の整備,無電柱化,踏切対策など,子供の視点に立った交通安全対策を推進。

・信号機の歩車分離化,信号灯器のLED化,横断歩道の設置・更新,路側帯の設置・拡幅,標識の高輝度化等を行うなど,子供の安全な通行空間を確保するための交通安全施設等の整備。

・ゾーン30を始めとする低速度規制を的確に実施するとともに,効果的にハンプ等の物理的デバイスの設置を進め,通学路等における速度抑制・通過交通の進入抑制対策を推進。

・スクールゾーンを設定するほか,登下校時間帯に限った車両通行止めを始めとする各種交通規制を的確に実施するとともに,当該規制の実効性を確保するため,登下校時間帯に重点を置いた,交通事故抑止に資する交通指導取締りを推進。

(4)「可搬式速度違反自動取締装置」の更なる整備の推進及び効果的な速度違反取締り

・幅員が狭い道路でも活用できる「可搬式速度違反自動取締装置」の更なる整備を推進するなどして効果的な速度違反取締りを行い,速度規制の実効性を確保。

(5)子供を始めとする歩行者の安全確保のための交通安全教育・指導取締り

・横断する意思を明確に伝えるなど自ら安全を守るための交通行動を促す交通安全教育等を推進する。

(6)登下校時の子供の安全確保

・スクールガード・リーダーの活動に係る支援等スクールガードの見守り活動の支援,通学環境の違いや道路事情など地域の実情や特性が異なることに十分に配慮した地域公共交通やスクールバスの活用の検討等の通学環境の整備等,地域の特性・必要性に応じた対策を講じる。

(7)「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」に基づく安全安心な歩行空間の確保

・引き続き取組を行うとともに,対策必要箇所のうち,対策未完了の箇所は,早期完了に向けて,対策の着実な実施を推進。

2 飲酒運転の根絶
(1)安全運転管理者の未選任事業所の一掃等,飲酒運転の根絶に向けた使用者対策の強化

・安全運転管理者が確実に選任されるよう,関係省庁が連携して,業界に対する選任義務等の周知を行うなど,未選任事業所の一掃を図る。

・自動車保管場所証明業務との連携等により未選任事業所の効果的・効率的な把握にも努めつつ,安全運転管理者の選任状況について,都道府県警察のウェブサイト上での公開により選任の促進を実施。

・乗車前後におけるアルコール検知器を活用した酒気帯びの有無の確認の促進やドライブレコーダーを活用した交通安全教育の推進等,安全運転管理者が行う安全運転管理業務の内容の充実を図ることにより,業務に使用する自動車の使用者における義務の徹底や対策の拡充等を図り,飲酒運転の根絶に向けた取組を推進。

(2)飲酒運転根絶に向けた交通安全教育及び広報啓発活動等の推進

・映像機器や飲酒体験ゴーグルを活用した参加・体験型の交通安全教育を推進。

・「ハンドルキーパー運動」への参加を広く国民に呼び掛けるなど,関係機関・団体等と連携して「飲酒運転を絶対にしない,させない」という国民の規範意識の更なる向上を図る。

(3)飲酒運転等の根絶に向けた取締りの一層の強化

・違反や交通事故の実態等を分析し,取締りの時間,場所等について方針を策定するとともに,不断の効果検証を行うといったPDCAサイクルに基づく管理を行い,飲酒運転に対する取締りを一層強化するほか,飲酒運転取締り機材について整備を図る。

・車両等の提供,酒類の提供及び要求・依頼しての同乗やこれらの教唆行為,飲酒運転の下命,容認行為について確実な立件に努める。

(4)運送事業用自動車での飲酒運転根絶に向けた取組強化

・運送事業者による飲酒運転対策の優良事例について,他の運送事業者でも実施できるように詳細な調査を行い,その結果を情報共有することにより,運送事業者による更なる飲酒運転対策を促す。

・運転者の指導・監督時の実施マニュアルにアルコール依存症関係の記載について拡充することや,アルコールインターロック装置に関して運送事業者への情報提供等による普及促進を図ることにより,飲酒傾向の強い運転者への対策を講じる。

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