特集 高齢者の交通事故防止について

目次]   [次へ

特集 高齢者の交通事故防止について

はじめに

令和5年中の道路交通における交通事故死者数は2,678人と,4年連続で3,000人を下回り,過去最多であった昭和45年の死者数である1万6,765人と比較すると,6分の1以下にまで減少したところであるが,これは交通安全対策基本法(昭45法110)に基づき,交通安全基本計画を作成し,国,地方公共団体はもとより,関係機関・団体・民間企業等が一体となって取り組んできた交通安全の諸施策,地域における日々の交通安全の取組の成果によるものと考えられる。

一方で,今なお多くの尊い命が交通事故で失われていることには変わりなく,痛ましい交通事故が後を絶たない。なかでも交通事故死者数に占める65歳以上の者の割合は,5割を超える高い水準で推移しているほか,高齢運転者による交通死亡事故が相次いで発生するなどしており,交通事故情勢は依然として厳しい状況である。

政府においては,これまで,高齢者の交通事故を防止するため,

○ 「本格的な高齢社会への移行に向けた総合的な高齢者交通安全対策について」(平成15年3月27日交通対策本部決定)

○ 「高齢運転者による交通事故防止対策について」(平成29年7月7日交通対策本部決定)

○ 「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」(令和元年6月18日「昨今の事故情勢を踏まえた交通安全対策に関する関係閣僚会議」決定)

等の交通事故防止対策を策定し,高齢の歩行者及び自転車利用者(以下「高齢歩行者等」という。)や,高齢運転者の交通安全の確保に取り組んできた。

また,現在は,これらの対策を踏まえつつ,令和3年度から7年度までを計画期間とする「交通安全基本計画」(令和3年3月29日中央交通安全対策会議決定,以下「第11次交通安全基本計画」という。)や交通事故の発生状況等に基づき,高齢者の交通事故防止に係る各種施策に取り組んでいるところである。

本特集では,高齢歩行者等と高齢運転者が関係する交通死亡事故の状況や特徴を分析するとともに,国と地方公共団体,関係機関・団体等が連携し,取り組んでいる高齢者に係る様々な交通事故防止対策について紹介することとし,高齢者の交通事故を防止する一助にしたい。

目次]   [次へ