特集 自転車の安全利用の促進について
第3章 自転車活用推進に向けた取組
第4節 自転車通勤等の促進
特集 自転車の安全利用の促進について
第3章 自転車活用推進に向けた取組
第4節 自転車通勤等の促進
1 自転車通勤導入に関する手引き
事業者活動における自転車通勤や業務利用を拡大するため,自転車活用推進官民連携協議会において「自転車通勤導入に関する手引き」を策定した。
「自転車通勤導入に関する手引き」は,これから自転車通勤制度を導入するための検討をする際や,既にある自転車通勤制度の見直しを行う際の参考となるものとして活用が期待されている。
具体的には,自転車通勤制度を導入することによるメリットや近年の自転車通勤へのニーズなどを踏まえ,事業者や従業員の視点から自転車通勤制度の導入・実施における課題などに対応した制度設計を行えるものとしているほか,「自転車通勤規定」及び「自転車通勤許可申請書」の様式も掲載している。
2 「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクト
「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクトは,自転車通勤を積極的に推進する事業者の取組を広く発信し,企業活動における自転車通勤や業務利用の拡大を図り,企業における自転車通勤の推進に関する自主的な取組を促進することを目的とした,自転車通勤を推進する企業・団体に対する認定制度であり,令和2年度に創設されたものである。令和5年4月1日現在,「宣言企業」として56社を認定している。
また,「宣言企業」のうち,特集-第33図に示す認定要件を満たしたものについては,「優良企業」として認定している。令和5年4月1日現在,「優良企業」として6社を認定している。
トピック
【事例】自転車通勤推進企業(優良企業)の取組
<日本電子株式会社本社・昭島製作所>
警察と協力した交通安全講習の実施や会社独自の自転車保険の提供のほか,広大な駐輪場に出退勤管理機を設置するなど,多数の社員が自転車通勤を行っていることを前提とした手厚い安全対策や利便性向上策を推進している。
<株式会社はてな>
月額2万円の通勤手当を支給(※)しているほか,タイヤ空気入れの常備,駐輪場代の全額補助を行うなど,従業員が自転車通勤をしたくなるような環境を積極的に整備している。
※2020年11月よりオフィス出社を前提としない制度に切り替え,通勤手当の代わりに在宅勤務手当を支給
<ブリヂストンサイクル株式会社>
自転車通勤に関する交通安全教育について相談のあった企業や自治体に対し,各々のニーズに合わせた講習を対面又はオンラインで実施。「自転車通勤推進企業」宣言プロジェクト制度の紹介,交通安全教育の動画提供,講師としての従業員の派遣,乗り方の実技講習など幅広く活動している。
<株式会社シマノ>
広く一般に向けた自転車通勤専用のウェブサイトを開設し,自転車通勤の効用を科学的根拠で見える化するとともに,駐輪場や自転車保険,盗難対策などの情報も含め積極的に発信している。従業員のヘルメット着用を義務付け,ヘルメット購入補助も実施。入浴施設やロッカールームの設置など自転車通勤の環境も整えているほか,タイヤのパンク修理など実践的な講座も実施している。
<株式会社マスター>
自転車体験シミュレーターを活用した安全教育や,自動車ドライバーに対して自転車の視点からの安全教育を実施するとともに,従業員が自主作成した通勤経路の「ヒヤリハットマップ」を安全教育に活用している。防犯カメラやミラーの設置など,駐輪場の防犯・安全対策も強化している。
<コカ・コーラボトラーズジャパン株式会社>
新型コロナウイルス感染症拡大を契機に新たな自転車通勤制度を導入。交通事情や天候等に応じて,日によって自転車通勤を選択することを可能とし,通勤手当も柔軟に支給している。自転車通勤のしやすさにもつながるカジュアルなビジネススタイルを提唱するとともに,複数のメディアを活用しながら,自転車通勤の取組を積極的に発信した。