特集 高齢者の交通事故防止について
第1章 高齢者の交通事故の状況
第1節 高齢化の進展と交通死亡事故の状況

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特集 高齢者の交通事故防止について

第1章 高齢者の交通事故の状況

第1節 高齢化の進展と交通死亡事故の状況

1 高齢化の進展

我が国の総人口は,平成20年の1億2,808万人を境に減少に転じ,令和5年10月1日現在,1億2,435万人となった(総務省「人口推計」(確定値))。

また,我が国では,急速に高齢化が進み,令和5年10月1日現在の65歳以上の人口は3,623万人となり,総人口に占める割合(高齢化率)は29.1%となっている。

国立社会保障・人口問題研究所によれば,今後,高齢化率は,総人口が減少する中で65歳以上の人口が増加することにより引き続き上昇し,令和19年には33.3%と国民の3人に1人が65歳以上の者になり,25年以降は65歳以上の人口が減少に転じても上昇を続け,52年には38.7%に達すると推計されている(特集-第1図)。

2 高齢の運転免許保有者の増加

運転免許保有者数は,平成30年に約8,231万人でピークを迎え,その後減少し,令和5年は約8,186万人となっている。

年齢層別に見ると,70歳以上の運転免許保有者数は,年々増加し続け,令和5年は約1,362万人と,昭和58年の約54万人の約25.4倍となり,運転免許保有者数の16.6%を占める(特集-第2図,第3図)。

また,65歳以上に着目して,運転免許保有者数の推移を見ると,令和5年の65歳以上の各年齢層の免許保有者数は,平成25年と比較して65歳以上は約1.3倍,70歳以上は約1.5倍,75歳以上は約1.7倍,80歳以上は約1.8倍,85歳以上は約1.9倍となっており,増加を続けている(特集-第4図)。

3 年齢層別に見た交通事故死者数の推移

令和5年の交通事故死者数は2,678人(前年比+68人, +2.6%)で,8年ぶりに増加した。

平成元年の交通事故死者数と比較すると,令和5年の交通事故死者数は,約4分の1に減少している。年齢層別に比較すると,15歳以下の交通事故死者数は40人で約16分の1,16~24歳の交通事故死者数は206人で約15分の1と若年層で大きく減少し,25~64歳の交通事故死者数も966人で約5分の1となった一方で,65歳以上の交通事故死者数は1,466人で約4割の減少に,75歳以上の交通事故死者数は1,006人で約2割の減少にとどまっており,大きな違いが見られる(特集-第5図,第6図)。

こうした変化を受け,年齢層別に交通事故死者数の割合を見ると,65歳以上の交通事故死者数が交通事故死者数全体に占める割合は,平成元年は22.7%であったが,平成22年に初めて50%を超え,令和5年は54.7%となっており,高い割合で推移している(特集-第7図)。

65歳以上の者について,状態別の交通事故死者数及びその割合を見ると,交通事故死者数は平成13年以降,全ての状態別において減少傾向にある。また,割合については,自転車乗用中と二輪車乗車中が減少している一方で,歩行中が5割前後の高い水準で推移しており,自動車乗車中は平成元年と比較すると令和5年は約2.8倍に増加している。令和5年は歩行中が687人(46.9%),自動車乗車中が451人(30.8%),自転車乗用中が208人(14.2%),二輪車乗車中が109人(7.4%)となっており,歩行中及び自転車乗用中が占める割合は依然として60%を超えている(特集-第8図,第9図)。

※二輪車
自動二輪車及び原動機付自転車(令和5年中は,一般原動機付自転車及び特定小型原動機付自転車)をいう。

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