特集 自転車の安全利用の促進について
第3章 自転車活用推進に向けた取組
第7節 幼児乗せ自転車の安全な利用

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特集 自転車の安全利用の促進について

第3章 自転車活用推進に向けた取組

第7節 幼児乗せ自転車の安全な利用

幼児用座席付自転車は,子供との外出に便利な交通手段となっている。最近では,電動アシスト機能が付いている製品も多い。

自転車に幼児を同乗させることに係る乗車人員の制限は,都道府県公安委員会規則において定められており,幼児用座席に幼児1人を乗車させること,幼児2人同乗用自転車の幼児用座席に幼児2人を乗車させることを認めているところである。

しかし,幼児用座席付自転車は通常の自転車よりも重い上に,更に子供を1人又は2人乗せるため,走行中や停車中にバランスを崩して転倒や転落するなどして,けがをする事故が起きている。

1 子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議

子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議は,子供の事故を防止するため,保護者の事故防止意識の向上のみならず,教育・保育施設等の関係者による取組,子供の事故防止に配慮された安全な製品の普及等を総合的に取り組む必要があり,関係府省庁が緊密に連携して子供の事故防止の取組を推進するため,平成28年6月に,消費者庁を中心に,関係府省庁の課長級を構成員として設置されたものである。

子供の事故防止に関する関係府省庁連絡会議の取組として,毎年実施されている「子どもの事故防止週間」に併せて,平成30年5月に,「子どもを乗せた「幼児用座席付自転車の事故」(転倒など)に気を付けましょう」と注意喚起の広報を実施した。

具体的には,子供を乗せた幼児用座席付自転車の転倒,転落等の事故は,走行中だけでなく,停車中にも転倒等の事故が発生していることを示した上で,保護者等へのアドバイスとして,乗車前の注意,走行中に注意すべき点,停車している時に注意すべき点,自転車の整備点検の重要性等について注意喚起している。

(ニュースリリース 注意喚起(抄))
2 消費者安全調査委員会「幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故」調査報告書

幼児乗せ自転車は,保護者と幼児の重要な移動手段である一方,自転車が転倒し乗車している幼児が落下するなどの事故が発生した場合には,要配慮者である幼児が重度の障害を被る可能性も高い。そのため,消費者庁の消費者安全調査委員会において,消費者安全法(平21法50)第23条第1項の規定に基づき,幼児同乗中の電動アシスト自転車の事故について,平成30年11月から事故等原因調査が行われた。令和2年12月に「消費者安全法第23条第1項の規定に基づく事故等原因調査報告書」を公表している。

報告書では,幼児同乗中の自転車の停車中,走行中の転倒リスクに関し,多様な観点から要因の抽出を行っており,転倒リスク要因と再発防止策を示している。

スタンドを立てて停車している自転車は,前輪の接地点と,スタンドの両端の三角形で支えられているが,幼児・荷物の乗せ降ろしやその動きによって,その重心位置が三角形からはみ出ると転倒リスクが高まる。これらへの対応策として,できるだけ幅が広くしっかりしたスタンドを備えた自転車を選ぶことなどを提言している。

走行中の転倒に関しては,車道と歩道の段差などの外的要因に対して安心して走行できる自転車の検討や,幼児用座席の揺れを抑えた取付方法への改善など,転倒リスクを低減する可能性のある提言をしている。

なお,報告書の詳細については以下のURLを参照。

https://www.caa.go.jp/policies/council/csic/report/report_016/

3 「幼児乗せ自転車を安全に利用するためのポイント」

報告書の内容を踏まえ,消費者安全調査委員会では,幼児同乗中の自転車の転倒を防止し,安全に利用するためのポイントをまとめている。

(1)停車中の転倒事故を防止

停車中の転倒事故を防止するためのポイントとして

○自転車に乗せる前にヘルメットを装着すること

○子供を前の座席に乗せた状態はとても不安定であること

○転倒につながる危険を防止するために,

・荷物は左右バランスよく(ハンドルにぶら下げない)

・自転車を停車する場所のわずかな傾きにも注意する

・子供を自転車に乗せたら常に支えられる体勢でいる

・幅が広くしっかりとしたスタンドを備えた自転車を選ぶ

を挙げている。

(2)運転中の転倒事故を防止

運転中の転倒事故を防止するためのポイントとして,車道と歩道の段差(5センチメートル)は要注意で,避けるように促しており,やむを得ない場合は速度を落とし,できるだけ大きな角度をつけて段差を乗り越えることが重要だとしている。

(3)幼児乗せ自転車の選び方

幼児乗せ自転車を選ぶ場合のポイントとして,子供を1人乗せる場合は,「後ろ乗せタイプ」を選ぶことを推奨している。理由としては自転車のハンドルによるふらつきが小さく,転倒の危険が少なくなるためとしている。

子供を2人乗せる場合は,「前乗せタイプ」を選択して,後ろ座席を付ける方がハンドルのふらつきが小さく,運転もしやすく転倒の危険が少なくなるためとしている。

(幼児乗せ自転車を安全に利用するためのポイント)
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