特集 自転車の安全利用の促進について
第3章 自転車活用推進に向けた取組
第6節 シェアサイクルの促進
特集 自転車の安全利用の促進について
第3章 自転車活用推進に向けた取組
第6節 シェアサイクルの促進
シェアサイクルは,都市内に設置された複数のサイクルポートを相互に利用できる利便性の高い交通システムであり,公共交通の機能を補完し,観光振興や地域の活性化等に資するなど,公共的な交通として重要な役割を担っている。
1 シェアサイクルの在り方検討委員会
政府では,シェアサイクルの在り方検討委員会を設置して,シェアサイクルの在り方や普及促進に向けた課題解決等について,有識者等の方々から専門的な見地からの御意見を頂き検討を進めている。具体的には,シェアサイクルの普及促進に向けて,「公共的な交通としての在り方」,「シェアサイクルの採算性の確保」,「公共用地等へのサイクルポート設置の在り方」等について検討している。
トピック
【事例1】シェアサイクルの取組(公共的な交通としての在り方の好事例)
石川県金沢市や神奈川県横浜市などでは,総合交通戦略や地方版自転車活用推進計画などの計画にシェアサイクルを位置付けている。
また,東京都品川区,大分県大分市,石川県金沢市では,シェアサイクル事業者との協定により,災害時にサイクルポートが停止していても自治体職員がシェアサイクルを無償で利用できる専用ICカードを配備している。
広島県広島市では,西日本豪雨(平成30年7月)時,7か所の避難所にシェアサイクルを配置し,避難者の移動手段として無料で提供した。
【事例2】シェアサイクルの取組(採算性確保の好事例)
シェアサイクル導入都市のうち約6割において収支がマイナス(※)であり,収益の確保が困難な状況である。鹿児島県鹿児島市では,シェアサイクルのカゴ・ドレスガード等への広告掲載などで事業収入を確保している。
【事例3】シェアサイクルの取組(公共用地等へのサイクルポート設置の在り方の好事例)
「無余地性の基準」の適用を道路管理者が判断する際,国の事務連絡により,経済的な要素や利用者の利便等を含めた諸般の事情を考慮できることとなっている。鹿児島県鹿児島市では,現に道路用地に設置しているシェアサイクルポートの占用場所から約300~400メートル離れた位置に余地が存在するものの,利用者の利便性を考慮し,道路の敷地外に余地がないと判断された。
都市公園法(昭31法79)第5条第1項に基づき,公園管理者以外でも,申請により公園施設内の設置や管理が可能であることから,岡山県岡山市では,岡山県管理の公園において,岡山市の申請によりポートを設置している。
2 シェアサイクルの導入促進に係る税制特例
シェアサイクルの普及促進を図るため,令和3年度税制改正において,市町村自転車活用推進計画に記載されたシェアサイクル事業を対象として,シェアサイクルポートの設置に係る固定資産税の特例措置を創設し,令和5年の地方税法改正により,令和6年度末まで特例期間が延長された(令和5年4月1日に改正地方税法施行。特集-第34図)。